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AssistMotion株式会社

歩行アシストロボット「curara(R)(クララ)」を活用し高齢者の外出利便性を向上

アシストモーショントップ 

加齢や病気、事故などによって歩行動作に不自由を抱えた人も、自分の足で好きな場所に出かけられることーー。このことは、身体のみならず心の健康にとっても重要な要素になります。

 

信州大学発ベンチャーのAssistMotion株式会社(読み方:アシストモーション)は、衣服感覚で着用できる歩行アシストロボット「curara(R)(クララ)」を開発。生活動作をサポートするだけでなく、ウェルネスツーリズムの観点からも、人々のウェルビーイングに寄与するロボットの実現を目指してきました。

 

今回、30万平方メートル(東京ドーム約6.4個分)の面積を有する「はままつフラワーパーク」にて、4日間におよぶ「curara(R)」の試用実験を実施。観光や趣味を楽しく過ごすための歩行アシストロボットの実現に向け、大きく前進しました。

 

同社の取り組みについて、代表取締役の橋本稔氏(以下、橋本氏)に伺います。

昔見た景色をもう一度。高齢者のウェルネスツーリズムに応える「着るロボット」を開発

アシストモーション2

curara(R)の装着イメージ 引用:AssistMotion株式会社HPより

 

ーーまず、貴社の事業概要を教えてください。

 

橋本氏:私たちは信州大学発ベンチャーとして、衣服感覚で「着る歩行アシストロボット」の実用化に取り組んでいます。

 

実は、モーター駆動を利用した歩行アシストロボットの研究ともう1つ、私たちは人工筋肉の研究も進めてきました。長さを自由にコントロールできるテープ状の筋繊維をズボンの布地に埋め込むことで、テープの伸縮によりズボンも引っ張られて歩行がアシストされる、まるで衣服ような機能性ウェアの実用化を目指しています。

 

 

 

ーー「着る」歩行アシストロボットの第一弾として商品化を進めている、「curara(R)」の詳細についても教えていただけますか?

 

橋本:「curara(R)」は、2021年12月に弊社が発表し、おもにリハビリ歩行訓練用として使用されています。その後、歩行動作に不自由を抱える方のウォーキング支援ロボットとして改良を重ねてきました。

 

股関節や膝関節といった関節部分にモーターの動力を伝えることで、人の歩行動作を直接的にサポートします。関節部分だけにアプローチする構造なので、軽くて装着もかんたん、使用中の負担も少ないのが特徴です。

アシストモーション3 製品情引用:製品情報-AssistMotion株式会社HPより

 

こうしたロボット構造を私たちは「『非』外骨格構造」と呼び、従来のロボットに用いられてきた「外骨格構造」とは一線を画しています注1※。

 

 

注1※外骨格構造では、関節と関節を骨がつなぐ人の骨格そのものの造りをロボットにも持たせる。足の外側に同じような骨格構造を取りつけるため、重たく拘束感のあるのが課題だった。

 

 

ーー斬新な発想だと思います。

 

橋本:「着る」ロボットを実現するなら、外骨格型構造は採用できないと考えた結果です。「非外骨格構造」を採れば、構造も容易に変更できます。たとえば左右の片側のみ装着できますし、リハビリの成果によってモーターが不要となれば、1カ所単位で外すことが可能です。

 

ーー医療用で十分に重宝されそうなサービスだと感じますが、そこからさらに「curara(R)」をレジャー用に改良したきっかけは何ですか?

 

橋本:試作を重ねる中で、高齢になった方から「夫婦で出かけたあの観光地にもう一度行きたい」といったお声をいただくようになったことです。私たちが拠点を置く長野県には、八方尾根や上高地といった風光明媚な観光地がたくさんあります。

 

実際に高齢となったご夫婦が、車いすを押しながら散策している様子もよく目にします。ご自身の足で歩けることによって、いくつになっても観光を楽しめる社会を実現したいと考えました。

実際のフィールドでなければ気付けない課題、「着るロボット」の実現に向けた“あと一歩”を詰める

ーーそれでは、今回の実証実験で目指したゴールはどのようなものですか?

 

橋本:レジャー用途での実用化に向け、60歳以上の方を対象に「curara(R)」のモニター調査を行うことでした。より具体的には、足の不自由な方でもテーマパークを散策するのに有用かどうか、「curara(R)」を装着しながら楽しく過ごせるかどうか、といった結果を確認したいと考えました。

 

坂や階段があったり、歩く距離が長かったり、そういった環境を求めて浜松市に相談したところ、フィールドには、はままつフラワーパークをご紹介いただきました。

 

アシストモーション4

ーーどのように実証実験を実施しましたか?

 

橋本:2022年8月5日から8日にかけて計4日間、計47名の方に「curara(R)」を試用してもらいました。年齢の内訳は、60歳以上が43パーセントであり、ターゲットとした年齢層がボリュームゾーンに。そのほか、50代が19パーセント、40代と30代がそれぞれ13パーセント。若年層も20代が8パーセント、10代が4パーセントを占めています。

 

利用者みなさんのアンケート結果も上々でした。「curara(R)」のアシストを感じてよかった」というご意見が多く、とくに上り坂を登るときに息が上がらず楽だったと好評でした。

 

ーー実用化を見据える中で見つかった課題もあったでしょうか。

 

橋本:はい、具体的な課題がいくつか見つかりました。たとえば、腰まわりのモーターが出っ張ってしまうので、歩行時に手が当たりやすいという問題が見つかっています。

 

また、夏場に実証実験を行ったことで分かった課題もありました。たとえば、ロボットを取り付けるベルトの部分は汗をかきやすく、不快感を得やすいこと。スマホが直射日光を受けて発熱したり、動作をストップしたりすることもありました。

 

スマホアプリで動作のON/OFFやロボット制御を行うので、スマホ障害にどう向き合うかは実用化における重要課題ですね。

 

アシストモーション5

 

ーー具体的な結果が得られ、総じて順調だった印象を受けますが、取り組み中に苦労したこともありましたか?

 

橋本:実は、実証実験時点では、道路状況や歩行者の動作に合わせて「curara(R)」の補助モードを、弊社スタッフが手動で変更していました。ロボット自体が装着者の歩行状況を認識して、アプリがシームレスに補助モードを変更してくれるのが理想ですね。

 

そうした課題も改めて認識でき、その後の開発が進みました。現在は、「curara(R)」自身が状況に合わせて歩行をアシストする機能を搭載しています。装着者の歩行を記録・評価し、それに合ったトレーニングをその場で提供できるようにもなりました。

 

ーーそのほか浜松市からのサポートで助かったことはありましたか?

 

橋本:フィールドを紹介いただいたことにはじまり、市の担当者さまにはご家族総出で実証実験に参加いただくなど、大いにご協力いただき助かりました。そうした浜松市の熱意を汲んでか、はままつフラワーパークの方も非常に協力的だった印象です。たとえば、私たちの取り組みを広報いただいて、モニターの獲得に繋げてくださいました。

 

ーーそれでは、今後の展望を教えてください。

 

橋本:「curara(R)」のマーケットインを目指し、先ほどお話したような技術的な課題を解決していくとともに「curara(R)」のコストダウンも図ります。2024年度には「浜名湖花博」が開催されると聞きました。次回はそうしたイベントで「curara(R)」を有償で貸し出すなどして、より実用的なシーンにもとづく実証実験を行えたらと思っています。

 

 

お問い合わせ

浜松市役所産業部スタートアップ推進課

〒430?8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2825

ファクス番号:053-457-2283

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