緊急情報
ここから本文です。
更新日:2025年4月28日
本市最大規模の大原浄水場は、天竜川の表流水を主要な水源としています。天竜川の表流水は大雨や渇水等による影響を受けやすく、水道原水の水質が大きく変化することがあるため、大原浄水場での徹底した水質管理が不可欠になります。そこで、水質監視用計器の維持管理や中央監視装置による水処理工程の常時監視などに加えて、専門の技術職員が水質検査を行うことで、水質の異常を即座に検知し迅速に対応できる体制を整えています。
水処理工程における水質監視用計器の維持管理(点検)
[大原浄水場]
中央監視装置による水処理工程の常時監視
[大原浄水場]
技術職員による水質検査
[大原浄水場]
近年は、大雨等の影響で水道原水の濁度が急激に上昇することが増え、大原浄水場における水道原水の年間最大濁度や年間平均濁度も上昇傾向にあります。
図表2.2.3 大原浄水場の水道原水の濁度
(毎日実施している水質簡易測定の数値)
<2022年度の水道原水の濁度が比較的低い点について>
大原浄水場の水道原水の濁度は秋葉ダム湖の水質に影響を受け、その濁度の変化は降雨の場所や量、時間帯など複数の要因が絡み合っています。2022年度も天竜川水系で大雨が降りましたが、これらの降雨が秋葉ダム湖の水質に大きな影響を与えなかったものと考えられます。
これらの高濁度原水への対応として、2021年度に二段凝集処理設備を導入しました。通常の浄水処理では、水中の濁質を凝集・沈殿させるために凝集剤を1回注入していますが、1回の注入で処理が不十分な場合は、この二段凝集処理設備でろ過工程前に2回目の凝集剤を注入します。この二段凝集処理により、高濁度原水に対しても確実な濁質除去が可能となりました。
二段凝集処理設備の導入(2021年度)
[大原浄水場]
また、国内外で有機フッ素化合物(PFAS)への社会的関心が高まっており、PFASのうち、PFOS及びPFOAが2020年度に国の水質管理目標設定項目に位置付けられました。そのため、PFAS測定用の分析装置を導入し、水質監視の強化を図っています。
PFAS測定用分析装置(2021年度導入)
[大原浄水場]
水質管理目標設定項目の検査は義務ではありませんが、水道水の安全性を確認するため、給水栓、浄水場出口及び原水を対象として、PFOS及びPFOAの水質検査を行っており、これまでの検査結果はすべて暫定目標値(50ng/L)の10分の1未満(5ng/L未満)になっています。
図表2.2.4 水質検査結果(PFOS及びPFOA)[単位:ng/L]
※1 2020年度は業務委託により検査を実施
※2 原水には暫定目標値の設定なし
国は2026年4月からPFOS及びPFOAの水道水質基準への引き上げを検討しており、今後の分析項目数の増加を見据えた設備投資や専門人材の確保などにより、さらなる水質管理の強化を図っていく必要があります。
水質検査1回で使用する容器
(市内全域の水道水等について、大原浄水場で検査を実施)
適正な水道水質を維持するため、2021年度までにすべての浄水場(64施設)で水安全計画を策定しています。この計画では、水源から給水栓に至る各段階でのリスク分析や管理措置、異常時の関係部局等との連絡体制などを示しています。
2022年度は、大原浄水場の水源である天竜川の表流水でかび臭物質が想定以上の高濃度で発生し、結果として10月に4つの検査地点で水道水のかび臭物質が水質基準を超過し、水道水の水質基準適合率100%を達成することができませんでした。[水質基準適合数896/全検査数900(75地点×年12回)]
図表2.2.5 水道水の水質基準適合率
※かび臭物質は人の健康に影響がない項目のため、市民に向けた情報発信などを行い、給水を継続しました。
2022年度に発生したかび臭物質への対応として、粉末活性炭の注入が効果的な対策となりました。この処理方法により、水道水のかび臭物質の濃度が低減され、水道水の臭気を抑制することができました。この経験を活かし、現在は、かび臭物質の増加傾向が見られた時点で、速やかに粉末活性炭を注入するなどの新たな内部基準を設定しています。
かび臭物質等を除去するための粉末活性炭注入設備
(2020年度導入)[取水施設(三方原用水第6分水口)]
このような濁度の上昇やPFAS、かび臭物質の発生といった新たな水質リスクを踏まえて、今後は、すべての浄水場で水安全計画を見直し、常に適正な水道水質を維持できるよう水質管理の強化を図っていく必要があります。
pH調整用硫酸注入設備の導入に向けた実証実験
(2024年度)[大原浄水場]
次へ → (2)問い合わせ対応の強化
経営戦略(浜松市上下水道基本計画)TOPへ戻る