
後列(左から):松井さん(2年)、藤澤さん(3年)、丸林さん(2年)、鈴木(悠)さん(3年)、杉本さん(2年)、鳥澤さん(3年)
前列(左から):島袋さん(2年)、大桒さん(3年)、長谷部さん(3年)、夏目さん(2年)、前田さん(2年)、鈴木(愛)さん(3年)
オイスカ浜松国際高等学校(以下「オイスカ高校」)の「環境SDGsプロジェクト」は、生徒が主体となってSDGsの達成に向け活動する有志団体です。現在およそ160人の生徒が参加し、部活動や委員会活動と両立しながら、楽しく参加できる環境保全活動に挑戦しています。その取り組みの一つとして、今年度スタートしたのが「浜名湖エコSUPゴミ拾い競争」。マリンスポーツと環境活動を掛け合わせたこの活動について、中心メンバーのみなさんにお話を伺いました。
──「浜名湖エコSUPゴミ拾い競争」を開催したきっかけを教えてください。
長谷部さん:これまでゴミ拾いマラソンや、中田島砂丘の砂の流出を防ぐ堆砂垣設置競争など、陸上での環境活動を中心に行ってきました。私がリーダーになったとき、「何か新しいことをしたい」と考え、本校の特色である部活動のマリンスポーツ部と、校舎のすぐ裏に広がる浜名湖を掛け合わせて、「浜名湖でエコSUPによるゴミ拾いをやろう」と考えたのがきっかけです。
──イベント開催にあたって、大変だったことは?
長谷部さん:一番大変だったのは、イベントを「ゼロからつくる」ことでした。水辺での開催だったので、参加者の安全確保には力を入れましたし、参加者集めにも苦労しました。それでも、参加者から「楽しかった」「こんなにゴミが取れてきれいになったよ」と言ってもらえたときは、本当に取り組んで良かったと思いました。協力団体の方や先生にも支えていただきながら、みんなで最後までやりきれたことが大きな自信になっています。

取り組みについて話をしてくれた環境SDGsプロジェクトのリーダー、長谷部さん
──みなさんは、イベントの中でどのような役割を担当しましたか?
鳥澤さん:マリンスポーツ部として、パトロールを担当しました。事前に配置を決め、水やゴミ袋を配りながら、みんなが安心して参加できるようにサポートしました。
丸林さん:SUPは水の上で行うので、落水時の安全確認は特に大切です。小さい子どももいたため、10人ほどのチームを組んで対応しました。
島袋さん:私は運営のサポートとして、写真を撮ったり、荷物を運んだりしました。
──水辺の生き物や環境保全など、今回の活動で特に伝えたかったことはありますか?
夏目さん:水辺には思っている以上にゴミが多く、魚が誤って食べてしまうこともあります。ゴミが少しでも減り、魚たちが安心して暮らせる環境になってほしいという思いを、参加者の方々に伝えました。
鈴木(愛)さん:浜名湖の生き物を身近に感じてもらえるよう、イベント中に見つけたカニなどを水槽に入れて、参加者の方に見てもらいました。小さなお子さんをはじめ、みなさん興味深く観察していました。
鈴木(悠)さん:僕はゴミ拾いの最中、鳥が見えたら拡声器を使って、「あれはダイサギです。この時期になると海外から渡ってきます」といった解説をしました。最近、浜名湖の生き物が減ってきていると感じています。土地が豊かであるためには、生き物の多様性が欠かせません。エコSUPゴミ拾いが、少しでも生物多様性の回復につながればうれしいです。

「浜名湖エコSUPゴミ拾い競争」の様子
──参加された方の反応を教えてください。
島袋さん:ゴミ拾いをしているというより、みなさん本当に楽しそうに活動していて、雰囲気がとても明るかったのが印象的でした。
藤澤さん:親子連れの方や外国人の方など、いろいろな人が参加してくれて、参加者同士で、「どれくらいゴミ取れましたか?」「すごいですね!」と自然に会話が生まれていました。ゴミがたくさん集まる場所を“宝の山”って言うようになっていて、楽しむだけじゃなく、新しい価値観が生まれているのを感じて、すごく達成感がありました。

8月のイベントでは、ペットボトルやビン、タイヤなど、総量60kg以上のゴミが集まった
──浜名湖エコSUPゴミ拾い競争を通して、自分自身にどのような変化や気づきがありましたか?
長谷部さん:SDGsや環境保全のことを、自分ごととして捉えられるようになったのが一番大きな変化です。以前は、SDGsは難しくて、自分たちの生活とは少し遠いもののように感じていました。でも、このプロジェクトに参加し、活動する中で、私たちの生活と直結していることが多いと実感するようになりました。小さな力でも、身近なところから改善していけば、それが積み重なって大きな目標達成につながる。それが、3年間の活動を通して得た一番の学びです。
前田さん:私たち生徒だけでなく、参加者のみなさんと一緒につくり上げる大会にできたことが印象に残っています。1回きりではなく、回を重ねるごとに、みんなでルールを見直しながら改善していけたことが、成果として実感できました。

浜名湖エコSUPゴミ拾い競争を終え、仲間とともに達成感を分かち合う生徒たち
──みなさんが環境SDGsプロジェクトに参加しようと思ったきっかけを教えてください。
長谷部さん:1年生のとき、校内に貼られていたポスターで「誰もが楽しくSDGs活動」というプロジェクトのモットーを見て、すごくひかれました。楽しみながらできるなら、やってみたいと思い、ボランティアに参加したのがきっかけです。
大桒さん:オイスカ高校がSDGsに取り組んでいるのは、入学前のオープンキャンパスで知りました。2年生のときに先生に声をかけていただき、参加するようになりました。ゴミ問題や地球温暖化などが少しでも解決に近づけば、住みやすいまち・住み続けられるまちづくりにつながると思い参加しました。
杉本さん:部活動で舘山寺を走りながらゴミ拾いをする活動に参加したことがきっかけです。もっと自分にできることはないかなと思い、このSDGsプロジェクトに参加しました。

生態系保全として養殖実験ドウマンガニ放流会を実施
──環境SDGsプロジェクトを通して、自分自身にどのような変化や気づきがありましたか?
鈴木(悠)さん:プロジェクトに参加したのは、もともと昆虫や生き物が好きだったからです。最初は昆虫だけに目が向いていましたが、活動を通して、アマモや魚、鳥なども含めて、生き物は生態系としてつながっていることに気づきました。どれか一つが欠けても、生物多様性は成り立たない。そうした全体を見る視点を持てるようになったことが、大きな変化です。
藤澤さん:エコSUPをきっかけに、他のボランティアにも参加するようになしました。そこで他の高校の生徒とも出会い、それぞれの学校の取り組みを知って、とても刺激を受けています。そうしたつながりから、一緒に何かできたらいいなと思うようになりました。
──企業や団体との連携について、今後期待していることはありますか?
長谷部さん:企業の方にも一緒にイベントに参加してもらえたらうれしいですね。地方創生SDGsコンテストで知り合った企業の方と、「一緒にイベントができたらいいね」と声を掛けていただいているので、これからもっと様々な大人の方と一緒に取り組んでいきたいと思っています。私はもう卒業してしまいますが、今度は参加する側として関わりたいです。
──今の2年生へメッセージをお願いします。
長谷部さん:SDGsを知っている人も、まだよく知らない人も、気軽に参加できるハードルの低いイベントにしてほしいです。そして「楽しい」をモットーに、これからも活動を続けていってもらえたらうれしいです。先輩たちはスポーツ×SDGs、私たちはマリンスポーツ×浜名湖×SDGsという形で楽しさを広げてきました。その楽しさから始めるスタイルを、ぜひこれからも続けていってほしいと思います。

環境SDGsプロジェクトには、自然科学部やマリンスポーツ部などに所属する生徒が参加し、それぞれの得意分野を掛け合わせた環境活動に取り組んでいる
──先輩の話を聞いて、2年生のみなさんはどんなことに挑戦していきたいですか?
夏目さん:浜名湖を、もっと魅力ある観光資源にしていきたいと思っています。自然科学部で自然や生き物について学びながら、今後、浜名湖の魅力を発信していく上で、少しでも役に立てたらうれしいです。
丸林さん:僕はマリンスポーツ部として、活動を通してマリンスポーツの魅力をもっと発信していきたいです。浜松には8人乗りのビッグSUPがまだあまりないので、それを活かして、オイスカ高校ならではの体験をつくっていきたいと思っています。
前田さん:3年生になったら、これまでの活動をもっと多くの人に知ってもらえるよう発信していきたいです。ゲーム形式で楽しめるSDGsは、まだまだいろいろな形があると思うので、私たち自身で見つけながら、「楽しく続けられる活動」をこれからも広げていきたいと思っています。
オイスカ浜松国際高等学校 環境SDGsプロジェクト
1983年開校。「自然の恩恵に感謝し、国際社会に貢献できる心豊かな人材を育成する」を教育目標に教育活動を実践している。また、オイスカ高校のSDGs教育には「環境教育宣言!」「ミニ・ワールド宣言!」「地域協働宣言!」「スポーツウェルネス宣言!」の4つの宣言があり、田植えや稲刈り、植林といった活動を行う。2020年に、以前から行っていた活動を引き継ぐ形で「環境SDGsプロジェクト」として活動を開始。現在は160人ほどの生徒が有志で活動に参加している。
https://www.oisca.ed.jp/learning/sdgs/