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更新日:2020年8月31日

浜松市景観形成基本計画(景観の概況と課題)

 第2章 景観の概況と課題

多様な地形・自然景観、多彩な都市・施設景観

南北約73キロメートル、東西約52キロメートル、面積約1,511平方キロメートルの広大な市域を有する浜松市には、山岳地、海岸、天竜川、浜名湖、佐鳴湖、三方原台地、天竜川・都田川扇状地などの多様な地形があり、森林や里山、水辺などの豊かな自然景観があります。
地形や自然景観を背景に、中心市街地では中高層建築物のスカイライン・まち並みや豊かな公共空間、旧市町村の中心部のまち並み、在来集落や開発団地などの住宅地のまち並み、企業の大規模事業所や工場施設、幹線道路や沿道など、多彩な市街地景観があります。

<1>区域ごとの景観の概況と課題
広大な市域を地形などの特徴に基づいて、環浜名湖、北部山地、三方原台地、天竜川扇状地、都心、駅南・遠州灘沿岸の6区域に分けて、景観の特徴と課題を整理します。
景観基本区分

1 環浜名湖区域

<景観の概況>

環浜名湖区域は、浜名湖と一体的に見える沿岸も含む区域です。
浜名湖沿岸には、自然景観、集落や市街地景観、レクリエーション施設景観など多彩な景観があり、また、周辺にはこれらの景観の背景となっている森林やみかん畑などの山並み景観があります。
水産業の場としてのあさり漁やたきや漁、海苔や牡蠣の棚などの湖面風景、マリンスポーツや潮干狩りなどのレクリエーションの風景も特徴的な景観となっています。
沿岸集落や市街地には、水産業や街道と共に発展してきた施設の景観や、まち並み景観があります。

<景観形成の課題>

浜名湖の水の汚れ、護岸の緑や生態系が失われていること、水辺への眺望や親水の場が不足していることなどがあり、景観のみならず貴重な自然環境の保全の観点からも、これらを改善していく取組みが求められます。
浜名湖沿岸には、レクリエーションの場としての開発により、建築物などの規模や色彩が水辺や山並み景観の中で突出した印象を与えているところも見られます。沿岸における開発や建築、広告物の設置に対し、景観への配慮を求めていく必要があります。
沿岸市街地や集落では、背景となっている良好な自然景観などと調和したまち並み景観の創出や、浜名湖との関わりや街道の宿場としての歴史を活かしたまち並み景観を創出するなど、個性と魅力があるまちづくりが求められます。
これらの課題には、環浜名湖区域として、周辺の市町と連携を図りながら広域的に取組んでいく必要もあります。
大草山から望む浜名湖

2 北部山地区域

<景観の概況>

北部山地区域は、市域北部の赤石山脈南端の山岳地形から二俣付近までの起伏に富んだ山並みや里山に至る区域で、緑の山並みや森林景観が卓越しています。
森林景観の中には、天竜美林、棚田や段々茶畑などの良好な農林業の景観があり、渓谷を刻む天竜川や気田川などの水辺景観があります。
中世に築かれた山城、塩の道や秋葉道沿いに形成されたまち並み、製紙工場やダムなどの近代史の中で築かれてきた施設景観があります。

<景観形成の課題>

二俣地区をはじめとする各地域の中心部において、地域の歴史資源などを活用した個性的なまち並みづくりなどが求められます。
天竜美林、棚田や段々茶畑などの特徴的で魅力的な農林業の景観が、後継者不足などにより荒廃しつつあり、地域の特色や歴史を継承する貴重な景観として保全していくことが求められます。
森林は二酸化炭素(温室効果ガス)を吸収し、地球温暖化を防止するためにも、その保全が求められています。
北部山地区域は、浜松市民の暮らしを守る水の保有地としての機能の維持、山間森林レクリエーションの場としての魅力の向上なども求められます。
明神峡の紅葉

3 三方原台地区域

<景観の概況>

三方原台地区域には、台地上の平坦で広大な開拓農地や台地端部の斜面緑地の景観があります。
開拓農地を守るホソバ垣、防風林の松林、姫街道の松並木や沿道のまち並みなど歴史的な背景を有する景観、開発団地などの住宅地景観、航空自衛隊浜松基地や大企業の事業所などの施設景観、変化に富んだ環状幹線道路沿いの景観などがあります。
佐鳴湖は身近な水辺として、市民が水や緑の景観を楽しめる貴重な場となっています。

<景観形成の課題>

宅地造成や公共施設整備などにより、台地の地形やまとまりある緑地が失われているところがみられます。斜面緑地は、多様な生物層が育まれる自然環境であり、地域の緑豊かな景観を形成していることから、保全に努めていく必要があります。
住宅が建ち並んでいる区域などで、大規模な建築物や派手な色彩の建築物などが立地することに対して、良好な住宅地景観の保全や育成のためのまち並みのコントロール方策を検討していくことが求められています。
佐鳴湖の良好な景観を保全し向上していくために、水質の改善や周辺の里山景観の保全、湖岸における開発や建築行為のコントロールなどが求められます。
佐鳴湖公園

4 天竜川扇状地区域

<景観の概況>

天竜川扇状地区域は、扇状地のJR線より北側の区域で、平地が微妙な起伏に富み、区域内を馬込川などの河川が蛇行しています。水害を避けて微高地に街道や集落が形成され、低地は水田や島畑として利用されるなど、水系や地形にそって微妙に変化する魅力的な景観が形成されてきました。
河川や用水路などの水辺景観に恵まれ、姫街道や秋葉街道、笠井街道などの街道沿いのまち並みや、在来集落の鎮守の森やホソバ垣の緑の景観があり、島畑や植木苗ほ場などの特徴的な農地景観があります。
河川整備による親しみのある水辺の創出など、地域の魅力が活かされている景観がある一方で、農地の転用による緑の景観の荒廃や無秩序な施設景観などにより、地域の魅力が見えにくくなっている区域もあります。

<景観形成の課題>

農地と宅地が混在し、まとまりや特色のない景観に対して、地域の将来像としてまち並みの調和や特徴的な農地景観の保全、歴史を活かした景観づくりなどに取組んでいくことが求められます。
河川や用水路など恵まれた水辺環境を保全・育成し、地域の特徴として生かし、潤いのある個性的な地域景観の形成が求められます。
浜北駅周辺は、浜松市の拠点市街地にふさわしい特色ある景観を創出していくために、公共施設の修景や商店街などのまち並み景観の向上などが求められます。
天竜川河川敷

5 都心区域

<景観の概況>

都心区域は、天竜川扇状地のうちのJR浜松駅周辺の中心市街地の区域で、戦災により焦土となったものの、市民の力で驚異的な復興を遂げ、東海地区では有数な都市へと成長した浜松市の顔となる都市景観があります。
しかしながら、近年では郊外への大型商業施設の立地や開発により、かつての賑わいや人々の交流が減少しています。
質の高い公共施設や都市活動が集積する中高層建築物のまち並み、花や緑による潤いの演出など、良好な都市景観の形成に取組んでいます。
合併により広い面積となり、「環境と共生するクラスター型都市」を目指す新しい都市の顔となる地域景観の形成に取組んでいる区域です。

<景観形成の課題>

政令市となったことから、これまで以上に広域拠点の中枢となり、浜松市の顔となる市街地景観の創出が求められます。
人口減少・高齢社会の到来、地球環境問題への対応などの観点から、コンパクトシティのまちづくりが必要となる中で、都市の機能や魅力を集積するとともに、公共施設の整備や民間施設の開発にあたっては、ユニバーサルデザインや緑化などの視点が一層求められ、風格のある都市の姿が求められます。
都心のまち並み

6 駅南・遠州灘沿岸区域

<景観の概況>

駅南・遠州灘沿岸区域は、天竜川扇状地のうちのJR線以南、三方原台地以南の平坦地、遠州灘に面する砂丘の区域で、遠州灘沿岸の力強い印象の海岸線、平坦地の市街地や農地の広がりのある景観、砂丘に沿って松林が連続する緑の景観、松林に守られ整然と整備された田畑の景観などがあります。
農地と宅地が混在し、まとまりや特色のない景観も見られ、工場が集積している地域や大規模工場には、緑が少なく、やや殺風景な印象を受けるところもあります。
国道1号バイパスが区域を東西に通過し、広々とした印象的な沿道景観があります。

<景観形成の課題>

農地と宅地が混在し、まとまりや特色のない景観に対しては、地域の将来像としてまち並みの調和や特徴的な農地景観の保全、歴史を活かした景観づくりなどに取組んでいくことが求められます。
工場が集積している地域や大規模工場では、外構の修繕や増築などにあわせて周辺のまち並みや自然景観との調和を図ることが求められます。
遠州灘海岸は雄大な自然景観を有し、希少な野生動植物の生息域であることから、その修復や保全にあわせて、砂丘や松林の景観の維持・保全・活用が求められます。
遠州灘沿岸

<2>現在までの景観形成の取組みの概況と課題

<取組みの概況>

旧12市町村においては、景観形成への取組み指針となる景観形成ガイドプランを5つの市町が策定し、自主条例による施策を1市が展開してきました。緑の保全や創出、地域独自のルールによるまち並み景観形成、質の高い公共施設景観づくりなどにも取組んできました。
JR浜松駅や周辺においては、長年にわたる道路や公園などの基盤施設整備、再開発事業などに取組んできた成果として、顔となる都市景観が形成されています。旧市町村においても、中心部のまち並みづくりや歴史資源などを活用した個性的なまちづくりに取組んできた実績があります。

<取組みからみた課題>

地域独自のルールによる景観形成に取組んできましたが、現在までの景観形成の取組みの多くは、景観上重要な場所で行政が先導してきたことは否めません。
しかし、それぞれの地域において良好なまち並み景観を形成していくためには、まち並み景観を構成している多くの民間建築物や工作物の所有者などが、景観に対する共通の理解と認識を持ち、景観形成に取組んでいく必要があります。

<3>今後の施策展開の課題

地域の景観づくりは、それぞれの地域において、心地よい景観を築くことへの意義や価値を確認し共有したうえで、選択して取組んでいくべきものです。住宅地のまち並み景観を守っていくため、地域住民の発意によりその地域独自のルールを定めた区域もあります。
今後は、景観法などを活用し、地域の自発的な景観形成を支援する制度を充実していくことが課題です。
合併により市域が広がったことで、森林や農地、集落も本市の景観を形成する重要な要素となりました。
景観法には、まち並みの規制や誘導施策のみならず、良好な農地景観や森林景観を形成するための施策が盛り込まれています。景観法の活用を含め、森林や農地、集落の景観の規制・誘導・保全などに係る施策を検討していく必要があります。
また、好ましくない景観の要因となっている施設などへは、全市的な観点で規制や誘導に取組んでいく必要もあります。

舘山寺の花火 浜松祭り 遠州大念仏 姫様道中

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浜松市役所都市整備部土地政策課

〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2642

ファクス番号:050-3737-6815

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