緊急情報
ここから本文です。
更新日:2024年1月1日
本日の内容
最近の取り組みについて、分野ごとにお話をしてまいります。
まず「産業経済」です。
今年、浜松地域イノベーション推進機構という産業支援機関の中に、次世代自動車センターを開設しました。
皆さんご承知のとおり、これからはEV化で、電気とモーターで走る車の時代になり、特に部品メーカーに大きな影響が出てまいります。そのため、部品メーカーを対象に情報提供をしたり、新しい分野での技術の応用を支援したり、自動車メーカーとのマッチングを行ったり、いろいろな支援をしていこうと、今年の4月に開設しました。
浜松をもう一度ベンチャーのまちにしていこうという取り組みの一環で、浜松ベンチャー連合をつくりました。もともと浜松はベンチャーのまちで、次々と新しい企業が生まれてくるまちでしたが、残念ながら最近は、開業率が落ちて新しい企業が生まれてきません。これでは将来の浜松は大変ですので、もう一度有望な企業が次々と生まれてくるまちにしていくために、ベンチャー企業が生まれてくる環境をつくらなければいけません。そのためのコミュニティづくりとして、浜松ベンチャー連合を結成しました。
私どもが行政として、環境整備や若い皆さんの支援をするために、このようなコミュニティをつくりました。あとはこのコミュニティが自立していってほしいと思いますが、最近はこのグループの中で連携した取り組みが始まっていて、大企業へ勤めながらこのグループに参加して、私も起業してみようと、大企業を辞めて会社をつくったという若者も現れ始めています。
市内のベンチャー企業を育てるだけではなく、市外から、特に首都圏からベンチャー企業を誘致しようと、ザザシティ浜松中央館に「はままつトライアルオフィス」というお試しオフィスをつくりました。ここで浜松の企業とベンチャー企業とのマッチングをしていただいています。
また、舞阪の昔の庁舎、浜名湖を一望できる素晴らしいロケーションですが、ここを活用して、首都圏のベンチャーを対象としたサテライトオフィスを開設しました。
おかげさまで先日、第1号の入居者が決まり、第2号も交渉中ですので、順調に誘致が進んでいます。今後、このような場所を活用して、東京のベンチャー企業もどんどん誘致していきたいと思っています。
こちらは第三都田地区に造成した大規模工業用地です。浜松サービスエリアにあるスマートインターの隣接地で、順調に分譲が進んでいます。
特筆すべきは、「ナブテスコ」というロボットの心臓部の部品をつくっている優良な企業です。ロボットの関節部分の、減速機という重要な部品の、世界シェア6割をこの会社が占めていて、非常に技術力の高い将来有望な会社です。
現在、生産が追いつかない状況だそうで、ここに国内最大級の工場を建ててくれるということです。それもありがたいですが、ナブテスコさんは、浜松を選んだ1つの理由として、非常に技術力の高いものづくりの企業が集積しているところを、高く評価していただいて、この浜松地域でサプライチェーンを、いわゆる浜松にどんどん仕事を出してくれます。だから浜松の企業にとっても、新しいビジネスチャンスが広がり、高い経済効果が望めるのではないかと期待しています。
いずれこの企業を中心に、浜松に新たにロボット産業が興る可能性もあると思います。これからもどんどん企業を誘致していきたいと思います。
これは農林水産物の海外展開です。浜松独自の取り組みだけでなく、都市間の連携による、海外へのプロモーションも行っています。
海外のバイヤーにしてみれば、年間を通じて安定的に農産物が入ってくることが好都合で、産地の特性が違うところが連携して、年間を通じてきちんと農産物が供給できることが売りになります。三遠南信地域で言えば、豊橋市や田原市は非常に農業が盛んです。そして浜松市と飯田市と4市連携で取り組みをしています。今後、このような連携を拡大していきたいと考えています。
本市が国から「農泊 食文化海外発信地域」に認定されたことを受け、浜松の食材を海外にPRしていく事業です。通称「SAVOR JAPAN(セイバージャパン)」と呼んでいます。国は海外からの観光誘客、インバウンドに大変力を入れていて、食や食材が非常に魅力的な地域を、国が認定をする事業です。その認定を受けると、国が海外へPRを行ってくれます。浜松はその15地域の中の1つに選ばれたので、国の力で浜松の食を海外へPRしていただけるということで、大変ありがたいことです。
これはロサンゼルスで開かれた「Japanese Food Festival」に、参加したときの写真です。
浜松は10年ほど前から、FSCという国際認証を戦略的に増やしてきて、今、市町村別では日本で最も広い認証林面積を持つ産地になりました。同時に、製材加工業者にも認証を取っていただき、今FSCの認証材を一番安定的に供給できる産地といえば、この浜松です。
それを活用して、オリンピックの施設へ天竜材を送り込んでいます。オリンピックは認証材が調達基準になっています。私どもの木材がたくさん使われる予定です。選手村ビレッジプラザに供給しますし、新国立競技場の屋根と外側の庇(ひさし)に天竜のスギが供給されています。もちろん天竜の材だけとはいきませんが、私どもの天竜材は、ほかの地域に比べて高い比率で供給させていただいています。
このほかに有明の体操競技会場も、浜松の天竜材と宮崎の材でつくられますので、オリンピックの施設にはふんだんに、天竜の木材が使用されます。
オリンピックを契機に、天竜の木材を大いに販売をしていきたいと思います。
天竜材の海外展開も始めました。私は10年前に、天竜の山を宝の山に変えてみせると、根拠なく豪語してしまったのですが、ようやくそれが少しずつ実り始めています。
昨年放送された大河ドラマにより、おかげさまで私どもの計画以上の波及効果がありました。ドラマ館入館者数は、目標の50万人に対して実績は78万人と大幅に目標を上回りました。観光交流客数も目標の2,100万人に対して実績は2,135万人と、大変多くの方に来ていただき、市内の経済波及効果は200億円を超えています。
2019年も大河ドラマで浜松が取り上げられます。オリンピックをテーマにした大河ドラマで、2人の主人公のうちの1人が、田畑政治さんという浜松出身の方です。すでにご存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが、この方は1964年の東京オリンピック招致に大変貢献された方で、日本の水泳の近代化に力を注いだ方です。この地域に古くからある浜名湾游泳協会を設立したのも田畑さんですし、日本水泳連盟の設立にも大変貢献をされました。古橋廣之進さんも育てられた、「水泳ニッポンの父」と言っても過言ではない方です。
浜松も今、「ビーチスポーツ・マリンスポーツの聖地」という取り組みを行っていますので、ぜひシティプロモーションに活用していきたいと考えています。
「子育て・教育」の分野です。
待機児童対策の取り組みです。毎年、新たに保育所などを開設し、大幅な定員増に取り組んでいます。待機児童は減っていますが、残念ながらまだゼロにはなっていませんので、平成31年度も大幅な定員増を計画しています。放課後児童会についても、施設を確保しながら、定員拡大に努めているところです。
これはコミュニティ・スクールという新しい学校経営のあり方で、先生方と、保護者・家庭、地域の三者が連携して学校運営をしていく、地域に根差した学校づくりのための新たな仕組みです。今いくつかの学校をモデル校として、コミュニティ・スクールの試行・検証をしています。平成32年度からは法律に基づいたコミュニティ・スクールに移行していく予定です。
次に「安全・安心・快適」の分野です。
防潮堤はおよそ90パーセントの工区ですでに工事が着手されていて、順調に進んでいます。完成に向けて、鋭意工事を進めているところです。
これは下水道事業へ、新しい官民連携の手法を用いた取り組みを始めたというご紹介です。西遠浄化センターという非常に大きな下水道の処理場の運営に、運営委託方式(コンセッション方式)を導入しました。これは市が施設を保有しながら、運営を民間企業に任せていくもので、きちんと私どもがハンドリングをしながら、民間の優れた能力を運営に生かしていただく手法です。20年間の契約ですが、市が直接運営するよりも、86億円のコストダウンにつながり、すでに25億円の運営権対価が市に支払われています。
そのコストダウンされた分が、これから下水道料金等へ反映され、市民の皆さんに還元していくことになります。今順調に事業がスタートをしているところです。
浜松市は、日本で4番目のフェアトレードタウンに認定されました。これは発展途上国で生産される品物を、適正な価格で私どもが安定的に買うことによって、そのような国々の人たちの生活の向上を図っていくという世界的な取り組みです。後ほどご説明するSDGs(持続可能な開発目標)に大きく関わってくるものです。
次に、「環境・エネルギー」の分野です。
皆さんにも、日ごろから耳にたこができるぐらいお願いをしていますが、燃えるごみの減量化をぜひ図っていきたいということです。ごみの処理費用は膨大にかかります。皆さんもご存じのとおり、ごみを燃やしても、燃やしたカスしか出ず、何も新しいものを生みません。それに多額の税金を使うのは、実に無駄なことですから、できるだけ燃えるごみを減らしていきたいというのが私の願いです。
すでに南部清掃工場は相当長期間稼働してきて、これはいずれ廃止をするしかなく、新しい清掃工場をつくらなくてはいけません。今、天竜区に新しい清掃工場を計画中ですが、450億円という膨大な費用がかかります。
これが完成する頃には、今度は西部清掃工場が稼働してから年数がたちますので、そちらも大規模改修をしなければいけません。ごみというのは本当にコストがかかります。ですから、そのコストを減らしていくために、できるだけ燃やすごみを減らしていきたいと思います。それによってごみの処理費用が減れば、その分、福祉や子育て支援等、市民の皆さんにとって、もっと有益な事業に予算を回せますので、ぜひ、ごみの減量化にご協力をいただきたいと思います。
「健康・福祉」の分野です。
これは新聞等でも報道されていますのでご存じかと思いますが、厚生労働省の研究班が3年に一度、政令指定都市20都市と東京都の特別区、規模の大きな都市の健康寿命を調査していて、浜松は3期連続で男女共に日本一でした。これは大変うれしいことです。男女共に1位というのはなかなかありません。健康寿命とは介護の必要もなく、寝たきりにもならずに、健康でどれだけ長生きができるかという大変重要な指標です。それが男女共に日本一というのは、浜松にとって大変名誉なことだと思います。浜松はそれだけ暮らしやすい、生活しやすい地であり、皆さんも健康で長生きできるまちだということです。
さらに健康寿命を延伸していくために、浜松ではさまざまな健康増進の取り組みをしています。
例えば今注目しているのは、ノルディックウォークです。これは、スキーのストックのようなものを活用してウォーキングをするのですが、単に歩くのと全く効果が違うそうです。全身運動になり、ひざや腰にも負担をかけない、非常に優れたウォーキングの手法で、これを普及していこうとしています。
また、浜松には健康増進に取り組んでいただいているたくさんの団体がありますので、そのような団体を認証する取り組みや、自立体力診断で皆さんに体力年齢を知っていただいて、ロコモーショントレーニング※につなげていく取り組みをしています。
※ロコモーショントレーニング…ロコモティブシンドローム(運動器症候群:骨、関節、筋肉などの運動器の働きが衰え、立ったり、歩いたりすることが苦手になってきた状態)を予防するためのトレーニング。開眼片足立ちやスクワットなどの簡単な運動を行うことで、運動器の機能の維持・向上を図ります。
平成35年度完成を目標に、今、事業を進めているところです。
「文化・生涯学習」の分野です。
浜松は、平成31年のラグビーワールドカップにおける、日本代表とスコットランド代表の公認キャンプ地になりました。地の利がいいことと、宿泊施設が非常に充実をしていることから選ばれました。エコパスタジアムや豊田スタジアムが会場になりますので、おそらく浜松にはたくさんのラグビーファンが滞在していただけるだろうと思います。大きな経済効果が生まれることを期待しています。
東京2020オリンピック・パラリンピックでは、浜松はブラジルとの長年の関係がありますので、ブラジルのホストタウン、あるいは共生社会ホストタウンに国から認定をいただきました。ブラジルのオリンピック委員会、パラリンピック委員会と、事前合宿に関する取り決めを締結しています。
特にパラリンピック委員会とは、正式に今年7月に協定を締結し、全22競技全ての選手団を浜松で受け入れることを決めました。今までこの規模で事前キャンプを受け入れた例がなく、国も本市の取り組みに大変注目しています。これまでもユニバーサルデザインに大変力を注いできましたので、この事業を成功させ、浜松と言えば障害者スポーツといわれるように、これを契機に障害者スポーツにも力を入れていきたいと思っています。
平成3年にスタートした浜松国際ピアノコンクールも、おかげさまで10回の節目を迎えることになりました。これまでの市を挙げた取り組みの成果で、いまや世界でも大変高く評価されるコンクールになりました。これまで運営に携わっていただいた方のご尽力により、いいコンテスタントがたくさん参加し、優勝者がその後、世界で大活躍しています。浜松のコンクールの名声が上がってきたということです。
一昨年に、作家の恩田陸さんが、浜松のピアノコンクールを題材に書き上げた小説「蜜蜂と遠雷」が、直木賞を受賞したことにより、いっそうこのコンクールが脚光を浴び、今年は発売して間もなくチケットが売り切れました。それだけ注目されています。この10回を契機に、さらに浜松国際ピアノコンクールを発展、成長させていきたいと思っています。
ここからは「地方自治・都市経営」の話に移ります。
先ほどお話ししました「SDGs未来都市」に選定されました。2015年の国連サミットで採択をされたもので、17の持続可能な開発目標を設定し、「誰一人取り残さない」というスローガンのもとに、2030年までにこの目標を達成していきましょうというものです。政府も今、大変力を入れています。
私どもが今行っている再生可能エネルギーの推進や、先ほどのフェアトレードタウン、多文化共生といったさまざまな取り組みが、SDGsの開発目標に合致していることから、6月に、「SDGs未来都市」に選定いただきました。
これは官邸で選定証の授与式を行ったときの写真です。安倍総理大臣、菅官房長官など、そうそうたるメンバーが出席をされていました。それだけ政府がこの事業に力を入れているということが分かると思います。
ここからは「行財政運営」の話に入っていきます。
これは、国からの指示により、浜松が策定した今後の人口ビジョンです。皆さんご存じのとおり、日本は本格的な人口減少時代を迎え、地方都市に大きな影響が出るということで、人口が減っていく中でもその地域が活力を失わないようにと、国がすべての自治体に、今後の人口ビジョンと総合戦略の策定を義務付けました。私どもも“やらまいか”人口ビジョンという名前で、将来に向けての人口ビジョンを作成しました。
2025年までに出生率を1.84に回復させ、2035年には2.07に回復させるという高い目標を掲げました。しかしこれが達成できたとしても、緩やかに人口は減っていきます。何とかこの目標がクリアできれば、60万人ぐらいで安定をしていきますが、失敗すればどんどん人口が減っていきます。いずれにしても、人口が増えていくことは、私どもが生きている時代はほぼあり得ません。当分の間は人口が減っていきます。ですから、少なくとも20万人ぐらいは必ず減っていくことを覚悟して、これから将来に向けたいろいろな備えをしていかなければならないということです。大変厳しい時代を迎えますので、自治体はそれに対する取り組みをしなければいけません。総務省の自治体戦略2040という報告書が出されましたが、国も今、大変な危機感を持っています。私どももこの人口ビジョンに基づいて、今から未来に対するいろいろな対策を講じていかなければいけません。
これは、人口ビジョンと対になる総合戦略で、人口減少の中でも元気な地域をつくっていくための処方箋です。
今後、持続可能な都市経営に取り組んでいかなければいけません。単純に考えて、人口が減り、高齢化はどんどん進んでいきます。結果として労働力人口、つまり働き手、若い人たちの人口がどんどん減っていきます。そうなりますと、増税がなければ市の税収は減っていきます。
一方、高齢化の進展とともに、社会保障費はどんどん伸びていきます。公共施設、インフラ等もこれから老朽化していき、その維持更新にもお金がかかりますので、これから自治体には大変厳しい試練が待ち受けています。
将来の厳しい時代に備えて、今のうちにしっかりと健全な状態をつくっていく、今から体力をつけておかなければいけないということで、私どもは市の借金(市債)の削減に計画的に取り組んでまいりました。中期財政計画という目標に沿って、市債の削減に取り組み、おかげさまで順調に借金を減らしていくことに成功しています。
いろいろな行財政改革の取り組みをしてきたことにより、今のところ浜松の財政の健全度は、政令市の中でトップと言ってもいいと思います。特に、将来負担比率という将来の財政リスクを表す数字は、数字が大きくなればなるほど、将来の財政リスクが高いということですが、浜松はおかげさまで、この数字がプラスではなくマイナスになっていて、今のところ将来の財政リスクはゼロということを表しています。
ただ、借金が増えていったり財政が悪化したりすれば、すぐにこの数字がプラスに転じてしまいます。特にこれから、先ほど言ったような清掃工場や病院といった大型事業がめじろ押しですので、私どもも油断することなく、財政リスクゼロをしっかり維持できるように、財政運営していきたいと思っています。
膨大な公共施設、道路、橋等のインフラの維持に、これからものすごくお金がかかってきます。浜松は平成21年度からいち早くそれに気付き、資産経営に取り組んできました。
当時は先進的な取り組みとして、日本ファシリティマネジメント大賞の最優秀賞を受賞しました。その後、笹子トンネルの崩落事故や、この地域で言いますと原田橋の落橋といった老朽化インフラの事故があり、これらを受けてすべての自治体が、公共施設等総合管理計画を国の指示によって策定しました。今後このようなインフラの維持、更新は、自治体にとって非常に大きな課題になります。本市も、中長期的な視点に立って、インフラの経営をしていかなければなりません。
これから人口が減っていくと、自治体の経営が非常に難しくなる時代を迎えます。今からそれに備えておかなければいけません。総務省がこの事態を深刻に捉え、「自治体戦略2040構想研究会」をつくりました。2040年ぐらいに一番深刻な状況が訪れるので、その頃の状況をしっかりと予測した上で、今から何をしなければいけないかを調査・分析しました。
地方自治体は2040年になっても、きちんと住民サービスを提供し続けられる、持続可能な形であり続けるために今から何をやらなければいけないかを提案しています。制度や組織、地域の垣根を越えて、資源(施設や人材)、公共施設や公務員を賢く戦略的に活用しなさいということです。
つまり、1つの自治体ですべての公共施設を持ったり、あるいはその自治体の公務員がすべての仕事を行ったりすることは無理になってくるということです。ですから、自治体の垣根を越えて、この施設はあなたのところを使いますが、こちらの施設はあなたのところへ貸し出すので、こちらとこちらで連携しましょうということになります。公務員も、特に小さな自治体では人材を確保できない時代が来ますので、連携して活用していかなければならない時代が来るということです。
本市に当てはめてみると、それが区の再編です。この地域はすでに12市町村が合併していますので、自治体間の連携ということではありませんが、この自治体間の連携を賢く行うことを、浜松市に当てはめると、なぜ区の再編をしなければいけないかという理由になってきます。
区の再編とは、言い換えると区役所の再編・統合です。区役所をできるだけ減らして、市が独自で設置できる行政センターや協働センター、あるいはサービスセンターの機能を充実させていくことが、区の再編の目的です。
区役所について詳しく説明しますと、昭和31年に政令指定都市制度という大都市制度ができました。その時に地方自治法が改正され、政令指定都市は区を設置しなければいけない、区には区役所を設置しなければいけないと地方自治法によって決められました。したがって、7つの区があれば7つ区役所をつくらなければいけません。ですから、浜松は合併のときに区を7つつくり、区役所を7つにしました。
つまり、区役所は法律で設置が決められており、非常に固定的で非効率ですので、できるだけ少なくしていき、その代わり行政センターや協働センターといった市が独自で設置できる施設を配置して、これから来る激動する時代に柔軟で効率的な組織運営ができるようにしておくというのが、区の再編、いわゆる区役所の統合再編です。
浜松の将来のために行うこの区の再編、区役所の再編・統合に、ぜひご理解をいただきたいと思います。
平成27年度からスタートし、もう4年目に入りますが、なんとか今年度中に行政区の再編の決定をしたいと思っています。
これが今提案している3区案です。天竜区は過疎指定を受けている地域であり、行政課題も都市部と大きく異なるため、ここを1つの区とします。そして旧浜松市を中心に1つにし、浜北区は副都心に位置付けていて、浜松と浜北2つの核という位置付けになっていますのでここを1つにして、3区に集約していくものです。
年間の財政削減額が約7億円と、非常に大きな削減効果を生みます。将来に向けて柔軟で効率的な組織運営をしていくために、ぜひ統合・再編にご理解をいただければと思います。
最後に、「今後に向けて」の話をしたいと思います。
今年、日本総合研究所というシンクタンクが毎年行っている「政令指定都市幸福度ランキング」において、政令指定都市20市の中で、浜松がついに1位になりました。これは都市の基本的な力に加え、産業、健康、生活、文化、教育などの分野で47の指標を設定し、日本総研が調査、分析をして点数化します。その総合点で浜松が1位になりました。
これは大変名誉なことで、横浜、川崎、埼玉、千葉といった首都圏の政令指定都市や、名古屋、京都といった伝統的な政令指定都市を抑えて、浜松が堂々の1位です。それだけ浜松がトータルに住みやすい、暮らしやすいまちであることを、証明していただいたのではないかなと思います。
これは浜松に移り住んできた人たちの声です。先ほど浜松ベンチャー連合を設立したとお話しましたが、ベンチャー企業の社長さんに集まってもらうと、意外と浜松出身ではない方が多いです。いろいろな地域から来ているのですが、例えば北海道から来た方は、このように言っています。
「浜松のように海・山・川・湖に囲まれた大都市は、日本のみならず世界的にみてもありません。自然の豊かな地域は全国に数多くありますが、ほとんど都市に隣接していません。50万人以上の人が住んでいて、かつ豊かな自然を備えている都市は浜松しかないということで、浜松での創業を決めました」。
豊かな自然の北海道からわざわざ浜松へ来て起業していただきました。
東京のIT企業を辞めて浜松で会社を興した若い社長さん、この方はサーファーですが、「私はサーフィンをしたいからという理由で浜松に移住してきました。浜松は『本州最後の楽園』ではないかと思っております」。
私は「本州最後の楽園」というフレーズが大変気に入ったので、浜松のキャッチコピーに使わせていただいています。
「サーフィンをしながらワークライフバランスが取れて、かつ外食の市場規模が大きい都市という条件で創業の地を考えたとき、浜松市・仙台市・福岡市に絞り込み、最終的には『コンスタントに波があって温暖な気候』である浜松での創業を決心しました」。
仙台や福岡ではなく浜松に来ていただき、大変ありがたいことです。
「今、浜松に住みながらビジネスができていることを幸せに思っています。同時に、東京の人たちには、『満員電車に2時間乗って通勤するよりも、たとえ給料が半分になったとしても、浜松に来たほうが人生の豊かさは倍以上だよ』と伝えてあげたいと考えております」。
意外と外からの人たちが、浜松を高く評価をしてくれています。このような評価を今後活用していきたいと思っています。
まとめると、豊かな雇用、豊かな生活、両方手に入る、日本一仕事とレジャーの距離が近い街、日本一ストレスの少ない街。だから健康寿命も日本一だと思います。
そのような若い人たちの発言からヒントを得たのが、「ビーチ・マリンスポーツの聖地」です。サーフィンやウインドサーフィンがしたいからという理由で浜松に来られる人は、若い人が多く、浜名湖と遠州灘と、広大な砂浜を使うと、あらゆるビーチスポーツ・マリンスポーツができることに気が付き、「ビーチ・マリンスポーツの聖地」にしていこうと、昨年からこの取り組みをしています。
おそらく数年後には、ビーチスポーツ、マリンスポーツといえば浜松という時代が到来してくれると思っています。
平成31年度のキーワードは、「持続可能なまちづくりへの挑戦」です。これから自治体にとって、大変厳しい時代を迎える中で、持続可能性は私どもの都市経営にとって大きなキーワードになってくると思います。
来年はいよいよ元号が変わります。新しい時代を迎える節目の年になります。浜松にとっても大きな時代の転換点です。
これから人口が減っていく厳しい時代になりますが、逆にしっかりと対応していけば、私はそれをチャンスに変えられると思っています。
そのためにはいろいろな改革を進めていかなければなりません。その第一歩が、区の再編になりますので、ぜひ皆さんにはご理解とご支援をお願い申し上げ、私の市政報告とさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。
お問い合わせ
より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください