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更新日:2024年1月1日

株式会社PREVENT

「一病息災の健康支援モデル」の普及・浸透を目指し、
完全オンラインで生活習慣の改善指導を提供

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代表取締役の萩原悠太氏。名古屋大学医学部卒業後、同大学院にてオンライン心臓リハビリテーションの実用化」に向けた研究に取り組む。その後、アカデミアの知見を社会へ還元すべく、2016年に株式会社PREVENTを創設

 

株式会社PREVENT

名古屋大学医学部発のヘルステック系スタートアップ。企業健保・自治体国保に向けて、保健事業の計画立案やスマホアプリによる生活習慣病のオンライン完結型重症化予防サービスの提供、保健事業の事業評価などを推進。データや研究ノウハウを活用したデータ駆動型の保健事業に強みを持っている。

「社会の役に立つ仕事をしたい」。この思いがスタートアップの原点

――名古屋大学医学部発のスタートアップということですが、まずは起業の経緯と目的を教えてください。

 

大学進学に当たって、将来、どうせ働くなら社会の役に立つ仕事に就きたいと思い、明確な目標があったわけではなのですが、名古屋大学医学部保健学科に入学しました。そこから4年間、専門知識の勉強をする中で、予防医学の領域に非常に魅力に感じまして大学院に進みました。大学院で取り組んだテーマが、オンラインでの心臓リハビリテーションプログラムの構築というものです。病院に行かなくても心筋梗塞など

の心臓疾患を患った方がご自宅で疾病管理が可能なプログラムの研究に携わっていました。私自身は研究をずっと続けていきたいという気持ちもあったのですが、実際の医療の現場を知らないで現場で活きる研究はできないと思い、一度現場に出てみようと、博士課程に進まず、2013年より医学研究所北野病院にて医療現場での診療業務に従事しました。

そこで私は、リハビリテーションの専門職として、主には心筋梗塞や心不全など循環器の疾患で入院された方の再発予防や社会復帰に向けてのリハビリテーションを指導していました。

 

――臨床現場を経験する中で、今の仕事につながる思いが湧いてきたわけですね。

 

そうですね。その頃、名古屋大学では大学発スタートアップの支援に力を入れ始めていたので、それまでの研究成果を社会実装という形で活かしていくためのスタートアップを起業しようと決意し、その準備段階として大学院に復帰しました。

 

――2016年に御社を設立していますが、業績が順調になるまではどのくらい期間がかかりましたか。

 

今でも順調だとは全く思っていません。まだまだ零細企業で、風が吹いたら倒れてしまうような状態の中で、いつも冷や冷やしながらやっているところです。ただラッキーだったのは、エプソン健康保険組合様が名古屋大学の研究室と共同研究を行っていた関係で、当社のサービスを使っていただけることになり、第1号のお客様になっていただいたことです。何も成果がなく知名度もゼロのスタートアップが最初の顧客を獲得するのは、ものすごく大変なことですが、研究室とのご縁のお陰で最初のハードルを越えることができたのはありがたかったです。

掲げる事業ミッションは「一病息災の健康支援モデルを社会に」

――御社の一番大きなテーマは「予防医学」だと思います。その観点からすると、ますます高齢化が進む日本の社会をどう変えていこうと考えていますか。

 

病気に罹らず長生きをする、誰もが無病息災でありたいと願うものですが、人生百年時代、病気の一つや二つを抱えながらも、病気とうまく付き合うことで、ポジティブな人生を過ごしていく、そんな「一病息災」を支える仕組みがいまの社会には求められているのではないでしょうか。

当社は、新しい健康づくりの最適解を創り出すプロフェッショナル集団です。医療やテクノロジー、データサイエンスといったメンバー一人一人の専門性の掛け算により、事業ミッションである「一病息災の健康支援モデルを社会に」を目指し、慢性疾患を抱える方が病気とうまく付き合いながら生きていける社会を実現していこうと考えています。

また、具体的な目標である医療費の適正化に関して言えば、現在の医療費の削減を目指すというよりは、ますます高齢化が進行していく現実の中で大事なのは、今後増えていく医療費はどういう疾患によるものかを予め見極め、その中で予防できるものは予防していこうという考え方です。つまり、今こそ予防医学が重要であり、我々の事業もその観点に立って推進しています。

 

――予防医学の観点に立った事業とは?

 

我々PREVENTが提供する新しい健康づくりのためのサービスは2つあります。

1つ目は、医療データ解析事業の「Myscope」です。これは、健康保険組合が保有する健康診断結果およびレセプトデータを当社の重症化予測モデルを用いることで、生活習慣病・血管病発症リスクを予測するサービスで、誰がどの程度危ないのかを予測します。

2つ目は、重症化予防支援事業の「Mystar」です。これは、オンライン完結型生活習慣改善支援サービスで、かかりつけ医・主治医と連携を図りながらモニタリング機器を利用し、当社の医療専門スタッフから健康づくりの個別指導を提供するものです。その特徴は以下の3つです。

1.ウェアラブル端末を使用しライフログを見える化し、活動量計、塩分測定器を使用することで、歩数や睡眠、塩分摂取量などのデータを専用アプリに記録することで毎日の測定をサポート。

2.6カ月間に12回の電話とチャットによるきめ細やかな個人指導。

3.心臓リハビリテーション指導士、糖尿病療養指導士をはじめ、医療機関で疾病管理指導に従事していた専門職が6カ月間担当につき、一人一人の病状に合わせた質の高い指導を提供。

 

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社内では心臓リハビリテーション指導士や糖尿病療養指導士などの専門職が一人一人の病状に合わせて電話指導を提供している

市を挙げて応援していただきました

――今回、浜松のファンドサポート事業に採択され、地元の健康保険組合と組んで重症化の予防検証を実施していますが、浜松市や各組合の対応はいかがでしたか。

 

市も健保組合も非常にスタートアップフレンドリーで驚きました。とにかく今回参加して一番ありがたかったのは、浜松市と一緒にプロジェクトができたということですね。現在、弊社のメインの事業は企業の健康保険組合向けなのですが、次のフィールドとして自治体の国民健康保険と事業展開を図ろうとしています。しかし、自治体さんって事業を広めていく上で、過去の業績や類似の業績の有無などを問われる場合が多く、やっぱり新規参入の一番手とはなかなかやりたがらないという面があるんです。そんな中で浜松市の場合、「やらまいか精神」があって、皆さんが一番手に対しても非常に協力的にご支援をいただきありがたかったですね。我々としても浜松市で一定のボリューム感を持った国保の事業ができたというのは非常にプラスになりました。ちょっと大げさな言い方すると、市を挙げて応援してくれるっていうような感じですかね。自治体さんがここまで乗り気になってご協力いただけるってことは他ではちょっと考えられないと思います。

 

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先駆的なオンライン完結型重症化予防サービスについて熱く語る萩原社長

 

 

  • 本記事のインタビューは2023年2月に実施されたもので、記事中の内容・人物の肩書等は全てインタビュー時点のものです。

 

 

 

 

 

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