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更新日:2022年3月31日

地域の伝統を守る人たち

やさしく水面を見守る

子供の頃から知ってる。今も変わらぬ川辺の景色。(PDF:356KB)

10月中旬、日の光を浴びて輝く清流に、子供のころから変わらぬ味を追い続けている、ある愛好会を訪ねた。

趣味が高じて

ここは、愛知県を源流とし、天竜区佐久間町を流れ、天竜川へ合流する天竜川水系の大千瀬川(おおちせがわ)。
昔から秋になると、大千瀬川の流れをせき止め、産卵のために川を下る「落ちアユ」を竹や丸太を組んで作った柵へと追い込む「やな漁」が行われてきた。
やな漁を行っているのが、漁協から許可を得た”やな組合”である。
「9月にやな場を設置しただが、台風の影響で川が増水してな、仕掛けも小屋もすべて流されて大変だったよ。でも、皆アユが大好きで暇人だから、急ごしらえだけど、仕掛けも小屋も設置しただよ」そう話すのは、会員の柴田芳弘(しばたよしひろ)さん。
やな組合は30年ほど前から活動を続け、現在は9人のアユ好きが集まっている。年齢は70から80歳代。9月下旬から11月下旬までやな場を設置し、漁を楽しんでいる。

知ってほしい味

「柴田さんは地元の漁協組合の役員を務めた人で、アユのことなら何でも知ってるよ」と、を囲炉裏(いろり)を見守る会員さん。
会話の途中で「来た、来た」と川を指さすと、そっと、足早にやな場へ向かった。冷たい川に足をつけて仕掛けをのぞくと、金色に光ったアユが中で跳ねていた。
アユを手早く、大きな桶へ移し、やな場のすぐ横にある小屋で手際良くを打ち、炭の周りに並べていく。良型のアユは25cm以上もあり、雌のアユは子持ちでお腹がパンパンに張っているとのこと。
「今年は、漁期の良い日に台風の増水で良いアユが全部下ってしまった。その後は、雨が少なくて水量も減っているので捕れるアユが少ない」と、少し残念そうにつぶやいた。
「落ちアユは、曇りや雨の日は下らない。水量が少なくてもダメだ。雌が上流から降りてこないと、雄も降りてこない」
柴田さんの知識は驚くほどに深い。なぜそんなに詳しいのか、尋ねてみた。「子供のころから、アユを捕まえたり釣ったりして生活してきたからね」と顔がほころぶ。
「ここの川のアユが一番美味い、夏にはこの川のアユが食べたくて他市町からわざわざ友釣りに来る人もいる。それなのに、地元で友釣りをする若者が減っている。こんなに美味しいアユが捕れることを地元の人こそ知ってほしい」と、顔を引き締めた。

アユへの思い

漁協組合の役員時代には、多くの人にアユ釣りを楽しんで、美味しいアユを味わってほしいという思いから、放流する良いアユの買い付けに奔走したそうだ。
「昔はたくさんの旅館や料理屋があって、アユ料理を提供していたが、今は少なくなって…。この町はアユで生活してきた町。アユが捕れなくなったらおしまいだ」と、川を見つめた。
やな組合の人たちは、アユを捕るだけではなく、これから先もアユがこの地で愛され、食され続けることを願いながら、川の中のアユをやさしい目で追っていた。

 

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