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更新日:2021年5月25日
東日本大震災による災害廃棄物の試験焼却に向け、廃棄物処理施設周辺の住民に行なった説明会での説明の概要を掲載します。
東北の被災地では地震による大規模な津波により、通常排出されているゴミに加え膨大な災害廃棄物が発生しています。岩手県では約476万トン、宮城県では約1,569万トンの災害廃棄物が発生しています。各県において1年で排出される一般廃棄物の量と比較し、それぞれ約11年分、19年分の量となっています。
被災地の復旧・復興のためには、この莫大な量の災害廃棄物の迅速な撤去・処理が大前提となっており、広域処理が必要となっています。
山田町、大槌町で発生した災害廃棄物の量は下表の通りとなっています。(岩手県災害廃棄物処理詳細計画より)
町名 |
柱材・角材 |
可燃物 |
不燃物 |
合計 |
---|---|---|---|---|
大槌町 |
73,200トン |
112,700トン |
102,200トン |
288,100トン |
山田町 |
70,900トン |
76,500トン |
36,500トン |
183,900トン |
合計 |
144,100トン |
189,200トン |
138,700トン |
472,000トン |
この中で柱材・角材の量はそれぞれ大槌町73,200トン、山田町70,900トンとなっており、合計144,100トンとなっております。このうち22,100トンは岩手県内の企業等で処理可能な予定となっており、その他の122,000トンが広域処理の対象となっています。
なお、柱材・角材以外の可燃物、不燃物については三菱マテリアル株式会社岩手工場、太平洋セメント株式会社、いわてクリーンセンター、県内の清掃センター、仮設焼却炉等で処理する計画です。
平成24年4月16日時点でのそれぞれの町の処理状況は下記の通りです。
県への事務委託
大槌町 |
有 |
---|---|
山田町 |
有 |
がれき推計量
|
(千トン) |
うち家屋等解体によるがれき推計量(解体済のものを含む) |
---|---|---|
大槌町 |
709 |
40 |
山田町 |
399 |
40 |
仮置場への搬入状況
|
仮置場設置数 |
仮置場面積(ヘクタール) |
搬入済量(千トン) |
|
---|---|---|---|---|
大槌町 |
17 |
31.0 |
691 |
100% |
山田町 |
19 |
18.0 |
395 |
100% |
解体により生じるものを含む
|
搬入率(%) |
目標期日 |
目標達成状況 |
---|---|---|---|
大槌町 |
98% |
H25.3 |
|
山田町 |
99% |
H25.3 |
|
処理・処分状況
|
処理処分量計(千トン) |
処理処分割合(%) |
目標期日 |
---|---|---|---|
大槌町 |
19 |
2.7% |
|
山田町 |
24 |
6.0% |
|
試験焼却で受入れ焼却を行う災害廃棄物は5cm~15cm程度の長さ、2~5cm程度の直径の木質チップです。
試験焼却で受け入れ予定の木質チップ
これまでの経緯は下記の通りです。
年月日 |
内容 |
---|---|
平成23年4月8日 |
「東日本大震災により生じた災害廃棄物の広域処理体制の構築に関する調査」(環境省) |
平成23年10月7日 |
「東日本大震災により生じた災害廃棄物の受入検討状況調査」(環境省) |
平成23年10月24日 |
「県内市町の受入余力の1%に当たる600トンの協力を行ないたい旨の発言」(静岡県知事) |
平成23年11月10日 |
「共同声明を採択」(静岡県市長会・町村会)
|
平成23年11月22日 |
「東日本大震災の災害廃棄物広域処理に関する要望書」(県知事→細野環境大臣)
|
平成23年12月22日 |
静岡県市長会定例会
|
平成24年1月4日 |
「国への申し入れ」(静岡県市長会・町村会→国:細野環境大臣へ提出) |
平成24年1月13日 |
「申し入れに対する国、県からの回答」 |
平成24年1月18日 |
静岡県市長会・町村会臨時合同会議回答内容に具体性がなく、不十分な回答である。再度、国・県に対して要望する。 |
平成24年1月26日 |
「国、県への再申し入れ」 |
平成24年2月2日 |
「再申し入れに対する国、県からの回答」 |
平成24年2月6日 |
静岡県市長会定例会
|
平成24年2月16日 |
「静岡県知事に対し、申し入れ」 |
平成24年2月29日 |
災害廃棄物試験焼却受入基準 (静岡県) |
平成24年3月16日 |
県による処理計画策定に係る個別調査 (浜松市) |
平成24年3月26日 |
内閣総理大臣、環境大臣からの要請 (浜松市長あて) |
平成24年3月27日 |
浜松市長定例記者会見
|
平成24年4月13日 |
災害廃棄物の試験焼却に係る全体計画 (静岡県) |
平成24年4月 |
住民説明会 |
放射能とは放射性物質(セシウム等)が放射線(目には見えない光のようなもの)を出す能力のことです。放射性物質の量を表す単位はベクレル(Bq)で、放射線の強さを表す単位はシーベルト毎時(Sv/h)で表されます。
土や食べ物1kgあたりに含まれる放射性物質の量をベクレルという。単位は「 Bq/kg 」で表されます。
放射線の強さを表す単位で、空間を飛び交っている放射線を1時間あたりに換算したものを「シーベルト毎時(Sv/h)」といいます。ある場所のある時刻での放射線の強さを表しています。
ミリシーベルトは、シーベルトの1000分の1、マイクロシーベルトは、1,000,000分の1の量を表す単位です。
放射線の基準値の概要は下図の通りです。
放射線量基準値の概要図
100mSv/年よりも低い放射線量での発ガンのリスクは確認されていません。また、日本の平均放射線量は1.48mSv/年、世界平均の平均放射線量は2.4mSv/年となっており、日本の放射線量の平均は世界平均よりも1mSv/年低くなっています。そこで一般の公衆年間線量の限度は1mSv/年と定められています。
今回の広域処理では埋立てる焼却灰の放射性物質濃度を8000Bq/kgと定めています。これは広域処理を行った場合に最も多く線量を受ける作業者の被曝線量が0.78mSv/年以下となり1mSv/年の基準を満たすものです。なお、放射線業務従事者の線量限度は5年間の平均で20mSv/年、ただし、いずれの年も50mSv/年を越えないこととされており、この値と比べても現場作業員の被曝線量が十分低く安全であることが分かると思います。
また、基準である放射性物質濃度8000Bq/kg以下の廃棄物を埋立て処分した場合、処分場の周辺住民の被曝線量は1mSv/年の更に100分の1である0.01mSv/年となり、広域処理による周辺住民の被曝による健康影響は無いと言えます。
島田市は平成24年2月16日より試験焼却を実施しました。島田市の事例については、下記リンクより島田市ホームページをご参照ください。
⇒島田市:災害廃棄物の広域処理について(別ウィンドウが開きます)
静岡県全体計画については、静岡県ホームページをご参照ください。
浜松市が受け入れる試験焼却の対象物は柱材や角材を破砕し、チップ化したものです。浜松市では試験焼却の計画処理量としてこのような木質チップ40トンを予定しています。
破砕前の柱材
破砕後の木質チップ
対象物の搬出先としては岩手県山田町、大槌町を予定しております。両町と浜松市の福島県第一原子力発電所からの距離は下記の通りとなっています。浜松市と比べると約半分程の距離にあることが分かると思います。また、地図で見ていただくと、両町は神奈川県や千葉県と同じような距離にあることがお分かりいただけると思います。
受け入れ基準 100Bq/kg以下
(単位:Bq/kg)
試料 |
セシウム合計 |
セシウム134 |
セシウム137 |
---|---|---|---|
大槌町A |
不検出 |
2未満 |
2未満 |
大槌町B |
不検出 |
2未満 |
2未満 |
山田町A |
12.0 |
5.36 |
6.66 |
山田町B |
13.2 |
5.21 |
8.01 |
5月下旬から6月を想定していますが、現状(説明会開催時点)では未定です。
がれき40トンはそれぞれ20トンずつ南部清掃工場と西部清掃工場で焼却されます。南部清掃工場で焼却された後の焼却灰は西部清掃工場へ運ばれ、溶融処理され、灰処理物は平和最終処分場で処理されます。西部清掃工場で廃棄物を溶融した後に発生する溶融スラグと呼ばれる資材は有効利用できるためリサイクル業者等によって再利用されます。
国のガイドラインでは次のように定めています。
測定項目 |
対象 |
測定時期 |
基準値 |
---|---|---|---|
二次仮置場での放射性物質濃度 |
今後、広域処理する予定の角材・柱材の木質系災害廃棄物をチップ化したもの |
破砕・選別後 |
100Bq/kgを越えないこと |
二次仮置場での空間線量率 |
今後、広域処理する予定の角材・柱材の木質系災害廃棄物をチップ化したもの |
破砕・選別後 |
バックグラウンド空間線量率の倍以上にならないこと |
コンテナ積込前の遮蔽線量率 |
コンテナに積込む前の災害廃棄物 |
コンテナ積込前 |
0.01μSv/hを越えないこと |
コンテナ積込後の空間線量率 |
災害廃棄物を積込んだコンテナ |
コンテナ積込後 |
バックグラウンド空間線量率の3倍以上にならないこと |
県内積替え地での空間線量率 |
県内で積替え時のコンテナ |
コンテナ積替時 |
バックグラウンド空間線量率の3倍以上にならないこと |
浜松市の一般廃棄物焼却施設における焼却灰等の放射性物質濃度の測定結果は下表の通りです。※()内は検出下限値です。「不検出」とは検出下限値未満であることを示します。
西部清掃工場
試料名:溶融飛灰固化物
採取日 |
セシウム134 |
セシウム137 |
セシウム合計 |
---|---|---|---|
平成23年7月19日 |
132(17) |
150(16) |
282 |
平成23年8月31日 |
76(20) |
85(20) |
161 |
平成24年3月12日 |
26(20) |
51(20) |
77 |
試料名:溶融スラグ
採取日 |
セシウム134 |
セシウム137 |
セシウム合計 |
---|---|---|---|
平成23年7月20日 |
不検出(12) |
不検出(9) |
不検出 |
平成24年3月12日 |
不検出(20) |
不検出(20) |
不検出 |
南部清掃工場
試料名:飛灰
採取日 |
セシウム134 |
セシウム137 |
セシウム合計 |
---|---|---|---|
平成23年7月20日 |
39(15) |
61(17) |
100 |
平成24年3月12日 |
22(20) |
22(20) |
44 |
試料名:主灰飛灰混合
採取日 |
セシウム134 |
セシウム137 |
セシウム合計 |
---|---|---|---|
平成24年3月12日 |
不検出(20) |
不検出(20) |
不検出 |
試験焼却を行う際は、主に次のような段階で確認を行っていきます。
確認の際に測定する項目は以下のように計画しています。
国の基準では、受入れ基準として240Bq/kg以下、埋立基準として8000Bq/kg以下と定めています。浜松市では受入れ基準を新食品基準の一般食品(野菜等)と同じ数値である100Bq/kgとし、埋立基準は8000Bq/kgに囚われることなく現状と同程度以内として定めました。
岩手県大槌町、山田町に市民の方々と訪問し被災の状況や搬入予定の木質チップの確認を行います。実際に性状や空間線量率を測定し現地の行政職員などと意見交換する予定です。
本視察は5月21日~23日と23日~25日の2つの日程で実施済みです。
空間線量率計を地域にお貸しします。
みんなで測定しましょう。
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