緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年12月5日
地元の天竜材を、もっと暮らしに取り入れてみませんか。天竜材を使うことは、浜松の森を守ることにつながります。今月は、天竜材を使っている施設の利用者や、林業に携わる人たちに、天竜材の魅力を聞きました。
市内の森林面積はおよそ10万3千ヘクタールで、市域の66%を占めています。特に天竜川の上流域に広がるスギやヒノキの森林は、その美しさから「天竜美林」と呼ばれ、日本三大人工美林の一つになっています。
天竜美林から生産される天竜材は、国内有数のブランド材として、主に建築材料に用いられています。
浜松市は2010(平成22)年に市内の6森林組合、市、県、国で構成される「天竜林材業振興協議会」でFSC認証(※)を取得しました。
市内のFSC認証林の面積は市の森林面積のほぼ半分にあたるおよそ5万ヘクタールあり、市町村別では全国第1位を誇ります。FSC認証材は、市内外の店舗や事務所、競技場、学校などで使用されています。
FSC認証とは「森林が適切に管理されているか」を、第三者が世界統一の基準に沿って審査・認証する制度です。FSC認証の表示がある製品は、適切に管理された森林から産出された木材を使用しています。
FSC(R):C057369
今年7月に完成したばかりの園舎。構造や内装に天竜材(FSC認証材)をたくさん使っています。ウッドデッキでは、外遊びから屋内に入る前に休憩したりお茶を飲んだりして、園児たちが気持ちよさそうに過ごしていました。
保育士 中村瑠美
新しい園舎は、木目のあたたかさが印象的で、とても明るい雰囲気です。園児たちは、「本物の木なの?」と木肌を触って確かめていました。保護者の皆さんにも香りがいいねと好評です。
園舎が新しくなってから、園児たちが木のロッカーに自分の荷物をきちんと整頓して入れていることにも驚いています。一人に一つ、木で作ってもらったロッカーだからでしょうか、物を大切に使う優しい気持ちが広がっていると感じました。
天竜材を身近に感じられるよう、今後、おもちゃなどでも取り入れていきたいです。
4月に完成した新校舎の音楽ホールでは、壁や床に天竜材(FSC認証材)が使われています。壁は、木を横に使った特徴的なデザイン。でこぼこした壁には、音を柔らかく拡散する効果があります。ステージの床には、節のないヒノキが使われています。
左から河合澄莉(きより)さん(1年)、山本侑沙(ありさ)さん(1年)、杉山優菜(ゆうな)さん(2年)
ステージで楽器を演奏すると、自分の音がホール全体に響いて気持ちがいいです。地元の木材が使われていると聞いて、すごい!と思いました。
木がたくさん使われているので、明るく落ち着いた雰囲気の空間になっています。
スターバックス コーヒー 浜松城公園店では、天井や外壁に天竜材がふんだんに使われています。目に見える場所に木材を使うことで、森に包まれたような心地よい空間を作っています。住宅のみならず店舗や事務所などさまざまな場所で天竜材(FSC認証材)の利用が進んでいます。
【カフェ】
【オフィス】株式会社フジイチ
【学校の机や椅子】浜名中学校
大阪・関西万博の会場で使われる予定の天竜材(FSC認証材)が、10月初旬に天竜区を出発しました。会場では、丸太の素材感を生かしたオブジェが作られ、天竜材をPRします。
元気な森林は土砂災害や洪水から人々を守ったり、多様な生物のすみかになったり、木が二酸化炭素を吸収することで地球温暖化の防止につながったりと、私たちに恩恵を与えてくれます。しかし、国内には手入れが行き届かず荒廃が進み、その機能が失われつつある森林もあります。
森林を守りながら、木材を生産する仕事が林業です。林業は、苗木を植える作業から始まり、何十年も手をかけて育て、伐採します。しかし、木材が使われないと木が伐採されず、林業が衰退します。
地元の森林を守るためには、生活の中で地元の木材を使うことが大切です。「植える→育てる→伐(き)る→使う」という循環で、森林は豊かになっていきます。
家や店舗を建てたり、リフォームをしたりするとき。おもちゃや家具、お皿やスプーンを買うとき。ぜひ、天竜材を選んでください! その選択が、天竜美林を守ることにつながります。
天竜区でスギやヒノキを生産している熊平智司(くまだいらさとし)さんに、山の仕事の魅力を聞きました。
12代目で26年間、林業に携わっています。父から受け継いだ森を自分が手入れすることで、森が美しくなっていくときがうれしいです。
浜松学芸高等学校の音楽ホール(【case 02】参照)で使われた木材は、父が手入れし、私が伐採した木材です。親子二代で関わった天竜材を使った施設には特別な思い入れがあります。
森の魅力は、春の芽吹き、夏の鳥の鳴き声などから四季を感じられることです。皆さんにも、森を近くに感じてほしいです。森に行けなくても木の小物でも十分、天竜材の香りなどを感じられると思います。ぜひ木製品を生活に取り入れてほしいです。
ペン立てやコースターなどの小物で、天竜材を日常に取り入れてみてはいかがでしょうか。
(写真協力:株式会社キシル、株式会社キャッツアイビー)
製材会社を営む永田琢也さん(一般社団法人浜松地域材利用促進協議会 副会長/永田木材株式会社 代表取締役)と、永田友美さんに、天竜材の魅力を聞きました。
浜松では慣れ親しんだ景色の中に山々があり、手の届く範囲に森があります。食べ物でもよく「地産地消」と言われるように、地元で生産された木材を、当たり前に使ってもらえたらと思います。
天竜の森は歴史があるので幅広い樹齢の木が育っています。そのため、柱や梁(はり)などの構造材、板や下地材など「こんな材料が欲しい」というさまざまな要望に応えることができます!
木の個性を生かし、余すことなく使いながら、森を循環させていくことが大切だと思っています。
寝かしつけに時間がかかっていた子供が、木の家では自ら進んで眠るようになりました。調湿効果が高く、空気がさらっとして心地よいので、ぐっすりと眠れるようです。大工さんが一生懸命に家を造る姿を見ているので、子供なりに愛着を持ち、床や柱を傷つけないよう大切に扱っています。木が私たち家族の健康を守ってくれている安心感があり、心強いです。
市内で生産・加工された天竜材(FSC認証材)を用いて木造住宅などを建てる人に対して、天竜材の購入費用の一部を助成しています。
補助金を利用した人からは「天竜材の美しさや性能に引かれ、天竜材を使った家造りを決めました。市の補助金制度があったことも経済的な後押しになりました」「天竜材の家は、冬も夏も快適で、無垢(むく)の床は肌触りもよく、家族みんな満足しています」といった声が寄せられています。
建物の種類によって2種類の補助金制度があります。条件などの詳細は市ホームページを確認してください。
天竜材の家 百年住居(すまい)る事業費補助金
(最大50万円補助)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/ringyou/shinko/forestry/ringyou/index.html
天竜材ぬくもり空間創出事業費補助金
(最大500万円補助)
https://www.city.hamamatsu.shizuoka.jp/ringyou/2020nukumori.html
森林整備、木材利用、人材育成などに森林環境譲与税が使われています。本年度から始まった森林環境税がその原資となり、浜松市ではこの有効活用を進めています。
この特集についての問合せは、林業振興課(【電話】053-457-2159)へ。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください