閉じる

ここから本文です。

更新日:2024年1月1日

株式会社静岡銀行

しずおかフィナンシャルグループを設立 グループ力で地域の課題解決に挑む

加藤さま

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

静岡銀行 西部カンパニー理事部長の加藤祐二氏。「営利法人としての経済価値だけでなく、地域の課題に深く関与することで、経済価値と社会価値の両立を図り、地域とグループの持続的な成長を目指す」と語る

 

株式会社静岡銀行

静岡市に本社を置く地方銀行。2022年10月、単独株式移転より株式会社しずおかフィナンシャルグループを設立し、持株会社体制へ移行した

 

地域活性化のためにベンチャービジネスをサポート

——銀行として地域経済のためにどういった取り組みをされているか。まずは組織全体の現状、新しい展開などをお聞かせください。

 

私たちは「課題解決型の企業グループ」を目指し、その能力を深化させていくことがますます大事だと認識しています。近年、お客さまも行政も課題が実に多様化・高度化していて、それらを解決するためには旧来のバンキング業務だけでは細かなニーズに応えきれないと考えていました。そんな中で、2021年11月の銀行法改正により、銀行の業務範囲が拡大されたほか、一定の要件のもとで新しい事業の開始手続きが簡略化されるなど、よりスピーディに新たな事業領域を拡大できるようになりました。こうした背景もあり、昨年10月、しずおかフィナンシャルグループという持株会社を立ち上げたわけです。

 

——しずおかフィナンシャルグループの特徴を。

 

この4月に第一次中期経営計画を策定し、「経済価値と社会価値の両立」を一つの目標に定めました。また、新たな指標として「サステナビリティ指標」を導入し、静岡県人口の社会増減率、実質GDP増、温室効果ガス排出量削減などの目標を設けています。つまり、企業収益といった経済価値の追求だけでなく、社会課題をグループの強みで解決するビジネスに取り組むことで企業価値の向上に繋げ、結果として地域とグループの持続的な成長を実現するという考え方を基盤に据えたものです。

静岡銀行は、しずおかフィナンシャルグループの100%子会社であり、同列には、静銀リース、静銀経営コンサルティング、静岡キャピタル、静銀ティーエム証券が並びます。さらに言えば、今後、別会社を始めることも可能であり、静岡銀行グループが、グループの連携強化と地域の成長に貢献する事業領域の拡大を目指し、新たなチャレンジを始めたということです。

 

——静岡キャピタルは浜松市ファンドサポート事業の認定VCでもありますが、ベンチャーやスタートアップをサポートする点においてもグループ力を生かしてということになりますか。

 

当グループでは10年ビジョンも掲げ、地域の新たな産業創出や魅力向上を目指し「地域プロデュース戦略」を推進しています。こうした活動の一つとしてベンチャービジネスの取り組みがあります。具体的には、異業種連携やファンド出資を通じて得られたベンチャー企業とのネットワークをベースに、ベンチャー企業への投融資や事業支援を通じた新たな事業分野の開拓に取り組むとともに、東京を拠点とするベンチャービジネスサポート部が中心となってネットワークの更なる構築を進めています。今後は、ベンチャービジネスをグループの成長ドライバーに育て、そこから得たネットワークを通じて共創型ビジネスを生み出し、地域に還元していきたいと思います。また、2019年から静岡県と共催で「TECH BEAT Shizuoka」を開催しています。これは、静岡県内企業と先端技術を持つスタートアップ企業とのマッチングや協業を通じて県内産業の活性化を図るオープンイノベーションプログラムです。今後もこうした取り組みを一層充実させるなかで、地域エコシステムの構築に繋げていきたいと考えています。

imagezu

静岡銀行グループとして地域のさまざまな課題解決に中長期的に取り組む「地域プロデュース戦略」のイメージ図

 

イベントを一過性で終わらせない仕組みづくりを模索

——昨年も「TECH BEAT Shizuoka」の大きなイベントがあり、反響も大きかったと思います。まず現状をお聞かせください。

 

「TECH BEAT Shizuoka」は静岡県内の事業者とテクノロジースタートアップとのマッチング機会を提供する商談会イベントですが、昨年で8回目の実績を残しました。コロナ禍でオンライン実施が多かったものの、開催すれば反響は大きく、県内企業が協業パートナーを求めていらっしゃることを強く実感しています。次回開催に向けて、これまで以上に盛り上げようと現在企画を練っています。

イベント

昨年7月20、21日にグランシップ静岡で開催された「TECH BEAT Shizuoka 2022」。日本中から最先端のテクノロジーを有するスタートアップが集結した

 

——企業誘致や集客はどのように行っているのでしょうか。

 

当行と取引のないスタートアップが多いですが、これからイノベーション、技術革新を生み出していけるような企業を集めています。県内企業に対しては、当行のお客さまをはじめ、主催者である県からも声掛けしていますし、銀行協会や商工会議所を通して会員企業にも周知していただくので、県内の幅広い企業が参加してくださっているという状況です。

 

——今後のビジョンは。

 

「通年で開催してほしい」という声を実に多く頂いています。そこで、通年でテクノロジースタートアップを探せるような仕組みづくりを始めており、ワークショップやネットワーキング等交流の機会を増やしていきます。

また、当行では『Innovation Package』という広告媒体に取り組んでいます。まだ実証実験中ですが、これは当行が制作した企業広告を掲載したカタログで、DXやデジタル技術に役立つ様々なサービスを紹介しており、誌面のQRコードを読み取ることで、企業紹介動画やイノベーションピッチが見られたり、資料請求ができたりするものです。今どき「紙のカタログ?」なんて言われますが、実は「空いた時間にパラパラ見られる」「気になった企業に付箋を貼り、あとで資料請求する」など実用的な感想を多く頂いています。この広告事業も、銀行法の改正により今年の2月から開始したものです。イノベーションに取り組む地域企業を支援するため、イベント時だけでなく、いつでもサポートできるように柔軟な仕組みをつくり、社会課題に対応していきたいと考えています。

 

浜松には起業しやすいサポートと土壌、ニーズがある

——浜松市のスタートアップエコシステムに対しての印象や率直なご意見をお聞かせください。

 

浜松市のスタートアップ支援の仕組みはとても充実していると思います。特に実証実験のサポート事業をこれほど注力されている自治体はなかなかないと思うので、そこへ企業をどうつなげていくかがとても大事だと思います。最初に申し上げたように、当グループには静岡キャピタルやベンチャービジネスサポート部があり、投融資の実績もあります。こうしたネットワークを活用してスタートアップと浜松市をつなげていきたいという思いは強いです。浜松市に拠点を置かない企業が多いという課題もありますが、まずは入口、出会いの部分で大いにサポートしたいですね。

 

——ファンドサポート事業に対してはいかがでしょうか。

 

とても注目しています。浜松市は本当に前向きですよね。静岡キャピタルにも他の認定VCからパートナーを組みませんかという話がよく来ています。ものづくりのまち・浜松という土壌と浜松市のファンドサポート事業に魅力を感じており、いい循環を生んでいると思います。

 

——最後に、浜松の魅力、そして浜松に興味を抱いている起業家へメッセージをお願いします。

 

スズキさんやヤマハさん、ホンダさん……。改めて思うと、浜松はやはり「起業のまち」ですよね。特に輸送機器を中心とした製造業の方々が作り上げた、分厚い産業構造を持っているまちだと思います。こうしたなか、地域の基幹産業である自動車関連事業者は、サプライチェーン全体で電動化や脱炭素への対応が求められるなど、事業構造を根本から変えるような大きな課題に直面しています。ただ、その状況を前向きに捉えれば、これはニーズです。ここ浜松には、起業にふさわしい土壌があり、そこにはビジネスになるニーズがある。起業の一つの動機になると思います。そんな地域において当行のような支援企業がしっかりと橋渡しをしていきたい。浜松市と一緒になってサポートしたいと思っていますので、ぜひ浜松で挑戦してください。

 

  • 本記事のインタビューは2023年3月に実施されたもので、記事中の内容・人物の肩書等は全てインタビュー時点のものです。

 

 

 

 

 

浜松市のベンチャー支援制度に関して、ご不明な点があればお気軽にお問い合わせください。

ご相談・お問い合わせ窓口はこちら

ページの先頭へ