更新日：2023年12月1日

ラジオ市長室(2015年8月)

天竜材を東京オリンピックに！！

聞き手：
皆さん、ここ浜松市は全国で2番目に広い面積を持っているんですが、その面積の66％を占めているのが”森林”であるということ、ご存じですか？
浜松市では、森林を利活用したり、維持することにも積極的に取り組んでいます。
市長、浜松市の森林は浜松市の財産と言っても過言ではないそうですね！

市長：
森林は地球温暖化防止に役立ったり、市民の水をつくったり、山地災害を防止したり、森林は木材の生産源となるだけではなく、あらゆる産業や、市民生活を多面的に支えています。
したがって森林が荒廃してしまうと、こうした多面的な機能を失ってしまうことになるため、森林の適正な管理が非常に重要な課題となっています。

聞き手：
豊かな森林は、浜松市民を支える重要な機能を持っているということですね。ということは、浜松市の森林の利活用のために、いろいろなことを考える必要がありますね。
では、森林の維持管理について、浜松市ではどんな取り組みをしているのでしょうか？

市長：
森林は継続的に管理しなくてはいけないものです。そのためには、木材がビジネスになるという仕組みを作っていく必要があります。
もともと天竜の森林は日本三大人工美林の一つに数えられていて、非常に木材生産が盛んでした。しかし、外国産の木材などの影響で一時低迷したこともありました。そこで、もう一度天竜材を復活させようということで、木材のブランド化に取り組み、平成22年、FSC森林認証という国際認証を取得しました。
FSC森林認証とは、ドイツに本部を置く国際的な機関が「森林が適正に管理されているか」を世界基準で厳しく審査する制度です。その基準をクリアした森林は、FSC認証林として認定され、そこから切り出される木材はFSC材というブランド材として扱われるようになります。
浜松市では認証面積を年々拡大し、現在は、市町村別認証取得面積で全国一位となりました。

今後はいかに材として高く販売するか、ビジネスとして成功させるかが重要になりますが、その大きなチャンスとなるのがオリンピック・パラリンピックです。
実際に、バンクーバーオリンピックからはFSC認証材が施設や紙などに使われています。日本でも2020年に東京オリンピックがありますので、FSC材、我々にとっては天竜材を使ってもらい、そこから全国に普及をしていこうということで取り組みを進めているところです。

また、こうした市の森林政策を一元的に管理して進めるために、「林業振興課」も設置しました。

聞き手：
森林を適正に管理すること、維持することが天竜材のブランド力を高めること、ひいては、浜松市の林業の活性化につながっていくということですね。
天竜材を東京オリンピックに！ということですが、具体的にはどのようなことを行っていくのでしょうか？

市長：
オリンピック委員会や国の関係機関、省庁などにFSC材を認知してもらうために、これまでの活用の実績を含めてアピールをしています。
さらにそれを強化していくために、浜松市だけではなく、認証林を持っている自治体に呼び掛けて推進協議会を作り、協議会としても国に取り組みのお願いをしています。
また、天竜材を実際に使用してもらうために、建設会社や設計会社への売り込み活動なども行っています。

聞き手：
市長自らがトップセールスを行っているということで心強いです。

市長：
天竜の森を“宝の森”に変えていきたいというのが私の思いです。この66パーセントの森を浜松の宝にするための一つの好機がこのオリンピックだと思っています。

聞き手：
ぜひ東京オリンピックのチャンスをつかんで、天竜材の素晴らしさを国内だけではなく世界にも発信していきたいですよね！

市長：
オリンピックをきっかけにFSC材が広く認知され、利用が進めば、天竜材の活用にもつながっていきますので、ぜひ進めていきたいと思います。

聞き手：
さて、今日もお時間が近づいてまいりました。
最後に、市長から浜松市民の皆さんへメッセージをお願いします。

市長：
浜松市は、合併によって全国で2番目に広い市域を持つようになりました。そしてそのおよそ7割を占めているのが森林です。かつては天竜の林業は大変盛んでしたが、残念ながら今は少し低迷しています。
我々の財産である森林をしっかりと維持・管理していくためには、もう一度林業を活性化させなくてはいけません。その起爆剤として目を付けたのがFSC森林認証という国際認証でした。
その後、天竜の認証林の面積は順調に増え、全国でもっとも多くの認証面積を有する市となりました。

今度、これをいかにビジネスにしていくかという時に、チャンスとなったのが2020年に開催される東京オリンピック・パラリンピックです。これまでのオリンピック・パラリンピックでも、認証材を使うことが標準化されてきているので、東京大会でも認証材を、天竜材を使ってもらうために市を挙げてPRしているところです。
このオリンピックを契機に、天竜の林業が再び活性化し、天竜の森林がこれからも持続的に保持されるように、市としてもがんばっていきたいと思います。
市民の皆さんにもぜひご理解とご協力をお願いいたします。