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更新日:2024年8月8日
センターでは、様々な作物の培養苗を生産しています。
培養苗が必要になる理由は、作物により異なりますが、センターで扱う苗のうち、最も生産量の多いサツマイモを例に紹介します。
サツマイモの培養苗が必要になる理由には、サツマイモの増やし方と病気のうつり方が深く関係しています。
サツマイモは通常、種子から苗を作ることはせず、イモ(親イモ)を土に植え、そこから伸びる芽(つる)を苗にします。
親イモから出た芽がある程度の長さになったらつるを切り、苗として畑に植えます。正常で元気な親イモから伸びるつるは、親イモから十分な栄養を吸収するため、元気な苗に育ちます。元気な苗は畑に植え付けても生育が良く、しっかりと根が張ります。生育が進むと、根が肥大し、元気なイモがたくさん収穫できます。
元気なイモでも、何世代も苗として生産を続けていくと、中には病気(ウイルス)にかかってしまうイモもあります。そんな病気のイモから伸びるつるは、親イモの病気がうつり、同様に病気にかかります。病気にかかった苗は元気がなく、生育も芳しくありません。収穫できる子イモも、色つやが悪く、収穫できるイモの数も正常な苗に比べ少なくなります。
人間は、インフルエンザウイルスにかかった場合、抗体を作り、自ら治癒します。しかし、植物には、このような機能が備わっていないため、一度病気にかかると、自ら病気を治すことができません。イモで増えるサツマイモなどの植物ではその病気が次の世代にうつってしまいます。
※種子で増える植物の病気は、うつりません。
病気のイモが増えると、サツマイモがすべて病気に…
再び元気なイモを収穫するためには、「生長点培養」という技術が有効です。生長点培養とは、イモの芽からウイルスに侵されていない「生長点」と呼ばれる組織を取り出して培養し、苗まで生長させる技術をいいます。培養して得られる苗(培養苗)は、ウイルスのない状態(ウイルスフリー)となります。培養苗は、正常な苗と同様に元気に育ち、収穫したイモは元気で色つやが良く、病気の苗に比べたくさん収穫できるようになります。
これらのことからサツマイモの培養苗が必要になる理由をまとめると、次のとおりになります。
培養苗から育つイモは、病気によって阻害されていたサツマイモ本来の性質が現れます。このため、病気のイモに比べ元気で色つやが良く、たくさん収穫できるようになります。
病気のイモ
培養苗のイモ
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