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おばあちゃんの手

No.4759
小学校5年生

 私のひいおばあちゃんは、今年で97才だ。自分で歩けないから車いすに乗っていて、トイレに行く時には手伝ってもらうし、オムツもつけている。私のことを覚えている日もあれば、忘れてしまっている日もある。死んでしまった人がまだ生きていると思っているし、自分が何才かわからないこともある。
 でも、かけ算の九九は、スラスラ言えるし、おもしろいことを言って笑わせてくれたり、いろいろな歌を歌ってくれたりする。会いに行くととても喜んでくれて、
「よう来たな。」
と京都弁で言いながら、シワシワの細い手でギュッと私の手をにぎってくる。
「いたたたたっ。」
と私が大げさに言うと、ひいおばあちゃんはいつもクククッといたずらっ子みたいに笑う。その笑い方がおもしろくて、私もいっしょに笑う。
 でも最近、ひいおばあちゃんは元気がない。ねている時間が長くなって、この前は食事のと中で眠ってしまったし、あまり話もしなくなった。会いにいってもボーっとしていて、笑わなくなった。
 ある時、ひいおばあちゃんが、
「体がしんどいし、もう死にたい。でも死ぬのは怖い。」
と言った。それを聞いて私は心ぞうがドキッとなった。私はだまってひいおばあちゃんの手をにぎった。シワシワの細い手がとっても冷たかった。
 帰る時間、ひいおばあちゃんに
「またすぐに会いに来るからね。」
と言うと、ひいおばあちゃんは、
「うん。また来てな。車に気をつけて。」
と少しだけ笑顔になった。
 またすぐに会いに行くからね。

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