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更新日:2026年9月5日
「忘れっぽくなった?」年齢を重ねていくと、誰もが感じたことのある不安。認知症は、誰にでも起こりうる身近な病気です。今、浜松市ではおよそ2万6千人※が認知症と向き合い、家族や地域でサポートしています。この特集では、認知症のこと、そして本人や家族の向き合い方を一緒に考えます。
※認知症日常生活自立度2以上の高齢者数(令和8年3月時点)
2024(令和6)年1月1日に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」に基づき、同年12月に「認知症施策推進基本計画」が示されました。そこで新たに示された認知症の考え方が「新しい認知症観」です。
新しい認知症観とは、認知症になったら何もできなくなるのではなく、認知症になってからも、一人一人が個人としてできること、やりたいことがあり、住み慣れた地域で仲間などとつながりながら希望を持って自分らしく暮らし続けることができるという考え方です。
市では認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域で安心していきいきと暮らせるよう、認知症の人や家族などの声に耳を傾け、支援や学びの場、まちの居場所作りに取り組んでいます。

聖隷三方原病院 浜松市認知症疾患医療センター長
磯貝 聡 さん
認知症とは脳の機能が低下することによって自立した生活が困難になった状態を言います。
その原因として最も有名で、かつ多いものがアルツハイマー病です。アルツハイマー病は脳にアミロイドβという物質がたまることをきっかけとして、脳の機能が徐々に低下する病気です。最初は無症状ですが、徐々に進行して軽度認知障害の段階を経て、アルツハイマー病による認知症すなわちアルツハイマー型認知症の状態になります。このほかにもレビー小体型認知症、前頭側頭型認知症などがあります。一番多い症状は記憶障害いわゆる「もの忘れ」ですが、日付の感覚が低下したり、活動的でなくなるなどの症状もよくみられます。
認知症の状態になっても、一気にすべてのことが出来なくなるわけではありません。初期では「もの忘れ」はあるけれども、それ以外の多くのことは今まで通りできている人が大半です。認知症だから何もできないという決めつけは禁物です。苦手になったことを自分自身で工夫したり、家族を含め周りの人たちに手伝ってもらいながら、少しでも長くこれまでの生活が続けられるようにしていきましょう。

加齢による「もの忘れ」
認知症による「記憶障害」
認知症の人が日々の暮らしの楽しいこと、困りごとを自由に話し合い、よりよい暮らしや地域のあり方を一緒に考える場です。今後の生活を考える手掛かりになります。参加には事前申込が必要です。詳しくは高齢者福祉課まで。
今年度は11月7日、1月30日に開催します!

認知症サポーターは、講座で正しい知識と接し方を学んだ応援者です。サポーターを増やし、認知症の人とその家族が安心して暮らせるよう、講座を開催しています。詳しくは26ページ、または市ホームページをご覧ください。

認知症の人やその家族、地域住民などの誰もが気軽に集い、認知症に関する情報交換や相互交流などができる場です。市内には25のカフェが設置されており、主催者によって活動もさまざまです。詳しくは市ホームページをご覧ください。

認知症の症状によりひとり歩き(行方不明)の心配がある人を事前登録(オレンジシール交付)し、行方不明となった場合にオレンジメールを配信します。オレンジシールの交付は、地域包括支援センターで行っています。

「家族が認知症になった」「家族のもの忘れが気になる」など、認知症に関連する悩みや心配事のある家族に向けた教室を、浜松市認知症疾患医療センターが開催しています。申込など詳しくは【知っトク情報】講座・教室をご覧ください。

認知症は、早期発見、早期受診・診断がカギです。さまざまな相談窓口の情報をオレンジガイドブックに掲載しています。オレンジガイドブックは、高齢者福祉課や区役所、行政センター、地域包括支援センターなどで配布しています。
詳細はオレンジガイドブックをチェック!(写真)
浜松市の認知症に関する取り組みや、事業の開催日程を市ホームページで公開しています。上記の6つの事業についても、紹介しています。
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/kourei/welfare/elderly/nintisyou/supporter.html
Q.あなたは今の社会で認知症の人が自分らしく暮らしていると思いますか
(令和7年度高齢者一般調査・在宅要支援認定者調査より)

6月に開催された今年度1回目のミーティングの様子を紹介します。

参加のきっかけを教えてください
Yさん(本人)
昨年の3月に、図書館で本を借りたことをすっかり忘れていたのですが、「もう返したはずだ」と家族に言い張っている自分に気付きました。その時、「これは間違いなく自分の状態に向き合わなければいけないな」とハッとさせられ、今回のミーティングに参加しました。
Iさん(本人)
私は脳梗塞を経験してから、数字や時間のことで不安を感じるようになりました。普段からメモをとったり時間を気にする毎日です。少しでも症状が進まないように、今の生活を保ちたいという思いで参加しています。
日々の生活の中で、気付きや苦労はありますか
Sさん(本人)
自分では一生懸命やってるつもりなんですが、周りから「さっき言ったでしょ」と言われても、自分としてはそれを忘れてしまっているので、本当に戸惑っています。
認知症は本人がなかなか気付きにくいものだと言われますが、自分なりにしっかりしなければという思いはいつも持っています。
Sさん(家族)
本人は、まだ自分の中で受け入れきれていない部分があって、時々、何も言わず出かけてしまうことがあり、ハラハラすることもあります。
見守る家族としては、本人の「自分でやりたい」という気持ちを大切にしたいですし、どうやって声をかけたらよいか悩むことも多いのが正直なところです。
Iさん(家族)
年齢を重ねると、耳が少し聞こえにくくなって会話がかみ合わなくなることもありますよね。言った、言わないのすれ違いでギクシャクすることもありますが、お互いのために少し諦めたり、穏やかに構えられるようになったのは年を取ったおかげかなとも思っています。
リハビリなど前を向くための取り組みを教えてください
Sさん(本人)
病院で運転のシミュレーションや、認知機能を維持するためのペーパーテストを週1回続けています。妻に助手席に乗ってもらい、安全に気を付けて買い物などの外出に車で出かけています。やっぱり、自分の足や車で出かけることは大切だと思います。
Sさん(家族)
リハビリを始めてから、運転の面で以前よりしっかりしているように感じ ます。できる範囲で夫の自立した生活をサポートしています。
自分に合わせて、利用するサービスを工夫されている人もいらっしゃいますね
Iさん(本人)
以前、デイサービスに通っていたこともあるんですが、自分により合ったサービスを探し、ケアマネジャーさんに相談したことがあります。自分に合った環境や今回のような集まりを見つけて、参加していくのが一番私には合っているなと感じます。
最後に今日の感想を教えてください
Iさん(本人)
皆さんと顔を合わせて、笑顔でお話しできたこと自体が、すごく脳の活性化になりました。笑顔で話せる場所があるのは本当にありがたいですね。
Iさん(家族)
夫が楽しそうに話す姿が見られて楽しかったです。私たち家族にとっても同じ境遇の皆さんと話すことができありがたかったです。
Yさん(本人)
皆さんと率直な話しができたことは、これからの自分と前向きに向き合う大きなきっかけになりました。
「きたはま認知症家族会」に参加するMさんと、認知症サポーター養成講座を受講した、静岡医療科学専門大学校・作業療法学科で学ぶ天野舞香さん、奥山萌那さんに認知症のこと、向き合い方について聞きました。

きたはま認知症家族会 Mさん
参加のきっかけや思い
父の介護をきっかけに地域の家族交流会に参加し始めてから、およそ5年の歳月が経ちました。当時は対応が手探り状態の連続で、戸惑うことも多くありました。
そんな時、ケアマネジャーさんに声をかけていただき、同じように認知症の家族を支える仲間が集まる会に参加したことが大きな転機となりました。悩みを率直に話し、お互いの経験を分かち合うことで孤立感が和らぎ、前を向く力をもらいました。
認知症の介護では予期せぬ症状に直面する一方、時には本人の辛さを和らげてくれたように感じられ、救われる思いを抱くこともありました。
介護の生活について
介護のなかでは、生活環境の変化や施設入所など、大きな決断を迫られる場面が何度もありました。「早く決めなければ」と焦ることもありましたが、人生の重要な選択をそう簡単に決めることはできません。結論を焦らず、家族にしか分からない本人の気持ちに寄り添って家族でたくさん悩み、迷いながら時間をかけてあげることが大切だと実感しています。
振り返ると、もっと別の選択があったのではと考えることもありますが、迷い、悩んだ、その時間こそが大切なのだと思います。
一人で抱え込まないで
当時は一人で抱え込みがちでしたが、専門サービスや相談窓口を積極的に利用し、周囲の力を借りることで心に余裕が生まれました。今、認知症の介護に向き合っている家族の皆さんも、どうか一人で抱え込まず、周囲の力を借りながら、自身のことも大切にして欲しいと思います。皆さんのペースで時間を重ねて欲しいです。きっとその時間がかけがえのない時間になると思います。

静岡医療科学専門大学校 天野舞香(まいか)さん
授業や認知症サポーター養成講座で学んだことを実習で生かしています。
特に印象的だったのは認知症の人と昔の仕事の話しをした時で、話が盛り上がり、生き生きと楽しそうにしてくれている姿が印象的でした。
以前は認知症になると行動を抑制する必要があると思っていましたが、本人の意思や選択を尊重する「新しい認知症観」を知り、驚きました。できないと決め付けず、少しでもできることを探す、工夫をすることの重要性を学びました。
若い世代の皆さんには、若さを生かして明るく接することや、認知症を先のことと考えず、自分事として捉えて欲しいです。

静岡医療科学専門大学校 奥山萌那(もえな)さん
認知症に対しては、最初は何かを忘れてしまう病気といった印象や、なってしまったらどうしようもない病気なんじゃないかというイメージをずっと持ってきました。
でも、認知症サポーター養成講座を通して、周りがサポートすれば一緒に生活できると学びました。
実際に話しをする際には、長い言葉ではなく短い質問をしたり、頭ごなしに否定せず「そうだよね」と気持ちに寄り添ったりする大切さを実感しました。
高齢者や認知症の人と接する時は、もし覚えていなくても焦らずに、まずは話して相手に優しく寄り添うことが大切だと若い世代の皆さんに伝えたいです。
この特集に関するお問い合わせは、高齢者福祉課(【電話】053-457-2105)へ
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