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更新日:2019年3月1日

第1編「総論」

第1章 市の責務、計画の位置づけ、構成等

市は、住民の生命、身体及び財産を保護する責務にかんがみ、国民の保護のための措置を的確かつ迅速に実施するため、次のとおり、市の責務を明らかにするとともに、市の国民の保護に関する計画の趣旨、構成等について定める。

 1 市の責務及び計画の位置づけ

(1) 市の責務

市(市長及びその他の執行機関をいう。以下同じ。)は、武力攻撃事態等において、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律」。(※1)(以下「法」という。)その他の法令、「国民の保護に関する基本指針」」(※2)(以下「基本指針」という。)及び静岡県の国民の保護に関する計画(以下「県国民保護計画」という。)を踏まえ、浜松市の国民の保護に関する計画(以下「市国民保護計画」という。)に基づき、国民の協力を得つつ、他の機関と連携協力し、自ら国民の保護のための措置(以下「国民保護措置」という。)を的確かつ迅速に実施し、市内において関係機関が実施する国民保護措置を総合的に推進する。

(2) 市国民保護計画の位置づけ

市は、その責務を全うするため、法第35条の規定に基づき、市国民保護計画を作成する。

 01

(3) 市国民保護計画に定める事項

市国民保護計画においては、市内における法第35条第2項各号及び第184条第1項の大都市の特例に掲げる次の事項について定める。

ア 国民保護措置の総合的な推進に関する事項

イ 市が実施する国民保護措置に関する事項

  • (ア) 警報の伝達、避難実施要領の策定、関係機関の調整その他の住民の避難に関する措置
  • (イ) 救援の実施、安否情報の収集及び提供その他の避難住民等の救援に関する措置
  • (ウ) 退避の指示、警戒区域の設定、消防、廃棄物の処理、被災情報の収集その他の武力攻撃災害への対処に関する措置
  • (エ) 水の安定的な供給その他の国民生活の安定に関する措置
  • (オ) 武力攻撃災害の復旧に関する措置

ウ 国民保護措置を実施するための訓練並びに物資及び資機材の備蓄に関する事項

エ 国民保護措置を実施するための体制に関する事項

オ 国民保護措置の実施に関する他の地方公共団体その他の関係機関との連携に関する事項

カ その他市内における国民保護措置に関し市長が必要と認める事項

キ 避難住民の救援に関する措置、避難施設の指定、避難施設に関する届出、赤十字標章等の交付等、関係する財政上の措置等(医療関係者に対する実費弁償、損害補償)について必要な事項

 2 市国民保護計画の構成

市国民保護計画は、次の各編により構成する。
第1編 総論
第2編 平素からの備えや予防
第3編 武力攻撃事態等への対処
第4編 復旧等
第5編 緊急対処事態への対処

 3 市国民保護計画の見直し、変更手続

(1) 市国民保護計画の見直し

市国民保護計画は県国民保護計画の見直しや、今後、国民保護措置に係る研究成果や新たなシステムの構築、国民保護措置についての訓練の検証結果等を踏まえ、必要な見直しを行う。
市国民保護計画の見直しに当たっては、浜松市国民保護協議会(以下「市国民保護協議会」という。)の意見を尊重するとともに、広く関係者の意見を求めるよう努めるものとする。

(2) 市国民保護計画の変更手続

市国民保護計画の変更に当たっては、法第39条第3項の規定に基づき、市国民保護協議会に諮問の上、静岡県知事(以下「知事」という。)に協議し、市議会に報告するとともに、公表するものとする。ただし、「武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律施行令」」(※3)(以下「政令」という。)で定める軽微な変更については、市国民保護協議会への諮問及び知事への協議は要しない。

 

※1 平成16年6月18日法律第112号
※2 平成17年3月閣議決定
※3 平成16年9月15日政令第275号

 第2章 国民保護措置に関する基本方針

市は、国民保護措置を的確かつ迅速に実施するに当たり、特に留意すべき事項について、次のとおり、国民保護措置に関する基本方針として定める。

1 基本的人権の尊重

市は、国民保護措置の実施に当たっては、「日本国憲法」の保障する国民の自由と権利を尊重することとし、国民の自由と権利に制限が加えられるときであっても、その制限は必要最小限のものに限り、公正かつ適正な手続の下に行う。

2 国民の権利利益の迅速な救済

市は、国民保護措置の実施に伴う損失補償、国民保護措置に係る不服申立て又は訴訟その他の国民の権利利益の救済に係る手続を、できる限り迅速に処理するよう努める。

3 国民に対する情報提供

市は、武力攻撃事態等においては、国民に対し、国民保護措置に関する正確な情報を、適時に、かつ、適切な方法で提供する。

4 関係機関相互の連携協力の確保

市は、国、県、近隣市町村並びに関係指定公共機関及び関係指定地方公共機関と平素から相互の連携体制の整備に努める。

5 国民の協力

市は、法の規定により国民保護措置の実施のため必要があると認めるときは、国民に対し、必要な援助について協力を要請する。この場合において、国民は、その自発的な意思により、必要な協力をするよう努めるものとする。
また、市は、消防団及び自主防災組織の充実・活性化、ボランティア団体に対する支援に努める。

6 指定公共機関及び指定地方公共機関の自主性の尊重

市は、指定公共機関及び指定地方公共機関の国民保護措置の実施方法については、指定公共機関及び指定地方公共機関が武力攻撃事態等の状況に即して自主的に判断するものであることに留意する。
特に、日本赤十字社が実施する国民保護措置については、その特性を考慮し、その自主性を尊重する。

7 高齢者、障害のある人等への配慮及び国際人道法の的確な実施

市は、国民保護措置の実施に当たっては、高齢者、障害のある人、外国人その他特に配慮を要する者の保護について留意する。
特に、国民保護措置の実施に当たっては、国際的な武力紛争において適用される国際人道法の的確な実施を確保する。

8 国民保護措置に従事する者等の安全の確保

市は、国民保護措置に従事する者の安全の確保に十分に配慮するものとする。
また、要請に応じて国民保護措置に協力する者に対しては、その内容に応じて安全の確保に十分に配慮する。

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 第3章 市及び関係機関の事務又は業務の大綱等

市は、国民保護措置の実施に当たり関係機関との円滑な連携を確保できるよう、国民保護法における市の役割を確認するとともに、関係機関の連絡窓口をあらかじめ把握しておく。

 1 市及び関係機関の事務又は業務の大綱

市、静岡県(以下「県」という。)、指定地方行政機関並びに指定公共機関及び指定地方公共機関は、国民保護措置について、おおむね次に掲げる事務又は業務を処理する。

(1)市

事務又は業務の大綱

  1. 市国民保護計画の作成
  2. 市国民保護協議会の設置、運営
  3. 市国民保護対策本部及び市緊急対処事態対策本部の設置、運営
  4. 組織の整備、訓練
  5. 警報の伝達、避難実施要領の策定、避難住民の誘導、関係機関の調整その他の住民の避難に関する措置の実施
  6. 救援の実施、安否情報の収集及び提供その他の避難住民等の救援に関する措置の実施
  7. 退避の指示、警戒区域の設定、消防、廃棄物の処理、被災情報の収集その他の武力攻撃災害への対処に関する措置の実施
  8. 水の安定的な供給その他の国民生活の安定に関する措置の実施
  9. 武力攻撃災害の復旧に関する措置の実施

(2) 県

事務又は業務の大綱

  1. 県国民保護計画の作成
  2. 県国民保護協議会の設置、運営
  3. 県国民保護対策本部及び県緊急対処事態対策本部の設置、運営
  4. 組織の整備、訓練
  5. 警報の通知
  6. 住民に対する避難の指示、避難住民の誘導に関する措置、県の区域を越える住民の避難に関する措置その他の住民の避難に関する措置の実施
  7. 救援の実施、安否情報の収集及び提供その他の避難住民等の救援に関する措置の実施
  8. 武力攻撃災害の防除及び軽減、緊急通報の発令、退避の指示、警戒区域の設定、保健衛生の確保、被災情報の収集その他の武力攻撃災害への対処に関する措置の実施
  9. 生活関連物資等の価格の安定等のための措置その他の国民生活の安定に関する措置の実施
  10. 交通規制の実施
  11. 武力攻撃災害の復旧に関する措置の実施

(3) 指定地方行政機関

(指定行政機関の地方支分部局(※1)その他の国の地方行政機関で、武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律施行令で定めるものをいう。)

機関の名称

事務又は業務の大綱

関東管区警察局

  1. 管区内各県警察の国民保護措置及び相互援助の指導・調整
  2. 他管区警察局との連携
  3. 管区内各県警察及び関係機関等からの情報収集並びに報告連絡
  4. 警察通信の確保及び統制

南関東防衛局

  1. 所管財産(周辺財産)の使用に関する連絡調整
  2. 米軍施設内通行等に関する連絡調整

東海総合通信局

  1. 電気通信事業者・放送事業者への連絡調整
  2. 電波の監督管理、監視並びに無線の施設の設置及び使用の規律に関すること。
  3. 非常事態における重要通信の確保
  4. 非常通信協議会の指導育成

東海財務局

  1. 地方公共団体に対する災害融資
  2. 金融機関に対する緊急措置の指示
  3. 普通財産の無償貸付
  4. 被災施設の復旧事業費の査定の立会

名古屋税関

  1. 輸入物資の通関手続

東海北陸厚生局

  1. 救援等に係る情報の収集及び提供

静岡労働局

  1. 被災者の雇用対策

関東農政局

  1. 武力攻撃災害対策用食料及び備蓄物資の確保
  2. 農業関連施設の応急復旧

関東森林管理局

  1. 武力攻撃災害復旧用材(国有林材)の供給

関東経済産業局
中部経済産業局

  1. 救援物資の円滑な供給の確保
  2. 商工鉱業の事業者の業務の正常な運営の確保
  3. 被災中小企業の振興

関東東北産業保安監督部
中部近畿産業保安監督部

  1. 危険物等の保全
  2. 鉱山における災害時の応急対策

中部地方整備局

  1. 被災時における直轄河川、ダム、国道等の公共土木施設の応急復旧
  2. 港湾施設の使用に関する連絡調整
  3. 港湾施設の応急復旧

中部運輸局

  1. 運送事業者への連絡調整
  2. 運送施設及び車両の安全保安

東京航空局

  1. 飛行場使用に関する連絡調整
  2. 航空機の航行の安全確保

東京航空交通管制部

  1. 航空機の安全確保に係る管制上の措置

東京管区気象台

  1. 気象状況の把握及び情報の提供

第三管区海上保安本部

  1. 船舶内に在る者に対する警報及び避難措置の指示の伝達
  2. 海上における避難住民の誘導、秩序の維持及び安全の確保
  3. 生活関連等施設の安全確保に係る立ち入り制限区域の指定等
  4. 海上における警戒区域の設定等及び退避の指示
  5. 海上における消火活動及び被災者の救助・救急活動その他武力攻撃災害への対処に関する措置

関東地方環境事務所

  1. 有害物質等の発生等による汚染状況の情報収集及び提供
  2. 廃棄物処理施設等の被害状況、がれき等の廃棄物の発生量の情報収集

(4) 指定公共機関

(「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律施行令第3条」及び「武力攻撃事態等及び存立危機事態における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律第2条第7号に規定する指定公共機関の公示」により指定されている機関をいう。)

機関の区分

事務又は業務の大綱

災害研究機関

  1. 武力攻撃災害に関する指導、助言等

放送事業者

  1. 警報及び避難の指示(警報の解除及び避難の指示の解除を含む。)の内容並びに緊急通報の内容の放送

運送事業者

  1. 避難住民の運送及び緊急物資の運送
  2. 旅客及び貨物の運送の確保

電気通信事業者

  1. 避難施設における電話その他の通信設備の臨時の設置における協力
  2. 通信の確保及び国民保護措置の実施に必要な通信の優先的取扱い

電気事業者

  1. 電気の安定的な供給

ガス事業者

  1. ガスの安定的な供給

郵便事業を営む者

  1. 郵便の確保

一般信書便事業者

  1. 信書便の確保

病院その他の医療機関

  1. 医療の確保

河川管理施設、道路、港湾、空港の管理者

  1. 河川管理施設、道路、港湾及び空港の管理

日本赤十字社

  1. 救援への協力
  2. 外国人の安否情報の収集、整理及び回答

日本銀行

  1. 銀行券の発行並びに通貨及び金融の調節
  2. 銀行その他の金融機関の間で行われる資金決済の円滑の確保を通じた信用秩序の維持

(5) 指定地方公共機関

(県内において電気、ガス、輸送、通信、医療その他の公益的事業を営む法人、地方道路公社(※2)、その他の公共的施設を管理する法人及び地方独立行政法人(※3)で、あらかじめ当該法人の意見を聴いて県知事が指定するものをいう。)

機関の区分及び名称

事務又は業務の大綱

放送事業者

静岡放送株式会社

株式会社テレビ静岡

株式会社静岡朝日テレビ

株式会社静岡第一テレビ

静岡エフエム放送株式会社

  1. 警報及び避難の指示(警報の解除及び避難の指示の解除を含む。)の内容並びに緊急通報の内容の放送

運送事業者

株式会社富士急マリンリゾート

株式会社エスパルスドリームフェリー

一般社団法人静岡県バス協会

伊豆急行株式会社

伊豆箱根鉄道株式会社

岳南鉄道株式会社

静岡鉄道株式会社

大井川鉄道株式会社

遠州鉄道株式会社

天竜浜名湖鉄道株式会社

一般社団法人静岡県トラック協会

  1. 避難住民の運送及び緊急物資の運送
  2. 旅客及び貨物の運送の確保

ガス事業者

下田ガス株式会社

伊東瓦斯株式会社

熱海瓦斯株式会社

御殿場瓦斯株式会社

静岡瓦斯株式会社

東海ガス株式会社

島田瓦斯株式会社

中遠ガス株式会社

袋井ガス株式会社

中部瓦斯株式会社

一般社団法人静岡県LPガス協会

  1. ガスの安定的な供給

病院その他の医療機関

一般社団法人静岡県医師会

公益社団法人静岡県看護協会

公益社団法人静岡県病院協会

  1. 医療の確保

道路の管理者

静岡県道路公社

  1. 道路の管理

 2 関係機関等の連絡先

関係機関等(※4)の連絡先については、別に定める。

 3 市及び関係機関の国民の保護に関する役割及び仕組み

国民保護に関する役割及び仕組み図

※1 内閣府設置法第四十三条及び第五十七条(宮内庁法第十八条第一項において準用する場合を含む。)並びに宮内庁法第十七条第一項並びに国家行政組織法第九条の地方支分部局をいう。
※2  地方道路公社法(昭和四十五年法律第八十二号)第一条の地方道路公社をいう。
※3 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項の地方独立行政法人をいう。
※4 前記1の関係機関のほか、協定締結市町村や自治会等などの関係する機関を含む。

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 第4章 市の地理的、社会的特徴

1 地形

市は静岡県の西部地方に位置し、東は天竜川、西は浜名湖に面し、さらには、南は太平洋に面する遠州灘、北は南アルプス連峰と四方を異なる環境に囲まれている。
東西の距離は約52km、南北の距離は約73km、面積は約1,558平方キロメートルであり、海岸線の延長は約18kmに及んでいる。

2 気候

市の気候は、四季を通じて温暖であるが、冬には「遠州のからっ風」と呼ばれる強い季節風が吹き、気温以上に寒く感じられる日が続くことがある。

3 人口分布

市の人口は、市域全体から見ると南部に集中している。その中でも、JR東海道本線、東名高速道路、佐鳴湖及び県道45号に囲まれた範囲で特に人口が集中している。また、浜北区の南、天竜区の南、西区の舞阪町及び雄踏町に人口が集中しており、北区及び天竜区北部の山間部の地域における人口分布は、まばらである。

4 道路の位置等

市内の主な道路としては、磐田市及び豊川市に繋がる東名高速道路のほか、磐田市及び新城市に繋がる新東名高速道路、北区から新城市に繋がる三遠南信自動車道、磐田市及び新居町に繋がる国道1号、中区から磐田市に繋がる国道150号、東区から中区を通り飯田市に繋がる国道152号、西区から中区及び北区を通り新城市に繋がる国道257号、西区から湖西市を通り新城市に繋がる国道301号、川根本町及び東栄町に繋がる国道473号がある。
その他、主な県道としては、天竜区から愛知県の東栄町に繋がる県道9号(※1)、東区から天竜区に繋がる県道45号(※2)、西区から北区に繋がる県道49号(※3)、東区、中区及び西区を環状に繋ぐ県道65号(※4)、浜北区から北区に繋がる県道68号(※5)等がある。

5 鉄道、港湾の位置等

  • (1)鉄道
    鉄道は、JR東海道新幹線及びJR東海道本線が、首都圏から東区、中区及び西区を通り近畿圏に繋がっている。このほか、天竜区には、豊橋市と飯田市を結ぶJR飯田線、天竜区、浜北区及び北区には、掛川市と湖西市を結ぶ天竜浜名湖鉄道、また、中区及び天竜区を結ぶ遠州鉄道がある。
  • (2)港湾
    港湾は所在しないが、西区に舞阪漁港及び村櫛漁港が所在している。

6 自衛隊施設の位置等

中区と西区には、人口集中地区(DID地区)に航空自衛隊浜松基地が所在している。

 

※1 県道9号(天竜東栄線)
※2 県道45号(天竜浜松線)
※3 県道49号(細江舞阪線)
※4 県道65号(浜松環状線)
※5 県道68号(浜北三ヶ日線)

 第5章 市国民保護計画が対象とする事態

市国民保護計画が対象とする武力攻撃事態及び緊急対処事態は次のとおりとする。

 1 武力攻撃事態

我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危機が切迫していると認められるに至った事態をいう。

(1) 市国民保護計画では、想定される武力攻撃事態を次の4類型とする。

類型

特徴と留意点

1 着上陸侵攻

(1)概要

侵攻国が侵攻正面において、海上・航空優勢を得た後、海又は空から地上部隊などを上陸又は着陸させて、侵攻することをいう。

(2)特徴

  • ア 一般的に国民保護措置を実施すべき地域が広範囲になるとともに、その期間も比較的長期に及ぶことが予想される。また、侵攻国による船舶、戦闘機の集結の状況、我が国へ侵攻する船舶等の方向等を勘案して、武力攻撃予測事態において住民の避難を行うことも想定される。
  • イ 船舶により上陸を行う場合は、上陸用の小型船舶等が接岸容易な地形を有する沿岸部が当初の侵攻目標となりやすいと考えられる。
  • ウ 航空機により侵攻部隊を投入する場合には、大型の輸送機が離着陸可能な空港が存在する地域が目標となる可能性が高く、当該空港が上陸用の小型船舶等の接岸容易な地域と近接している場合には特に目標となりやすいと考えられる。
    なお、着上陸侵攻の場合、それに先立ち航空機や弾道ミサイルによる攻撃が実施される可能性が高いと考えられる。
  • エ 主として、爆弾、砲弾等による家屋、施設等の破壊、火災等が考えられ、石油コンビナートなど、攻撃目標となる施設の種類によっては、二次被害の発生が想定される。

(3)留意点

  • ア 事前の準備が可能であり、戦闘が予想される地域から先行して避難させるとともに、広域避難が必要となる。広範囲にわたる武力攻撃災害が想定され、武力攻撃が終結した後の復旧が重要な課題となる。

 

   イ ダムが破壊された場合、下流に及ぼす被害は多大なものとなる。

2 ゲリラや特殊部隊による攻撃

(1)概要

ゲリラや特殊部隊を潜入させて行う不正規型の攻撃をいい、不正規軍の要員であるゲリラによる施設等の破壊や人員に対する攻撃が行われるものと、正規軍である特殊部隊による破壊工作、要人暗殺、中枢機関への攻撃が行われるものがある。

(2)特徴

  • ア 県警察、自衛隊等による監視活動等により、その兆候の早期発見に努めることとなるが、敵もその行動を秘匿するためあらゆる手段を使用することが想定されることから、事前にその活動を予測あるいは察知できず、突発的に被害が生ずることも考えられる。そのため、都市部の政治経済の中枢、鉄道、橋りょう、ダム、原子力発電所などに対する注意が必要である。
  • イ 少人数のグループにより行われるため使用可能な武器も限定されることから、主な被害は施設の破壊等が考えられる。したがって、被害の範囲は比較的狭い範囲に限定されるのが一般的であるが、攻撃目標となる施設の種類によっては、二次被害の発生も想定され、例えば原子力発電所が攻撃された場合には被害の範囲が拡大するおそれがある。また、汚い爆弾(爆薬と放射性物質を組み合わせた汚い爆弾 以下「ダーティボム」という。)が使用される場合がある。

(3)留意点

ゲリラや特殊部隊の危害が住民に及ぶおそれがある地域においては、市(消防機関(消防組織法第9条に規定する消防局、消防署、消防団をいう。以下同じ。)を含む。)と県、県警察は、海上保安部等及び自衛隊と連携し、武力攻撃の態様に応じて、攻撃当初は屋内に一時避難させ、その後、関係機関が安全の措置を講じつつ適当な避難地に移動させる等適切な対応を行う。事態の状況により、知事の緊急通報の発令、市長又は知事の退避の指示又は警戒区域の設定など時宜に応じた措置を行うことが必要である。

3 弾道ミサイル攻撃

(1)概要

弾道ミサイル(放物線を描いて飛翔するロケットエンジン推進のミサイル)による攻撃をいい、長距離にある目標を攻撃することが可能であり、大量破壊兵器(核、生物、化学兵器)を搭載して攻撃することも可能である。

(2)特徴

  • ア 発射の兆候を事前に察知した場合でも、発射された段階で攻撃目標を特定することは極めて困難である。さらに、極めて短時間で我が国に着弾することが予想され、弾頭の種類(通常弾頭又はNBC(核(Nuclear)又は生物剤(Biological)若しくは化学剤(Chemical)をいう。以下同じ。)弾頭)を着弾前に特定することは困難であるとともに、弾頭の種類に応じて、被害の様相及び対応が大きく異なる。
  • イ 通常弾頭の場合にはNBC弾頭の場合と比較して被害は局限され家屋、施設等の破壊、火災等が考えられる。

(3)留意点

弾道ミサイルは発射後短時間で着弾することが予想されるため、迅速な情報伝達体制と適切な対応によって被害を局限化することが重要であり、屋内への避難や消火活動が中心となる。

4 航空攻撃

(1)概要

重要な施設の破壊などを目的として、航空機に搭載したミサイルなどにより急襲的に行われる攻撃をいう。

(2)特徴

  • ア 弾道ミサイル攻撃の場合に比べその兆候を察知することは比較的容易であるが、対応の時間が少なく、また攻撃目標を特定することが困難である。
  • イ 航空攻撃を行う側の意図及び弾薬の種類等により異なるが、その威力を最大限に発揮することを敵国が意図すれば都市部が主要な目標となることも想定される。また、ライフラインのインフラ施設が目標となることもあり得る。
  • ウ 航空攻撃はその意図が達成されるまで繰り返し行われることも考えられる。
  • エ 通常弾頭の場合には、家屋、施設等の破壊、火災等が考えられる。

(3)留意点

攻撃目標を早期に判定することは困難であることから、攻撃の目標地を限定せずに屋内への避難等の避難措置を広範囲に指示する必要がある。その安全を確保しなければ周辺の地域に著しい被害を生じさせるおそれがあると認められる生活関連等施設に対する攻撃のおそれがある場合は、被害が拡大するおそれがあるため、特に当該生活関連等施設の安全確保、武力攻撃災害の発生・拡大の防止等の措置を実施する必要がある。

(2)その他特殊な対応が必要となるNBC攻撃(核兵器等又は生物剤若しくは化学剤を用いた兵器による攻撃をいう。以下同じ。)の種類と特徴については、次のとおりである。

種類

特徴

1核兵器等

(1)概要

核反応を利用した兵器。原子爆弾、水素爆弾、中性子爆弾、また核弾頭を装着したミサイルなど。

(2)特徴

  • ア 核兵器を用いた攻撃(以下「核攻撃」という。)による被害は、当初は主に核爆発に伴う熱線、爆風及び初期核放射線によって、その後は放射性降下物や中性子誘導放射能(物質に中性子線が放射されることによって、その物質そのものが持つようになる放射能)による残留放射線によって生ずる。核爆発によって1.熱線、爆風及び初期核放射線が発生し、物質の燃焼、建造物の破壊、放射能汚染の被害を短時間にもたらす。残留放射線は、2.爆発時に生じた放射能をもった灰(放射性降下物)からの放射線と、3.初期核放射線を吸収した建築物や土壌から発する放射線に区分される。このうち1.及び3.は、爆心地周辺において被害をもたらすが、2.の灰(放射性降下物)は、爆心地付近から降下し始め、逐次風下方向に拡散、降下して被害範囲を拡大させる。このため、熱線による熱傷や放射線障害等、核兵器特有の傷病に対する医療が必要となる。
  • イ 放射性降下物は、放射能をもった灰であり、爆発による上昇気流によって上空に吸い上げられ、拡散、降下するため、放射性降下物による被害は、一般的には熱線や爆風による被害よりも広範囲の地域に拡大することが想定される。放射性降下物が皮膚に付着することによる外部被ばくにより、あるいはこれを吸飲することや放射性降下物によって汚染された飲料水や食物を摂取することによる内部被ばくにより、放射線障害が発生するおそれがある。したがって、避難に当たっては、風下を避け、手袋、帽子、雨ガッパ等によって放射性降下物による外部被ばくを抑制するほか、口及び鼻を汚染されていないタオル等で保護することや汚染された疑いのある水や食物の摂取を避けるとともに、安定ヨウ素剤の服用等により内部被ばくの低減に努める必要がある。また、汚染地域への立入制限を確実に行い、避難の誘導や医療に当たる要員の被ばく管理を適切にすることが重要である。
  • ウ ダーティボムは、核兵器に比して小規模ではあるが、爆薬による爆発の被害と放射能による被害をもたらすことから、これらに対する対処が必要となる。

   エ 核攻撃等においては、避難住民等(運送に使用する車両及びその乗務員を含む。)の避難退域時検

     査及び簡易除染その他放射性物質による汚染の拡大を防止するため必要な措置を講じる必要があ

     る。

2生物兵器

(1)概要

細菌、ウィルスなどの生物剤を、爆弾等を用いて散布する兵器。生物剤には、天然痘ウィルス、コレラ菌、炭疽菌などがある。

(2)特徴

  • ア 生物剤は、人に知られることなく散布することが可能であり、また発症するまでの潜伏期間に感染者が移動することにより、生物剤が散布されたと判明したときには、既に被害が拡大している可能性がある。
  • イ 生物剤による被害は使用される生物剤の特性、特にヒトからヒトへの感染力、ワクチンの有無、既に知られている生物剤か否か等により被害の範囲が異なるが、ヒトを媒体とする生物剤による攻撃が行われた場合には、二次感染により被害が拡大することが考えられる。
  • ウ 厚生労働省を中心とした一元的情報収集、データ解析等のサーベイランス(疾病監視)により、感染源及び汚染地域を特定し、感染源となった病原体の特性に応じた医療活動、まん延防止を行うことが重要である。

3化学兵器

(1)概要

毒性物質などの化学剤を使用する兵器。化学剤としては、ホスゲン(窒息性)、塩化ピクリン(催涙性)、イペリット(糜爛性)、青酸(中毒性)、サリン(神経性)などがある。

(2)特徴

  • ア 一般に化学剤は、地形・気象等の影響を受けて、風下方向に拡散し、空気より重いサリン等の神経剤は下を這うように広がる。また、特有の臭いがあるもの、無臭のもの等、その性質は化学剤の種類によって異なる。
  • イ 国、県、市等関係機関の連携の下、原因物質の検知及び汚染地域の特定又は予測を適切にして、住民を安全な風上の高台に誘導する等、避難措置を適切にするとともに、汚染者については、可能な限り除染し、原因物質の特性に応じた救急医療を行うことが重要である。また、化学剤は、そのままでは分解・消滅しないため、汚染された地域を除染して、当該地域から原因物質を取り除くことが重要である。

 2 緊急対処事態

武力攻撃の手段に準ずる手段を用いて多数の人を殺傷する行為が発生した事態又は当該行為が発生する明白な危機が切迫していると認められるに至った事態(後日武力攻撃事態等への対処に関する基本的な方針において武力攻撃事態であることの認定が行われることとなる事態を含む。)で、国家として緊急に対処することが必要な事態をいう。

(1) 市国民保護計画では、想定される緊急対処事態を次の4類型とする。

類型

特徴

1 危険物質を有する施設等への攻撃

(1)概要

危険性を内在する物質を有する施設等に対する攻撃(原子力発電所の爆破、石油コンビナート・可燃性ガス貯蔵施設の爆破、危険物積載船への攻撃、ダムの破壊等)が行われる事態

(2)特徴

  • ア 原子力発電所が攻撃を受けた場合、大量の放射性物質等が放出され、周辺住民が被ばくする。
    また、汚染された飲食物を摂取した住民が被ばくする。
  • イ 石油コンビナート、可燃性ガス貯蔵施設が攻撃を受けた場合、爆発及び火災の発生により住民に被害が発生するとともに、建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障が生ずる。
  • ウ 危険物積載船が攻撃を受けた場合、危険物の拡散による沿岸住民への被害が発生するとともに、港湾及び航路の閉塞、海洋資源の汚染等社会経済活動に支障が生ずる。
  • エ ダムが破壊された場合、下流に及ぼす被害は多大なものとなる。

2 多数の人が集合する施設、大量輸送機器等への攻撃

(1)概要

多数の人が集合する施設、大量輸送機関等に対する攻撃(大規模集客施設、ターミナル駅等の爆破、列車等の爆破等)が行われる事態

(2)特徴

  • ア 大規模集客施設、ターミナル駅等で爆破が行われた場合、爆破による人的被害が発生し、施設が崩壊した場合には人的被害は多大なものとなる。
3 大量殺傷物質による攻撃

(1)概要

多数の人を殺傷する特性を有する物質による攻撃(ダーティボム等の爆発による放射能の拡散、炭疽菌等生物剤の大量散布、サリン等化学剤の大量散布、水源地に対する毒素等の混入)が行われる事態

(2)特徴

  • ア ダーティボムの爆発による被害は、爆弾の破片及び飛び散った物体による被害並びに熱及び炎による被害等である。
    また、ダーティボムの放射線によって正常な細胞機能が攪乱されると、後年、ガンを発症することもある。
  • イ 小型核爆弾の特徴は、前記1(2)の武力攻撃事態の核兵器等の特徴と同様である。
  • ウ 生物剤の特徴については、武力攻撃事態の生物兵器の特徴と同様である。
  • エ 毒素の特徴については、武力攻撃事態の化学兵器の特徴と類似している。
  • オ 化学剤の特徴については、武力攻撃事態の化学兵器の特徴と同様である。

4 破壊手段として交通機関等を用いた攻撃

(1) 概要

破壊の手段として交通機関等を用いた攻撃(航空機等による多数の死傷者を伴う自爆テロ、弾道ミサイル等の飛来等)が行われる事態

(2)特徴

  • ア 主な被害は施設の破壊に伴う人的被害であり、施設の規模によって被害の大きさが変わる。
    また、攻撃目標の施設が破壊された場合、周辺への被害も予想される。
  • イ 爆発、火災等の発生により住民に被害が発生するとともに、建物、ライフライン等が被災し、社会経済活動に支障が生じる。

 

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〒430-8652 浜松市中央区元城町103-2

電話番号:053-457-2537

ファクス番号:053-457-2530

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