更新日:2024年5月15日
第5章 分野別施策 5.療育・教育
【基本方針】
こどもが夢や希望をもって暮らせるよう、家庭を含めた支援を充実します。関係機関と連携して、各ライフステージを通じて、一貫したきめ細かい支援を実施します。
基本施策
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施策
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(1)早期発見・早期療育の推進
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1)障がいの早期発見と支援への円滑な移行
2)早期療育体制の充実
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(2)発達支援教育の推進
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1)相談・支援の充実
2)教職員の専門性の向上
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(3)放課後等の支援の充実
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1)放課後等の支援の充実
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(4)卒業後の自立に向けた支援
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1)キャリア教育と進路相談の充実
2)生涯を通じた学習活動の充実
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(1)早期発見・早期療育の推進
【現状と課題】
- できるだけ早期に必要な療育を行うことにより、障がいの軽減や基本的な生活能力の向上が期待できることから、障がいの早期発見が必要です。それと同時に保護者の不安解消に対する支援も重要となります。
- 発達障がいの疑いのある幼児とその保護者に対して、早期療育的なプログラムを提供する発達支援広場については、利用者の増加及び利用待機の長期化から、会場を増設し、専門性の高いスタッフによる相談・支援を実施しています。
- 近年、発達障がいの理解が広がり、発達の遅れや障がいの疑いのあるこどもの、専門の医療機関やリハビリテーションの専門医師への受診希望が増加したことで初診の待機期間が課題となっています。
【取り組みの方向性】
発達の遅れや障がいの疑いのあるこどもに対して、できるだけ早期に必要な療育を行うことにより、障がいの軽減や基本的な生活能力の向上を図り、こどもの持てる能力や可能性を伸ばしていくことが大切です。専門的な相談支援と関係機関の相互連携を強化するとともに、早期発見・早期療育を行う施設の整備や機能の強化を図り、こどもと家庭への支援を充実します。
また、障がいの有無にかかわらず、こどもたちが生活を通してともに成長できるよう対応することがこどもの発達にとって重要であることから、施設の持つ専門的な技術や機能を活用し、地域の幼稚園や保育所等での受け入れを促進します。
1)障がいの早期発見と支援への円滑な移行
<取り組み・内容>
- 乳幼児健康診査の実施(健康増進課)再掲
各健康診査(4か月・10か月・1歳6か月・3歳)の受診率の向上及び未受診者対策により障がいや疾病の早期発見を進めるとともに、健康診査後の要フォロー児に対する保健指導の充実に努めます。
- 就学時健康診断の実施(健康安全課)再掲
就学予定者に対し、学校生活や日常生活に支障となるような疾病及び異常の疑いについて適切な治療勧告、保健上の助言及び就学指導等を行います。
- 母子健康相談の実施(健康増進課)再掲
発達の遅れや障がいの疑いのある乳幼児の保護者の相談に応じます。また、医療機関・療育機関等の専門機関との連携を緊密にし、保健指導の充実に努めます。
- 発達障がい(疑い)のある人の相談の実施(子育て支援課)再掲
身近な窓口等で、発達障がいについて心配や悩みのある人や家族の相談に応じます。
- 発達相談支援センター「ルピロ」の運営(子育て支援課)再掲
発達相談支援センター「ルピロ」において、発達障がいのある人や家族に対し、相談や情報提供、就労支援を行います。また、市民や関係者への発達障がいの啓発事業や研修会を実施するとともに、地域支援体制の整備を行います。
- 「友愛のさと診療所」及び「子どものこころの診療所」の運営(障害保健福祉課)再掲
「友愛のさと診療所」及び「子どものこころの診療所」において、こどもを対象に発達障がいや知的障がいを診療する専門機関として質の高い医療を提供するとともに、地域の教育機関や医療機関、福祉施設その他の関係機関との連携により適切な支援を行います。
- 児童相談の実施(児童相談所)
心身の発達の遅れが心配なこどもや、肢体不自由のある児童の施設入所等の相談を行います。また、知的障がいのあるこどもの療育手帳交付にかかる障がいの程度を判定します。
- 発達障害者支援地域協議会の運営(子育て支援課)再掲
発達障がいのある人の支援に関する関係機関等の連携の緊密化を図るとともに、地域の実情に応じた体制の整備について協議を行います。
- 要保護児童対策地域協議会の運営(子育て支援課)再掲
要保護児童の適切な保護又は要支援児童若しくは特定妊婦への適切な支援を図るために、浜松市要保護児童対策地域協議会を運営し、必要な情報の交換を行うとともに、支援対象児童等に対する支援等の内容に関する協議を行います。
2)早期療育体制の充実
<取り組み・内容>
- 発達支援広場の設置(子育て支援課)
成長がゆっくりであったり、発達に心配があったりするこどもの保護者が安心して育児ができるよう保護者の交流、育児支援の場を整備します。
- 障害児通所支援事業の実施(障害保健福祉課)
障がい児の地域生活を支援するため、必要な障害児通所支援等に係る給付を行います。また、地域全体で障がい児に提供する支援の質を高め、障がい児支援体制の強化を図るため、児童発達支援センターは地域の中核的役割を担う機関として、幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家庭支援機能やスーパーバイズ機能などを担います。
- 発達医療総合福祉センターの運営(障害保健福祉課)
療育センターにおいて、地域の中核的な療育支援施設として専門的な療育を行うとともに、保育所や幼稚園等の支援、相談支援等を総合的に行います。また、在宅の障がい児の地域における生活を支えるため、障がいのあるこどもの通う保育所等への療育指導・相談等を行う障害児等療育支援事業を実施します。
- 保育所等巡回支援の実施(障害保健福祉課)
幼稚園や保育所等からの申請により、児童発達支援センターが園を訪問し、発達に課題があると思われるこどもへの支援方法について、支援を担当する職員へ助言等を行います。
- 障がい児保育の推進(幼保支援課)
私立保育所等に対して、入所児童のうち特別児童扶養手当支給対象児童及び障がいがあると市長が認定した児童の保育に要する経費を補助することにより、保育内容の充実と需要に応じた円滑な受け入れ体制を推進します。
- 幼稚園教諭・保育士等の研修(幼児教育・保育課)
幼稚園教諭や保育士等が、障がい児保育についての研修会に参加することにより、障がいに関する知識を学び、日常生活を支援していきます。
- 障がい児入所支援の実施(児童相談所)
障がいのあるこどもで、家庭での療育が困難なこどもに対し、入所施設において保護又は日常生活の指導等を行います。
(2)発達支援教育の推進
【現状と課題】
- アンケート調査では「保育所・幼稚園、学校等に望むこと」について、「本人の状況に応じた指導をしてほしい」が最も多く回答されています。
- 教育現場においては、一人ひとりの多様な教育的ニーズに対応するため、発達支援教育コーディネーターを中心とした園内・校内体制の充実や、キッズサポーター、スクールヘルパーを配置し、個々の状況に応じた学校生活面での支援を行いました。引き続き、研修等により教職員の障がいに対する理解を深めるとともに、インクルーシブ教育システムの整備を推進する必要があります。
【取り組みの方向性】
障がいの有無にかかわらず、できる限り同じ場でともに学ぶことを目指し、特別な支援を必要とするこどもに対し、教育的ニーズに応じた支援を提供できるよう、教育環境の整備や学習の場を充実するとともに、発達支援教育コーディネーターを中心とした校内支援体制を構築します。
また、効果的な支援体制の構築のため、専門的知識や指導方法を習得する研修会を実施します。
1)相談・支援の充実
<取り組み・内容>
- 子育てサポートはますくノートの活用(子育て支援課)
子育てサポートはますくノートの活用により、保護者を含め福祉、保健、医療、教育、労働等の関係機関がこどもの発達にかかわる情報を共有することで、一貫した相談や適切な支援の充実を図ります。また、子育て情報サイト「ぴっぴ」のはますくQ&Aを運営し、発達に課題があるこどもについて、気づきにつながるような情報やその対応方法を掲載し、家族や支援者等へ活用を勧めます。
- サポートかけはしシートを活用した連続性のある療育の推進(障害保健福祉課)
児童発達支援事業による早期支援の成果を就学後に連続して引き継ぐ体制及び療育の推進について、障がい者自立支援協議会(子ども専門部会)の提案・協議により作成された「サポートかけはしシート」を活用し、就学するこどもの療育の推進を図ります。
- 就学相談の実施(教育支援課)再掲
特別な支援を必要とするこどもを持つ保護者に対して、就学先の相談に応じます。
- 発達支援教育コーディネーターの配置(教育支援課)
すべての小中学校に発達支援教育コーディネーターを配置し、発達支援教育コーディネーターを中心とした校内支援体制をつくり、全校体制で特別な支援を必要とするこどもの支援を行います。
- 学習の場の充実(教育支援課)
特別な支援を必要とするこどものニーズに応じた教育を推進するため、小中学校に発達支援学級や通級指導教室等を設置し、支援体制を整えます。
- キッズサポーター、スクールヘルパーの配置(教職員課、幼保運営課)
市立幼稚園では、障がいのあるこどもが在籍する学級にキッズサポーターを配置し、小中学校では、発達支援学級や個別支援が必要なこどもが在籍する通常の学級にスクールヘルパーを配置します。
- 発達支援教室支援員の配置(教職員課)
発達支援教室に発達支援教室支援員を配置し、教科学習の充実や学校生活への適応を支援します。
- 発達支援教育就学奨励費支給事業の実施(教育支援課)
小中学校の発達支援学級へ就学又は通級指導教室へ通級する児童生徒の保護者に対し、就学に必要な学用品費等を援助することにより、経済的な負担の軽減を図ります。
- 発達支援の部屋の設置(幼児教育・保育課)
市立幼稚園において、個別の支援を必要とする幼児の成長や発達を促すことを目的に、園内に「発達支援の部屋」を設置し、保護者の理解を得てニーズに応じた支援を行います。
- 共生・共育の推進(教育支援課)再掲
特別支援学校に在籍するこどもが居住する地域の小中学校に交流籍を置き、交流及び共同学習を行います。
2)教職員の専門性の向上
<取り組み・内容>
- 発達支援教育に関する研修の実施(教育センター)
初任者研修や中堅教諭等資質向上研修、管理職研修等の機会を捉えて発達支援教育に関する研修を行うとともに、支援のための専門的な研修を行い、障がいに対する理解を深め、適切な指導力の向上を図ります。
(3)放課後等の支援の充実
【現状と課題】
- 放課後等デイサービスについて、利用児童数、サービス事業所数ともに大幅に増加しています。
- 放課後児童会では、障がいのあるこどもを受け入れるため、支援員等を加配するとともに、支援員等を対象とした障がいに関する研修を実施しています。引き続き、支援の充実をはかる必要があります。
【取り組みの方向性】
放課後等に個々のこどもの状況に応じた支援を行うことにより、健全な育成を行っていく必要があります。
支援を必要とする障がいのあるこどもたちなどに対して、生活能力の向上のために必要な訓練と、社会との交流の促進を行っていきます。
1)放課後等の支援の充実
<取り組み・内容>
- 障害児通所支援事業の実施(障害保健福祉課)再掲
障がい児の地域生活を支援するため、必要な障害児通所支援等に係る給付を行います。また、地域全体で障がい児に提供する支援の質を高め、障がい児支援体制の強化を図るため、児童発達支援センターは地域の中核的役割を担う機関として、幅広い高度な専門性に基づく発達支援・家庭支援機能やスーパーバイズ機能などを担います。
- 日中一時支援事業の実施(障害保健福祉課)
特別支援学校や発達支援学級等に通うこどもの放課後や長期休暇における預かり支援を行います。
- 放課後児童会への障がいのあるこどもの受け入れの実施(教育総務課)
受け入れ児童の状況に応じて支援員等を加配し、集団生活が可能な障がいのあるこどもの受け入れを行います。
(4)卒業後の自立に向けた支援
【現状と課題】
- 学校卒業後も地域の一員として豊かな人生を送ることができるよう、その特性や心身の状況に応じた支援や配慮が必要です。各学校においては、将来を見据えた上で必要な資質や能力を明確にし、計画的にキャリア教育を進めています。
【取り組みの方向性】
社会生活へ向けた進路相談に応じるとともに、能力や適性等に応じて進路を選択できるように、将来のステップアップに向けたキャリア教育を推進します。また、生涯にわたり教育やスポーツ、文化などの様々な機会に親しむことができるよう、多様な学習活動を行う学びの場やその機会を提供します。
静岡県の高等部教育において、多様な進路に対応できるよう幅広い学習の展開や一人ひとりの適性に応じた職場開拓、職場実習等、充実した取り組みを実施します。
浜松市においても、学校卒業後に障害福祉サービス等の利用を希望する人に対しては、本人の意向や心身の状況に応じて適切なサービスが利用できるよう進路相談に応じるとともに、特別支援学校、障害福祉サービス事業者、障がい者団体等との連携のもと、障害福祉サービス等について学ぶ機会を提供し、生徒とその保護者の進路選択に対する不安の軽減を図ります。
1)キャリア教育と進路相談の充実
<取り組み・内容>
- キャリア教育の推進(教育センター)
こどもが学ぶことと自己の将来とのつながりを見通しながら、社会的、職業的自立に向けて必要な力を身につける教育に取り組みます。
- 福祉事業所フェアの開催(障害保健福祉課)
障がいのあるこどもやその保護者を対象に、障害福祉サービスや障害年金、就労に関する説明を行うとともに、個別相談の場を設置します。
- 企業における就労実習の実施(障害保健福祉課)
連携協定を締結している企業において、企業で働くための就労意欲の向上を図ることを目的に就労実習を実施します。
- 若者相談支援事業の実施(こども若者政策課 青少年育成センター)再掲
15歳から39歳までの若者とその家族からの相談を受け付け、必要に応じて専門的な支援機関を案内します。
- ひきこもり相談支援事業の実施(精神保健福祉センター)再掲
ひきこもり地域支援センターにて本人、家族の個別相談を実施します。必要なケースについて訪問支援を行うとともに、ひきこもり当事者の居場所の運営を行います。
- 中学校から高等学校への文書情報の提供(教育センター)
高等学校と中学校間で支援に関する情報の共有と連携を進めるため、高等学校が希望する場合には、中学校は、進路先の実態に応じ、学習面又は生活面において個別に考慮した事項にかかる記録等について、本人及び保護者の同意を得たうえで提供します。
2)生涯を通じた学習活動の充実
<取り組み・内容>
- 読書バリアフリーサービスの充実(中央図書館)
大活字本や電子図書等の資料の充実や、機器の利用体験会などを行うことにより、読書バリアフリーサービスの拡大を図ります。
- 生涯学習事業参加機会の提供(創造都市・文化振興課)
生涯学習関連施設(協働センターや文化センター等)における講座・事業への参加機会を提供します。
- 浜松市障害者スポーツ大会の開催(スポーツ振興課)
障がいのある人の社会参加を図るためにスポーツ大会を開催します。
- 静岡県障害者スポーツ大会の開催(スポーツ振興課)
静岡県及び静岡市との共催により静岡県障害者スポーツ大会を開催します。
注釈
発達支援教育
特定のこどもだけを対象として支援するのではなく、すべてのこども一人ひとりの発達段階と教育的ニーズに応じて健やかな成長発達を支援するもの。
発達支援教育コーディネーター
園内、校内における発達支援教育の推進役。個別の教育支援計画や個別の指導計画の作成等、こどもへの最適な支援の方策を提案したり、幼稚園・学校内外の連絡調整を行ったりする教員。
キッズサポーター
市立幼稚園の主に障がいがあるこどもが在籍する学級において、学級担任の指導補助を行う指導員。
スクールヘルパー
小中学校の発達支援学級や個人的支援が必要なこどもが在籍する通常の学級において、日常生活の指導補助を行う指導員。
インクルーシブ教育システム
人間の多様性の尊重等の強化、障がい者が精神的及び身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能とするとの目的の下、障がいのある者と障がいのない者が共に学ぶ仕組み。
子育てサポートはますくノート
保護者と保健、医療、福祉、教育機関等がこどもの成長にかかわる情報を共有し、子育て家庭の支援をするための冊子。また、ウェブサイト「はますくQ&A」にて子育ての悩みや不安について専門家のアドバイスを掲載している。
サポートかけはしシート
児童発達支援事業所と小学校において、進級や進学の際に、こどもに対して継続して必要な支援を行うことを目的に作成するシート。こどもの特性や配慮すべき点等を記載。
発達支援教室支援員
教員免許を持ち、発達支援教室において個別指導が必要なこどもに対して教科学習を中心とした支援を行う指導員。
キャリア教育
一人ひとりの社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通してキャリア発達を促す教育。
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