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株式会社ムジカル

「音楽文化プラットフォーム実証プロジェクト」

音楽文化プラットフォームの提供で都市の付加価値を高める

ムジカル1 

1981年から「音楽のまち」づくりに取り組んできた浜松市。ヤマハやカワイ、ローランドといった楽器関連産業が集積し、国際的な音楽コンクールも開催されてきました。2014年には、アジアで初めてとなるユネスコ創造都市ネットワークの音楽分野での加盟が認定されています。

そんな浜松市を舞台に「音楽の地産地消」への可能性を探るべく、実証実験を行ったのが株式会社ムジカル(以下、ムジカル)です。演奏家マッチングプラットフォームの「Musicalu(ムジカル)」を展開し、市内の演奏家と個人をつなぐ取り組みを行いました。代表取締役の大山 幹也氏(以下、大山氏)にお話を伺います。

「音楽の地産地消」は実現できるか?経済と文化の活性化をめざして

スモールムジカル

出典:ムジカルYouTubeチャンネル「【Musicalu】動画とチャットで選ぶ新しい出張演奏サービス PV」より

 

ーームジカルでは、演奏家と個人をマッチングするサービスを展開されていますね。

大山氏:はい、2016年に創業し、演奏家を呼びたい個人や団体と演奏家をつなぐプラットフォームを運営しています。メインの事業は「LiveDeli(ライブデリ)」。LiveDeliの事務局が、お客さまのご要望にあわせて演奏家を紹介するコンシェルジュサービスです。

また、今回の実証実験で扱った「Musicalu」は、2019年末にリリースしたばかりの新しいサービスです。ユーザーはオンライン上で演奏家と直接やり取りをして、出張演奏を依頼できます。ユーザーはMusicalu上にアップロードされた動画や写真、演奏家プロフィールを見ることで好みの演奏家を見つけ、チャットで問い合わせる仕様になっています。

主なジャンルは、クラシックやジャズ、オペラなど。現在、LiveDeliとMusicaluをあわせて300組以上の演奏家が登録しています。ホームパーティや懇親会に気軽に演奏家を呼んでもらうことで、生演奏や楽器を“肌で楽しむ”機会を提供しています。

ーー演奏家、とくにクラッシックの出張演奏を気軽に呼べるというのは、画期的なサービスですね。どのようなビジョンがあるのですか?

大山氏:ムジカルの最終ゴールは、「音楽の地産地消」です。実は、私は浜松市の出身です。地元には、素晴らしい演奏家さんがたくさんいるのを知っています。ただ、みなさんが地元で「演奏家」を続けられるだけの仕事量はありません。そこで、生演奏に対する個人のニーズを掘り起こし、需要とつなげたいと考えました。

Musicaluをきっかけに、演奏家と個人が直接つながります。そのことが、演奏家のコンサートに出向いて新しい音楽体験を得たり、コンサート会場となる地元の施設や飲食店にはじめて足を運んだり、音楽コンテンツを購入したりすることに、つながるかもしれません。そうした音楽消費の好循環を地元で起こせるようになるのが理想ですね。

ーーそうした背景があって、Musicaluを音楽のまち浜松で展開してみたらどうなるか、と考えたのですね。

大山氏:まさに今回の実証実験の目的は、Musicaluへのニーズ調査でした。個人と演奏家とのオンラインマッチングサービスが、浜松でも受け入れられるか見たかったのです。Musicaluを通じて、どのような音楽体験を提供できるかも確認したいと思いました。

Musicaluへのニーズ調査とは別に、実証実験の目的は実はもう1つありました。それは、クラシック音楽以外のアーティストとのマッチングをテストするというものです。

ーークラシック音楽以外のアーティストと個人のマッチングですか。

大山氏:もともとMusicaluでは、あらゆるライブパフォーマンスを取り扱いたいと考えていたので。クラシック以外にも、J-POPや日本の伝統音楽、ダンスに漫才、アートパフォーマンスまで。あらゆる文化の「地産地消」について可能性を探りたいと考えており、そのためのテストが2つ目の目的でした。

ただ、新型コロナウイルスの影響で苦戦してしまい......Musicaluのニーズ調査だけは何とか実施したいと、1つ目の目的に集中することにしました。

ーー浜松でも音楽イベントが軒並み中止になってしまった時期がありました。実証実験を進めるにあたって大きな苦労があったと想像します。

大山氏:自宅などに演奏家を呼ぶサービスですので、実証実験を大々的に実施するのは難しかったですね。それでも、浜松市さんからの支援で何とか実行にこぎつけました。

ーー浜松市からは、どのような支援がありましたか?

大山氏:実証実験を進めやすいように、ネットワークや広報の面で支援していただきました。まず、公益財団法人浜松市文化振興財団(以下、文化振興財団)につないでもらいました。文化振興財団は、浜松市内における芸術文化の提供や創造、交流を支援している団体です。

学校や病院などへ出張演奏を紹介していらっしゃるので、弊社の事業が競合になるかもしれない懸念がありました。実証実験に採択され、浜松市へ最初に相談したのが「文化振興財団さんと話をさせていただきたい」ということでした。

浜松市の職員さんは、文化振興財団にすぐさまアプローチしてくれました。そのお陰で、実証実験に採択された月末には文化振興財団へのごあいさつが叶ったのです。結果、競合性は限りなく低いことがわかり、実証実験についても背中を押していただきました。

ほかにも浜松市さんには、地域の広報誌といっしょにムジカルのチラシを配布してもらいました。関係各課をまたぐ施策でも、「こうしたい」と言ったことに対しては「いいですね、やりましょう」と即座に対応いただけた印象があります。市役所内の連携がよく、スタートアップへの理解が深いお陰だと思います。

音楽を肌で楽しむ体験には、実利だけでなく気持ちの面での付加価値も

ムジカル3

ーー実際に実証実験を行ってみて、結果はいかがでしたか?

大山氏:ユーザーのリアルな声・ニーズを聞くことができました。はじめて出張演奏を頼んでみた方はもちろん、クラシックに精通し出張演奏をよく利用している方まで利用してもらえたのはありがたかったです。

中でも印象的だったのは、Musicaluをきっかけに音楽演奏イベントの開催をトライアルされたカフェさまでした。演奏家が入る分だけ席数が圧迫されますが、それでも収支が成り立つメニューを開発しなければなりません。オーナーさまとよく話しあった結果、3,000~4,000円のメニューを開発し提供することになりました。カフェとしては高めな価格帯だと思いますが、それでもチケット販売から数日で売り切れになったそうです。

ーー生演奏がカフェに付加価値をもたらしたのですね。

大山氏:そのほかにも、生演奏を新規のお客さまを呼び込むきっかけにしたい。常連のお客さまへの恩返しにもなるなど、生演奏の意義を感じていただけました。

ーーすばらしい成果ですね。今後はどのように発展していきますか?

大山氏:浜松以外の地域でも、Musicaluの可能性を試していきたいです。浜松はクラシック音楽を身近に感じやすい都市ですが、別のエリアではどのような反応が得られるか興味深いです。もしクラシックが響かなくとも、別のライブパフォーマンスが地域のニーズと合致する場合もあるかもしれません。さまざまなアイデアを投げかけて、現地にあった文化の楽しみ方を地域のみなさんと一緒に作っていけたらと思います。

お問い合わせ

浜松市役所産業部スタートアップ推進課

〒430?8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2825

ファクス番号:053-457-2283

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