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更新日:2023年12月1日

市長コラム(2022年4月号)

高校生への特別授業

地方都市の人口減少が大きな課題となって久しくなります。主な原因は、出生率の低下と若者の大都市、特に東京への集中です。根本的解決のためには出生率の回復が重要で、これは国を挙げた取り組みをしていかなければなりません。一方、若者の東京一極集中にも歯止めをかけないと、地方都市の人口減少はますます深刻になります。人口が増加している地方拠点都市である名古屋市や福岡市でさえ、東京との関係では流出が流入を上回っています。もちろん浜松市も例外ではありません。

他の地方都市同様、進学で浜松を離れ、そのまま東京などで就職してしまうケースが多いことが主な原因です。人口減少で大学の淘汰(とうた)が始まっている中、今後市内に大学を増やすことは現実的ではありません。従って進学のため、いったん故郷浜松を離れることはやむを得ませんが、卒業後再び浜松へ戻って来る若者を1人でも増やしていくことが重要です。

この取り組みに際して私は「卒業間際の大学生へのUターンの呼び掛けでは遅い。鍵は浜松で生活をしている高校生ではないか」と考えました。そこで高校生に対し、気付いていない浜松の素晴らしさや市が取り組んでいる施策などを学んで、故郷に対する興味や関心を深めてもらい、卒業後に浜松に戻ることも人生の選択肢の一つにしてもらうため、私自らが高校生に対して特別授業を行っています。タイトルは、ずばり「いい街☆はままつ授業」です。取り組みを始めてから7年目に入りました。1・2年生を対象にしているので、おおむね2年で市内の全高校を回ることを目標にしています。既にほぼ2回ずつ回っており、多いところは3回訪問しています。

講義の内容は、国土縮図型都市と呼ばれる浜松の特徴や政令指定都市で最も財政が健全であり、将来に不安のないこと。産業政策全般に取り組み、魅力的な企業や職場を増やしていること。ベンチャー企業の育成や誘致にも力を入れており、若者が活躍できる環境を整備していること。80万人が住む都会でありながら、30分圏内に山や海、湖、川など、あらゆる自然が溢れている都市と自然が共存する街であり、近年この環境を求めて、移住者が増加していることなど、普段気付かなかったり、知らなかったりする浜松の良さや魅力を分かりやすくお伝えしています。

講義を聞いた生徒さんから感想文を頂くのですが、おおむね好感触です。中には「授業を聞いて、自分も将来浜松の発展に貢献したいと思った」といった期待通りの決意を寄せてくれる生徒さんもいらっしゃいます。地道な活動ですが、1人でも多くの有為(ゆうい)の人材が、浜松へ定着してくれることを願い、今後も続けてまいります。

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