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じいちゃん

No.5633
小学校5年生

 私の祖父が膵臓がんになっていて、急に体調が悪くなってしまったので、急きょ熊本の病院に行くことになった。
 出発する直前に兄とケンカをしてしまった。それは、私が捨てためいろを拾って兄が持っていこうとしたからだ。私もほしくなったから、「返して、返して。」と何度も何度も言った。そしたら、いきなり姉に頭をたたかれた。私は頭にきて姉に、「死ね。」と言ってしまった。
 後で時間がたって考えると、みんな祖父のことが心配なのにケンカをしている時じゃない、と姉は教えてくれたんだと分かった。姉に「死ね。」と言わなければよかった。そのせいで熊本にとう着するのもおそくなってしまった。もしも、間に合わなかったら後かいするのは自分だと思った。
 着いた日の夜中に、私は母に起こされた。祖父の容態があぶないと言われ、病院に急いで行った。「じいちゃん、がんばって。もう少しがんばって!」とよびかけても返事は返ってこなかった。
 おそう式で、みんなととった写真をふり返る場面では、また祖父と一緒にゲームセンターや温泉に行きたくなった。火そう場に行って最後のお別れの時、「もう本物のじいちゃんに会えない。」と思うと、すごく悲しくて涙が止まらなかった。
 祖父が亡くなって、私は命が消えるということについて知った。この世の中、亡くなってもいい人は1人もいない。
 私はこれから先、絶対に、「死ね」という言葉は使わないと決心した。

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