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更新日:2022年3月14日

【今月の特集】森下林業、自伐林家という生業

天竜区春野町田河内、浜松市と川根本町との境にあたるこの山間地域で100年以上前から続いている林家(りんか)があります。

「明治時代に初代がこの周辺の山を買ってから、うちの林業は始まりました」と語るのは森下林業5代目当主の森下広樹さん。

「林業を継いだ理由はいろいろあって毎回違うことを答えている気がしますが、まずは親が積極的にやってきたことをそう簡単に潰したくないという思いがありました。経営できるベースが残っているならばやるに越したことはないと。それから環境的な問題。日本は国土の7割が山林であるのに、後継者がおらず荒廃している山林が多くある。これで良いのかという危惧があります。あと単純に自然の中で働くのは人間らしくて良いですね」と家業を引き継いだ理由を答えました。

現在一般的な林業形態というと、山林所有者が施業と経営を事業者に委託する方式です。それに対し、山林所有者が自ら山を施業管理し、材木を売って経営していく林業形態を「自伐林業」と呼びます。森下林業は後者。広樹さんと先代廣隆さんの親子二人で先祖の買った約170ヘクタールの山を管理経営しています。日々の仕事のほとんどは間伐。間伐といっても生育の悪い細い木を伐採することもあれば、家の梁になるような直径40cm以上の立派な木を伐採することもあります。これは皆伐(一定区間の木を一度に全て伐採すること)以外の伐り方を間伐と呼ぶためで、私たちが持つ間伐材イコール劣等材というイメージは少し間違っています。伐採した間伐材で収入を得ながら同時に山を育てていきます。

日々の仕事

森下家の山でも一番古い山、樹齢120~130年の木が並ぶ山の伐採現場。まずは間伐する木を見極め、林道に搬出しやすいように木を倒す方向を決めます。伐採する木と支柱にする木をワイヤーロープでつなぐことで、重力に逆らって山頂方向に倒すことも可能です。そしてチェーンソーを使っての伐採が始まります。原付と同程度のエンジンを持つ大径材用のチェーンソーは重量があり、急斜面で扱うには技術と体力が必要です。10年扱っている広樹さんでも、完璧にきれいに伐採できるのは10本に6~7本だとか。木が倒れる瞬間、静かだった山の中に轟音が響き渡ります。切り倒した材はザウルスという丸太をつかむ機械で林道に吊り上げ、その場で業者に卸す長さに切り分けます。「これが間伐の一連の流れです」と森下親子が息の合った共同作業でトントンと実演してくれました。

いろんな林齢の山があるため、伐採する山、育てる山を循環させることができる、また過去の施業履歴が残っていることで、間伐適齢期の場所をすぐ見極めることもできるといいます。長年に渡り人の手によって仕立てられてきた人工林であるからこそできる業でしょう。社会変動の激しい現代において、林業の長期経営スパンは異色に感じますが、先祖が当たり前にやってきた作業を引き継いで守り、次の世代へのバトンタッチを繰り返すことで持続可能なサイクルを作り上げています。林家の人たちの仕事と木の歴史を知ることで自分たちの身の周りにある木材製品の見方も変わってくるような気がします。

 

大径材へのこだわり

50年から70年生の真っすぐな材は、柱などの住宅構造材として製材しやすく市場で高く評価されます。しかし、70年以上育っている大径材はというと、かえって単価が安くなってしまう傾向があります。太すぎて構造材を取るには有り余ってしまう、また製材機に入らないなど製材効率が悪くなるからです。

それでも森下林業は大径材をメインとした林業経営を目指しています。「自伐林家は生産力は高くないですが、その代わり質の高い木を育てています。大径材はご先祖様が何年も手掛けてきた良い木。木を育てることが”いろんな人の手が入って長い年月をかけてやっていること”というのを人に伝えることができる象徴のような木です。しかし、いまではそのような木を粉々にチップにしてバイオマス発電の燃料にしてしまうところもあります。それはあまりに冷酷だと思わないですか」と語る広樹さん。こうしたことから、天竜区内の他の林家と協力して大径材の文化や価値を残していく活動を行っています。

日本が全国に誇る天竜の人工美林。恵まれた土壌、高い林業技術、整備されたインフラ…いくら揃っていてもやはり一番大事なのは引き継いでいく人の存在。廣隆さん、広樹さん親子は今日も先祖代々の山に入って施業をします。

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