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更新日:2022年3月31日

昔ながらの家庭の味

豆腐職人の横顔

好いたようにやるから、続けられるんだよな。(PDF:324KB)

味のあるたたずまい

天竜区二俣町二俣にある豆腐屋「ヤマチョウとうふ」。
閑静な住宅街に位置するこの店は、どこか懐かしい風情のシャッターが印象的だ。ヤマチョウと大きく書かれたシャッターをくぐり店に足を踏み入れる。
すぐさま目に飛び込んできたのは、年季の入った機器が並ぶ作業場と、きれいに積み上げられたトレイ。側面には「長尾豆腐店」と書かれている。
「昔は長尾豆腐店って名前だったんだよ。会社になったときに、長尾の”長”に山をかけて”ヤマチョウ”になった」
名称の違いを不思議に思った私に教えてくれたのは、代表の長尾吉正(ながおよしまさ)さん。
今も昔も、変わらぬ味を守り続けている職人だ。

早朝の仕事始め

仕込みは何時ごろから始めるのかと、安直な質問をすると、長尾さんは「朝の4時半ごろから」と苦笑いで答えてくれた。豆腐屋の朝は早い。
「朝、普通の豆腐と油揚げ用のタネを作る。配達が7時半過ぎぐらいだから、間に合うように朝は早い。豆腐を自分と息子と従業員さんでこしらえて、油揚げは息子のお嫁さんが作って。これを毎日。豆腐屋の仕事は結構きついよ」
腰を抑えるジェスチャーをしながら、笑顔で語る吉正さん。豆腐作りは想像以上に重労働だ。
豆腐作りに使用する大豆の量は、1日でおよそ50kg。調理過程の中には、材料の上げ下ろしや機械の操作などがあり、体に負荷がかかる場面はなかなか多い。

豆腐作りは、時間がかかる

「ヤマチョウの豆腐は、味が濃くてうまいんだ」と、同僚に聞いたことがある。
市販のものと比べて、何が違うのか。こっそり吉正さんに聞いてみた。
「さっきも言ったけど、豆腐作りはとてもシンプル。豆を蒸して、搾って、搾り汁に”にがり”を入れて、型に入れて固める。それだけなんだけど、ちょっとはこだわるよね」
聞けば、一般的な製法に比べて、豆腐を固める時間を長くとっているとのこと。それに合わせて、材料の配合も変えているようだ。
「油揚げ用のタネなんかは、9時間以上プレスしてるかな。ふっくらと仕上がらないから。他の豆腐屋には”よくやってるね”なんて言われるよ」
納得のいく商品を作り出すために、精魂を込める。そうやって、皆に愛されるヤマチョウの豆腐が作られてきた。

好きなようにやるから続けられる

「この豆腐屋は自分で3代目になるね。元々は義理の祖父が中央区の助信でやってて、終戦後に天竜へ来た。当時は二俣も活気があって、賑やかだったとのことでね」
当時は久根鉱山(佐久間町大井)や、峰之沢鉱山(龍山町下平山)などで採掘が盛んに行われており、ヤマチョウの豆腐は二俣以外にも配達されていたそうだ。
そんな歴史ある豆腐屋に婿入りした吉正さん。豆腐作りを一から学んだとのことで「豆腐作りは見て覚えた」と、笑いながら当時の様子を教えてくれた。
「作業自体は昔から変わらないけどね、機械が入ったりして、方法は変わってきた。失敗もあるけど、自分好みの味を目指して作ってきた。好いた(好きな)感じで作っているから、続けられるんだよな…。ただ、嫌だと思わんように、自分に言い聞かせてるよ」

昔ながらの豆腐屋家業を、今日もひたむきに続ける職人。
これまでも、これからも。皆が好きな”味”を守り続ける。

 

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