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更新日:2022年3月31日

伝統の味を守る人たち

じゃがたを売る住民たち

昔っからある水窪じゃがた。いっぺん食べれば良さがわかる。(PDF:322KB)

「水窪じゃがたは品がいい小ぶりなやつで、ここらじゃ昔っからよく食べてた」
金色の札が付けられたビニール袋を手に、守屋銀治(もりやぎんじ)さんはにこりと笑って教えてくれた。
袋の中には、普段スーパーで見かけるものより小ぶりなジャガイモが。

”水窪じゃがた”の品評会

今日はこの「水窪じゃがた」の品評会。会場となった水窪観光案内所には、守屋さんが会長を務める「水窪野菜を育てる会」の会員が集まり、水窪町内外から出品されたじゃがたを品定めしている。
時に談笑しながら、時にじゃがたを手にとって。形や大きさはもちろん、じゃがたの”肌ツヤ”までも、一つ一つ丁寧に審査していく。
「じゃがたの表面がかさぶたみたいに汚いのがあるでしょう。これは”そうか病”って言って、ずっとおんなじ畑でじゃがたをこさえてるとこうなる。これはまだなりかけだが」と言って教えてくれた守屋さんは、ご自身も水窪じゃがたを作っている。
「水窪じゃがた」は、水窪地域に長年受け継がれてきた在来種で、栽培している農家も多い。
そのため、品評会には数多くのじゃがたが並べられ、格付けの時を待ち構えていた。

”じゃがた”作りで町おこし

「じゃがたを作っている農家は多いんだけど”今年は出来が悪いでやめとく”なんて言って出品しない人もいてね…。最近では隣の佐久間町とかからも出品があるし、出来を比べるというよりは、にぎわい作りとか、地域活性化っていうことで、みんなに参加してほしいね」
そう語る守屋さん。聞けば、品評会を開催する理由の一つは、高齢者の「生きがい」づくりだという。
野菜を育てる会は、在来野菜の栽培方法の講習会や、地元でよく作られる調理法の勉強会を開催するなど、数多くの取り組みを続けている。
「どんどん元気がなくなっている水窪。何とかしないとしょんないもんでな。こういうのもあるよという”水窪の力”みたいなものを見せたい」
そう言ってじゃがたを見やる守屋さんの目は、どことなく優しかった。

次代へ繋げる伝統の”じゃがた”

野菜を育てる会は、水窪じゃがたの普及・継承に力を注いできた。冒頭で紹介した、じゃがたの品評会の開催も活動の一つ。
これまでも野菜の品評会は開催していたが、平成28年からはじゃがたの品評会も開催。より多くの農家たちが参加するイベントとなった。
品評会の開催はもちろん、先ほども伺った「そうか病」の対策も行っている。
「浜松市農業バイオセンター」へ依頼し、無菌状態の種芋を作ってもらったり、畑の消毒や米ぬかをまいたり、土をいじってみたり…。
より質の良いじゃがたを生み出すことが、伝統を守り続けることになる。守屋さんの情熱は尽きない。
「ただ、そうか病ばっかり気にしてもおれんよ。今年は豊作だったが、肥料をやりすぎたのは反省の一つだな」と、笑いながら話してくれた守屋さん。
最近は、じゃがたの販路拡大にも力を注いでいる。
「水窪の衆は顔が広いもんで、中央区のステーキ屋さんにじゃがたを卸させてもらってるよ。次は駅前で出張販売なんかやっても面白いかもしれん」
そう語る守屋さんの瞳は、まるで子供の様にキラキラと輝いていた。

在来種の宝庫と言われる水窪で、じゃがたを育てる人たち。

その情熱と努力によって、伝統の味は引き継がれている。

 

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