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更新日:2019年3月31日

あまごを育てる人

「水の管理はかかせない。デリケートな生き物だから」(PDF:249KB)

情熱が支えた挑戦

「養殖を始めた頃は、みんなに絶対うまくいかないからやめた方がいい、ってよく言われたみたいだよ」と話してくれたのは、春野町田河内であまごの養殖場を営む奥野さん。奥野さんのお父さんが、この地で養殖を始めたのは今から40年ほど前。あまごは、温度変化などに弱いデリケートな魚なだけに、地域内の人たちだけでなく、専門家からの意見もずいぶん厳しかったそうだ。

この挑戦を支えたのは、何とか山里の特産品を生み出したいという熱い思いだった。その後、周囲の不安をよそに、見事、養殖の成功にこぎつけた。清らかな水がなければ育たないというあまご。奥野養漁場は、田河内集落を流れる川のすぐそばにあり、沢の冷たくて澄んだ水を引き込んだ。結果的には、田河内の豊かな自然環境もまた、あまごの養殖成功のカギとなった。

努力の結晶

現在、年間4万匹のあまごを養殖している奥野さん。去年の5月に稚魚を水槽に入れてから、1年半をかけて、何度も大きさなどの選別を繰り返して大切に育ててきた。特に注意を払うというのが水温管理。「特に夏場は、温度が上がるとすぐに魚が死んでしまう」と苦労話をしてくれた。また、水量が少なくなると魚は、すぐに酸欠になってしまうのだそうだ。「常に水の管理には気を抜けない。あまごはデリケートな生き物だから」と奥野さんは我が子を思うようにいった。

奥野さんが管理する養殖場は、水槽の水とは思えないほどきれいで、透明度が高い。水温が重要と聞いていたので、手を入れてみると、かなりひんやりとした。沢から汲み上げられた水は水槽内を流れ、常時入れ替え続けられる。水の質も重要だが、豊富な水量を確保しなければならない。

水槽の中に入り、あまごを見せてくれるという奥野さん。腰ほどの深さの水槽を網でひとすくいすると、あまごの大群がバシャバシャと威勢良く姿を現した。この元気のよい魚たちは、奥野さんの日々の努力の結晶だ。こちらもその姿をしっかりと収めようと、カメラのシャッターを切った。

手間ひまかけて作られる絶品

年末年始にかけて、出荷は最盛期を迎える。あまごの甘露煮は、奥野養漁場の看板商品だ。朝7時頃、寒さに身を震わせながら、あまごを水揚げし、奥野さん自ら慣れた手つきでさばいていく。囲炉裏に火を起こし、焼き始めるのが昼頃。手のかかる作業はまだまだ続く。

焼き上がったあまごは、およそ10時間かけてようやく甘露煮になる。時間をかけて丁寧に煮込まれた甘露煮は、旨味が凝縮された絶品。年末の贈答用として使われ、喜ばれることも多い。

囲炉裏に使う薪割りや竹串づくりも時間のかかる作業。「下準備がなかなか大変でね。やることばっかりだ」と奥野さんは苦笑いした。

自然の恵みと、手間を惜しまない奥野さんの手仕事によって生み出される山里の味覚。40年前、奥野さんのお父さんが抱いた情熱は、確かに今につながる。奥野さん自慢のあまごの甘露煮には、こうした隠し味もしっかりと利いている。

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