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更新日:2023年5月22日
秋葉山本宮秋葉神社の神門が建設当時の姿でよみがえりました。
秋葉神社の神門は本殿から約50mほど山を下ったところにあります。1831年に諏訪の名匠立川流2代目富昌が建立したとされる浜松市指定有形文化財です。
約190年もの長い年月の間、風雪にも耐えてきましたが、建物のゆがみや地盤沈下が次第に進み、2018年には台風による倒木で屋根の一部が破損するなど経年劣化が進んでいました。そこで2020年より保存修理工事が着工されました。
工事の方向性について秋葉神社、浜松市、施工業者の3者間で協議をし、「全解体をしたうえで、なるべく古い材を残し1831年建設当時の姿に復元すること」が決まりました。
工事は当初の構造や屋根などがどういうものだったのか、調査を行いながら、進められました。
190年もの間、門を支えてきた12本のケヤキ材は、目の詰まった特上の材でした。金輪継ぎという金具を使わない継ぎ方で新しい木材と元の木材を継ぎ合わることで、なるべく古い材を残して当時の材料を残しました。
門の装飾された獅子や力人の彫刻類も欠損箇所や虫食い穴などを補修し、当時の材のまま制作時の姿に復元されました。彫刻の彫は深く、立体感、臨場感があります。門の中央に取り付けられている、迦陵頻伽(かりょうびんが)は上半身が天女、下半身が鳳凰の想像上の生物です。
屋根は修繕前、昭和30年の修繕工事によりアルミ板葺きになっていましたが、今回の調査により1831年建設当時はこけら葺きだったことが判明しました。こけら葺きのこけらは「木片」とも書くように、薄い木材の板を幾重に敷いていく手法です。装い新たになった神門の屋根は、6mm厚に手割りされた秋葉山の杉材が用いられています。屋根のラインの反りは立川流独特のものです。
竣工式及びくぐり初め式は、神社や行政、施工業者ら約70人ほどが参列しました。
晴天のなか太陽の光が差し、輝くような新しい神門の美しさに多くの人が感動しました。
工事を請け負った天峰建設の武田大将さんは、
「今とは違い機械のなかった時代、当時の人はどうやって建てたのか考えました。建物を解体してみると、大工道具の使い方がものすごくきれいで、ほんとうに匠の技でした。ある継ぎ材を少しハンマーでたたくだけですぐに取れるようになっている。素晴らしい技術で、この建物をどう後世に残そうとしたのか、当時の大工さんの思いが伝わってきてとても感銘を受けました。僕らはこれを勉強しないといけない。これから活かしていかないといけない技術です。」と当時の職人の仕事ぶりに感心したようでした。
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