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更新日:2025年8月5日
「水」は、飲料水や入浴、トイレなど、私たちの暮らしに欠かすことはできません。
今月の特集では、これからも各家庭に安全・安心な水を届けるために、市が取り組んでいることや今後の方針について紹介します。
直径60センチメートル、重さおよそ1トンの水道管を、深さ1.2メートルの地中に埋設する工事現場。
重機で水道管を吊(つ)り上げながら、慎重に作業を進めます(中央区植松町)
近年、全国各地で水道管の老朽化などによる漏水が頻発しています。公益財団法人日本水道協会の調査によると、全国で毎年およそ2万件もの漏水を含む管路事故が発生しています。管路事故が発生すると、数日間の断水を余儀なくされる場合もあります。
2024(令和6)年の能登半島地震では、最大でおよそ14万戸が断水し、建物倒壊地域などを除いて断水の解消に5カ月間を要しました。石川県七尾市など能登6市町や内灘町の水道管路1キロメートルあたりの被害率は、近年で特に被害率の高かった兵庫県南部地震に匹敵するなど、甚大な被害が生じました。
市では、上下水道施設の老朽化対策に加え、耐震化を計画的に進めています。耐震化の現状を見てみると、損傷すると広範囲で長期間にわたって大規模な断水や濁水が発生する可能性が高い「基幹(きかん)管路」と呼ばれる水道管の耐震適合率は56.2%であり、全国の平均をおよそ10%上回っています。また、2025(令和7)年度の国の目標もすでに達成していますが、今後も引き続き着実な対策を進めていきます。
2023(令和5)年度 水道基幹管路の耐震適合率
出典:国土交通省ホームページ
浜松市上下水道部職員のヨシズミさんが、水道に関する疑問に答えます。
「すいすいクラブ」ヨシズミさん
上下水道の仕組みを紹介している浜松市上下水道キッズサイト「すいすいクラブ」
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suisuiclub/
【質問】ここ数年、水道管からの漏水などのニュースを見る機会が増えたと思うけど、大丈夫?
【ヨシズミさん】水道施設は、産業経済の発展などに対応するため、高度経済成長期に整備されたものが多く、全国に耐用年数(法定耐用年数は40年)を過ぎた管が多く埋まっています。
市では、2023(令和5)年8月に、中央区伊左地町で水管橋の空気弁の老朽化によって漏水が発生し、30メートルもの水柱が噴き出しました。2024(令和6)年には中央区東若林町でも老朽化した水道管から漏水が発生し、道路が冠水しました。このような背景から、漏水のおそれがある水道管の更新を集中的に行っています。
また、2019(令和元)年度以降、市内総延長およそ5500キロメートルの水道管路について、5年間を目安に一巡するペースで漏水箇所の有無を確認する調査を行っています。これからも、デジタル技術を活用して調査の効率化を図りながら、漏水を早期に発見し、修繕を行うことで、道路陥没など重大な二次被害の防止を進めています。
2023(令和5)年度に発生した、水管橋の空気弁の老朽化が原因の漏水(中央区伊左地町)
2024(令和6)年度に発生した、水道管の老朽化が原因の漏水(中央区東若林町)
【質問】水道管の耐震化はどのように進めていくの?
【ヨシズミさん】災害時に救護所を併設した避難所になる学校や医療機関など、災害時にも水が欠かせない施設を市内に99カ所設定しました。今後10年間で、こうした施設につながっている水道管や下水道管などの耐震化を完了します(図「今後10年間で耐震化を完了する箇所(点線枠内)」参照)。その他の部分も、計画的に耐震化を進めます。
今後10年間で耐震化を完了する箇所(点線枠内)
【質問】水道管の老朽化対策や耐震化などを進めていくためには、費用もかかるのでは?
【ヨシズミさん】老朽化対策や耐震化の取り組みを含め、市の水道事業は、水道料金を主な収入源として運営しています。しかし、近年は人口の減少などによって水道料金が減少傾向にあります。
市の水道事業は2022(令和4)年度以降、赤字が続いていて、収入と支出のバランスを見直さないと、2026(令和8)年度には、資金残高が底をつき、会社でいう「倒産」と同じ状態となるおそれがあります(「水道事業の料金収入・資金残高の推移」グラフ参照)。
そこで、2025(令和7)年10月から水道料金を改定し、今後も安定した水道サービスを提供できるよう、計画的に事業を進めていきます。
水道事業の料金収入・資金残高の推移
※官公庁を除く
市では、水道料金と下水道使用料をまとめて、2カ月に1度請求しています。ここでは、代表的な3つのケースについて、改定後の料金を「2カ月分・税込」で紹介します。
世帯・使用水量 | 2025(令和7)年9月使用分まで | 2025(令和7)年10月使用分から【減額期間】 | 2026(令和8)年4月使用分から |
---|---|---|---|
3人世帯 (2カ月分の使用水量:40立米[リューベ]) |
10,208円 (水道4,312円、下水道5,896円) |
10,484円 (水道4,588円、下水道5,896円) |
10,904円 (水道5,008円、下水道5,896円) |
単身世帯 (2カ月分の使用水量:20立米[リューベ]) |
5,522 円 (水道2,200円、下水道3,322円) |
5,600 円 (水道2,278円、下水道3,322円) |
5,888 円 (水道2,566円、下水道3,322円) |
自営業 (2カ月分の使用水量:200立米[リューベ]) |
68,816円 (水道35,156円、下水道33,660円) |
72,050円 (水道38,390円、下水道33,660円) |
74,440円 (水道40,780円、下水道33,660円) |
詳細な料金表を市ホームページに掲載しています。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/ryoukin/kaitei2025.html
水道料金の改定について、動画でより詳しく説明しています。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/ryoukin/douga.html
【質問】市の水道水はどこで作っているの?
【ヨシズミさん】市で最大規模となる大原浄水場(中央区大原町)で、市全体のおよそ35%の水道水を作っています。水量が豊富な天竜川の表流水(河川の表面を流れる水)を主要な水源としているため、安定して水道水を供給することができます。
2番目に大きな浄水場の常光浄水場(中央区常光町)では、市全体のおよそ15%の水道水を作っています。主に天竜川の伏流水(河川の底にある、砂利の層の内部を流れている水)を水源とし、季節を問わず水質は安定していて良好です。
【質問】水質検査は行っているの?
【ヨシズミさん】水道法に基づく水質基準51項目の検査(採水地点73カ所)をはじめ、原水の水質検査などを専門の技術職員が行い、水質の異常があれば即座に検知し、迅速に対応できる体制を整えています。2009(平成21)年には静岡県内初となる水道GLP(水道水質検査優良試験所規範)の認定を取得し、正確性や精度の面で一定水準以上の信頼性が確保されていることが認められています。
また、近年は有機フッ素化合物(PFAS(ピーファス))測定用の分析装置を導入し、水質の監視体制をさらに強化しています。
水道法で定められた水質基準を満たしているかを検査する職員
2024(令和6)年度の水質検査では、大原浄水場(出口)の水の平均硬度は42ミリグラムパーリットルでした。
また、常光浄水場(出口)の水も平均硬度は、47ミリグラムパーリットルで、WHO(世界保健機関)では硬度120ミリグラムパーリットル未満の水を軟水としていることから、どちらの浄水場から送られてくる水道水も、軟水に分類されます。ちなみに、軟水は一般的にくせがなく、飲みやすいと言われています。
一般的に軟水は和風だしが良くとれることから和食に向いていて、硬水は肉を軟らかく煮ることができることから洋食に向いていると言われています。また、肉がメインとなる洋食はミネラルが不足しがちになることから、硬水でミネラルを補っているとも言われています。
なお、コーヒーについては、軟水で抽出すると適度に酸味が引き立ち、硬水で抽出すると独特の苦みを楽しむことができると言われています。
2リットルのミネラルウォーター(※)と同じ値段で、水道水およそ850リットルを作っています。
※2リットルのミネラルウォーターを117円として計算
市は、上下水道の現状や課題を踏まえ、2025(令和7)年3月に「浜松市上下水道基本計画」を策定しました。
10年後の理想の姿を実現するために、5つの基本方針に沿って事業を進めていきます。
安全・安心な上下水道が地域社会の中で健全な水循環に貢献している。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/suidow-s/kihonkeikaku/top.html
この特集に関する問合せは、上下水道総務課(【電話】053-474-7019)へ。
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