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更新日:2023年12月1日
私は先月、ついに還暦を迎えました。節目の年となり、時々これまでの人生を振り返ることがあります。
大きな転機はいくつかありましたが、その一つが、大学卒業後、第一期生として松下政経塾へ入塾したことでした。入塾にあたっての最終試験は、松下幸之助翁との面接でした。30分間ほど質問を受けた後、最後に松下翁が「鈴木君、君から何か聞きたいことはないか」と問われました。そこで「松下塾長(当時)は、どういう基準で塾生を採用されるのですか」という質問をしてみました。すると、松下翁は少しほほ笑みながら「そりゃ君な、運と愛嬌や」とおっしゃられました。意外な答えにびっくりして、今でもその時のことを鮮明に覚えています。
入塾後の講義でも、松下翁はしばしば「運」の大事さを私たちに話されました。人並外れた努力で松下電器産業(現パナソニック)を世界的な企業に育て上げた人が、運のことを殊更強調されるのは、20代前半の頃の私には不思議でなりませんでした。
しかし60歳を迎えた今の私には、松下翁のおっしゃられる「運」、言い換えれば人知を超えた不思議な力みたいなものを何となく理解できるようになりました。
人生の中でのさまざまな人との出会い、節目節目の決断など、今振り返ってみると「運」の導きや助けがあったことを感じざるをえません。逆に言えば、大きな力に生かされているという感覚です。
かつて松下政経塾で講義をされたワコールの創業者、故塚本幸一氏は、太平洋戦争で従軍した部隊が全滅する中で、自分一人が奇跡的に生還した時に「自分は天に生かされている。これからの人生は、生かされた命を社会のために使おう」と決心されたという話をしてくださいました。
松下翁や塚本氏以外にも、何人かの人から同様の話を伺いました。自分の努力や才能以外に、不思議な力の存在を感じている人はたくさんいらっしゃいます。ただし、そうした人々に共通しているのは、努力を惜しまないという点です。何の努力もせず運頼みにしているというわけではありません。
「人事を尽くして天命を待つ」ということわざがありますが、不思議と人間の生き方には、普遍的な真理があるのかもしれません。
還暦を過ぎましたが、残りの人生も不思議な「運」の力を信じながら、市政運営にも努力を積み重ねていきたいと思います。
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