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更新日:2020年3月26日

ごみを資源に変えてしまう人

太陽や風、雨や土。自然の中で生きることができる幸せ。(PDF:250KB)

お母さんたちの優しさ

生ごみを堆肥化する人今でこそ「エコ」という言葉が一般的になっているが、この団体は、20年以上も前から「エコ」を冠した名前で活動を続けている。その名も「エコピュア佐久間」。佐久間町浦川地区で環境保全やリサイクル活動などを地道に実践してきたお母さんたちの会だ。

その取り組みは、一言でいうと「生ごみのリサイクル」。地域から排出される生ごみを回収し、これを堆肥化。その後、堆肥を使って野菜を栽培し、各家庭で消費するというものだ。この行程を繰り返し続けて20年。活動のきっかけを「子どもたちが育つ環境のために”お母さんたち”の目線で何かできないかなって思ったんですよ」と話してくれたのは、会の代表・金森さんだ。金森さんの話には「子どもたち」や「小学生」という言葉が何度も登場する。「地に生命、子どもたちに未来を」というキャッチコピーを掲げているエコピュア佐久間。結成時から現在に至るまで、地元の子どもたちを豊かな環境の中で育てたいというお母さんの温かい気持ちは変わらない。

今回、このエコピュア佐久間に竹の堆肥化を依頼した。70代のお母さんたちが中心の団体であることから、無理を承知でお願いしたつもりだったが、結果的には二つ返事で引き受けてもらえた。金森さんがいう「新しいことにチャレンジすることが楽しみ」という言葉。とてもありがたかった。人はいくつになっても挑戦する、そうした気持ちを忘れてはいけないということも教えてもらった気がした。

子どもたちへの眼差し

畑を耕す人以前は、毎週月曜日に地域内およそ30軒を回り、生ごみを回収していた。その量は、1回あたり150キログラムにもなった。これは年間に換算するとおよそ7トンにも及ぶ。「ごみの回収業者さんから、この地域はごみが少ないね、といわれるのがうれしかった」と金森さんは笑顔で話す。会員が高齢化してきたため、車での回収は数年前からできなくなったが、今では各家庭から直接、団体で管理する農園まで生ごみが持ち込まれ、堆肥にするためのコンポストと呼ばれる容器に投入される。

生ごみを分解するのに必要な「ボカシあえ」も手作り。これは、もみ殻や発酵液などを混ぜて作られる。最近では、自家処理する家庭も増えてきており、ボカシがほしいという声を受け配布もしている。「ボカシがなくなると困るっていわれるから、なかなかやめられないね」と金森さんは苦笑いした。誰かに頼まれると断れない、優しい人柄なのだ。

農業で作られた大根こうした金森さんたちの活動を地元の子どもたちが見学に訪れることもしばしば。「正しい処理をすれば、生ごみの臭いも出ない」と金森さんはいう。子どもたちは、コンポストの蓋を開けて「臭くない」と、まず驚くそうだ。そして、自分の家から出たごみが土に戻ることに2度目の驚き。「その反応が、とても素直でうれしい」と金森さんは優しく笑った。

今年は、職場体験で農場を訪れた地元の女子中学生がいたそうだ。「その女の子がね、将来、おいしい野菜を作りたいからここに来たっていうんです。そういわれた時、私、本当にうれしくってね」と金森さん。「生ごみを埋めたり、土をいじったり、そんなことを若い子がやってくれたんですよ」と目を潤ませながら続けた。この話は、長年の活動が一つの実を結んだ結果なんだろうと思った。しっかりと着実に「子どもたちの未来」につながっているのだ。

自然に感謝、人に感謝

竹の堆肥化を待つ畑堆肥を使って育てた野菜は、本当によく育つという。農園はオーナー制になっているが「ここで作った野菜はおいしい」と評判だ。金森さんの言葉を借りれば「自然の力で育てているから、野菜本来の味がする」ということなのだろう。金森さんは「太陽や風、時には雨。土を触りながら生きられることって幸せだな、って私は常に思っているんです」とも話してくれた。自然への感謝する姿勢を忘れることはない。続けて金森さんは人への感謝も口にした。「ここで仕事をしているとたくさんの人が寄って来て、声を掛けてくれる。手を止めさせて悪いね、なんて、みんないうけど、そんなことはないんです。こちらは、体も心も休ませてもらってるといつもありがたく思っているんです」。世の中、そんな風に考える人ばかりではない。多くの人が足を運ぶ理由は、その人柄があってこそなのだと感じた。

私たちがお願いした竹の堆肥づくりも、いろいろと試行錯誤を重ねながら、順調に進めてくれていた。竹は繊維が強いため、コンポストを使うのではなく、直接、畑の土に混ぜ込み、冬の間、時間をかけて堆肥となるように待つそうだ。「4月になったら、元気なジャガイモが出てくるはずです」と金森さん。マルチシートが張られた畑を見回しながら「元気で大きくなってね」と声を掛けた。その一言が、とても自然で、温かい気持ちになった。野菜が大きくなるためには、太陽や土だけでなく、きっと作り手の優しさが大切な栄養素の一つになっている。

4月になったら、金森さんの笑顔に会いに行こう。今から、新しい春が来るのが待ち遠しくて仕方がない。

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