緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年11月20日
2024年11月15日
(中野市長コメント)
会計別の補正額としては、一般会計の補正額が40億4,900万円の追加、特別会計の補正額としては314万2千円の追加となっております。また、企業会計の補正額は1億502万5千円の追加となっております。次に、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた補正後の総額は7,102億9,014万4千円となっております。また、一般会計において債務負担行為の設定および変更を行いますほか、特別会計、企業会計におきましては債務負担行為の設定を行うこととしております。
今回の補正予算では、安全・安心・快適なまちづくりや、教育環境等の整備、子育て医療環境の充実といったことに要する経費のほか、人事委員会による職員の給与等に関する報告および勧告を踏まえ、浜松市職員の給与に関する条例等の一部改正に伴う人件費等の追加を行うものとしております。また、学校体育館等へのスポットクーラーの整備、道路河川等の維持修繕および改良工事など、次年度の円滑な事業実施に向けた準備期間の確保や事業費の平準化などを目的とした債務負担行為の設定を行うこととしております。
まず(1)安全・安心・快適なまちづくりについては、国の追加内示が見込まれている事業について予算を追加するほか、令和6年の台風第10号による被害を踏まえ、災害復旧費を追加することとしております。
(2)教育環境等の整備については、夏場の熱中症対策を速やかに推進するということで、市立の学校体育館および市民利用が多い指定避難所体育館にスポットクーラーを整備することとしております。また、小中学校における受変電設備や管理諸室等の空調設備の計画的な更新や、大規模地震あるいは荒天時などに児童生徒を一時的に学校に留めおく場合に備え、学校用の非常食を配備するために債務負担行為を設定することとしております。
(3)子育て医療環境の充実については、市内企業からの寄付金を活用し、低所得の1人親世帯等に対する生活支援のための支援金を支給することとしたほか、公費負担医療の受給者証としてマイナンバーカードを活用するための医療機関等に対するシステム改修経費の支援といったことに要する経費を追加することとしております。
(4)その他としては、今回、クラウドファンディングを活用してかわな野外活動センター天体望遠鏡の駆動装置の更新を行うために必要な経費を追加することとしたほか、LINEチャットボットを活用した連絡ごみの収集申し込みの際の電子決済手段を拡充するということで債務負担行為の設定を行うこととしております。このほか、人事委員会による職員の給与等に関する報告および勧告を踏まえ、浜松市職員の給与に関する条例等の一部改正に伴う人件費等の追加も行わせていただきます。
(5)債務負担行為限度額の設定等については、124件・173億円余りとなっております。主なものとしては、(ア)WTO特定調達契約ほか契約準備期間の確保および複数年度にわたる事業、(イ)工事時期の平準化に伴うものなどとなっております。また、債務負担行為の変更についても6件・7千万円余りの減額を行うことをしております。
議案については、ただいまご説明しました補正予算の他に条例の一部改正が7件ございます。主なものといたしましては、浜松市事務分掌条例の一部改正、こちらにつきましては令和7年の4月に予定しております組織改正に伴いまして、条例の一部を改正するものとなっております。また、特別職報酬審議会の答申や、いわゆる人事委員会勧告を踏まえ、本年度の期末手当、職員の給与の改定を実施するための条例改正を予定しております。この他の議案といたしましては、アクトシティ浜松Dゾーン改修工事をはじめとする工事請負契約に関する議案などの提案を予定しております。
2025年度市政運営の基本方針を策定しましたのでそのご報告です。浜松市の総合計画は基本構想、基本計画、基本方針がそれぞれ30年計画、10年計画、単年計画ということで構成しているわけですが、今回ご報告するのは2025年度単年の計画となる市政運営の基本方針についてとなります。これは2025年度の市政運営における基本的な方針と重点化する施策の方向性を総合計画で定めている分野ごとに示していくものとなります。先ほど触れた10年計画の上位計画であります次期基本計画が来年度スタートとなりますので、新たな基本計画の初年度の予算をどのように組み立てるかの基盤となるものとなっております。
まずはじめに基本的な考え方として、「元気なまち・浜松」の実現に向けた考え方をお示ししております。日頃から申し上げている通り、浜松市は大変多くのポテンシャルを持っているわけですが、一方で人口減少が進行している状況にもあります。そういった人口減少の流れを食い止めるために、また、住んでみたい・住み続けたいと思われるまちとなるように、市民が幸福を実感できるまちを目指していきたいと考えております。そのために、あらゆる政策を総動員して市民・地域・企業の皆さんをはじめ「オール浜松」で取り組みを進めていくことを示しているものでございます。
続いて2025年度の基本方針については、新たな基本計画においては中期的な展望に立って定める政策を総合的に進めることとしております。合わせて、さまざまな政策分野の個別計画を策定し、実効性のある政策を力強く推進してまいります。災害に強いまちづくり、中心市街地や中山間地域の振興、少子化対策の充実など、とりわけ重点的に取り組まなければいけない課題に分野横断的に取り組むとともに、政策の推進に向けて組織体制の整備も行ってまいります。
次に具体的な取り組みについては、それぞれの分野ごとに説明いたします。
まず産業・経済分野においては、次世代モビリティなどの新産業創出支援やインドの経済交流の強化、また訪日外国人旅行客の獲得向上といったしごとの創生・まちのにぎわい創出を進めることによって、多くの人材を惹きつけるための施策を実施することとしております。
次にこども・教育分野においては、ライフステージに応じた切れ目のない支援により、少子化対策を一層推進していくこととしております。不登校児童生徒への支援体制の充実、また市立の学校体育館への大型スポットクーラーの導入など、子どもたちが安心して学び過ごせる教育環境の向上に取り組んでまいります。
安全・安心・快適の分野においては、新たに中山間地域の倒木による停電を未然に防ぐということで、電力事業者が実施する予防伐採を促進していきたいと思っております。また、国土強靱化に資する災害に強い道路ネットワークの強化や、インフラの老朽化対策といったことにも引き続きしっかりと取り組んでまいります。加えて、河川改修、貯留施設等の整備といった流域治水の取り組みも加速化してまいります。
環境・くらし分野においては、市民の皆さんと一体となって家庭ごみの減量化・資源化に引き続き取り組みますほか、市域のカーボンニュートラルの実現に向けた官民挙げての取り組みも推進してまいります。
健康福祉分野においては、健康寿命を延伸させる取り組みを強化し、高齢者の活躍を推進していきたいと思っております。また、将来の健やかな妊娠出産、子どもの健康といったものに向けたプレコンセプションケアについても推進してまいります。安心して就学を迎えられるようにということでは、5歳児の健康診査、地域のフォローアップにかかる体制の整備も新たに取り組んでまいります。
文化・スポーツ分野においては、市内の合唱団の交流や高校生等による音楽祭の開催といった、若者が活躍する音楽のあふれるまちづくりを推進してまいります。また、浜松アリーナや四ツ池公園運動施設、新武道館など、新たなスポーツニーズに対応した大規模施設の整備も推進してまいります。
最後に地方自治の分野においては、来年2025年度は天竜川・浜名湖地域12市町村の合併からちょうど20年の節目となるわけでございます。それに合わせ、これまでの20年を振り返り、これからの市の発展に向けてということで記念事業も実施をしたいと考えております。
以上、今後この基本方針に基づいて来年度に向けての予算編成を行ってまいります。その上で、議会において当初予算の審議・議決を経て、2025年度の事業を進める実施計画を策定していきたいと思っておりますのでよろしくお願いいたします。
浜松市は健康・長寿のまちということで、ウエルネスシティ(予防健幸都市)の実現に向けて浜松ウエルネスプロジェクトを推進しているところです。その取り組みの一つとして、ヘルスケア産業の創出を目的とした「浜松ヘルステックシンポジウム」を毎年実施しているわけですが、今年も来月12月17日(火曜日)午後2時からグランドホテル浜松で開催することとしました。今年度のテーマは「食」と「ヘルステック」となっております。健康の一番の基盤・基礎でもある食と、この地域の強みでもありますヘルスケア・医療テクノロジーといったものを融合し、新たな価値を創造するヘルステック。その相乗効果から、近年では全国的にもヘルスフードテックというものも注目をされておりまして、今回のフォーラムでもヘルスフードテックの進展の状況と今後への期待、さらには健康維持に向けた活用方法といったことについて、基調講演やパネルディスカッションなどを実施いたします。今回の基調講演では、昨年2023年にイグノーベル賞を栄養学の分野で受賞をされた明治大学総合数理学部の宮下芳明教授をお招きしてご講演をいただくこととしております。また、パネルディスカッションでは地元の大学関係者、保健事業者、大手企業、スタートアップ、さらには農林水産省からもご登壇をいただくこととしております。今回の内容も多くの企業、また市民の皆さま方にとって大変身近なことだと思います。また、内容的にも大変興味深いものとなっておりますので、ぜひ多くの皆さんにご参加をいただきたいと思っております。
記者:市民にすごく身近なところとしてスポットクーラーの整備事業が入っているかと思います。こちらは教育環境等の整備として挙げられていますが、指定避難所体育館も含めた形となっているということで、安全・安心・快適なまちづくりの意味合いも込めての計上という認識でよろしいでしょうか。
市長:これは両方にかかるものであると思っております。金額的には市立小中学校および高校の体育館への大型スポットクーラー設置が大多数でありますので、主にそちらに計上させていただいておりますが、それ以外にも、市民体育館の中でも普段の利用が多くかつ避難所指定を受けている箇所の整備も今回合わせて実施しますので、そういった点で、普段からの教育環境、スポーツ利用環境の改善と合わせて災害時の避難所・避難環境の確保・改善の両方を行わせていただくというものです。
記者:災害の激甚化、夏の暑さは年を追うごとに強く感じられる状況が続いていますが、児童生徒、それから体育館を利用される皆さまにとっては「ようやくやってくれるか」という印象ではないかと思います。今、このタイミングになったことについてはどういった事情からでしょうか。
市長:ここ数年で気候変動の影響が本当に急激に出てきているのだろうと思っています。夏場に猛暑日が連続する状況も、線状降水帯をはじめとする大雨被害もたびたび、しかも激甚なものとなったのはほんの数年のことということもあって、これまで十分な対策を講じることができなかった分野への対策をこれからやっていかなければいけないと思っております。ただ、実際に学校に空調を設置しようと思いますと、そもそも断熱からして全くできていない建物もありますので、そういった設計工事まで含めておよそ5年がかりのこととなります。5年間皆さんに待っていただけるかというと最近の状況を考えるととてもそうではないということもありましたので、今回緊急対策ということで大型スポットクーラーを設置させていただくことにしました。
記者:各事業についてご説明いただきましたが、県内初あるいは浜松ならではの事業がありましたら教えてください。
市長:難病患者の医療制度等電子化システム改修事業を計上しておりまして、これは公費負担医療・難病医療の資格確認をオンライン化するということで、マイナンバーカードの活用を図るような事業となっておりますが、県内では御殿場市、南伊豆町、浜松市の3市町が初めて国に事業採択されたものとなっており、3市町が県内で初めて事業化したことになります。その他、浜松市特有ということで申し上げますと、来年に向けて債務負担行為の設定を行うこととしております市立美術館の企画展「大ガラス絵展」がございます。こちらは、日本でも有数の、といいますか我々的には日本一と思っておりますガラス絵のコレクションがあるのが浜松市立美術館の特徴であり売りではあるわけですが、それを活用した日本初の総合的なガラス絵の展覧会を来年開催させていただこうと思っているものであります。こういったものが特徴的なところと考えております。
記者:三遠南信道の関連についてお伺いします。産業面での影響も非常に大きいと思うのですが、飯田方面にも自動車部品や精密機械系のメーカーがあり、また農産物の面でも、三遠南信道ができることで期待できる産業面のメリットというか、浜松市にとっての利点があればお考えを教えていただけますでしょうか。
市長:今回の補正予算でも三遠南信道の道路整備に関する予算を追加させていただいております。長らく、我々「三」「遠」「南信」からも整備促進に向けて働きかけてきたこの事業ですが、青崩峠のトンネルも貫通し、中の工事も着実に進んでいると伺っておりまして、いよいよ全線開通も近いのではないかと期待が非常に高まっております。とかく、東三河、遠州、南信州については、辺境の地と言ったらまた語弊がありますが、お互い県庁所在地からある程度離れたところにある地域ではあるのですが、県境を取り払ったこのエリアの潜在力を考えれば非常に大きなものがあると思っております。現にさまざまなものづくり産業をはじめとする産業の集積もありますし、かつ、今でもお互いが相互に連携し合ってという部分もありまして、そこを貫くこの道路がいよいよ完成するとなれば、より密接にこの地域経済・産業の連携を取ることができ、更なる経済成長・発展にもつながるのではないかと大いに期待しているところです。さらに申し上げれば、この三遠南信道というのはリニア中央新幹線の長野県駅にも接続する形になってくる、また、これは別途国に要望させていただいております浜松湖西豊橋道路まで三遠南信道からつながれば、豊橋港・三河港とも連絡するということで、交通モードを超えた連携の基軸にもなりうると思っております。これは単なる道路輸送・道路交通の利便性を超えた力が発揮できる道路だと思っているところです。いずれにしても、この三遠南信道地域の成長発展の起爆剤になる道路になるのは間違いないと思っておりまして、そういった点でも1日も早い完成に向けて、我々としても担当部分についてしっかり工事作業を進めてまいりますし、国に対して1日も早い開通に向けて事業進捗の要望をしていきたいと引き続き思っているところです。
記者:市政運営の基本方針についてお伺いします。基本方針という事柄の性質上あらゆる分野についての言及があって、どれも重要な課題だと思いますが、中野カラーを出していくという意味では、どんなところで独自の市政運営をやっていきたいのか、力を入れられる分野を教えてください。
市長:今回の市政運営の基本方針が言ってみれば来年度から始まる10年計画である次期基本計画の初年度の推進の方向性を示したものということになりますので、最初からあまり一点豪華主義のような「これだけやります」といった話ではないと思っております。新しい10年計画を満遍なくしっかりスタートできるような方針を示させていただいているのが今回の市政運営の基本方針となります。ただそういった中でも、とりわけ喫緊の重点課題、これは10年計画の基本計画の中でも重点課題ということに位置付けることになるはずでありますが、災害対策や、産業の振興、さらには中心市街地・中山間地域の振興、そして何より少子化対策といった分野が重点分野だと思っております。また加えて、それらの分野というのは単独の部だけで完結する話ではなく組織横断的に取り組まなければいけない分野でもありますので、そういった重点分野についてしっかりと漏れ落ちがないように組織全体として取り組めるようにということで、今回の基本方針で示させていただいたところです。
記者:基本的な考え方からお伺いします。人口減少については、もちろん浜松市だけでなく本当の大都市以外の都市が直面している問題だと思うのですが、今浜松市において人口減少が進んでしまっているいろいろな要因がある中で、一番大きい要因を挙げるとしたら何だと思われますか。
市長:繰り返しになるのですが、浜松はこれほどさまざまな資源があり、魅力があり、ポテンシャルがあり、とりわけ産業基盤ということでは非常に分厚いものがありますので、こういったところで人口が減少するというのはなかなか考えられないことだと思っています。本来こういった地域だからこそ、さらに成長発展を続けることができる、それが日本全体の成長発展にも貢献できる、そんな地域だと思っているわけでありますが、残念ながら人口減少が起こっている状況です。浜松で起きている人口減少の要因を分析していきますと、大きく二つの要素に行き着くと思っております。一つは少子化。残念ながら子どもが生まれなくなってきておりまして、この10年間だけ見ても生まれる子どもの数が3割減っているということで「これでは人口も減るな」という状況です。それともう一つは、とりわけ東京圏に、これまたとりわけ若者が流出をしてしまっているということ。要するに若者がこのまちを選ばない、もっと悪い言い方をすればこのまちを捨てて東京へ行ってしまうということが起こっている状況です。少子化と若者の流出、これが一番大きな原因だと思っています。従いまして、まずはここを何とかする、ここから改善していくということが今後の市政運営の方向性として、人口減少を食い止めるということを考えたときにまずは重要なことと思っております。そういった観点から、今回の基本方針にもさまざまな施策を盛り込ませていただいております。
記者:先ほどの質問の答えにもありましたが、基本方針ということで一度全方位的なものを出すというのはすごく必要なことだとは思うのですが、今、市長が自らおっしゃった課題に対して、やはり施策を打ち出していかなければいけないというのが実情だと思います。そう考えた際に、もちろん喫緊の課題もあるでしょうし、10年間かけて構築していきたいものもあるとは思うのですが、いろいろ施策を示されている中でも特にこれを大きく打ち出していきたい、最も力を入れていきたいという部分を教えていただけますでしょうか。
市長:先ほど申しました通り、我々市の行政は総合行政であり、また、10年計画の初年度に当たる年でもありますので、この施策だけやっていきますという言い方ではなく、次の10年計画がしっかりとスタートダッシュを切れるように満遍なく見渡してこの方針を作らせていただいております。そういった点では、どこが重点分野なのか分かりづらいというのはおっしゃる通りかもしれませんが、これも先ほど申し上げました通り、その中でも特に進めていかなければいけないと思っておりますのが人口減少に対応する地方創生であります。地方創生というのは「まち」「ひと」「しごと」の創生でありまして、しごとの創生に関わる産業の振興、ひとの創生に関わる少子化対策、そしてまちの創生に関わる中心市街地活性化・中山間地域の振興、あるいは安心・安全なまちづくりに直結する災害対策のような分野は特に重点的に取り組まなければいけない分野であり、かつ、またそれぞれ個別の部が頑張れば何とかなる話ではなく、組織横断的に全庁を挙げて取り組まなければいけない分野でもありますので、そういった分野がとりわけ私としても来年度重点的に進めたいところとなります。
記者:インドの関連についてお伺いします。今年の年末にインドに行かれると思うのですが、スズキさん、ヤマハさんなどがこぞって成長を求めてインドに相当な力を入れているという背景がある中で、行政としてどんなことをやっていきたいのか。企業は企業で進めていくと思うのでそれと連携するのか、それとも行政ならではのできることがあるのか、どのように考えていらっしゃるか教えてください。
市長:先ほど来申し上げております通り、我々浜松地域の最大の課題は人口減少だと思っておりまして、その人口減少が本来まだまだ成長できる地域の産業の成長の足かせになっているような部分も残念ながらも出てきてしまっていると思っております。そういった中、特に我々がインドと組んでやらせていただきたいことの一つが、高度な産業人材誘致であります。人口14億人を超えるインドは、今や世界最大の人口を擁する国家ですが、一方で非常に平均年齢が若い国でもあります。そういった国から、これからの浜松の地域産業の担い手たる高度人材の皆さんにぜひとも来ていただいて、共にこの地域の産業経済発展に向けて連携させていただきたいということもあって、今回我々としてもインドに行かせていただきます。その中では、インド工科大学ハイデラバード校などでも人材交流の協定を結ばせていただこうと思っているところで、多くのそういった方々に来ていただいて地域の活性化を目指していきたいと思っております。
記者:先日再任された静岡大学の日詰学長が、浜松医科大学との統合・再編問題に関して合意書をリセットし、事実上白紙に戻すということを表明されました。その受け止めをお伺いできますでしょうか。
市長:我々も報道で聞いている限りで、まだ正式にお話を直接伺ったわけでもないものですから、あまり断定的なことを申し上げる段階ではないのかもしれません。ただ正直に申し上げまして、今回実質的に大学再編をリセットするようなご発言があったということでは、我々地域、地元としては両大学で打ち出された統合・再編案が大学の生き残りという観点からも、ひいては地域の生き残りという観点からも必要なことであり、また望ましいことだということもあってずっと応援をしてきた経緯がありますので、今回リセットされるということでは、この4年間は果たして何だったのだろうと、非常に残念な、失望を禁じ得ないという状況です。悠長に構えておられても大丈夫だというご認識があるのかもしれませんが、実際、大学あるいは我々地域を取り巻く状況というのは、18歳人口もこれから激減していきますし、先ほども申し上げましたが、この地域としても若者の流出に残念ながら歯止めがかからない、かけられない状況にあるわけで、そういった中で魅力的な高等教育機関・大学を作るというのは待ったなしと言いますか、全く時間がないと我々も思って応援してきたわけであります。それが4年分何も動かないまま、振り出しに戻るということは、大学にとってどうなのかは我々がコメントする立場ではないかもしれませんが、地域にとって大変なダメージだと思っております。
記者:鈴木康友知事も大いに問題があるとお話しされ、静岡市の難波市長も苦言を呈されており、各方面から割とマイナスな言葉が相次いでおります。このまま何もしないと、結局大学が決めたなら白紙にしてということになっていくのだと思いますが、中野市長としてこれに待ったをかけるために、考え直してもらうために動こうというお考えはありますでしょうか。
市長:今、公式に世に出ている統合・再編案は両大学で合意されて進めるということで対外的にも示されているものだと思っていますので、生きているのはそれのはずだと思っております。我々としてはその統合・再編案がベストな案だと思ってこれまでも応援してきたわけでありますから、今の段階でもまだ生きているのであれば、その応援をしていきたいとは思っています。ただ、新学長と言いますか、再選された日詰先生がリセットされるということであれば、応援しようにもそれ自体がどうなるか危ういということなのだろうと思っております。いずれにしても我々がこうすべきだと決められる立場にはなく、我々は決まったものを地域として全力で応援するという立場でありますので、まずは大学間でしっかり議論していただいて、どうするのかを本当に早く決めていただきたいと思っております。また合わせて、これまでの唯一の公式の案が止まっていたのは地域の理解が得られないからというお話だったかと思いますので、日詰先生が提唱される新たな案がどんなものか、果たして我々が理解できるものなのかというところも含めて早くお示しいただき、ご説明いただきたいとも思っているところです。ただ、もともとの統合・再編が大学の生き残り、それがひいては地域の生き残りに関わるわけでありますが、大学の生き残りを考えたときに、競争的資金の確保とスピーディーな意思決定ができる体制の構築というのがこれからの大学の生き残りをかけた上で絶対必要だということでのあの案だったと思っております。それを考えますと、4年間放ったらかされた現体制がもう既に生き残りを賭けてやらなければいけないことが実現できていないということが図らずも証明されてしまったと思っておりまして、いずれにしても対外的に現在の統合・再編案が生きているうちは我々としてもそれを応援しますし、そうでないということであれば1日も早く大学でも方針を決めていただく、また我々地域にもどんな話なのかというのをご説明いただくことを求めていきたいと思っています。
記者:先ほどの市長がおっしゃった通り、この問題はいわゆる待ったなしの状況になっていると思います。それこそ、浜松市が抱える人口減少問題にも直結する問題だと思うのですが、そう考えたときに、市長は現時点でも静岡大学と浜松医科大学は統合・再編すべきだとお考えですか。
市長:統合・再編案として示された「1法人2大学」について、この浜松の地域だけで申し上げますと、浜松医大と静大浜松キャンパスが一つの大学を作って、それがまさに大学間の競争力を高めることにもつながり、大学としての魅力アップにもつながり、ひいてはそれが若者を呼び寄せる、研究者を呼び寄せる、さらには研究成果が地域に還元される、そういった点で素晴らしい案だということで応援してきたわけでありますので、その元々の案が一番良いだろうということは、私も我々地域も引き続き変わってはいないところです。
記者:統合・再編という意味において、簡単ではないのですが別のところと手を組むという考え方もあると思います。確かに静岡市と違って浜松市には静岡大学と浜松医科大学が両方あるのでそこはなかなか他の大学と、というのは選択肢として難しいのかなとは思う一方、いろいろな考え方があると思うのですが、やはり市長としては他の大学と組むというよりはこの二大学が組んでほしいとはお考えですか。
市長:我々の地域ということで言えば、古くから静大浜松キャンパスと浜松医科大学があるわけですから、ここで組んでいただくというのが、お互い気心も知れていてかつ地域との関わりという点でも密接でありますので、地域への波及・還元という点ではベストなのだろうと思っています。ただ一方で、先ほども触れたこれからの生き残りに必要な競争的資金の確保といったことを考えると、いろいろなところとの連携というのが重要な要素になってきます。競争的資金の確保のためにまた違ったところと組むというのはこれもまた必要であり、またそれが非常に大きな成果をもたらすということであれば、そちらを応援するということも選択肢としては出てくるのだろうとは思っております。
記者:前々から中野市長は、日詰先生には直接お話をお伺いする機会をいただきたいということをおっしゃっておられましたが、そういった返事がない中で今ここまで来ていると思います。市長は期成同盟会の会長でもいらっしゃいますし、改めて日詰学長にお話を伺うことをさらに強く求める上で、例えば手紙を出すのか直接電話をするのか、具体的にどんな方法があるのか分かりませんが、そういったお考えはありますでしょうか。
市長:今回、日詰先生の会見で合意書をリセットするというところまで言及されたようでありますので、これまではこちらからお声がけしても「まだまだ大学から外へ出てくるものではありませんから」といったお話でなかなか応じていただけなかったところがあるのですが、公式の場でも言及されたものとなりますので、改めてお話を聞かせていただけるように強く申し入れをしていきたいと思っています。
記者:先日の衆院選で躍進した国民民主党が提案している103万円の壁撤廃の実現に向けて自民党との協議が進んでいますが、中野市長はこの103万円の壁撤廃についてはどのようにお考えでしょうか。
市長:国民民主党さんが言われていることの一つが、労働力が非常に逼迫している中で、働き控えを誘発しないためにも壁の撤廃が必要だというお話と、あるいは数十年ぶりに物価と賃金が上がっているという中にあって、これを放置しておくと実質の手取り賃金は変わっていないのにより高い税率の所得税がかかってきて手元に残る部分が実質的に目減りするという問題、恐らくこの二つの課題認識で壁の撤廃ということをおっしゃっているのだと思っておりまして、それらはいずれも課題認識・問題認識としては理解し共鳴するところが私にもあります。ただ私から見ますと、103万円の壁に対して基礎控除をはじめとする控除でもってその二つの課題に対応するというのは何と言いますか、「そこじゃない」「それじゃない」というのが正直なところです。働き控えのような部分での103万円の壁ということでは、恐らく税制の話ではなくて130万円の壁とかと言われている社会保険料の方がより手ごわい壁だと思っておりまして、これは社会保険料の仕組みですので国の課題であります。また一方で、実質賃金の目減りを誘発するといった話は、これは元々所得の再分配機能が内包されている累進課税となっている国税の課題であります。そもそも住民税をはじめとする地方税というのは町内会や自治会の会費と同じような性格のもので、広く皆さんにご負担をいただいてこの地域を作っていくというものですから、その点では所得再分配といったことを考える国税と役割構造が全然違っております。そういったこともありまして、「我々地方税を巻き込まないでくれ、国税でやってください」というのが私の正直な感想であります。
記者:市長は総務省の元官僚でいらっしゃったということで、その辺のご経験からも今おっしゃられた103万円の壁ではなくて130万円の壁の方から何かしら考えていくべきだというお考えでしょうか。
市長:繰り返しになりますが、働き控えのような観点からならまずは社会保険料の仕組みに手を付けるべきだと思いますし、一方で働く皆さんの手取り云々ということで言えば、所得の再分配機能を果たすべき国税の方でお考えいただくべきもので、地方税も含めて巻き込んで税制でやるのは筋が違うのではないかなと思います。
記者:もし国民民主党が言っているように、年収の壁を178万円まで引き上げた場合、浜松市にはどのような影響が出るとお考えでしょうか。
市長:具体的にどういった仕組みで、どこをいじって壁の問題に対処していこうとされているかまだまだ不透明なところがありますので一概には申し上げられないのですが、国の方で減収の見込みを出されているやり方を拝借して我々の方で考えますと、恐らく単年で市民税・住民税の影響額としては200億円を超えるだろうと思っております。
記者:年収の壁を178万円まで引き上げた場合、浜松市の税収が減る額が200億円ということでしょうか。
市長:そういうことなります。加えて、これは実際にどういった仕組みでどうなるかは別として、国税・所得税が減収になりますので、そのうちの一定割合は我々もいただいております地方交付税の原資になるわけでありますから、その国税の減収を通じて地方交付税の原資が小さくなる影響というものもまた別途我々の方に関わってくる可能性があるのだろうと思っています。
記者:仮定の話で、もし地方税収が200億円減った場合、先ほど言われた来年度の市政運営方針にも関わってくるかもしれないのですが、この事業をやめるとか、具体的な考えはありますか。
市長:「200億円減ったらこの事業をやめます」といったような脅しみたいな言い方をするつもりはありませんので、今の段階で税収を減らすのだったらこの事業やめますといったようなことを言う気は全くありませんし、また先ほどの基本方針もそうですが、我々として取り組んでいる事業というのは、いずれも市民の皆さんの生活に直結して、この地域を維持し、またこれから先発展させていくために本当に必要なものだけを計上させていただいているつもりでおりますので、そういった点では正直止めようがないものとなります。では200億円の空いた穴はどうするのか、というところまで含めてしっかりと国の方でご議論をいただかなければいけないのではと思っております。
記者:トータルで考えると、103万円の壁の引き上げ政策の是非については、市長はどうお考えですか。
市長:繰り返しになりますが、そもそも問題認識・課題認識という点ではよく私も理解をしております。ただ我々地方税を巻き込んだ形での課題への対応はやめていただきたいと考えております。
記者:先日、愛知県豊橋市で市長選挙があり、その結果、新人の元市議の方が当選されました。豊橋市長選はアリーナの建設が一つの争点になり、新人で当選された方がアリーナ建設に反対の立場だったわけですが、この件で中野市長にお伺いしたいのが、豊橋の新アリーナ建設については、B1の三遠ネオフェニックスが本拠地として使うことを前提にその建設計画が始まったものとなります。三遠ネオフェニックスは豊橋と浜松の両方をホームタウンとしておりますが、今後、アリーナの計画が本当になくなってしまった場合、一番困るのは三遠ネオフェニックスになりますので、Bリーグから撤退するとか、ホームタウンを移さなければいけないとか、そういった選択肢が考えられるわけです。浜松市でも、先ほどの市政運営の方針において浜松アリーナのことが触れられていましたが、浜松アリーナの改修計画に今回の市長選の結果がどこまで影響してくるのか、また、まだ豊橋の話が全然進んでいないので今の段階では難しいかもしれませんが、三遠ネオフェニックスに対して何か働きかけるといったようなお考えが今の時点でありましたらお聞かせいただけますか。
市長:先般の豊橋市長選挙の結果、今回当選された方をあまり存じ上げないということもありますし、また、豊橋市民の皆さんの選択についてとやかく申し上げる気も全くありませんが、三遠ネオフェニックスは我々もホームタウンの仲間に入れていただいていると思っておりまして、そもそも地域活性化に関する連携協定も結ばせていただいている我々にとっての大事なパートナーでもあります。前シーズンでは中日本のブロックでも優勝もされている名門チームでもありますし、我々としてこれまでもしっかり応援をさせていただいてきたわけではありますが、これからも引き続き連携して応援させていただきたいと思っている、そんなチームであります。今回の詳しい経緯を承知しておりませんが、豊橋の新アリーナの計画が実質ストップされるということになるのであれば、我々としても三遠ネオフェニックスが更なる活躍をしていただくためにどういった応援ができるのかをしっかり考えていかなければいけないとも思っています。これから浜松アリーナの改修に入るわけではありますが、恐らく三遠ネオフェニックスのホームとして十分機能できる改修内容になっていたかと思いますので、三遠ネオフェニックスとしっかり連携を取りながら、もしこちらに軸足を移されるということが仮にあるのであれば喜んで受け入れさせていただきたいと思いますし、まずは三遠ネオフェニックスともしっかりお話をさせていただきたいと思っています。
←戻る
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください