浜松市モビリティサービス 推進コンソーシアム
浜松市モビリティサービス推進コンソーシアム > 会員企業インタビュー > 浜松から全国へ。地方モビリティの未来をつくる

ここから本文です。

浜松から全国へ。地方モビリティの未来をつくる

常務役員 経営企画本部長 熊瀧 潤也 氏
スズキ株式会社

スズキ株式会社
常務役員 経営企画本部長 熊瀧 潤也 氏

スズキ株式会社は、四輪車、二輪車、船外機などを製造する総合輸送機メーカー。特にコンパクトカーに強みを持ち、現代日本人の日常の足として欠かせない軽自動車は同社を代表する主力事業の一つ。本コンソーシアムでは幹事会社の一社として、「地域のモビリティ課題の解決」を軸にした新たな社会インフラの構築に取り組んでいます。

企業の枠を超えた挑戦で、地域の未来を拓きたい

企業の枠を超えた挑戦で、
地域の未来を拓きたい

当社では2017年頃からコネクテッドカー事業立ち上げに取り組んでまいりましたが、そこで痛感したのが「モビリティサービスはもはや企業単体で完結するものではなく、地域全体を巻き込む必要がある」ということでした。そこで浜松市に相談を持ちかけ、「地域の移動課題をみんなで解決する集まりがあってもいいのではないか」と提案したのが、当コンソーシアム発足のきっかけです。公共交通の視点を持つ遠州鉄道様にも加わっていただき、三者共同で幹事を務めさせていただくことになりました。私たちスズキとしても、「地域に貢献する企業」であり続けるための重要な一歩だったと感じています。

image002

自動運転風景

多角的なアプローチで、
高齢者の移動を支える

地方が抱えるモビリティの課題は深刻です。特に、高齢者の移動手段の確保は避けて通れません。毎年多くの方が免許を返納される一方で、代替手段が十分ではない。そこで私たちは「運転可能期間の延長」と「運転をやめた後の代替手段の提供」の2つの軸でアプローチしています。具体的には、浜松市や浜松医科大学と連携して、運転データを活用した認知症の早期発見研究を行いました。また、自動運転や電動車椅子の普及も進めており、公民館に電動車椅子を配備する実証を行ったこともあります。

image003

万博「空飛ぶクルマ」出展イメージ
画像提供:SkyDrive

世界に先駆ける、
定期「ドローン航路」の開設

これまでのコンソーシアムの取り組みの中で、特に大きな成果と感じているのが「ドローン航路」の開設です。集中豪雨や災害によって道路が寸断された際の代替手段として、空の移動インフラを確立する必要があると考え、国とも連携しながら、天竜川におけるドローンの安全飛行ルートを整備しました。これは世界初の試みであり、浜松市がモビリティの先進都市として発信できる象徴的なプロジェクトです。またスズキとしては遠州鉄道株式会社などと連携し、廃止バス路線を活用した自動運転バスの実証実験を行うなど、浜松という地域性を生かした多様なチャレンジを進めています。

「ものづくりの街」から「モビリティ先進都市」へ

「ものづくりの街」から「モビリティ先進都市」へ

このコンソーシアムが持つ可能性は非常に大きいと感じています。実証段階に留まっていた構想も、企業・行政・大学が一体となることで「道をつくる」ところまで踏み込めるようになってきました。今後は、ドローン航路を生かした新産業の誘致や、空飛ぶクルマを含むエアモビリティ分野の育成など、自動車産業の次の世代を見据えた取り組みを推進していきます。浜松は自動車・バイク産業の発祥地です。この地から全国、世界に向けて、次の100年を担うモビリティの形を創る。その挑戦を、このコンソーシアムの一員として支えていきたいですね。

取材日:2025年7月3日