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更新日:2020年3月26日

竹灯籠を灯す人

和室にかっこよく飾って置ける。そんな竹灯籠を作りたいですね。(PDF:209KB)

 

今、全国各地で問題視されていることがある。

――放置竹林。

高齢化などが原因で、管理できる人がいなくなり、整備が行き届かないまま放置されてしまった竹林である。ここ天竜区でも大きな問題の一つとなっている。天竜区龍山町には、放置竹林の整備に取り組む団体がある。その名も「タケのネ」。地域の竹林整備と伐採した竹の有効活用などを行っている。

この場所で何ができるか

放置竹林の伐採をする人「タケのネ」を主宰するのは、浜松山里いきいき応援隊として龍山町で活動する堀田侑子さんである。「最初に龍山に来たときに『このまちで困っていることは何だろう』ということと『この場所で自分に何ができるか』を考えたとき、”竹”というキーワードが見えてきたんです。『これだ!』と思ったんですね」堀田さんは、活動のきっかけをこう語る。龍山へ来る以前から、竹林整備の経験はあったという。

活動を始めるにあたっては、知り合いや地域の人など様々な人に声を掛けた。「タケのネ」の活動は、ボランティアを募り、月1回のペースで行っている。1回あたりの参加者は6、7人だという。

「初めに集まったのは、竹林整備の経験が無い人がほとんどだったので、知り合いの林業に携わっている人を講師に招いて講習会を開催しました」。その講習会の開催地には、地域の人と関わることができる場所を選定しているという。中には、地域の人とのふれあいを楽しみに参加している人もいるそうだ。「参加者の思いも様々です。竹林整備をしようというだけでなく、地域の人との関わりを楽しみにしている人、困っている人の力になりたいという志を持っている人、講習会の後の宴会を楽しみにしている人もいるんじゃないですかね」堀田さんはそう言って笑った。この話を聞くだけでも「タケのネ」の活動が単なる竹林整備というだけでなく、地域との関わりを大切にしたものであることが伝わってくる。

地域を照らす竹

次に堀田さんが考えたのは、竹林整備で切った竹の使い道だ。堀田さんは「竹灯籠」に一筋の光を見出した。竹で灯籠を作り、龍山をもっと明るくする明かりを灯したい。そんな思いが生まれた。以前も竹を活用した物づくりをしたことはあったが「竹灯籠」を作ったのは初めてだという。「竹灯籠にはうれしい反響がありました。竹灯籠づくりのワークショップを開いて欲しいと、いろんなところから依頼をもらったんです」。地域内のみならず区外からも依頼があり、対応しきれないこともあったほど。さらに、東京や栃木など県外からも販売してほしいという声をもらった。「日本に住む外国人の方から『こんなデザインのものが欲しい』という注文を受けたこともあって。これからもっと広がっていけばいいなと思っています」

竹灯籠については、課題だと感じていることがあるという。「イベントで竹灯籠を展示していたことがあったんですが、乾燥のせいか、割れてしまったことがあるんですよ」

竹は乾燥に弱い。この課題をクリアしなければ、商品としての価値を上げることは難しい。そう思った堀田さんは「タケのネ」のメンバーで京都まで研究に出向いたそうだ。「竹が割れないようにするために竹を火であぶる処理があるんですが、その作業を見せてもらったんです。職人技でしたね。ただ、その域まで至るには職人修行をしなくちゃいけませんからね」と堀田さんは苦笑いした。

それでも「和室にかっこよく飾って置けるような竹灯籠を作りたい」と今後の目標を話す。放置竹林という厄介者が立派な竹灯籠として生まれ変わる。部屋の中を温かな灯籠の明かりが包み込む。とても魅力的である。

灯された明かりが広がる

温かい光で照らされた竹灯籠現在は、竹灯籠以外にも活用を模索している。竹を使ったアクセサリー作りをしたり、流しそうめんを台から組み立てるワークショップを開催したりしてきた。ただ、これらの活動は、龍山で行うということに意味を感じているそうだ。「例えば、流しそうめんなんかは『楽しかったね』というだけで終わってしまってはいけないなと思うんです。実際に龍山で竹林のことを知ってもらって、その上で体験してもらうということですよね」と堀田さんは話す。そして続ける。「『タケのネ』の活動としてだけで終わるんじゃなくて、地域の人たちも巻き込んでワークショップを開催したいと思っているんです。地元のお母さんにごはんを作ってもらったり、竹の工作ができる地元のお父さんが顔を出してくれたりしたこともありますし…」。この活動が、地域の人とのふれあいの場にもなって欲しいとの願いが、その言葉に込められていた。

――放置竹林。

この問題に取り組むために人々は、様々な方法を模索している。「タケのネ」もその一つ。「タケのネ」の進む道は、竹灯籠の明かりで照らされている。今はまだ、ぼんやりとした明かりでも、それは、やがて地域を温かく包み込む光の輪に広がっていくことだろう。そんなことを期待して止まない。

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