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移住者・住民VOICE
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更新日:2024年8月20日
以前、アメリカの西海岸で暮らしていた時期があり、造園について学んでいました。そこでパーマカルチャーという概念を知りました。パーマカルチャーとは簡単に言うと、人と自然がうまく共存していくための、暮らしのデザインのようなもので、そこから庭づくりに興味を持つようになりました。
そして浜松で実施している「フォレストガーデンプロジェクト」に加わることになったのがきっかけです。
この場所は、いわゆる耕作放棄地だった畑を土から改良し、果樹を植えおよそ10年かけて育てた森です。地域の人が親しみやすいように、日本語では「食べられる森」と言っています。人間だけが「食べられる森」ではなく、虫が蜜をなめたり、その虫を食べる鳥たちが集まって来たりする「食べられる森」で、この森を育てながら、興味がある人に「食べられる森」を知ってもらったり、一緒に体験をしてもらったりしています。
果樹などの食べられる植物を主とした、一般の家の庭作りのほか、小学校で講義をしたり、近くの協働センターで講座を開いたりすることもあります。土壌改良のための竹炭作りなどは、この森で行いました。
授業や講座を通じて親しくなった小学生が、学校から帰るとランドセルを家に置いて、遊びに来てくれることもありますよ。
植物をモチーフにしたイラストを描くのが好きで、イラストレーターの仕事もしています。この仕事は、遠隔でもできるので、移住を決める後押しにもなりました。
移住して間もなくコロナ禍となってしまったため、大勢の人を集めての体験会や講座などは行えませんでした。ただ、ここに来ていると、周りの畑で作業しているたくさんの人たちが声を掛けてくれて、自然と地域の人たちとの交流が始まりました。
自治会の活動にも参加しており、昨年からは浜松まつりにも参加させてもらっています。私が住んでいる町では、凧を業者さんに作ってもらうのではなく、竹林から竹を切り出して、凧の骨組みとなる竹ひごを作るところから始めます。その作業が楽しくて、凧作りから手伝わせてもらいました。地域の伝統ある凧作りに、数年前に移住してきたばかりの私を仲間に加えていただき、とてもうれしかったです。
完成した凧が、どうやって凧揚げ会場に運ばれるのかも興味深く、まつりの当日も早朝の凧の運搬作業から参加しました。そうしているうちに、地域の人との輪がどんどん広がっていきました。今年は凧揚げの同好会にも入らせてもらいました。
この「食べられる森」を全国に千カ所作りたいという夢があります。
ベランダなどの小さなスペースでも、果樹や野菜を育てれば、そこに虫や鳥がやってきたり、収穫したり食べたりすることで、いろいろな気付きや学びがあることを、たくさんの人に知ってほしいと思います。まずは、近くの場所から「食べられる森」を広げていきたいですね。