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更新日:2023年12月1日

市長コラム(平成28年4月)

日本の借金が心配

4月になると、新年度の予算がスタートします。この時期、よく報道されるのが、日本の借金問題です。周知のように国の借金は、既に1000兆円を超えており、何より恐ろしいのは、額が毎年増え続けていることです。この状態をいつまでも続けられるわけがありません。早晩、限界を超えることは明らかです。

私はずっとこの問題に関心を持ち続けてきましたが、きっかけは松下政経塾創立者、故松下幸之助氏の心配です。今から36年前、この塾に第1期生として入塾した私は、松下氏から日本の将来に対する危機感を聞かされました。

松下氏は『国が今のような経営をしていたら、21世紀になる頃には、大変な借金を抱えて破綻してしまう。だから国の経営のやり方を正さなくてはならない。そのために松下政経塾をつくった。政経塾の「経」の字は、経済ではなく、国家経営の「経」の字だ』と語っていました。

さらに「日本は極端な中央集権国家で、税金を中央に集めて、地方にばらまくようなことをやっている。これでは税金がいくらあっても足りない。だから地方分権を進め道州制にして、それぞれが頑張って、効率的な行政経営するようにしなければならない」とも警鐘を鳴らしました。当時は、まだ国の借金はほんのわずかでした。見事な慧眼です。

その頃から国家の将来を見据え、政治家全員が松下氏と同じ危機感を共有していたら、日本はこんな状態にはなっていなかったと思います。実に残念です。

私自身、国会議員を5年間務めましたので、その間、国の財政危機を論じ、財政の健全化に取り組もうとしましたが、あまりに国の仕組みが大きく複雑すぎて、なす術もありませんでした。巨大な政府の改革は、1人、2人の議員の力では何ともなりません。

しかし、市長になってみて感じたのは、浜松市の経営改革ならできるということでした。市長就任以来、将来のリスクに備え、毎年借金を減らして財政の健全化に努めています。おかげさまで浜松市の財政はかなり健全化し、ムーディーズという、世界的な格付け機関からも高い評価を受けています。

松下氏の指摘通り、中央集権の巨大な政府を解体して、道州制のように分権化したら、もっと効率的な経営ができるはずです。かつての国鉄は、国と同じ巨大な組織で、無駄と借金のかたまりでした。しかし、分割民営化でJRという見事な優良企業に生まれ変わりました。政府と国鉄は違うというかもしれませんが、本質は同じです。手遅れにならないうちに、抜本的に国の仕組みを変えるべきだと思います。

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