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更新日:2024年1月1日

カイテク株式会社

スピーディーに即戦力が見つかる場所を!
介護医療業界をテクノロジーの力で快適に

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2018年にカイテク株式会社を設立し、経済産業省「ジャパンヘルスケア・コンテスト2020」でアイデア部門グランプリ、総務省「令和2年度起業家万博」で総務大臣賞(優秀賞)ほか、数々の賞を受賞する代表取締役社長の武藤高史氏

 

カイテク株式会社

社名の由来は「快適×テクノロジー」。介護・医療の事業所で有資格者のエッセンシャルワーカーをワークシェアリングできるサービスを提供。業界初のクイックに働けるオンデマンド勤務を実現し、最短で当日に、数時間から人員補充できるシステムを提供している。

 

起業の原点は家族介護の経験

――まず、これまでのキャリアと起業の背景を教えてください。

 

大学院ではロボットの研究開発に従事し、テクノロジーで世の中を変えたいと考えていました。卒業後は、数社で経験を積んだのち、世界最大級の医師プラットフォーム「m3.com」などを運営する成長企業、エムスリー株式会社に入社。プロダクトマネージャーを務めキャリアを築く中でも、温め続けていた想いがありました。

それは学生時代の、祖父の家族介護経験から生まれた使命感です。認知症になった祖父の自宅介護に、家族一同で苦労を強いられました。その後、自宅での介護が難しくなり、祖父は介護保険サービスを利用して介護施設へ入所することに。その時日本の介護保険サービスの充実度、介護業界で働く方々のプロ意識やスキルの高さなどを目の当たりにすると共に、人材不足の課題を知り「いつか将来、自分が介護業界のイノベーションを起こしたい」と考えました。

 

自分のキャリアで関わり続けていたインターネットと、介護業界の人材不足問題解決への想いを掛け合わせ、介護業界で起業しようと動き出したのは2016年頃。介護事業所で介護職として働く経験もし、現場でテクノロジー活用が進んでいないことや、埋もれている人材がいることにも問題を感じました。

そこで2018年に、テクノロジーで介護医療現場の課題を解決し、快適な環境を整えることを目指してカイテク株式会社を起業。10くらいのプロダクトを走らせ検証した上で照準を合わせ、2020年に業界初の介護医療ワークシェアリングサービス「カイテク(旧 カイスケ)」をリリースしました。

 

テクノロジーと人の双方向からブラッシュアップを繰り返す

――カイテクの強みは、どんなところでしょうか。

 

カイテクは、介護事業所や病院などと、介護福祉士や理学療法士、看護師といった有資格者とを、必要な時にすぐ来てくれるよう、つなぐサービスです。介護や看護の有資格者がアプリに登録すると、人材を探す事業所側が条件に合う人を見つけて直接雇用。派遣や業務委託ではないので、費用は人材紹介の4分の1程度に抑えられます。ワーカーは、急に空いた数時間のスキマ時間に働くことが可能です。

 

そんなカイテクを運営する上での強みは、「テクノロジー」と「人」です。

1つめの「テクノロジー」とは、手続きのDX化に特化した点です。通常、雇用契約となれば、出退勤、給与振り込み先、税金関係といった契約の事務作業に時間がかかりますが、カイテクはアプリへの登録内容から手続きを完全自動化しているため、即働いていただくことを可能にしました。

2つめの「人」は、社内のカスタマーサクセスという部隊が、業務の分解を行って、入所者様や患者様の情報を共有し、現場でスムーズに動けるためのコンサルティングを行う点です。データ×アナログの観点からしっかり現場管理をすることで、高い人材の質を保ちます。

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カイテクのワーカー向け情報。アプリをダウンロードして、必要情報を登録すれば、面倒な手続き不要で、スピーディーに活躍の場が見つかる

 

――介護医療業界初の人材ワークシェアリングサービスとしての組織づくりは、どうされていますか。

 

数名の創業メンバーで開発したところから、現在は業務委託を含み、メンバーは約30名に。大きくは、テクノロジー、ビジネス、介護のプロの3ブロックから、トライ&エラーを繰り返しています。

カスタマーサクセスのフロントに立つ介護のプロは、もともとカイテクのユーザーだった介護福祉士です。弊社の想いに賛同し、途中から会社に加わってくれました。

アプリの内容を1週間に2度バージョンアップする週もあるほど、サービス提供の面だけでなく、運営の面でもスピード感をもって切磋琢磨しています。

 

半官半民に近い業種だからこそ、
浜松のコンシェルジュのような伴走支援が有効

――浜松市ファンドサポート事業の申請に至った経緯を教えてください。

 

カイテクをリリースしてすぐの2020年に浜松市実証実験サポート事業に採択いただき、経費支援や実証実験フィールドの斡旋等々のサポートをいただきました。サポートの一環として、日本総研からのコンサルティングを受けられたのも、事業のステップアップに大きく寄与しました。

ここで関係を築くことができた同社からのメルマガに浜松市ファンドサポート事業の案内があり、その認定VCに(弊社に投資いただいている)三菱UFJキャピタル株式会社、SMBCベンチャーキャピタル株式会社の名前も入っていたことから、「交付対象事業者の要件をクリアしている。これはチャンス!」とばかりに申請しました。

 

――浜松市ファンドサポート事業を魅力的に感じた点はどこでしょうか。

 

生々しい話ですが、資金繰りに奔走するスタートアップにとって、これほどまでに金額の大きい交付金は大きな魅力です。得た交付金でさらなるDX化を図り、現サービス+αの展開につながるよう、開発費用に活用させていただいています。

 

それに、介護医療業界の事業というのは、介護保険や公的医療保険など公的なサービスとの距離が近い分野です。こういった半官半民のカラーに近い事業者にとって、自治体である浜松市に認められているということが、介護や医療の事業所へのアピールポイントになっています。

もちろん、実証実験サポート事業同様、浜松市とデロイトトーマツベンチャーサポート株式会社からの伴走支援にも本当に助けられました。課題解決につながるお知り合い、またお客さまをご紹介いただけるなど、要望にきめ細かに応えてくれるコンシェルジュのような存在だと感じています。

そして、浜松ファンドサポート事業などでスタートアップが続々と集まり盛り上がりを見せ、勉強会なども行われる浜松市では、起業家同志の横のつながりができるのも大きな収穫です。ヒト、コト、カネ。つまり、採用や組織づくり、業界内の動向、資金調達などについて、未来へ共に邁進する仲間と情報交換できて、いい刺激になっています。起業家にとって多くのチャンスが集まる浜松市は、成長を目指すスタートアップにとって、本当に有益な場所です。

日本のGDPを守る使命

――カイテクによる介護医療業界のイノベーションによって、どんな未来を作りたいと考えていますか。

 

介護医療業界のワークシェアリングを、日本の当たり前にしていきたいです。働きたくても働けていないエッセンシャルワーカーの「埋没労働時間」を効率的に引き上げ、超高齢社会を乗り越える立役者になることが、われわれの掲げる大きな夢です。

というのも、これから超高齢社会がさらに進むなか、介護医療分野の労働力を有効活用できなければ、家族の介護負担が増していくことになります。そうなれば介護離職が起こり、その結果、日本のGDP低下に大きく影響を及ぼす懸念さえあるのです。

日本の高齢化率は世界でぶっちぎりの1位。世界中から「日本はこれからどうするのか」と注目されています。後世へ負の遺産を残さぬためにも、「あのときカイテクがあったから、働き盛りが当たり前に仕事でき、日本を豊かにしていけた」、そう思える未来を作っていきたいと考えています。

 

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ちなみに創業日は、2月9日の「肉の日」。「『肉食系で積極的に行動を起こす!』姿勢を忘れないよう、この日にしました(笑)」

 

  • 本記事のインタビューは2023年2月に実施されたもので、記事中の内容・人物の肩書等は全てインタビュー時点のものです。

 

 

 

 

 

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