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更新日:2019年3月31日

ホタルに魅せられた人

「ホタルはね、命がけで恋をするんですよ」(PDF:211KB)

美しい水の象徴

美しい水といって思い浮かべるものはいくつかある。川の透明度を挙げる人もいるだろうし、アユやメダカの存在をその象徴と考える人もいるだろう。そして、その代表格の一つがホタル。清流を有する天竜区には、ホタルの名所がいくつかある。天竜区熊地区のホタル、春野町のホタル公園、そして、龍山町のふるさと村…。

龍山町瀬尻にあるふるさと村は、ひっそりとした雰囲気にたたずむペンション。ふるさと村を訪ねる前にいろいろな人に話を聞くと「ふるさと村のホタルはすごくいいよ。それから、管理人の小川さん。すごく面白い人だからね」と口を揃えていった。「レコードもいっぱいあるから、好きな曲をかけてもらったらいいよ」とのアドバイス付きで。

アナログの世界

7月初旬、小川さんに会うためふるさと村を訪れた。この時期は、ホタルの最盛期である。出迎えてくれた小川さんは、ジーパンにコットンのシャツスタイル。ロマンスグレーの髪には、バンダナが巻かれ、いかにもペンションの管理人といった風貌だった。彼は優しい笑顔で、僕をペンション内の応接間に案内してくれた。

応接間には古いレコードの山。ざっと見ても数千枚という数だ。「好きなレコードをかけるからね」との言葉に甘えて、イーグルスのホテル・カリフォルニアをリクエスト。ホテルとホタルをかけたつまらない冗談のつもりで頼んでみたのだが、理由はそれだけではない。曲が持つイメージとふるさと村の雰囲気はどことなくオーバーラップする。それは空間的な意味だけではない。小川さん自身の不思議な魅力のせいだったと後々になって感じた。

ホタルが飛び始めるという時間になるまで、しばらく話は続いた。人口減少が続く龍山のことや田舎暮らしのこと、ふるさと村の管理人になるまでのいきさつなど内容はさまざま。小川さんは、話題が変わる度にさまざまな資料や写真をすぐさま用意してくれた。特に小川さんが大事にしていたのは、これまでペンションを利用してくれた人たちの写真。アルバムは相当な数だった。「写真を撮る時にみんなを笑顔にするのが得意なんだよ」と小川さん。確かにどの写真も笑顔であふれている。あえて「人とのつながりが大切だ」と言葉にはしなかったが、彼の人となりが、そのアルバムを手にすれば十分伝わる。話しの途中、小川さんは「田舎はアナログの世界だからね」といっていたが、レコードしかり、ホタルしかり、人との関わり方しかり。ふるさと村にあるアナログな手触りが、人々を自然に笑顔にさせるのだと思った。

ホタルの光の魔法、誰もが子どものような顔になる

「そろそろ出かけようか」と小川さんが声をかけてくれたのは、午後9時を過ぎてから。気がついたら2時間も話し込んでいた。聞き忘れてはと思い「ホタルって小川さんにとってどんな存在ですか」と唐突に尋ねると「質問が下手だな」と笑われ「金儲けの元だよ」と続けた。半分は本心で、半分は照れ隠しなんだろうと思った。そういう一筋縄ではいかないところが、この人の魅力だ。

小川さんの四駆に乗って、ホタルが見られるという川辺まで向う。その道中、モリアオガエルの卵を発見し、カモシカに出会った。小川さんは到着すると、三脚を立てて写真撮影の準備。この日は、ふるさと村に宿泊するお客さんたちに同行させてもらったのだが、ホタルを見るなり大人たちは子どもに返ったように夢中になった。これが人を惹き付けるホタルの光の力だと改めて思った。ホタルの描く光の世界は、どこか儚く神秘的で、そして美しい。

準備を終えた小川さんは、僕たちにホタルの生態について説明を始めた。その説明は、今までどこで聞いた内容よりも丁寧だった。そして、話はこう締めくくられる。「ホタルは、1週間か10日ほどしか生きられない。その間にね、命がけの恋をするんです。ぜひ、皆さんも命がけで恋をしましょう」と。「それじゃあ、撮るよ」と小川さんに素敵な魔法をかけられたまま、僕たちは記念写真に収まった。

数日後、小川さんからその日の写真が送られてきた。無数のホタルが乱舞するなか、僕たちは満面の笑み。写真には「ホタルの宴 龍山ふるさと村」の文字。もちろん、小川さんの姿はないが、ファインダの向こう側で優しい笑顔をしている体温を感じることができる。ああ、こういう年齢の重ね方をしたい。素直にそう思った。

写真のお礼を伝えながら、もう一度、ふるさと村を訪ねることにしよう。自然とそう思える。ふるさと村は、リピーターが多いと小川さんから聞いていたが、その理由もうなずける。僕は、ホタル以上に小川さんの人柄に魅せられてしまったようだ。

さて、次は何のレコードをかけてもらうことにしようか。ふるさと村に訪れるからには、それもまた楽しみの一つだ。

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