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更新日:2024年1月1日

株式会社From To

自治体とスタートアップをつなぐ架け橋として、
47都道府県の明るい未来を創りたい

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CEOの宮城浩氏は沖縄県出身。地元沖縄の企業でシステムエンジニアを経験。実証実験実施を機に浜松市へ移住。エンジニアに特化したキャリア支援事業を構築後、2018年にFrom To設立。経産省・JETRO主催「始動next innovator2021」7期メンバーに選出

 

株式会社FromTo

「日本全国に新たなビジネスエコシステムを創る」をビジョンに、自治体施策を活用し、企業の地方事業展開をサポート。大都市にヒト・モノ・カネが集中する現在の日本社会に疑問を持ち、「地方には仕事がない」「地方だから賃金が安い」という負のイメージを払拭し、「地方だからチャンスがある、活躍できる」を日本のスタンドードにするために、新たなビジネスエコシステム「47pass」を開発した

「地方だから仕方ない」という定説を覆すために起業

――起業した動機について教えてください。

 

私が生まれ育った沖縄は仕事が少なくて、賃金が安いんです。働いていた会社も給料が低くて、上司に相談したら「沖縄だから仕方ないよ」「沖縄でこれだけもらえたら十分でしょ」と言われました。ここにいる限り、自分の実績を正当に評価されることはないだろうと思い、上京を決意しました。

その後、東京で転職活動をしたときも、沖縄を含めた地方全体が低く見られているのを実感しました。それもそのはず、現在の日本は、大都市を中心にヒト・モノ・カネが集まり、ビジネスチャンスも偏っていますから。このような大都市と地方の関係性が、地方では働きづらいというイメージを植え付けているのです。このマイナスのイメージを逆転できないだろうかと、悶々とした気持ちを抱えながら都内でフリーランスのエンジニアとして活動していました。

 

転機となったのは2018年です。会社に出社せずに仕事をする「ノマドワーク」というスタイルが浸透しつつあり、私自身もノマドワークをしていました。こんな働き方がどんどん地方に広がっていけば、大都市に引け目を感じることもないんじゃないか。ビジネス書にも、これからは東京一極集中から地方分散の時代になると書いてあって、地方にこそチャンスがあるのではないかと思い、「地方移住支援サービス」での起業を決めました。

地方移住というと、人生の一大決心みたいなイメージがありますが、もっとなめらかに移住できるシステムを創ろうと考えました。それを検証できる地方がないかと探したら、ちょうど浜松市が「実証実験サポート事業」の募集をしていたのです。

 

――地方移住をなめらかにするとは、具体的にどんな仕組みなのですか。

 

就活をイメージしていただくとわかりやすいと思います。学生が就職活動をする際、就職先への不安を解消するために、まず情報収集して、次にOB訪問をして、興味を持ったらインターンやアルバイトで実際に働いてみるという行動をとりますよね。このOB訪問を地方移住に応用してみようと思ったんです。いきなり移住するのはハードルが高いもの。移住してから「こんなはずじゃなかった」という失敗談は結構あります。そこで、移住する前に現地の先輩移住者からリアルな話を聞いて、不安を解消してから2週間〜1カ月住んでみる「お試し移住」を提案しています。徐々に段階を踏むことで、移住失敗を回避することができます。

 

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地方から日本全体へ共創の輪を広げる

――なぜ、「地方移住」から「地方事業展開」へ方向転換したのですか。

 

「移住前から現地の人とつながれる」というコンセプトで、地方移住サービスの運営をしていましたが、意外にも移住者より企業側からの相談が多かったのです。「浜松市の取り組みって何がいいの?」「この補助金は何に使えるの?」「ほかの県や市はどんな取り組みをしているの?」といった質問が次々と寄せられました。

また、自治体側からも移住の話より、誘致促進の施策についての相談が多かったのです。そのとき、企業は自治体との連携を考えているにも関わらず、なかなかできていないし、自治体からの情報も企業にうまく伝わっていないと気付きました。

 

いま、世の中にはさまざまな業界の課題をDXで解決する素晴らしいサービスが生まれていますが、全国にサービスが広がっていないのは、企業と地方とのコネクションがないからだと思います。「地方展開はハードルが高いし、コスパも悪い」と言われてきましたが、視点を変えると「地方にはサービス開拓のチャンスがたくさんある」とも言えます。壁が高いからこそ、その向こうにあるのはブルーオーシャンなのです。

課題を機会ととらえ、自治体とスタートアップの共創が当たり前になれば、社会課題を解決するサービスを大都市圏だけでなく、地方に一気に広げることができます。大都市と地方との分け隔てなく、企業と行政がお互いの可能性を知り、出会い、共創の輪を広げることで、想像を超える未来を創造していけます。「地方には仕事がない」のではなく、「地方だからチャンスがある、活躍できる」を日本のスタンダードにしていきたい。そのために新たなビジネスエコシステムを創る必要があると考えました。

浜松を全国一のスタートアップ支援自治体に推し上げる「47pass」活用プロジェクト

――自治体からの情報が企業にうまく伝わっていないことが「47pass」の開発につながったのですね。

 

その通りです。現在、各自治体が呼び込み施策をつくって企業誘致PRをしています。しかし、情報がバラバラで見つけにくい、見つけたとしても文章が多すぎて読み解きづらい、書類が膨大で面倒だから申請されにくいといった現状があります。そこで弊社は、スタートアップ企業をはじめ日本全国の中小企業向けの自治体施策情報を掲載する一元管理プラットフォーム「47pass(よんななパス)」を開発しました。これは、情報収集から申請までをDXすることでコストを軽減しつつ、簡単に施策を活用していただけるシステムです。登録企業に合った情報がレコメンドして送られてくるので、相性のいい自治体と出会えるのが特徴です。たとえば、農業に関するスタートアップ企業なら、農業振興に注力している自治体の施策を見ることができます。

スタートアップ企業と自治体が共創することで、スタートアップ企業は地方にサービスを広げていけるし、今まで縁のなかった入札案件も取りにいけます。同時に、スタートアップ企業と連携する地場の企業にとっても事業拡大につながります。

 

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―― 「47pass」がスタートして1年半。実績についてはいかがですか。

 

サービス面での実績としては、いま350社のスタートアップにご登録いただき、4つの自治体がトライアルに名乗りを挙げてくださっています。2022年12月には「浜松市ファンドサポート事業」にも採択され、交付金を開発資金として使わせていただいています。浜松市の施策をどんどんPRしていくサービスでもあるので、浜松市のスタートアップ誘致が成功すればおのずと私たちの事業も伸びていくというWin-Winの関係を築けています。

 

――移住者である宮城さんから見て、浜松市でスタートアップに挑戦することの魅力は何だと思いますか。

 

支援施策が豊富なこと、オフィスの家賃が安いことです。都会派も田舎派も暮らしやすい住環境と交通アクセスの良さも魅力ですね。行政と民間の距離が近く、自然豊かな地域フィールドを活用した提案もしやすいので、「実証実験のまち」としての豊かな可能性も感じます。大学生のポテンシャルも高いと思いますよ。

 

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採用活動の一環として、活動拠点である浜松市に焦点を絞った「浜松市魅力GUIDEBOOK」をリリース

自治体と企業のマッチングで地方を熱くする!

――今後の目標についてお聞かせください。

 

スタートアップした皆さんのサービスを地方展開しやすくする機会をどんどん創っていきます。また、本社を東京から地方に移して成功を収めた事例は少ないと思うので、私たちがそのロールモデルになりたいですね。雇用を増やし、大学生のインターンも巻き込んで、全国47都道府県に拠点を置いて、地方を熱くする文化を創りたいと思います。そんな弊社の取組みがひとつの起爆剤となり、浜松市で成功すれば、ほかの自治体からも声がかかるのではないかと期待しています。

 

――これからスタートアップを目指す方にメッセージをお願いします。

 

成功の反対は失敗ではなく、何もしないことです。迷っているなら、勇気をもってはじめの一歩を踏み出しましよう。営利追求も大事ですが、社会課題の解決にフォーカスすることによって、みんながワクワクする、みんなから応援されるようなサービスになると思うので、ぜひチャレンジしてください。

浜松市はいろいろな実証実験ができる場所です。信頼と評価を得るためには最初の実績をどこでつくるかが大事になります。先進的な取り組みをしている浜松市は、スタートアップに挑戦するうえで最適な場所だと思います。

 

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  • 本記事のインタビューは2023年2月に実施されたもので、記事中の内容・人物の肩書等は全てインタビュー時点のものです。

 

 

 

 

 

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