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カイテク株式会社

介護ワークシェアリングサービスを地方都市で初展開、新たな働き方で人材不足の解消を

 

理学療法士としてキャリアをスタートした小川氏は、総合病院 聖隷三方原病院(浜松市北区)でも4年間勤務。たしかな経験をもとに実証実験を統括。

 

超高齢化社会への突入を目前にして、慢性的な人材不足が危惧される介護・福祉業界。政府は、2040年度には約69万人の介護人材が新たに必要となると公表しました(※)。

 

そんな中、テクノロジーの活用で介護業界の課題解決を目指すカイテク株式会社が、浜松市実証実験サポート事業(以下、本事業)へ参画。同社の手がける介護ワークシェアリングサービス「カイスケ」を浜松市内で運用し、時間や日単位で働けるワーカーの発掘および雇用機会の創出に取り組みました。営業/CS責任者の小川 貴也氏(以下、小川氏)にお話を伺います。

参考:2021年厚生労働省の発表 第8期介護保険事業計画に基づく介護職員の必要数について

介護保険の要件をクリアし介護福祉士のスポット勤務を可能に

――まずは、本事業で導入した「カイスケ」の内容を教えていただけますか?

小川氏:カイスケは、1日・数時間といった介護現場のスポット勤務を可能とするワークシェアリングプラットフォームです。これまで難しかった勤怠管理や給与支払いなどの雇用契約、および労務管理上の手続きを整備・オンライン化することで、スポット勤務のマッチングを可能にしました。

勤務完了後の決済もシンプル。勤務が完了すると、交通費の800円を含めた時給・日給がオンライン決済されて、自動でワーカーさまにお支払いされます。カイスケの導入費用および固定費は0円とし、給与の30%相当額をシステム利用料としてお支払いいただくスキームを取っています。

ワーカーは介護福祉士の有資格者のみ登録が可能。求人掲載にあたってはカイテクのアシストが得られ、ミスマッチングを抑えるサービス設計となっている。 出典:カイテク株式会社

 

――急な欠員が発生したとき、スポットの求人を掲載しやすい仕組みになっていますね。

小川氏:介護の仕事はAIやロボットに代替できないことも多く、業界の人材不足は年々深刻化しています。そんな中、働く意欲はあるものの現職には就いていない潜在的な介護人材は、介護福祉士の有資格者のうち約20%、12万人以上いるといわれています(※)。潜在的な介護ワーカーさまが、すきま時間を活用して仕事に応募でき、介護人材の母数を増やすことが必要でした。

参考:2020年度「社会福祉士・介護福祉士・精神保険福祉士の就労状況調査(速報版)」

 

――なるほど。そんな中、貴社が本事業で解決を目指したのは、どのような社会課題でしょうか?

小川氏:本事業でとくに解決を目指したのは、コロナ禍における突発的な介護人材不足です。新型コロナウイルスの陽性患者と職員が濃厚接触してしまうなどで、介護業界では突発的なワーカー不足が発生していたためです。

浜松市でも2025年までに1,997人の介護ワーカーが不足すると試算されており、コロナ禍に関わらず市全体の人材不足が進んでいる状況でもあります。カイスケはこれまで都市圏を中心に普及してきましたが、地方都市でも人材不足の解消に貢献できるかを確かめたく、本事業に応募しました。

ワーカー獲得に苦戦、意識変容を促しながら人材をシェアしあえる世界観の構築を

――カイスケをはじめて地方都市に展開された今回、実証実験はどのように進めましたか?

出典:カイテク株式会社

 

小川氏:サービスのご契約先となる介護福祉施設の運営法人さまと、潜在ワーカーの両方にカイスケのご利用を呼びかけました。法人のニーズは都市圏と変わらず高いことを確認できた一方、ユーザーのニーズを喚起するためにやれることはまだ多いと感じました。

 

――どのような理由でそう思われたのですか?

小川氏:ユーザーインタビューをさせていただくと、「他事業所におけるスポット勤務」という流動性の高い働き方が、コロナ禍ではむずかしいという現実がありました。勤務先との取り決めもあり、他者との接触機会を極力減らしているというお声がとても多かったのです。あるいは、副業や兼業の働き方が浜松エリアではまだ目新しく、浸透していなかったのかもしれません。

そこで今後は、地域に合わせた広報手段を開拓しながら、ワーカーのニーズを高める施策を練っていきたいと思います。

 

――コロナ禍で介護業界のテーマに取り組む中では、予定変更も多かったのではないでしょうか?

小川氏:そうですね。コロナ禍が長引くとカイスケの利用を停止する法人さまもありましたし、予定通りに計画を進められない場面もありました。そのときも、週に1回ミーティングを設け、「行政としてここの部分はこうした働きかけができますが、やってみますか?」と打ち手を提案してくださったのが浜松市でした。

仲間のように伴走してくださる――これは、これまでにさまざまなスタートアップと関わり、事業を進めてきた浜松市ならではのサポートではないでしょうか。1年間という長いスパンで取り組む本事業において、もっともありがたいポイントでした。

 

――貴社が実証実験をスムーズに進められるよう、ほかに浜松市からどのようなサポートがありましたか?

小川氏:とくに広報面の支援をよくいただきました。たとえば、浜松市から法人さまにカイスケの案内メールを配信いただいたり、法人さま向けのセミナーやキャンペーンも浜松市さまの協力をいただきながら実施しました。実証実験をスムーズに進められたのは、浜松市さまのお力添えによるところも大きいと感じています。

 

――実証実験の様子がよくわかりました。それでは最後に、今後の展望をお聞かせください。

小川氏:弊社ではカイスケの普及を通じて、信頼のおける事業所同士で人材をシェアできる「コネクテッドワーカー構想」の実現を目指しています。本事業の終了後に「コネクテッドワーカー構想」の研究開発プロジェクトを立ち上げ、令和4年度の浜松市ファンドサポート事業にも採択いただきました。

出典:カイテク株式会社

 

本事業での成果があったからこそ、ファンドサポートの応募にもつながりました。引き続き浜松市のご協力を得ながらカイスケの土壌を作り、浜松エリアの介護人材不足の解決に寄与できるようサービスを成長させていきたいと思います。

お問い合わせ

浜松市役所産業部スタートアップ推進課

〒430?8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2825

ファクス番号:053-457-2283

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