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更新日:2023年12月1日

市長コラム(2020年4月)

本格的な外国人との共生時代到来

先日、NHKスペシャル・令和未来会議「2020開国論」という番組に出演しました。「日本は昨年、本格的に外国人労働者を受け入れる方針を打ち出し、入管法を改正したが、現場ではいまだ種々問題が生じている。こうした中、今後外国人とどう共生していくのか」というのがテーマでした。私は外国人との共生が進んでいる自治体の首長という立場で、3人の専門家と共に議論に参加しました。

これまでの日本は、基本的に労働目的の外国人は入国させないという原則を貫いてきました。しかし現実はどうでしょうか。浜松にはおよそ2万5千人の外国人市民が居住していますが、そのうちのおよそ8割が永住や定住、つまり長期間日本に滞在することのできる資格者です。また多くの技能実習生や留学生が、労働力不足を補うことで経済が成り立っているのが実態です。「移民」の定義は確立していませんが、国連は1年以上滞在する外国人を移民と定義しています。これに基づけば、日本には既に多くの移民が存在すると言っても過言ではありません。

そうした中、昨年改正入管法が施行され、特定技能1号、2号という資格がつくられ、日本語習得などの条件を満たせば、限定された職種ながら、外国人が正式に働くことが可能となりました。技能実習制度などで、劣悪な環境や条件で働かされている現状があることを考えれば、画期的な改革だと思います。

しかし、残念ながら滞在期間が決められており、期限が来れば帰国しなければならないことや、特定技能2号でないと、家族の帯同が認められていないなど、制度は多くの問題を抱えています。私は、本人が働くことを希望し、受け入れ側企業も必要な人材と認め、一定の条件をクリアすれば、長期滞在を可能にすることと家族帯同は認めるべきだと思います。

浜松市の場合、1990年の改正入管法の施行で、多くの日系ブラジル人などが家族と共に住むようになりました。確かに当初は、生活習慣の違いや言葉の問題などで混乱も生じましたが、30年以上共生に取り組んできた結果、今では安定した共生社会が築かれています。世論調査によれば、外国人が住むと犯罪が増え、治安が悪化するという誤解を抱いている人が数多くいるようですが、浜松市は政令指定都市20市の中で、外国人の犯罪発生率は最低限の部類です。共生がうまくいけば、決して治安が乱れることはありません。

ヨーロッパのように陸続きのため、一度に大量の難民が流入するような状況が生じれば問題ですが、日本は幸いなことに島国ですので、計画的に外国人を受け入れ、しっかりと共生社会を築けば何の問題もありません。今や外国人労働力を求めている国は日本だけではありません。気が付けば、日本が外国人に見向きもされない国になっていた、というようなことがないことを祈ります。

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