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更新日:2025年1月30日
第1回の講座は、株式会社ナインスケッチの田中俊光さんを講師に招き、
人間の開発によって、自然の機能を失っている森の環境を改善する方法について、座学と現地見学を通じて学びました。
講師の田中さんには、森守チャレンジ提案事業(※)で、令和5年から、幸4丁目の樹林の環境改善に取り組んでいただいています。
【※森守チャレンジ提案事業】
市民の森等の保全や利用に関する事業提案をしてもらい、採択された場合、市の委託事業として提案内容を実施してもらうもの。
森の環境改善と聞いて、まずイメージすることは、
倒木等の整理、増えすぎた樹木の間伐、下草刈りなど、目に見える部分の作業ではないでしょうか。
しかし、今回の講座では、
「地上と地下の空気と水が浸透・循環する本来の大地の状態に戻すこと」という、
目に見えない部分の環境改善の重要性について、お話しいただきました。
植物の生きる基盤となっている土壌。
植物は呼吸に必要な酸素を根で吸収するため、土の中に空気があることが必要です。
また、土の中に空気が入り込むことで、水はけが良くなり、植物は根を伸ばしやすくなり、元気に成長することができます。
そして、植物が健全に生育するためには、森の中の空気が循環していることが必要となります。
お花や植木の育て方を調べたことがある方は、「植える(置く)のは、風通しの良い場所に」などの表現を目にした経験はないでしょうか。
それをイメージしていただくと、分かりやすいかもしれません。
荒れた森は風が通り抜けず、空気が淀んでいます。
森の植物は移動出来ないため、風通しをよくするためには、周りの環境を整えてあげる必要があります。
そのため、草刈りや枝払いは、「風の通り道を作る」視点で行います。
森の空気を循環させることが目的であれば、根際からの草刈りや、大規模な伐採は必要ありません。
森は、空気と水が常に連動しながら地上と地下を循環することで、良好な環境が保たれており、
この循環が断ち切られたとき、森の木々が健全に育たなくなってしまうのです。
今の山や森は、コンクリートなどでこの循環が断ち切られた状態になっていて、
それが、最終的には土砂崩れなどの災害にもつながっているとのお話しもありました。
では、森の環境を改善するために何ができるのか。
とても大変な作業になるのではと身構えてしまいましたが、「移植ゴテ1本で出来ますよ」と講師の田中さん。
固くなった地面を5センチ程度、移植ゴテでザクザクと穴を空けただけでも、
土壌環境の改善につながるそうです。
自宅の庭などで、可能であれば、水の抜け道となる部分のコンクリートなどに穴を空けてみるのも有効だそうです。
また、興味深かったのが、草刈りの方法。
草を根際からかるのではなく、風の通り道を意識して、必要な部分だけを刈る方法。
風の通り道を塞いで閉まっている部分や必要以上に伸びすぎてしまっている所だけ切り落とし、
植物として安定した形に整えてあげると、それ以降は、必要以上に背丈を伸ばさなくなるようです。
令和7年3月1日に、森守チャレンジ提案事業の一環で、「森を知る森歩き」が開催されます。
ご興味を持たれた方は、ぜひ、ご参加ください。
お待ちしております。