更新日:2025年5月16日
風水害等対策編 第1章 災害予防計画 第4節 土砂災害防除計画
【災害対策本部事務局、消防局、都市整備部、土木部、区本部】
- 土砂災害警戒区域等の災害の危険が予想される箇所を把握し、住民の早期避難等を促進するため、土砂災害防止法に基づく区域指定、防災情報の提供などソフト対策を実施するとともに、崩壊防止施設や砂防堰堤など土砂災害対策施設の整備などのハード対策を組み合わせ総合的な土砂災害対策を推進する。
1 現況・課題
- 土砂災害は、一定の降雨量に達した時に必ず発生するものではなく、事前に発生を予測することは極めて難しいため、土砂災害に対する予防対策として、崩壊防止施設の設置や避難体制の整備、危険箇所からの移転等を進める。
- 本市は、山地や丘陵地及びこれらに接近した住宅も極めて多いため、平常時から土砂災害による危険性を周知するなどの啓発指導に努める。
2 土砂災害対策(ハード対策)に係る各種の区域指定
土砂災害警戒区域(土石流、地すべり、急傾斜地の崩壊)(※1) |
急傾斜地の崩壊等が発生した場合に住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると認められる土地の区域で、当該区域における土砂災害(可動閉塞による湛水を発生原因とするものを除く。)を防止するために警戒避難体制を特に整備すべき土地の区域として政令で定める基準に該当するもの |
砂防指定地(※2) |
下流域への土砂の流出を未然に防ぐための砂防設備を設置したり、治水上砂防のための一定の行為を禁止又は制限すべき土地 |
急傾斜地崩壊危険区域(※3)、(※4) |
崩壊するおそれのある急傾斜地で、その崩壊により相当数の居住者その他の者に危害が生ずるおそれのあるもの及びこれに隣接する土地のうち、崩壊の助長又は誘発を防ぐため一定の行為を制限すべき土地 |
地すべり等 防止区域(※5)、(※6) |
地すべり区域(地すべりしている区域又は地すべりするおそれのきわめて大きい区域)及びこれに隣接する地域のうち地すべり区域の地すべりを助長し、若しくは誘発するおそれのきわめて大きいものであって、公共の利益に密接な関連を有するもの |
3 土砂災害のハード対策
- 県により急傾斜地崩壊危険区域に指定された場合には、県及び市は法に基づき急傾斜地崩壊防止施設の整備を図るものとする。
4 土砂災害のソフト対策
- 県により土砂災害警戒区域に指定された場合(※7)には、市は法に基づき警戒避難体制の整備を図るものとする。また、指定される見込みがある区域についても警戒避難体制の整備を図るよう努める。
- 土砂災害警戒区域内に、要配慮者利用施設(社会福祉施設、学校、医療施設その他の主として防災上の配慮を要する者(※8)が利用する施設をいう。以下同じ。)であって、急傾斜地の崩落等が発生するおそれがある場合における当該要配慮者利用施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難を確保する必要があると認められるものがある場合には、その施設名称及び所在地を別に定める(※9)。また、当該施設の利用者の円滑な警戒避難が行われるよう土砂災害に関する情報等の伝達方法を定める(※10)。
- 重大な土砂災害の急迫した危険が認められる状況において、国又は県から市に対し、土砂災害が想定される土地の区域及び時期に関する情報が提供されるため、市は関係機関と協力し、適切に対応する。
非常配備体制(※11) |
- 気象予報・警報や降雨量、急な出水など、区域内の異常な現象等の情報をもとに、事前配備体制又は災害対策本部体制をとる。
<情報の収集>
- 危険区域を管轄する区役所のほか、引佐、三ヶ日、春野、佐久間、水窪、龍山の支所(以下、これらを「支所」という。)、消防署及び消防団によるパトロール隊を派遣し、次の情報を収集する。
- 危険区域及びその付近における降雨量
- 危険区域内の災害のおそれのある異常現象(※12)
- 住民及び滞在者の数等
- 危険箇所周辺の局所的な降雨状況を把握し、土砂災害の予測のため、インターネットで公表される以下の情報の把握に努める。
- リアルタイムの防災気象情報(気象注意報・警報・特別警報、雨量に関する情報)
- 静岡県土砂災害警戒情報補足情報システム
- 気象庁土砂キキクル(大雨警報(土砂災害)の危険度分布)
- 静岡県土木総合防災情報インターネット公開サービス(通称 サイポスレーダー)
- 浜松市土木防災情報システム
- 土石流の発生を検知するワイヤーセンサー
- 地すべりの移動を把握する伸縮計
<情報の伝達>
- 別に定める方法(※13)により、気象警報・注意報、雨量、避難指示等を住民や報道等の関係機関に伝える。
|
警戒又は避難を行うべき基準の設定 |
- 警戒又は避難を行うべき基準は、土砂災害警戒情報等を参考にあらかじめ定めておき、迅速かつ的確な避難ができるよう、別に定める基準(※14)に基づき避難指示等を発令する。
- このほか、「地面やがけに亀裂ができる、斜面から水が吹き出す、地鳴りがする」等の土砂災害の前兆となる現象が生じている場合、自主的に警戒避難を行うことを住民に周知する。
|
要配慮者利用施設の所有者等に対する指示等 |
- 土砂災害警戒区域内に位置し、その名称及び所在地を定められた要配慮者利用施設の所有者又は管理者は、急傾斜地の崩壊等が発生するおそれがある場合における当該要配慮者利用施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るために緊急避難場所までの避難路等を記載した避難確保計画を作成し、必要な訓練を実施しなければならない。なお、当該計画を作成したときは、遅滞なく、市長に報告しなければならない。計画を変更したときも同様とする。報告を受けた市長は、要配慮者利用施設所有者または管理者に対し、必要な助言又は勧告をすることができる。
- 市長は、要配慮者利用施設所有者又は管理者が、上記計画を作成していない場合は、急傾斜地の崩壊等が発生するおそれがある場合における当該要配慮者利用施設を利用している者の円滑かつ迅速な避難の確保を図るため必要があると認めるときは、当該要配慮者利用施設の所有者又は管理者に対し、必要な指示をすることができる。
- 市長は、上記指示を受けたにも関わらず、正当な理由なくその指示に従わなかったときは、その旨を公表することができる。
- 要配慮者利用施設の所有者又は管理者は、計画で定めるところにより、円滑かつ迅速な避難のための訓練を行わなければならない。
- 市は、要配慮者利用施設の避難確保に関する計画や避難訓練の実施状況等について、定期的に確認するよう努めるものとする。
|
防災知識の普及・防災訓練 |
- 土砂災害に関する情報の伝達方法、土砂災害が発生するおそれがある場合における避難施設、その他の避難場所、その他の避難経路に関する事項、その他警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な事項を住民等に周知するために、これらの事項を住民と協力して記載したハザードマップ等の作製・配付など必要な措置を講じる。
- 講演会、講習会、見学会等を開催し、土砂災害警戒区域等の周辺の住民に対し防災知識の普及に努める。
- 土砂災害の危険のおそれがある地域住民に対し、土砂災害への危険性が高まった際の警戒・避難を促すため、危険区域、発生原因、雨量等の情報を提供する。
- 避難経路・緊急避難場所等の所在、サイレン、電話連絡網等住民への情報伝達方法、避難のためのマニュアルを周知する。
- 土砂災害防止月間(6月)に自主防災組織を中心に、地域の実情にあった防災訓練を実施する。
- 訓練は、突然発生する土砂災害を想定するものとし、台風・梅雨前線豪雨等を想定した避難・情報伝達等訓練など、県の指針を参考に、避難行動要支援者にも配慮し、実施する。
|
5 周辺の土地利用規制
がけ付近の建築物の建築規制(※15) |
- 2メートルを超えるがけの近くに建築する場合には、擁壁の設置や建物を鉄筋コンクリート造等とする等、がけ崩れに対して安全対策を講じなければならない。
|
砂防指定地 |
- 砂防指定地内においては、砂防堰堤、護岸工事等の砂防施設を損傷する行為が禁止されており、施設や工作物の新築、改築、竹木の伐採や運搬方法、土地の形状を変更する行為等には制限が付くことがある。
|
地すべり防止区域 |
- 地すべり防止区域の指定地内においては、地下水や地表水の流れに影響を及ぼす場合、その土地を切土や掘削などで改良する場合やその土地に施設の新設又は改良を行う場合などには制限が付くことがある。
|
急傾斜地崩壊危険区域の指定(※16) |
- 急傾斜地崩壊危険区域の指定地内においては、水の放流、工作物の設置、立竹木の伐採等、急傾斜地の崩壊を助長し、又は誘発するおそれのある行為が制限される。また、知事から防災措置の勧告、改善措置の命令等が出されることがある。
|
災害危険区域の指定(※17) |
- 急傾斜地崩壊危険区域及びその他危険の生じるおそれがあるとして指摘された災害危険区域においては、がけに対する安全で適正な防災措置が施されない限り、住居の用に供する建築物の建築は原則的に禁止されている。
|
土砂災害特別警戒区域の指定(※18) |
- 土砂災害特別警戒区域の指定地内においては、特定開発行為をする場合、知事の許可を受けなければならない。
- 土砂災害特別警戒区域内に居室を有する建築物の建築をする場合は、想定される土石等の衝撃があっても破壊が生じない構造としなければならない。
|
宅地造成工事規制区域の指定(※19) |
- 宅地造成に伴い、がけ崩れや土砂流出のおそれが著しい区域を宅地造成工事規制区域として指定し、この区域内で行われる一定の宅地造成に関する工事について、災害の防止のため必要な規制を行う。
- 指定された区域内で一定の宅地造成工事を行う場合は、市長の許可が必要であり、擁壁あるいはがけ面等が危険な状態になった場合、勧告、改善命令等を発することがある。
|
宅地造成等工事規制区域(※20) |
- 市街地や集落、その周辺など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうる区域
- 一定規模以上の盛土、切土、土石の堆積を行う場合は、工事に着手する前に許可が必要となり、その工事は技術的基準に従い、災害を防止するために必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
|
特定盛土等規制区域(※20) |
- 市街地や集落などから離れているものの、地形等の条件から盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうる区域
- 一定規模以上の盛土、切土、土石の堆積を行う場合は、工事に着手する前に許可が必要となり、その工事は技術的基準に従い、災害を防止するために必要な措置が講ぜられたものでなければならない。
|
都市計画区域(※21) |
- 都市計画区域内において、急傾斜地崩壊危険区域(災害危険区域)を含むときは、一定の条件を除き、開発行為は許可されない。
|
6 市の助成
- がけ地の崩壊等の危険性の高い住宅を安全な土地に移転させ、危険住宅の解消を促進するため、必要な助成(※22)を行う。
※1 土砂災害防止法第7条/県知事による指定
※2 砂防法第2条/ 国土交通大臣による指定
※3 急傾斜地崩壊危険区域の指定状況/資料編4-6
※4 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第3条/県知事による指定
※5 地すべり防止区域の指定状況/資料編4-7
※6 地すべり等防止法第3条/国土交通大臣又は農林水産大臣による指定
※7 土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域の指定状況/資料編4-8 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律
※8 高齢者、障害者、乳幼児等
※9 要配慮者利用施設一覧表(浸水想定区域・土砂災害(特別)警戒区域内施設)/資料編4-13
※10 「共通対策編第3章 第3節 組織・動員計画」による。
※11 災害時の配備体制とその基準/解説・運用編2-1
※12 急傾斜地の地表水、湧水亀裂、竹木等の傾斜,人家等の破損等。
※13 「共通対策編第3章 第3節 組織・動員計画」による。
※14 「共通対策編第2章 第6節 住民の避難体制」による。
※15 静岡県建築基準条例による。
※16 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律に基づく知事指定。
※17 静岡県建築基準条例による。
※18 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律に基づく。
※19 宅地造成等規正法による。(宅地造成及び特定盛土等規制法の運用開始までの扱い)
※20 宅地造成及び特定盛土等規制法による。(令和7年5月26日運用開始予定)
※21 都市計画法による。
※22 がけ地近接等危険住宅移転事業