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更新日:2023年12月1日
秋といえば、食欲の秋と並んで昔から言われてきたのが、読書の秋。季節もよくなり、秋の夜長には読書が適しているということですが、この言葉の由来は、唐の詩人・韓かんゆ愈の詩にあると言われています。古来、過ごしやすい秋は、読書や勉学に向いていたんですね。
ところが昨今、若者をはじめ、日本人全体の活字離れが指摘され、読書の秋などと風流なことを言っていられない状況になってきました。
確かに今では、テレビなどの従来からあるメディアに加え、インターネットの普及で、さまざまな情報源に簡単に接することができるようになりました。またゲームをはじめ、娯楽の種類や数も昔と比較になりません。そうした環境の中で、特に子どもたちや若者に、読書に目を向けさせることは、以前よりは難しくなっています。
しかし読書は単に情報や知識を得るだけではなく、思考力や情操力を育てるために欠かせません。ぜひ本には親しんでもらいたいものです。
読書習慣はちょっとしたきっかけで身につくのではないかと思います。私自身、小学生時代はあまり本を読みませんでした。読書に目覚めたきっかけは「三国志はおもしろいから読んでみろ」という、中学校の先生のアドバイスでした。中学生には少々ハードでしたが、吉川英治の三国志を図書館で借りて読んだところ、あまりのおもしろさに、あっという間に読破してしまいました。その後、太平記や太閤記など、吉川作品もたくさん読みましたが、漱石や鴎外などの小説も読むようになり、次第に読書の幅を広げていきました。
幼い頃からの親友である小説家の鈴木光司君はもっと奥手で、高校を卒業するまでほとんど本らしい本を読んだことがありませんでした。その彼が、大学浪人中にふとしたきっかけで、太宰治の人間失格を読んで、小説のおもしろさに目覚め、突然小説家を目指すようになります。驚くことに、それからは一日一冊のペースで本を読むようになったので、彼の下宿はみるみる本で埋め尽くされました。それまでの人生を取り戻すかのように、読書にいそしんだ光司君は、とうとう小説家になるという夢をかなえます。
光司君の例を挙げるまでもなく、いい本との出合いが、その後の人生を大きく左右することすらあります。子どもたちには早く読書習慣を身に付け、いい本に出合ってほしいものです。
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