更新日:2024年5月13日
共通対策編 第2章 災害予防計画 第6節 住民の避難体制
【災害対策本部事務局、健康福祉部、土木部、区本部】
- 市は、災害の危険が切迫した緊急時において一時的に安全を確保するための指定緊急避難場所(以下「緊急避難場所」という。)及び避難者が避難生活を送るための指定避難所(以下「避難所」という。)を指定し、日頃から市民への周知に努める。
- 市は、地域の特性に応じた避難施設、避難路等の整備の推進に配慮するよう努めるものとする。また、市は、関係機関と協力し、避難地及び避難路を、避難行動要支援者にも配慮して整備するとともに、消防水利の確保等、総合的に安全性の向上を図る。
1 避難所等の指定、整備
- 市は、施設管理者と協力し、家屋の損壊、滅失、浸水、流失等により避難を必要とする住民を臨時に受け入れることのできる避難所を指定し、避難の実施に必要な設備・機器の整備に努める。具体的には次のとおりとする。
- 地域的な特性や過去の教訓、想定される災害、感染症対策等を踏まえその管理者の同意を得た上で避難者が避難生活を送るために避難所をあらかじめ指定し、平常時から場所や収容人員等について、住民への周知徹底を図る。また、災害時に避難所の開設状況や混雑状況等を周知することも想定し、ホームページやアプリケーション等の多様な手段の整備に努める。
- 避難者を滞在させるために必要となる適切な規模を有し、速やかに避難者等を受け入れること等が可能な構造又は設備を有する施設であって、想定される災害による影響が比較的少なく、災害救援物資等の輸送が比較的容易な場所にあるものを指定する。
- 学校を指定する場合には、学校が教育活動の場であることに配慮するものとする。
- また避難所としての機能は、応急的なものであることを認識の上、避難所となる施設の利用方法等について、事前に教育委員会等の関係部局や地域住民等の関係者と調整を図る。
- 避難所の施設については、必要に応じ、良好な生活環境を確保するために、換気、照明、トイレ等の設備の整備に努めるとともに、貯水槽、井戸、非常用電源、地域防災無線等の通信機器等のほか、空調、洋式トイレなど、要配慮者にも配慮した施設・設備の整備に努める。
- 避難所又はその近傍で備蓄施設を確保し、食料、飲料水、携帯トイレ、簡易トイレ、マスク、消毒液、段ボールベッド、パーテーション、炊き出し用具、毛布等避難生活に必要な物資や感染症対策に必要な物資等の備蓄に努めるものとする。また、備蓄品の調達に当たっては、要配慮者、女性、子供にも配慮するものとする。
- 避難所となる施設については、あらかじめ必要な機能を整理し、備蓄場所の確保、通信設備の整備等を進めるとともに、必要に応じて、再生可能エネルギーの活用を含めた非常用発電設備等の整備による避難所の電力容量の拡大に努めるものとする。
- 「浜松市避難所運営マニュアル」や、訓練等を通じて、避難所の運営管理のために必要な知識等の普及に努めるものとする。また、夏季には熱中症の危険が高まるため、熱中症の予防や対処法に関する普及啓発に努める。
- 平常時から別に定める対応方針(※1)に基づき、避難所等における過密抑制など感染症対策の観点を取り入れた防災対策を推進するものとする。
2 福祉避難所
- 一般の避難所では生活することが困難な障害のある方、医療的ケアを必要とする方等の要配慮者を受け入れるため、社会福祉施設等を福祉避難所(※2)として指定し、公表することを検討する。この際、受入れを想定していない避難者が避難してくることがないよう、必要に応じて、あらかじめ福祉避難所として避難所を指定する際に、受け入れ対象者を特定して公示することを検討する。また、市は、受入れ対象者を特定しての公示を活用しつつ、一般の避難所で過ごすことに困難を伴うおそれがある障害のある方等の要配慮者にとって適切な生活環境が確保された場所への円滑な避難が可能となるよう、避難行動要支援者個別避難計画の策定などにより、平時から防災部局と福祉部局が連携して、地域の避難支援関係者などとの調整に努めるものとする。
- 要配慮者の特性に応じ、より多くの要配慮者を受け入れることができるよう、福祉避難所の確保に努める。
- 福祉避難所の円滑な運営を行うため、市の「福祉避難所の指定及び開設・運営マニュアル」を整備するとともに、定期的に要配慮者の避難支援対策に関する訓練の実施を推進する。
- 災害時において円滑に福祉避難所を設置・運営できるよう、自主防災組織、地域住民、関係団体、要配慮者及びその家族に対して、要配慮者の避難支援対策、福祉避難所の目的やルール等の周知に努める。
- 災害時に福祉避難所の設置・運営に必要な物資・器材や運営人材の確保がなされるよう、指定先の社会福祉施設や関係団体・事業者等との間で事前に調整し、覚書等を交わすものとする。
- 要配慮者の直接避難を可能とする「指定福祉避難所」の指定に向けた検討をする。
3 2次的避難所
- 県が指定する2次的避難所(※3)は、市の用意した避難所に避難した者のうち、避難生活の長期化により健康に支障を来すと判断される者を原則として7日以内の期間受け入れ、健康を回復させることを目的とするものである。
- 市及び県は、大規模な災害により、事前に協定を結んだ宿泊施設だけでは2次的避難所が不足する場合、速やかにその確保に努める。
4 避難所以外での滞在への配慮
- 市は、市が設置した避難所以外に滞在する被災者に対しても、必要な生活関連物資、保健医療サービス、情報の提供等生活環境の確保に努める。
5 避難誘導体制の概要
- 市は、「避難情報に関するガイドライン」(※4)を参考に、河川管理者等と連携し、洪水、土砂災害等の災害事象の特性、収集できる情報を踏まえ、避難すべき区域や高齢者等避難、避難指示、緊急安全確保の判断基準、伝達方法を示すマニュアルを作成する。
- 市は、躊躇なく避難指示等を発令できるよう、平常時から災害時における優先すべき業務を絞り込むとともに、当該業務を遂行するための役割を分担するなど、全庁をあげた体制の構築に努める。
- 市は、水防関係団体と協議し、発災時の避難誘導に係る計画を作成し、訓練を行う。
- 市は、防災訓練の実施や区版避難行動計画の配付等により、その内容の住民等に対する周知徹底を図るための措置を講じるものとする。
- 市は、住民等の逃げ遅れを無くすために、河川氾濫に係る避難行動計画(マイ・タイムライン)の策定に向けた住民等の取組を支援する。
- 市は、土砂災害等に対する住民の警戒避難基準を静岡県土砂災害警戒情報補足情報システム等によりあらかじめ設定するとともに、必要に応じて見直すよう努める。
- 市は、高齢者、障害のある人等の要配慮者(※5)を速やかに避難誘導するため、地域住民、自主防災組織、保健福祉事業者等の協力を得ながら、平常時より、要配慮者に関する情報伝達体制の整備、避難行動要支援者個別避難計画の策定等の避難誘導体制の整備に努める。
- 市は、新型インフルエンザ等感染症(※6)の濃厚接触者及び患者等のうち、宿泊・自宅療養者・高齢者施設での療養者等の被災に備えて、平常時から、危機管理課と保健所及び感染症に係る関係課間で必要な情報を共有するとともに、災害時の避難対応(避難先、避難方法、避難先での対応等)について調整し、連携して対応するよう努める。
- 危機管理監、区(区長)又は地域本部(行政センター長・支所長)は、市に避難指示等の発令のいとまがない場合は、市(市長)に代わって避難指示等の発令を行う。
- 自主防災組織は、地域の警戒や避難指示等の伝達・避難誘導を行うため、平常時より防災知識の普及、防災訓練、危険箇所の点検・把握、避難計画及び台帳の作成等に努める。
- 不特定かつ多数の利用者がいる施設の管理者は、避難誘導等安全体制の確保に努める。
- 市民は、平常時より、ハザードマップ等を活用して自宅等の地域の危険性を把握し、避難行動に備えるよう努める。
- 市民は、市から避難情報が発令されたら直ちに避難行動をとるべきこと、避難指示等が発令されていなくても、「自らの命は自らが守る」という考え方の下に、自ら氾濫危険情報などの警戒レベル相当情報(※7)等を確認し避難の必要性を判断するとともに、身の危険を感じたら躊躇なく自発的に避難する。
- 市は、周知啓発に資するため、国が整備する避難所等に関する統一的な地理空間情報の充実に努めるものとする。
6 避難所等の施設管理
- 市及び各避難所の運営者は、指定避難所の良好な生活環境の継続的な確保のために、専門家、NPO・ボランティア等との定期的な情報交換や、避難生活支援に関する知見やノウハウを有する地域の人材の確保・育成に努めるものとする。
※1 避難所及び緊急避難場所における新型コロナウイルス感染症への対応方針について/資料編15-5
※2 福祉避難所/解説・運用編5-1
※3 2次的避難所/解説・運用編5-2
※4 内閣府(防災担当)作成
※5 高齢者、障がいのある人、乳幼児、妊産婦、傷病者及び外国人等をいう。
※6 新型インフルエンザ等感染症:感染症法の類型の一つで、新型インフルエンザや再興型インフルエンザなどがある。なお、新型コロナウイルス感染症(病原体がベータコロナウイルス属のコロナウイルス(令和2年1月に中華人民共和国から世界保健機関に対して、人に伝染する能力を有することが新たに報告されたものに限る。)であるものに限る。)は令和5年5月8日に5類感染症に移行しているため含まれない。
※7 国土交通省、気象庁、都道府県が発表する、住民が自主的に避難行動を取るために参考とする情報。