緊急情報
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更新日:2024年1月1日
開催日 |
平成31年2月6日(水曜日) |
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グループ名 |
浜松市認定農業者協議会 |
参加人数 |
10人 |
活動紹介 |
浜松市内の認定農業者と認定新規就農者並びに浜松市(農業振興課)からなる協議会で、地域農業の課題解決や認定農業者個々の農業経営改善計画の早期達成に向けた取り組みを実施しています。 |
浜松市認定農業者協議会の皆さんと、新規就農者の皆さんから、農業を若者にも魅力的に感じてもらえる「攻めの農業」「稼げる農業」にしていくため、農業の工程を数値化する取り組み等についてお話がありました。参加者の皆さんの農業に対する熱意が伝わるお話に懇談は大変盛り上がりました。
団体からの「若手の農家がビジネス農家として発展できるよう、応援よろしくお願いします」との声に、市長は「皆さんのような農家さんが1人でも増えていけば浜松の農業はもっと元気になる。私どもも農業振興のために取り組んでいきます」と応えました。
参加者:
浜松市の認定農業者協議会の中央支部長をしていまして、市からも予算をいただいて、日々農業の活性化や若手の育成に尽力しています。今回は既に農業を始めている農家の方や、女性の方で他県から来られて農業を浜松でやりたいという方が集まりました。
市長:
素晴らしい。
参加者:
脱サラして農業を始めた方や、親の跡を継いだ方も、比較的若い方で大きく事業を発展させていて、市長にもっと、浜松の農業の勢いのあるところを見ていただきたいと思い参加しました。
意見交換しながら、いろいろとお話ができればなと思っています。
市長:
よろしくお願いします。今、浜松市も農業に力を入れています。
参加者:
私は就農して5年目になります。
今、クレソンとポロネギを主に栽培しています。クレソンは、はましん経営塾でお世話になった結果、いろいろテレビで取り上げてもらい、非常に助けてもらったと思っています。今後は、「浜名湖クレソン」というブランドを広められたらと思って活動しています。
参加者:
浜北区から参りました。
出身は愛知県ですが、農業をやりたくて浜松に来て、もうすぐ3年です。静岡県の研修制度の「がんばる新農業人支援事業」を利用した研修を1年受けて、昨年の10月から独立して就農しました。
今日は野菜農家さんが多い中、私はミカンとブルーベリーを中心とした果樹を専門にしています。果樹は就農者があまりいないのですが、頑張っています。
浜松市には、新規就農で受け入れてもらったという恩がありますので、やっぱり地域の人に恩返しができるような農業をやっていきたいなと思っています。
ブルーベリーは、今私がお世話になっている農協さんで結構盛んで、ブルーベリーなら日本一になれるかなと。
市長:
浜北ブルーベリーですか。
参加者:
ええ、そうです。「浜松ブルーベリー」という名前で、今スーパーに出させてもらっています。ぜひ浜松の皆さんにも召し上がってほしいなと思っています。
市長:
なぜ浜松を選ばれたのですか。
参加者:
愛知県は野菜の栽培が盛んですが、野菜は重たい仕事が多くて、女性には無理だと、話も聞いてもらえないことが多かったです。その中で、今お世話になっている農協が、女性ならこういうことができるんじゃないかと、私が就農することに対して、前向きに相談に乗ってくれて、ここだったら就農をしたいなと思いました。
市長:
素晴らしいですね。
参加者:
私は、北区をメインにあともう1つ中古のハウスを中区で借りてイチゴの高設栽培を始め、1年目です。今収穫の真最中です。今朝も摘んできました。
御前崎市と掛川市で合わせて3年間研修を受けまして、市にもいろいろと相談に乗っていただいて、無事に就農をすることができました。
最初の年から台風24号で、少し被害を受けましたが、何とか夫と2人で力を合わせて、日々奮闘しています。
品目は「紅ほっぺ」と「きらぴ香」、両方とも静岡の品種で、これから少しずつ地域の方や障害のある方、ご高齢だけれどもまだまだ農業をやりたいという方と一緒に、広げていきたい、地域を盛り上げたいと思っています。
参加者:
北区の都田町でトマトとミニトマトとナシを栽培しています。私は両親が農業をやっていたので、そのまま継がせてもらって、浜松産のパワーフードというところにも関わらせてもらっています。トマトに絵を描くもので、何回か市長にも会わせてもらっています。
市長:
はい。陛下にも見ていただきましたね。
参加者:
ありがとうございます。トマトを食べておいしいだけじゃなくて、見た目でも楽しめるような農業ができたらなと思っています。
参加者:
酪農をやっています。どうしてもこの業界は臭いの問題がありまして、市民の方から苦情が上がってきたのを市が受け止めて、間に入ってもらって、ご迷惑をおかけしています。この業界は、後継者がいなくて従事者も減っている中で、私は牛も増やしながら、頑張っていこうかなと思っています。市にも、これから先いろいろとご迷惑をおかけすると思いますが、よろしくお願いします。
市長:
いえいえ。これはもともとお父さんが始められたのですか。
参加者:
そうです。新東名の高速道路建設に伴う移転で山の中へ入ったので、それを機に事業を大きくしました。
参加者:
浜北区でキャベツをつくっています。僕はもともと浜松は地元ではなくて、親も農家ではないんですが、前職の自動車関係で働いている中で、農業を目指そうと思いました。
以前、農業生産法人で研修をさせてもらって、それを機に浜北に来る機会があったので、そのまま浜北で新規就農をさせてもらいました。
今、就農4年目で、去年法人化して、今は若い従業員たちも何人か入ってくれています。
浜北は、宅地化の歯止めが利かない部分がどうしてもあるんですけど、浜北の耕作放棄地を地域のみんなで何とかしたいと思っています。去年、おととしだけでも10町歩ぐらいは開拓して、畑を借りているので、何とかこのまま浜北で、少しでも広く農業がやれたらと思って日々奮闘しています。
市長:
露地でやっているのですか。
参加者:
そうですね。露地でキャベツと、ハウスで小松菜とホウレンソウとか、苗の販売などもやっています。いろいろと複合的にやっていければと思っています。
市長:
ご出身は、どちらですか。
参加者:
千葉県です。浜北へ来て6年目、7年目ぐらいなんです。
参加者:
僕は三重県の出身で、実は住民票は磐田市にあるんですが、浜松でも農地を借りて耕作をしています。そのご縁でこの認定農業者の集まりに加えていただいた経緯があります。
最初は僕も就農してハウスだけやっていたのですが、その中でどうしてもこれだけだと先がない、危ないなと考えていたところに、今日参加している皆さんが、ガンガン露地栽培をやってらっしゃることを知って、僕もできるかなと、キャベツを始めて広げているところです。
浜松と磐田って川があるんですけど、お互いに交流をすることで、とても刺激を受けていまして、相互に交流していけるといいなと考えています。
市長:
磐田も農業が盛んですからね。
参加者:
南区から来ました。
就農してからちょうど10年経ちます。法人化して3期目になりますが、3年ほどたって、今年、2019年に延べ100ヘクタールぐらいのブロッコリーを生産できそうなところまできました。
前職は建設内装業ですが、リーマンショックで非常に景気が悪くなってしまって、ほかに何かできることはないかということで、選んだのが農業の道です。
親も農業をやっていたわけではありませんが、建設業で学んだ安全管理だとか、工程管理というのは非常に露地栽培に役立つところもありまして、一応ここまで、何とかサポートをしていただきながらやってきた次第です。
市長:
かなり広いですね。耕作放棄地を借りたのですか。
参加者:
耕作放棄地も借りています。本当に、随分お世話になりました。補助金も使わせていただきました。
市長:
素晴らしい。ありがとうございます。
参加者:
北区でバラをつくっています。よろしくお願いします。
浜松は花が盛んだと言われて、今、キクとガーベラが有名なんですが、私のようにバラをつくっている人もいます。
実際に市場に出すよりは、直接販売にして、お客さまに届けるところが多いです。市長にも何回か私からお渡ししたことがあります。浜松では、バラだけの花束のときは、だいたいうちのものが多いです。ぜひまた、プレゼントができるように頑張ります。
市長:
これは全部ハウスでやっているのですか。
参加者:
そうです、ハウスでやっています。
市長:
もともとは何をされていたのですか。
参加者:
もともとは建設業をやっていました。父が農業をやっていて、病気で倒れてしまったので、急きょ父の会社に入って、やり始めたというのがきっかけです。
市長:
そうですか。そのころからバラを作っていたんですか。
参加者:
そうです。父がバラをやり始めたのが25年前なので、そこからです。自分はまだ13年ですけど、やらせてもらっています。
参加者:
僕も元々浜松に縁もゆかりもなくて、10年ぐらい前に前職の製造業の転勤でこちらに来たのがきっかけです。農業に少し興味があったのですが、たまたま農家さんとお話をさせてもらう機会があって、そのときに、畑が余っていて機械を貸してやるから、やってみたらと言われて。ちょうどその頃、土日だけで1千万円稼いでいる農家さんの本を読んでいたので、それできるんじゃないのかと思いました。サラリーマンをやりながら、土日で少し農業をやってみようというのがきっかけで始めて、1年ぐらいその状態で続けました。
市長:
最初は副業で始めたのですね。
参加者:
そうですね。営業職だったので、残業が終わった後、夜の10時頃に車のヘッドライトをつけてサツマイモを掘っていたら、泥棒が来てるみたいな感じで近所の人に警察に通報されて。
そんなこともありながら、たまたまうまくできて、その時に月に30万円ぐらいの収入になったので、これならサラリーマンを辞めてもいけるんじゃないかということで。
その後、浜松出身の奥さんと結婚して、7年前ぐらいに独立しました。今は、つくっている会社が2つと、それを販売したり農協のような役割をするような会社が2つありまして、パートさんを入れると100名近い雇用があります。僕らは僕らで、農業をビジネスとして1つの形をつくっていこうとしていますので、またいろいろご支援をいただければと思います。
市長:
いやいや、本当に心強いです。まさにここにいる皆さんのような農業を目指さないと。まだまだ皆さんのように頑張っている方が、たくさんいらっしゃるんでしょう。
参加者:
そうですね。
市長:
今、どんどん新しい技術が入ってきているから、もうつらくて大変だというビジネスではなくなります。サラリーマンやっているより絶対にいいですよ。
農業を始めようと考えている方には、まずは農業経営塾に出て徹底的に経営の勉強してもらい、ビジネスとして農業をやってもらえたらと思っています。浜松はマーケットも近いし、絶対それができる場所ですね。
参加者:
他県出身だから分かるんですが、意外と浜松は全国的に農業のイメージがすごくいいですよ。東京にいた人が、浜松周辺というだけでいいイメージを持ってくださるところもあるので、すごく営農活動をしやすい場所なんです。
参加者:
今朝採ってきたイチゴなので召し上がってください、デザートに。
参加者:
丸っぽくて重たいのが紅ほっぺですね。食べていただくと、酸味があるのが紅ほっぺです。ちょっと自慢しちゃうと実は、静岡県イチゴ品評会で銅賞になりました。
市長:
いただきます。すごくおいしいです。
参加者:
ありがとうございます。よかったです。
市長:
まだ就農して1年目なんでしょう。
参加者:
はい、真面目に研修をしてよかったです。
参加者:
何かおいしさの秘訣とかあるんですか。
参加者:
おいしさの秘訣、そうですね、イチゴは、やはりすごく手間がかかるんですよ。日々給液や排液も濃度や、温度管理も徹底して測っています。あとはもうひたすら毎日食べて、今日の日射量はどうだったかな、葉っぱの展開速度は合っているだろうかとか、そういったことを考えています。
市長:
なるほど。徹底的にITを活用して、温度管理や水、肥料とかをいろいろやっているのをテレビで見たことがあります。
参加者:
そこまで本格的ではないんです。ああいった施設ですとやはりもう少しお金もかかってしまうので。
市長:
要は経験に基づいてやっているわけですか。
参加者:
はい。土耕の土でつくったイチゴは、さらに力があって大きくておいしいので、皆さんに食べていただきたいなと思っています。
参加者:
やっぱりイチゴが好きで始めているというのは、結構重要ですね。
僕はこの間すごくいい値段で買うからパクチーをつくってくれないかと言われました。僕はパクチーを食べられないんですが、食べられないのを作るってどうかなと思いました。
市長:
なるほど。パクチーも今すごい人気だよね。
参加者:
今すごい人気ですね。
参加者:
お聞かせいただきたいのですが、市長として、浜松市として、農業者に対して何か期待することや、どうなってほしいなとかがあったら教えてほしいなと思います。
市長:
農業のイメージを変えたいと思っています。今、国がやっていますが、農業って絶対に成長産業になると思っています。
だからめちゃくちゃ稼げる農業、今までの農業のイメージを変えてしまえば、絶対に若い人がどんどん、サラリーマンやっている場合じゃないぞとなってくるので、そういう農業を浜松は目指したいと思っています。皆さんがそういうのをリードをしていただいて、農業をやるとこんなに稼げるぞみたいにね。
参加者:
頑張ります。
市長:
三ヶ日を見ても、ミカン農家でガンガン稼いでいると、跡継ぎには困らないもんね。
参加者:
そうですね。本当にもうかっている産地は、跡継ぎがいるんですよね。
市長:
絶対そうなんです。まず稼げないと、と私は思います。それで、農業経営塾を始めたのですが、もっと経営の勉強をしてもらって、規模を拡大したり、生産効率を上げたりして、どんどん稼いでいく。そういう農業をやっていったら必ず、浜松は一大産地になると思っています。
今度は第4期の農業振興ビジョンですね。4月から、もうかる農業で進めるつもりです。
農林水産担当部長:
テーマは、「チャレンジと工夫」です。
参加者:
市長から見た浜松市の農業の強みやいいところはどんなところだと感じていますか。
市長:
やはりまず浜松は気候がいいですね。もともと農業の産地としては有名だったので、多品種で付加価値の高い、セロリだとか、チンゲンサイとか。昔はよくセロリ御殿なんてね、セロリで稼いですごくもうかった人がいっぱいいます。
そういう伝統があるから、私は浜松において必ず再生というか、もう一回稼げることができるのではないかと思っています。マーケットが産地にも近いでしょう。
参加者:
そうですね。市場の、名古屋、東京。
市長:
名古屋、東京が近いしね。すごくそういう意味では、ここは農業に恵まれている地域ではないかと、単純にそう思っています。
参加者:
市長さんが自分でつくるとしたら、どういうものを育ててみたいですか。
市長:
自分でやるとしたら、そうですね、やはりハウスか何かで、今の先端技術を駆使して、農業というよりも工場みたいな感じで、チャレンジしてみたいですね。
参加者:
今、浜松市は観光はもちろん、また工業もすごく強い。もちろん伝統的な農業も立地・環境がすごくいい所なので、3本柱でさらに私たちが頑張っていきたいと思っています。
市長:
浜松市は産業のまちで、このまちから産業が消えたら駄目だと考えています。県庁所在地でもない、周りに大都市があって、発展をけん引してくれるでもない。先人の皆さんがここで産業を築いて、自立的に発展をしてきた、すごいまちなんです。
もちろんそれが自動車メーカーだったり、楽器メーカーだったり、ものづくりが、第二次産業が中心でした。もちろんそれも大事ですが、それだけでなく、第一次産業や観光などの第三次産業にも、絶対に可能性があると思っています。
特に私は今、農業や林業に力を入れています。林業はもう10年かけてFSCという国際認証を取り、今はオリンピックに浜松の材を使っていただいています。まだまだ林価が跳ね上がるまでには至っていませんが、徐々に国産材は良くなると思っていますし、そうなると、認証材を安定的に供給できる浜松というのは、産地として強いなと考えています。これまでは一生懸命林業をやってきて、これから農業だと。
農業は規模も全然違いますし、これから農業に力を入れていきたいと思っているわけです。
参加者:
林業は間口が農業よりも、もうひとつ狭い感じがしますね。
市長:
林業はなかなか大変ですよ。私たちも一生懸命ブランド化を目指してやってきたり、地産地消、地産外商で売り込みをしたりしていますが、なかなか昔のように、木を1本売れば左うちわという時代ではないので。ただ、いっときの低迷期よりは、良くなりつつあるかなと思っています。
その点を比べると、農業のほうがもっと産業の間口は広いし、工夫によってどんどん稼げるようになりますが、林業はなかなか生産性を上げるのが大変ですね。山の中にどういうふうに林道をつくって、機械を入れてなんて考えていくと、そうそう簡単ではないので。
参加者:
実際に、今後、どういう感じで農業に力を入れていくとか、具体的な構想みたいなものはあるんですか。
市長:
1つは農業者を育てていくことです。今までみたいに片手間に兼業農家で、親がやっていたからではなくて、本当にこれで稼いでいく農業者です。皆さんのように元気があって、知恵と経験もあって、農業をビジネスとして、きちんとやっていけるような人を増やしていきたいと考えています。
あとは生産手段ですね。土地も集約して、できるだけそういう方を増やしていきたいと考えています。
参加者:
僕らもそうですし、うちも従業員の半分以上が他県の出身者、他県からの移住者です。従業員の募集を地元の媒体とかに出してもなかなか集まらず、人集めに苦労をします。
数年前に売り上げが1億円になったときに、「数年で1億円いって利益がぼんと出て」ということを自慢みたいに書いて、地元の募集に出したんです。これで来なかったら農業は終わりかなと言いながら、出したら100人から応募がありました。稼げることをアピールすれば、やりたいという人が結構、年代的にいます。
市長:
私もそう思います。昨日ベンチャーのシンポジウムに行ったんですが、そこで話をしたら、観光関係の人から、時給850円で来いと言ってもそれはもう来ないと。そこは業界の中でも工夫をして、一人当たりの生産性は非常に高いんですよ。時給1,500円出したらものすごい応募が来ると。だから850円で安く雇おうとしたって、人が集まるわけがない。それが稼げるとなったら来るんですよ。
例えば、自分で工場を立ち上げるのは、なかなか大変だけれども、農業だったら経験を積んで、少し才覚があれば独立をして、自分でやっていけると思うわけですよね。だからそういう人たちにどんどん浜松へ来てもらえたらと思います。
参加者:
私は今2歳と4歳の子がいるのですが、2歳の子の一世代の人口が今92万人ですか。でも団塊世代は270万人もいて、非常に人口がすぼんできている状況が、私どもが農業をやっていく上で、人を雇う上での基盤になります。どの産業も人口対策ができないという中で、やはりこういうのは行政が一番力を入れることになるのかなと思います。
その中で浜松市は、比較的まだ人口減少が緩やかなほうだと思いますが、これからどうされていくのかを、お聞きしたいです。
市長:
人口対策というのは難しく、結局、基本的には出生率を上げていかなくてはいけないですね。ただ1975年ぐらいから実は出生率は2を切っていて、そのまま行けば人口が減るという状態になっていた。しかし、いっときは人口が増えてきて、それは今までの蓄積もあったのと同時に寿命が延びたからで、人口減は実はもう始まっていたんだけれども、気付いていなかったんですね。
いまやもう1.4とか1.5で、これで増えるわけがないので、やはり2.07という人口置換水準に戻さないといけませんが、これだけ若年層が減ってしまうと難しいですね。今、国は2035年に2.07に戻そうという目標を掲げていますので、私どももそれと同じように、2035年に2.07というのを掲げました。
出生率というのは、特定の地域だけ一気に跳ね上がるということはないものですから、これは国全体として底上げをしていかなければならないと思います。
今の人口ビジョンでは、出生率を2035年に2.07に回復をしたとしても、中長期的には60万人まで減る予想です。現在の人口から20万人ぐらいは、減るのを覚悟しないといけない。
だから目減りをいかに少なくするかというのが今の人口減対策です。高齢者が増えて若年層が絶対的に減っているわけですから、当然人口も減ります。そうすると労働力人口も減っていくという問題があるので、東京から地方に人口を移すというのは大事だけれども、結局は、出生率を上げていくことと、やはり海外からの移住者ですよ。
これは入れていかないともうやっていけない時代ですから。去年、入管法(出入国管理及び難民認定法)が改正されていろいろ問題もありますが、これは歴史的快挙というか大転換だと思っています。
今まで、いわゆる高度人材を除けば、労働目的では外国人を絶対に入れないと言っていた日本が、少なくともそれを方針転換したわけですから、これは画期的なことです。
受け入れる中の重要分野として、もちろん農業もあるわけですね。これから農業の担い手も減って行く中で、そういう担い手の確保のために、外国人も入れていこうということです。
正面を切って受け入れて、きちんとした環境整備をして、外国人の労働の社会統合を進めてやっていく必要があると思うのですね。
ただ、長期的には、出生率をいかに回復させるかということが、私はすべてだと思っています。
参加者:
フランスの(子供の多い世帯ほど所得税が軽減される)N分N乗方式でしたか、ああいうのを導入するのは、なかなか難しいしいんですか。所得税とかをかなり落として、子供を増やせば増やすほど税法上は得をするみたいな。
市長:
日本で何がいいかというのは、フランスのように、非嫡出子でも同じように扱うとか、国もいろいろな方法を考えることが必要だと思います。フランスはそこの切り替えで随分、出生率が回復をしてきたようですが、日本でそれが認められるかというと、なかなか難しいのではないかと思います。日本なりの方法でやっていくしかないのではないかなと思います。
人口減対策というのは、なかなか一朝一夕とはいきません。私どもも試行錯誤をしながらいろいろなことをやっています。
参加者:
それでは、特に浜松の若手の中では進んでいる事業を、特別にアピールをさせていただきたいと思います。
参加者:
会社案内ということで、私がやってきた取り組みを説明させていただきます。
法人で農業を営んでいます。
先ほどお話をさせていただいたんですけれども、年間で2019年度は延べで100ヘクタールを目標に、ブロッコリーに特化して生産している農業法人です。
主な出荷先としては、県内外の量販店、スーパー、あとは外食ですね。県内で言いますと、さわやかさんのブロッコリーは、当社のブロッコリーを全契約させていただいています。
市長:
いいですね。安定していますね。
参加者:
そうなんですよ。価格も安定して量も安定しています。
市長:
あまり農協を通していないんですか。
参加者:
農協は一部を通しています。基本的には自分で売り先を探して、自分で販売をしています。
現状の農場は浜松市がメインで、南区に約28ヘクタール、浜北に1ヘクタール、西区に5ヘクタール、あと隣りの磐田市に10ヘクタールぐらい確保しています。年に2作やるものですから、延べ面積100ヘクタールです。
2008年に個人で始めたときに、3カ所の畑から始めまして、今は450カ所ぐらいの畑を確保しています。
売上の推移ですが、一番始めは3カ所で100万円程度だったのが、今年2018年度は2億7,000万円ぐらいまでになりました。
私の農業のコンセプトは、受け身だった農業から、攻めの農業への転換ということです。
去年の台風24号でも、ものすごい塩害を受けてしまいました。農業は天候災害に左右されてしまう、ものすごく受け身で、農業経営がなかなか安定しないというイメージがありますが、ここをやっぱり変えていかなければいけないと思っています。特に露地農家は天候の影響を受けるものですから、ここの部分も絶対に諦めずに、私が農業をやっているときに、何とか安定をした農業ができるような形態になって、それを次世代につなげられるような体制までもっていきたいと、あと20年真剣に取り組んでみようと思っています。
私が農業を始めて一番感じたことは、もやっとしたものがものすごく多くて、何となくこうだったよねとか、そういう感じが多いということです。去年どうだったと聞くと、去年暑かったよねという、ざっくりとしたイメージでしかないんですね。
従業員から、ちょっと病気がひどいですと聞いても、個人個人感性が違うものですから、見に行くと意外に全然大したことないという人もいれば、大丈夫と聞いても、見たら病気だらけだったという人もいる。そういう感性的な農業ではなくて、やっぱり数値化して、誰もが共通認識を持てるようにと進めています。
やはり大事なのが作業の細分化、あと作業時間もぶれをなくして、工程管理をしっかりやっていくということと、これによって生産コストも明確になるために、経費決算のぶれがなくなってくるということの、3つに着目をしてやっております。
市長:
まさに工場と一緒ですね。
参加者:
まず作業の細分化ということなんですが、私が農業に参入して一番びっくりしたのは、土づくりから出荷まで1人でやってらっしゃる方が多いことでした。
私は建設業の中で内装業をやっていたんですね。やはり建物をつくるのには分業化をしていましたが、農業は1人の方が全部家を建てちゃうんだという。
なおかつ露地農家だと、1年に基本的に1作なものですから、1年前のことって忘れてしまっているんですね。「そう言えば、今時分にまいたかね」なんてお母さんとお父さんが話しながら、「そうかそうか、じゃあまかないとね」と言っている感じだったものですから、これを先輩方は、何十年と続けられていますが、僕たちが新規就農をして、新規雇用をしてやっていく中では、これではできないと思い、規模を広げながら分業化をしていくことで、作業の掘り下げができると考えました。そうすることによって、教育の短時間化ができるのではないかということで、作業を小分けしています。
作業を細分化し工程管理表を作ることによって、いつ、誰が、何をやったということまで、細かくチェックできるようになります。当然今の作物だと、種苗メーカーさんもすごく研究を進めているものですから、普通に一般的な範囲の気候条件であれば、8割ぐらいは収穫できるような、品種の研究開発をされているんですね。
それに基づいて、いつ肥料をまいて、いつ植えて、いつ収穫なんだという基本設計をまずしておいて、それに工程管理を入れて現場とすり合わせをしています。
こうすることによって、生産コストが明確になります。肥料代とか苗代というのがメインなんですけれども、個人製品というのは、量をたくさんやっても個人農家でも、仕入れの部分というのは、材料費はあまり変わらないということに、私は気付いたんですね。たくさん買うから安くしてよと言っても、やはり限界があるということで、そこの部分のコストを抑えるよりも、生産に携わっている人件費の部分を自分たちの努力で変えて、経費の圧縮、効率化をして利益を残そうと、取り組んできています。
例えば、ブロッコリーを収穫しているときの数値も、どこの畑で、品種、面積、定植をした本数まで、1本単位で管理しています。それに対して収穫した日付、何月何日に何本とったということで、記録を残しています。
また、畑ごとに目標の売り上げを明確にし、それに対して、実際にいくら売り上げたかを、リアルタイムに数字で見えるようにしています。
そうすると、この畑は植えた本数に対して何パーセント収穫ができていて合格の畑です、ということが管理表で確認できるようになっています。こうすることによって、数字が見えて、自分たちが今、生産現場でもいい状態にあるのか悪い状態にあるのかということを、一目で分かるようにしています。
従業員さんに、「ちょっとうちの会社今やばいから」と言っても、それを分かってくれないんですね。ですから数字で見せて、今ちょっと収穫率が悪いよということを、みんなで共通認識を持てるようにしています。
市長も思われていると思うんですけど、いわゆる露地農家の農業のイメージというと、水害があったり、台風があったりということで、天候に左右されるイメージだと思うんですね。
けれども次世代につなげられるような農業を実現したいということで、今回当社で新しい試みとして、人工知能で栽培計画と収穫の予測を立てるということを始めています。
これを始めるのに良かったのが、取ってあった過去8年分ぐらいの収穫データを人工知能にのみ込ませることができたことです。
それによって、収穫の適期や日数が、割り出せるようになるのではないかと取り組んでおります。
市長:
この人工知能はディープラーニングしていくのですか。
参加者:
ディープラーニングします。
天候も毎日リアルタイムな天候を、人工知能が勝手に情報を取りに行くんですね。それを栽培計画に取り入れていく。そういったモデルを今つくっています。
今までの過去のあらゆるデータを入れてディープラーニングさせたところに、今年の何月何日にどういう品種をいつ植えてということを入力すると、いつ頃どのくらいの収穫量があるかが出てきます。ほぼ誤差がなく、精度が上がってきています。
こういったものを使いながら、お客さまにも不安定な露地農家のイメージではなくて、人工知能を取り入れて、より精度の高い設計をしていますとアピールしながら、付加価値を高めていきたいと思っています。
去年の12月からは、アグリオープンイノベーション機構(AOI機構)という、県の施設に研究所を持たせてもらうことになりました。ただたくさんブロッコリーをつくる、たくさん売るだけでは、なかなか相場の変動リスクから逃げられないので、自社でブロッコリーの成分である、スルフォラファンというがんを抑制する特殊な物質を抽出して、高濃度のブロッコリーを開発しようと取り組んでいます。
市長:
ほう。機能性食品ですか。
参加者:
機能性食品を目指す感じです。これが平成35年の12月まで研究期間をいただいていますので、こういった中で、農産物をただつくって、ただ販売するよりも、自分たちで、こういう野菜なんだとアピールができる、そういう意味でも攻めの農業をやっていけたらなと思っています。
市長:
ずっとブロッコリーに特化していくのですか。
参加者:
ブロッコリーに特化していきます。
参加者:
浜松市は農産物の出荷額が、全国でもかなり上位となります。先ほど市長がおっしゃったように、温暖な気候と、地理的な面でも非常に優位にあります。農業経営塾も含めて、若手の農家がビジネス農家として発展していけるよう、今以上に僕たちも力を入れて頑張っていきますので、市長も、また応援をよろしくお願いします。
市長:
今日は、皆さん本当にありがとうございました。
私も大変勉強になりましたし、私どもの取り組みも、確信を持ってやれるなという気がいたしました。
先ほど申し上げましたとおり、私は、浜松の農業はもっともっと生産性を上げて、成長産業にできると、産業の大きな柱として育てていけると思っています。そのためにも本当に皆さんのような、素晴らしいやる気のある、しかも知恵を使って農業をやっていく方が1人でも増えていけば、浜松の農業はもっともっと元気になるだろうと思っています。
そのために、皆さんのご支援をするようないろいろな環境整備をしたり、制度的な投資をしたりすることが私ども行政の仕事なので、こういうところを応援してほしいとか、こういう取り組みをやってくれないかというご提案がありましたら、どしどしお寄せいただきたいと思います。
私どもも今、農業経営塾という取り組みをしていますし、私どもなりにいろいろな農業振興のための取り組みをしていきますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。今日はありがとうございました。
参加者一同:
ありがとうございました。
(終了)
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