更新日：2020年8月28日

第1章 土地の利用に関する基本構想1

1　土地利用の基本方針

浜松市は、東京・大阪の2大都市圏のほぼ中間に位置し、「三遠南信地域230万流域都市圏」の中心都市であるとともに、1,558.04平方キロメートルという大きな市域面積を持ち、東西52km、南北73kmにわたる広がりを持っています。
その土地は、公有・私有を問わず、現在及び将来にわたって市民共通の限られた資源であり、生活や産業等の諸活動の基盤として非常に重要なものです。
この土地の利用にあたっては、公共の福祉を優先させるとともに、自然環境・歴史・文化・経済等の地域特性に配慮しながら、安全で快適な生活環境の確保と市域全体の魅力ある環境づくりが図られるよう、次のことに重点をおいて総合的かつ計画的に進めるものとします。

(1)拠点ネットワーク型都市構造の形成を導く土地利用

• 少子高齢化・人口減少社会の到来、環境との共生の要請等、社会環境の変化の中で、これまでの過度の自動車依存を前提とした市街地の拡散的拡大から、その非効率化や行政コスト増大を防ぎ、都市的土地利用はできる限り集約する方向への転換を図ります。
• 市域の中に複数の拠点を明確に位置づけ、住宅や商工業等、都市型の土地利用は拠点の中でしっかりと確保・収容し、拠点と拠点の間やその周辺は農業地域・森林地域として将来に持続可能な環境の維持を図ります。
• 広域都市浜松における拠点は、都心をなす中心市街地と副都心（浜北）のほか、旧市町村の中心部等に配置し、公共交通を基本とした有機的な連携により、低炭素都市形成や効率的な都市経営が可能となる集約型の都市構造の実現に繋げます。これによって、工業都市・農業都市・環境都市の特性が矛盾なく成立し、共存する効率良い都市活動の展開を導きます。
• 住宅や商工業等の土地利用は原則として市街化区域内とするとともに、公共交通機関を最大限有効に活用し、また、農用地や森林を侵食する新たな開発は抑制することで都市的土地利用の拡散を防止します。
• 中心市街地や副都心では、多様な都市機能の集積により都市の魅力を創出する拠点としての機能を高めていきます。

(2)安全で安心な市民生活を保障する土地利用

• 市民の生命、身体及び財産を保護し、生活の安全を確保するため、減災の考え方に基づいた地震・風水害等の防災対策と連動した土地利用を推進します。
• 東海地震等による地震災害や風水害・土砂災害等に備え、農用地・森林・河川・海岸等の保全や機能の維持・向上を図ります。特に、地盤が軟弱な地域や液状化の発生の可能性が高い地域及び浸水の恐れがある地域については、災害防止に十分配慮します。
• 密集した市街地については、建築物の耐震化を促進するとともに、緊急輸送路や避難路となる道路・橋梁の耐震性向上、オープンスペースや緑地等の避難地の確保等、災害に強いまちづくりを進め、集約された中にもゆとりを創出します。

(3)産業経済活力の健全な発展を導く土地利用

• 総農家数が全国1位である農業都市として、また、我が国有数のものづくり産業の集積都市として、今後も産業基盤の整備・充実を図るため、産業経済活力の健全な発展を導く土地利用を推進します。
• 食料自給率向上等に貢献する農用地は、耕作放棄地の発生防止と解消に努め、農業生産基盤の整備等を推進し、優良農用地の集団的確保を図ります。
• 森林は、林業の持続的かつ健全な発展に配慮し、適正な維持管理による保全と基盤整備を図ります。
• 港湾等については、水産業の振興のため、適切な基盤整備を図ります。
• 工業用地は、住宅機能との調和に配慮しながら工業・流通活動用地の集団的確保を図り、着実な立地基盤づくりを推進します。
• 商業・業務地は、高次な都心商業・業務地の形成を図るとともに、原則として市街化区域内に立地を誘導し、商業・業務機能の集約的配置を図ります。

(4)美しい環境や秩序を未来に伝える土地利用

• 広大な森林や浜名湖等の自然資源を抱える環境都市として、その美しい環境を守り未来に伝える土地利用を推進します。特に、市域の約3分の2を占める森林は、適切な育成管理とその環境資源・経済資源・交流資源等としての有効活用を図ります。
• 市街地内緑化や自動車利用を抑制する都市機能配置により環境負荷の低減を図るとともに、生物多様性・生態系の維持に配慮した自然との共生により、都市の持続可能な発展を導く土地利用を推進します。
• 住宅や商工業用地と農用地との無秩序な混在、相互干渉による混乱を防止するとともに、文化財や歴史文化環境等の地域資源を保護・活用し、自然を背景とした良好な都市景観の形成を推進します。

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