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更新日:2024年1月1日

静岡大学

「日本のテレビの父」以来のチャレンジ精神あふれる
校風のもと、数多くの起業家を輩出

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川田善正氏 静岡大学理事・副学長 静岡大学イノベーション社会連携推進機構・機構長 電子工学研究所(生体計測研究部門)-大学院光医工学研究科 工学博士

 

静岡大学

静岡大学は1949年に学制改革によって発足した国立大学。人文社会科学部、教育学部、情報学部、理学部、工学部、農学部、グローバル共創科学部からなり、「自由啓発・未来創成」を理念としている。浜松キャンパスには工学部や文工融合の情報学部等が集積し、スタートアップ支援に力を入れている

 

「やらまいか精神」が育むスタートアップへの気概

――御校は工学部と情報学部等が集積する浜松キャンパスを中心に起業支援に力を入れており、現に43社(2023年3月現在)の静大発のスタートアップが存在しています。なぜ御校は起業に熱心なのか、なぜ静大発のスタートアップが多いのかということに関して、お聞かせください。

 

静大発のスタートアップ企業は、静岡キャンパスからも生まれていますが、浜松キャンパスから誕生した数が非常に多いです。この理由の一つは、浜松を中心とした遠州地方には「やらまいか精神」、つまり「やってやろう」という、スタートアップに適した進取の気風があることが大きいと思います。

もう一つは、ここには伝統と実績がある電子工学研究所があって、活躍している先生がたくさん存在することですね。文部科学省の「知的クラスター創成事業」から始ま

って、「地域イノベーション・エコシステム形成プログラム」等の国のプロジェクトを数多く引き受けてきて、それを電子工学研究所が中心になって推進しています。そこで種々の技術開発を行う中で、地域の人や企業との連携が生まれ、それがだんだん花開いてきているのかなと思います。

 

――精神的土壌として浜松地域には「やらまいか精神」があり、地元出身者はもちろん、全国から来た学生も、御校の理念である「自由啓発」の校風の中で、自然と起業家精神やチャレンジ精神が養われていくわけですね。

 

そうですね、キャンパス内でも地域全体としても「新しいことにチャレンジしよう」という雰囲気があるからだと思います。それに加え、浜松市からも相当なサポートをいただいているので、スタートアップに挑戦しやすいという部分もあると思います。

 

――御校における起業推進の歴史について教えてください。

 

ここ静大工学部は、「日本のテレビの父」と言われた高柳健次郎先生がテレビを開発した所で、それにより電子工学研究所が創設されました。ですから、イメージングと呼ばれる撮像技術が非常に進んでいて、先ほど触れた「知的クラスター創成事業」も光・電子技術に関して実施されました。その中で、例えば新しい性能を持ったイメージセンサ等をずっと研究開発してきた結果、静大発のスタートアップであるブルックマンテクノロジが誕生しています。同社は2021年にM&Aされました。そういった形で技術開発・基礎研究を重ねた成果が様々な所で応用され、多くのスタートアップが生まれる土壌の形成につながったのかなと思います。

 

――イメージセンサに関する技術は、車の自動運転には欠かせないわけですから、まさに時宜に適った技術ですね。

 

今も距離が測定できる画像を撮影可能なイメージセンサ等を開発しています。それを例えば車載用に使用するとか、距離が測定できることによって人が触らなくてもジェスチャーで物を動かせる技術に応用するといった研究が進められています。こうした次世代カメラの技術は、世の中を変革するくらいの非常に大きな可能性を秘めた、まさにスタートアップに相応しい技術だと思います。

 

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「Tongali」に参画して学生起業家を育成中

――これまでは研究開発で生まれた技術を社会実装するための手段として、研究者による起業が盛んに行われてきましたが、最近は大学による起業家育成プラットフォーム「Tongali(トンガリ)」をはじめとする、学生による起業が活発に行われていますね。

 

「Tongali」は名古屋大学が主幹機関となって、東海地区の20校近い大学が参加して、イノベーティブな新規事業を生み出すことができるトンガった人材を育成・支援するプラットフォームです。浜松地域ですと我々静岡大学をはじめ、光産業創成大学院大学や浜松医科大学が参画しています。

 

――御校は、なぜ「Tongali」に参画されたのでしょうか。

 

静大は文科省「次世代アントレプレナー育成事業(EDGE-NEXT)」というプログラムの共同機関として、東京大学、筑波大学、お茶の水女子大学と一緒に活動していました。

その中で学生向けに起業家のためのセミナーを開催したり、学生が集まって合宿を行い、アイデアを出し合ったりする等、様々な起業家育成教育を実施していました。

しかし、2021年に「EDGE-NEXT」が終了し、同年に内閣府が選定したスタートアップ・エコシステム グローバル拠点都市に愛知県・名古屋市と浜松市が選定された関係から、2021年にグローバル拠点都市を対象としたJSTスタートアップ・エコシステム形成支援事業に名古屋大学の「Tongali」プラットフォームの共同機関として静大も参画したわけです。

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浜松市にあるFUSEで開催された「Tongaliしずはま起業部」のミートアップ風景/U25起業家によるトークセッションや起業と共創をテーマにしたディスカッションなどが行われた

 

スタートアップ支援の環境が整えられた浜松キャンパス

――起業の地として浜松に興味のある人や、起業家を志す学生に伝えたいことがありましたら、お聞かせください。

 

浜松市のサポートも手厚いので、ぜひ浜松でがんばってほしいと思っています。なお、現在の静大発スタートアップ43社は静大の先生が起業しているケースが多いのですが、次のステップとして学生や教員にどんどん起業してほしいと考えています。

そのために静大ではイノベーション社会連携推進機構が窓口になって、学生や教員の起業に関する相談に応じています。

 

――そういう意味では静岡大学浜松キャンパスには、スタートアップにとって頼もしい環境が整っていると言えますね。

 

これまで静大からは数多くのスタートアップが生まれていますので、大学も先生方もスタートアップに関する豊富な経験値を持っています。また、浜松は産業集積地ですから、静大OB・OGの技術者もたくさんいますし、地域の人でも、起業や会社経営に詳しい人が数多くいます。そういった人たちの力を借りれば、様々なことにチャレンジできると思います。

とにかく「何かやってやろう」という「やらまいか精神」がある地域なので、まちに活力があります。そして、そんな活力のある土地に住んでいると自然に前向きになれますから、スタートアップには非常に良い土地柄だと思います。また何より、気候も温暖で、海も湖も山もあって、生活しやすいという点でも浜松はお薦めです。

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数多くの起業家を輩出している静岡大学浜松キャンパス

 

  • 本記事のインタビューは2023年2月に実施されたもので、記事中の内容・人物の肩書等は全てインタビュー時点のものです。

 

 

 

 

 

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