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更新日:2019年3月31日
水窪のこんにゃくは、こんにゃく芋の占める割合が高く、色が濃い。「昔からのものが好まれるんだ」水をたくさん入れると味が薄くなってしまうと教えてくれた米山さん。水窪の郷土食、特産品でもあるが、ここの手作りこんにゃくは、歯ごたえや舌触りが市販のものとは一味違う。主に町内へ卸しているが、地元の人は、ここのしか知らないというほどだ。
米山さんは2代目になり、店の創業は40年ほどになる。奥さんと、今は二人でこんにゃくを作っている。佐久間から嫁いできて30年以上になるという奥さんは、子育てが終わってから手伝いを始めたそうだ。「この仕事は一人じゃできん」そう話す米山さんの横で、奥さんは糸こんにゃくをくるくると巻き取り始めた。だいたい作業は午後から始めて夕方で終わらせる。
10月はこんにゃく芋の収穫時期だ。以前は、倉庫いっぱいになるぐらい水窪産の芋が採れ、それを使っていた。しかし、今では、大部分が、群馬や栃木から仕入れた芋になってしまった。水窪では、こんにゃく芋の生産者は減っていて、地元の芋があまり使えないんだということを、米山さんは残念そうに話した。
こんにゃく作りには大量の水が必要だが、米山さんのお宅では、地下20メートルほどから湧き出る地下水を利用している。そこは昔から変わっていないところ。芋を洗って、ゆでて、つぶしてと、それ以降にも何段階もの工程を踏んで、こんにゃくは出来上がる。また、この地下水は調理するだけではなく、終わった後に、こんにゃく芋の成分でぬるぬるになってしまった床や機具類を洗い、清掃することにも使われている。
「涼しくなってくるとお客さんが増えるよ」寒い季節といえば、おでんを思い浮かべるが、やはり冬場が一番忙しいそうだ。板こんにゃくは煮しめに、丸こんにゃくはちぎって辛めの味付け、糸こんにゃくは鍋に。刺身こんにゃくは、もちろん火を通さずそのまま、醤油などをつけて。さまざまに成形されるこんにゃくは、調理方法も食感もバリエーションに富んでいる。幾分太めの糸こんにゃくを使ったくるみ和えは、水窪の冠婚葬祭に欠かせない料理だという。故郷を離れた人にとっては、懐かしい味。帰省したら食べたくなるという人もいる。
「立ち仕事はつらいけど・・・」と、手を動かしながら奥さんは話すが、市内外の物産展に出店するのは楽しいのよ、とはちきれんばかりの笑顔。てきぱき動く姿と明るい話しぶりは、とつとつと話す米山さんとは対照的なものだが、それが夫婦のほどよいバランスになっているのだろう。
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