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更新日:2024年1月1日

浜松市ユニバーサル農業研究会インタビュー「ひなり・中島昌博」

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株式会社ひなり 中島昌博

プロフィール

 1992年CRC総合研究所(現:伊藤忠テクノソリューションズ株式会社)入社。出光興産株式会社のPOSシステム営業として主に新潟県・長野県の販売店店主への出光オンラインPOSシステム導入を担当。2011年4月からひなりに出向し、東京事業所と浜松事業所を管理。2016年4月から浜松事業所を担当する。(平成28年11月)

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(PDF版:2,531KB)

 

特例子会社ひなりのはじまり

 株式会社ひなりは、平成22年に設立し今年で6年目の特例子会社です。本社は東京にあり、親会社はIT系の伊藤忠テクノソリューションズ(株)という会社になります。特例子会社というと聞きなれない方も多いと思いますが、日本では従業員50人以上を雇用する民間企業は障がい者を雇用する義務が法律で課せられていまして、現在の法定雇用率は2.0%(5年毎に見直し)となっています。これを満たすため、事業主が障がい者の雇用に特別の配慮をして設立した子会社が特例子会社と呼ばれます。

 雇用率を達成するために、本社では親会社の清掃やマッサージなどの業務を請け負っていましたが将来的なビジョンとして障がい者スタッフの新たな職域を開拓していかなければいけないという課題がありました。そこで、色々な調査を経て農業分野に取り組んでいこうと浜松事業所を開設しました。この地域の障がい者をスタッフとして雇用し、市内の農家さんから収穫や定植、除草作業などを請け負うとともに、こうした連携農家さんの生産物や加工品を親会社とグループ会社に向けて販売する事業も行っています。

 事業所の開設にあたり、この浜松を選んだ理由のひとつは、周年での農作業が見込めるためです。私たちはスタッフを正社員として雇用しますので、常に請け負わせていただく仕事がなければいけません。他産地では季節的な作物が一般的である中、浜松では周年出荷している施設園芸がさかんですし、市内全域で多種の農作物が作られているので、露地作物であっても年間を通して何かしらお受けできる仕事があります。地域の農業者のみなさんや、福祉関係の方々との連携のもと、農作業の委託業務を行っているのがひなりのモデルです。

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商品価値を落とさないよう正確な作業を求められることが、適度な緊張感を生む。

 

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中央区飯田町にある浜松事務所に、毎朝スタッフがあつまる。

 

企業として農作業委託を行う強み

 現在、浜松近郊の8軒の農家さんと委託契約を結んでおり、3~4チームに分かれて毎日農作業に伺っています。従業員数は26名で、障がい者スタッフが21名、そして障がい者を支援・管理する立場のサポートマネージャーと呼んでいる職員が5名おります。障がい者スタッフは、サポートマネージャーと一緒に農家さんを伺い、農作業をさせていただきます。

 農家さんにとっては収穫時期が特に人手の欲しい時期になります。ひなりではトマト、アスパラ、ミカン、ブルーベリーなどの収穫作業をさせていただいてますが、単に採ればいいというものではなく、農家さんの商品になりますので、一定以上の正確な作業が求められます。ですから、スタッフの技術の育成も必要ですし、効率的な業務の管理も必要となります。また、仮に食品事故があっては農家さんに大変な迷惑がかかりますので衛生管理も非常に大切です。その他、労務災害などに対する安全管理なども企業としての責務です。こうした中、企業として農家さんからのオーダーにしっかりと応えていくことで、信頼関係を築いていくことができます。

 農家さんはどこも労働力の不足が課題となっています。一方で、人を雇用することはなかなかハードルが高い。例えば、賃金を払う以外にも労務管理などが必要になりますし、労働力の需要が一定の時期に偏っていることが多いため、必要な時に必要な業務をお願いできるという点が、非常に助かっていると聞いています。実際、連携農家さんではひなりの作業を見込んで規模拡大を進めているところも多く、それに伴ってひなりの人員増も必要になってきているのが現状です。農福連携とは、農業と福祉の連携です。障がいのある方の働きたいという思いと、労働力を必要としている農業。そこにわたしたち企業が入ることでうまく補完ができ、三者の良い連携が生まれているのかなと感じています。

 

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ブロッコリーの除草とトマトの収穫作業を行う障がい者スタッフとサポートマネージャー

 

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依頼のあった作業に合わせて1チーム3~5人編成で作業現場に向かう。チームとしての一体感も大切。

 

大切な役割を担うサポートマネージャー

 農家さんからの率直な感想として良くお聞きするのが、障がいのある方たちがこんなによく仕事がこなせると思っていなかったというお話です。もちろん、障がいの特性もありますので業務のスピードなどはそれぞれですが、みんな一生懸命取り組みますし作業によっては私よりも3倍くらい早くこなすスタッフもいます。

 新しい農作業を請けた場合は、私たちサポートマネージャーが農家さんから作業の手順を細かく聞き、画像を載せた「作業手順書」というものを作ってスタッフに指示をします。作業を見える化することで安心してみんな同じ作業をすることができますし、できないスタッフがいる場合には、技術のアドバイスをしたり、やりやすくなる道具を作ったりと工夫をします。サポートマネージャーの役目は、彼らができないことをできるように支援してあげることです。一緒に作業をしながら気づいたことをケアしてあげることが大切で、農家さんにとっても、細かなオーダーを伝えられるサポートマネージャーの存在がとても大きいのです。

 スタッフたちは本当によく働いてくれています。農作業に自信がついてきていますし、各々が責任感やモチベーションを持って取り組んでくれています。社内の雰囲気もとても良いので和気あいあいとしたコミュニケーションもとれていていますし、業務に対する提案なども積極的に出してくれるので、働きやすい環境が色々と形になっています。もちろん私の立場としては人材管理の視点も持っていないといけないので、厳しいことを言わなければならない時もありますが、家族のような気持ちでいつも仕事をさせてもらっています。

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親会社がIT企業である強みを活かし、請け負った業務は徹底的なデータ管理を行う。また、障がい者スタッフの体調管理についても、サポートマネージャー同士が連携してデータに落とし込み最適なケアを行う。

 

企業ならではの役目をこれからも

 今後も、企業に課せられる法定雇用率は上がっていくことがはっきりしていますので、親会社にとって特例子会社の更なる職域の開拓が必要です。こうした中で、私たちは農業分野での雇用を増やしていきたいと思っています。企業としては、社会貢献(CSR)のひとつとして行っているもので、そうした意味でもこの地域の福祉と農業をつなぐ今の良い連携の役目を果たしていけるといいですね。

 農家さんから、ひなりを頼りにして農業経営をしているという声は多いので、今以上にこうした声に応えていきたい気持ちはありますし、現場に携わる私たちとしてはなにより、ひなりの障がい者スタッフが農家さんに頼りにされ、はつらつと働いていることがとても嬉しいことです。幸いここは離職率が低く、馴染みのみんなが働いてくれています。農業が魅力なのか、ひなりという会社が魅力なのか、いずれにしてもひなりに入って良かったと、そう感じてもらえる会社でありたいというのが私たちの想いです。

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作業が終わり事務所に戻ったスタッフたちは業務日誌をつけるのが日課となっている

 

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浜松市役所産業部農業水産課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2333

ファクス番号:050-3606-6171

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