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更新日:2025年3月17日
無意識の思い込みに気づこう
インタビュー1:男性の看護師「友人とともに夢を目指す」
インタビュー2:自治会の女性役員「住民全員が参加できる防災を」
男女共同参画の視点を学ぶ
令和6年度男女共同参画フェスタ
ホワイトリボンラン
“遠州織物の母”小山みい
「女性はピンクが好き、男性は青が好き」。なんとなくそんなイメージがありませんか?実際は青が好きな女性もいるし、ピンクが好きな男性もいるのに、私たちは時として、こうした思い込みにとらわれてしまうことがあります。今回の特集の前半では、思い込みの正体「アンコンシャス・バイアス」とは何か、どう付き合っていけばいいのかについて考え、後半では、性別による思い込みにとらわれずに活躍するお二人に話を聞きました。
自分自身では気づいていない「ものの見方やとらえ方の偏り」や「考え方のくせ」のことを「アンコンシャス・バイアス」といい、日本語では「無意識の思い込み」とも訳されます。この偏りは、自分が経験したこと・見聞きした情報に影響を受けています。だれもがもっているものであり、それ自体が悪いものではありません。
アンコンシャス・バイアスが問題になるのは、無意識に、自分でも気づかないうちに「〇〇だから~すべき(~してはいけない)」と決めつけ、相手や自分を傷つけたり、可能性を制限したりしてしまうところにあります。
「女性だから(男性だから)“普通は”~だろう」という先入観に縛られていませんか?性別によるアンコンシャス・バイアスの代表的なものには、「男性は家庭より仕事を優先すべき」「家事・育児は女性がやるべき」などがあります。こうした固定的性別役割分担意識※は、男性が育児休業を取りにくい雰囲気を生んだり、女性が結婚・出産後にキャリアアップをあきらめる原因になったりするなど、さまざまな問題を引き起こしています。まずは、自分の中にある「アンコンシャス・バイアス」に関心を持つことから始めましょう。(※個人の能力とは関係なく、性別を理由に役割を固定的に分ける考え方)
男性は仕事をして家計を支えるべきだ
家事・育児は女性がやるべきだ
男性なら力持ちなはずだ
女性は理系科目が苦手なものだ
男性の方がリーダーに向いている
女性には女性らしい感性があるものだ
マイクロ・アグレッションとは、「マイクロ=小さな」と「アグレッション=攻撃性」を組み合わせた言葉です。日常の何気ないやり取りの中で、悪意はなくても相手を傷つけてしまう、新しい差別の形として最近注目されています。アンコンシャス・バイアスが「ものの見方」であるとすれば、マイクロ・アグレッションは「言葉や態度に表れたもの」といえます。明らかな差別やハラスメントではなく、善意から生じる場合もあるので、気づくのが難しくなります。
例:「女性なのに仕事ができて優秀だね。」『女性は男性より仕事ができないと思っているのかな。』※上司はほめているつもりですが、部下の女性はモヤモヤしています。
アンコンシャス・バイアスは人間の脳の特性によるもののため、完全になくすことはできませんが、自分の中のバイアス(思い込み)を発見することは可能です。例えば、自分が“当たり前”だと思っていることを疑ってみることが効果的です。他にも、相手や自分を男性、女性という“属性”ではなく“個人”としてとらえてみることも、思い込みや偏見に気づきやすい方法です。下のシーンは、自分の思い込みを発見し、言動が変わった2つの例です。あなたの場合はいかがでしょうか。
隣の席の同僚男性(Aさん)が自分で作ったお弁当を食べていた。「男性なのに自分でお弁当を作るなんてすごいですね!」
<料理をするのは女性という思い込みがある。相手が女性でも「女性なのに」と言う?>
→Change!
「Aさん、早起きしてお弁当を作るなんて尊敬します!」
<性別に関係なく、Aさんの行動に敬意を示している。>
同窓会の案内を見たら開催時間が夜だった。「私は妻だから、夫の夕飯を作らなければいけない」とあきらめた。
<妻がご飯を作らないといけないと思い込んでいる。自分が男性(夫の立場)でもあきらめる?>
→Change!
夫に自分で夕飯を用意してもらい、同窓会に参加した。
<対等な夫婦として、自分がどうしたいか考えて行動している。>
内閣府男女共同参画局(別ウィンドウが開きます):令和4年度に実施した「性別によるアンコンシャス・バイアスに関する調査結果」、チェックシート・事例集、動画などを紹介しています。
株式会社リソースフル代表取締役
浜松市男女共同参画審議会委員(令和1~5年度)
アンコンシャス・バイアスに関する研修・講演を全国で実施中
「人は認識できない問題を解決することはできません。『アンコンシャス・バイアス』という言葉を知ることで新しい発見や気づきが生まれ、職場や家庭、地域が良い方向へ向かうことを願っています」
瀬古翔輝さん(聖隷浜松病院看護部)
―看護師を目指したきっかけは何ですか。
高校2年生の時、小学生の妹が遊具から転落してしまい救急搬送されたことがありました。家族全員が心配し病院に駆けつけたとき、担当の看護師さんが妹の状態などを優しく丁寧に説明してくださり、安心感を与えてくれました。そのときに自分自身もこんな看護師を目指したいなと思うようになりました。もう一つは中学からの友人が私より前から看護師を目指していたことです。妹の入院で看護師という職業に興味をもった私は、彼と一緒に職場体験に行きました。その職場で男性スタッフが生き生きと働いている姿を見て、男性でも目指せる職業なんだなと実感し、進路を決めました。
―女性が多い学校や職場だと思いますが、心配はありませんでしたか。
高校までは異性と話す機会があまりなかったので、正直うまくやっていけるのか心配でしたが、「看護の仕事がしたい」という気持ちが強かったので看護科に進学しました。大学に入学すると1年生約150人中、男性は約20人いて、思っていたよりも多くて安心しました。入学当初は男同士で話すことが多かったのですが、実習やグループワークなどを通して女性と話すことにも徐々に慣れていきました。両親は私が看護師になると決めたとき応援してくれましたが、後で聞いたところ「女性が多い職場で大丈夫かな」と心配はしていたそうです。
―将来どのような看護師になりたいですか。
今の病棟には男女ともに多くの尊敬できる先輩がいて、そんな先輩たちのようになりたいと思っています。また後輩たちがどんどん成長する姿を見て、自分もさらに新しいことに挑戦したいと思い、別病棟への異動希望を出し、異動することになりました。今までとはまったく違う仕事内容なので不安もありますが、自分が目指している「一つ一つの行動に根拠をもち、患者さんの身体をトータルにみられる看護師」になるために、いろいろな病棟を経験して、向上心を忘れずに努力していきたいと思います。
岡村奈緒美さん(聖隷浜松病院総看護部長)
当院の男性看護師の割合は7.24%※です。看護師は、普段は性別を意識せず仕事をしていますが、羞恥心を伴う処置については、男性看護師にしてもらうのは抵抗がある女性の患者さんが多いので配慮しています。男性が少ないからといって、特に男性の看護師を増やしたいということはありません。以前は「男性は力仕事に必要」というイメージがありましたが、今は技術も発達し、性別を問わず十分対応できます。ただ働く環境としては、男性職員同士で話しやすいこともあると思うので、各病棟に男性1名ではなく、できるだけ複数名配置したいと思っています。※看護師・助産師職員数994名(産休育休102名含む)中男性看護師72名(2024年4月1日現在)
青山千佳代さん(中瀬五区防災コーディネーター)
―自治会役員になった経緯を教えてください。
きっかけは、阪神淡路大震災(1995年)と東日本大震災(2011年)で防災について考えるようになったことです。静岡県ふじのくに災害ボランティアコーディネーター養成講座を受講し活動する中で、「避難所に行ったときに、地域が繋がっていないとみんなが困る、住民全員が参加する防災が必要だ」と思い、自分が自治会の役員になる必要があると思うようになりました。男性中心の自治会で前例がないことや、女性ひとりで動く難しさを感じましたが、あるとき、ふと背中を押されるように「よし行こう」と思える瞬間がありました。思い切って当時の自治会長さん宅を訪問し、防災について活動したいという思いを伝えたところ、自治会の役員名簿に「防災コーディネーター」として名前を載せていただき、防災会議を開催できることになりました。
―自治会ではどのような活動をされていますか。
2019年から防災訓練の時に、黄色い「安否確認タオル」を家の前に掲示してもらう訓練を続けています。班内を2~5軒を目安に「防災隣組」というグループに分け、組のリーダーがすべての家にタオルが出ているか確認するという訓練です。班長は毎年替わるので、皆さんに理解してもらうため毎年丁寧に説明しています。「タオルを掲げることは目的ではありません。隣近所と繋がりをもち、防災の気持ちを高めるためにやっているので、取り組みをお願いできませんか」とお話しすると、多くの方が参加してくださいま
す。タオルの掲示率も増えてきて、地域の皆さんに浸透しているのかなと感じています。また、不定期ですが「五区防災だより」を作って回覧したり、中瀬五区の秋祭りでは、防災意識を高めていただくためにアルファ化米の試食や防災ランプを展示したりしました。これからも自分が無理なくできることをやっていきたいと思います。
―自治会役員に女性が少ないことで大変だと思うことはありますか。
自治会の集まりは男性ばかりで、その中で防災の話をするときは毎回とても緊張します。自治会に女性がもっといたら、もう少し話しやすいのではないかと思います。何か新しいことを提案するときには、反対されてもいったんは相手の意見を受け止め、機会をうかがって改めて提案するようにしています。
―これからやってみたいことは何かありますか。
女性防災リーダーのグループみたいなものを作りたいです。今は各家庭で防災備蓄品を用意されるなど、みなさんが防災に興味を持っていると感じています。機会を作って、興味がある人や若い人と繋がって、地区や世代を超えて一緒に何かやってみたいと思っています。
人生100年時代といわれるようになり、一生を通じて学び続けることが大切になっています。大人になってから学ぶ目的はさまざまで、仕事やキャリアアップに役立つものだけでなく、家事・育児などの家庭生活、ボランティアなど地域活動に活かすための学びもあります。
何を学べばいいか迷っていたら、「男女共同参画の視点」を学んでみませんか。男女共同参画とは、性別に関わらず皆がお互いを尊重し合い、それぞれが自分らしく生きること。そうした考え方を知ることで、新しい自分を発見したり可能性を広げたりすることができます。家族や職場など、周囲の人に対する見方や人間関係も「男女共同参画の視点」を学ぶことによって変化するでしょう。
企業、学校、地域などで企画する学習会に、男女共同参画の視点を持った講師を無料で派遣する。テーマはジェンダー平等、ワーク・ライフ・バランスと女性活躍、ハラスメントなど。
男女共同参画の視点で学べる講座やイベントを開催している。託児付きの講座もあり。
★内閣府男女共同参画局公式YouTube(別ウィンドウが開きます)
2024年6月23日、あいホール(中央区幸)で男女共同参画フェスタが開かれました。第1部では静岡大学学術院情報学領域の笹原恵教授が、浜松の女性人材育成講座「はままつ女性カレッジ」の10年のあゆみを振り返りました。笹原教授は女性が学ぶことの意味について、「女性は社会的に求められているジェンダー規範に無意識に縛られていることが多く、日常的に感じていることを言語化し、自分自身を変えられることに気づく必要がある」と話されました。
第2部のパネルトークでは、浜松男女共同参画推進協会理事長・道喜道恵さんをコーディネーターとして、講師、浜松市、修了生など、はままつ女性カレッジに携わってきた方々が、会場からの質問にそれぞれの立場や視点から答えました。
2014年にスタートした浜松市の女性人材育成講座。身の回りのことを社会課題としてとらえ、グループワークを通して課題解決を目指す。2024年2月までに91名修了。
「国際女性デー」(3月8日)は国際婦人年にあたる1975年、女性の権利を守り、ジェンダー平等の実現を目指して世界が連帯する日として、国連によって定められました。この日を記念して、世界各地で関連イベントが行われ、功績を残した女性を称えています。黄色いミモザの花が、国際女性デーのシンボルとして親しまれています。イタリアでは3月8日が「女性の日」と呼ばれており、男性が日頃の感謝を込めて女性にミモザの花を贈る習慣があります。その習慣が世界に広まったといわれています。
ホワイトリボンランは、国際協力NGOジョイセフが国際女性デーと連動して2016年にスタートしたチャリティランイベントです。ホワイトリボンが掲げる「すべての女性が健康で自分らしく生きられる世界」を目指し、ホワイトリボンの支援の輪を広げることを目的として全国で開催されています。参加費の収益全額が寄付となり、世界の女性の命と健康を守る活動に使われます。“走ろう。自分のために。誰かのために。”をスローガンに、毎年老若男女さまざまな参加者が、お揃いの公式Tシャツを着て走ります。2025年は、国連が国際女性デーを制定して50周年の節目の年になり、同イベントは10回目を迎えます。浜松での開催は2025年3月2日で8回目になります。
女性の健康と権利を伝える国際的なシンボルとして、1999年にアメリカで誕生しました。当時開発途上国を中心に、1分に1人の女性が妊娠・出産・安全でない中絶、子宮頸がんで命を落としているという現実があり、対策が急がれていました。ホワイトリボンは、文化の違いや国境を越えて、女性の命を守るために人々が手を取り合う「連帯」のシンボルとして生まれたのです。(ジョイセフ公式HPより)
小山みい(1821~1892)
小山みいは、農業の副業であった綿織物を織物業として事業化することに努力した功労者の一人であり、遠州織物の生みの親、育ての親という意味で「遠州織物の母」と言われています。若いころから機織りの技術に優れていた小山みいは、織物工場を建設して工女を雇い、数人の弟子を養成することで、農家の副業に過ぎなかった機織り仕事を専業化し、遠州織物の基盤を作りました。また、品質の保全と販路の確保のため、1879年(明治12年)に「永隆社」という同業者の組合を設立し、遠州織物の普及と発展に尽力しました。小山みいの功績をたたえ、永隆社によって建てられた灯篭が今も蒲神明宮にあります。女性の灯篭が神社に建てられているのは珍しいことです。長上郡本郷村(現在の本郷町)出身。
男女共同参画に関する書物が多数所蔵されている、あいホール図書コーナー。図書コンシェルジュの池谷さんに「アンコンシャス・バイアス」に関するおススメの本を紹介していただきました。
新聞労連ジェンダー表現ガイドブック編集チーム著/小学館
SNS等によって誰でも発信ができる今、言葉の表現には責任をもちたいと思う一方で、無意識に人を傷つけたり、排除したりしてしまうことがあります。この本は、身近な事例から、表現の問題点、問題の表現が生まれる原因を丁寧に記し、自分の思い込みや偏見に気づかせてくれます。
ユン・ウンジュ著/イ・へジョン絵/すんみ訳/ソ・ハンソル監修/エトセトラブックス
子どもたちには、「ジェンダーにとらわれず生きてほしい」。でも、それってどんな生き方なのでしょう。ジェンダー平等とは言えない中で育った大人たちは、実はよく分からないのかもしれません。子どもには「勇気」を、大人には「気づき」をくれるこの本を、ぜひ子どもと大人で読んでほしいです。
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