高校生とSDGs ~市内高校生のかがやく取組を紹介~/静岡県立浜松商業高校 調査研究部

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(左から):鈴木さん(2年)、濵田さん(2年)、丸山さん(2年)

 

浜松商業高等学校(以下、浜商)・調査研究部は、「地元浜松の活性化や課題解決」をテーマに商品開発に取り組む部活動です。これまでにも「浜松焼そば」や「君にれもん」など、地域企業と連携した商品を生み出してきました。今回挑戦したのは、浜名湖産あおさを活用した「浜名湖あおさ餃子」の開発。市民へのリサーチから試作、試食会の開催、販売までを体験していく中で、常に問い続けていたのは、“地域に貢献する商品とは何か”ということ。商品開発だけで終わらない次の展開も見据える調査研究部の2年生に、お話を伺いました。

 

浜名湖のあおさから始まった挑戦。浜商・調査研究部の地域連携プロジェクト

リサーチから始まった、“浜松らしさ”を見つける挑戦

── 調査研究部に入ったきっかけを教えてください。

 

鈴木さん:資格がたくさん取れると聞いたのが、一番のきっかけでした。就職すると勉強する時間が取りにくくなるので、高校生のうちに挑戦しておきたいと思いました。部活見学で商品開発にもチャレンジしていると知り、「それも面白そうだな」と思って入部しました。

 

丸山さん:高校の体験入学で商品開発の話を聞いたのが印象に残っています。この部活でしかできないことだと思い、入部を決めました。

 

 

──「浜名湖あおさ餃子」の開発プロジェクトは、どのように始まったのですか?

 

濵田さん:静岡銀行さんから地域の課題解決につながる取り組みとして、石松餃子さんと一緒に地元食材を使った新商品開発をしてみないかとお誘いいただいたのがきっかけです。4月から活動が始まり、餃子の消費量ランキングでライバルとなっている宇都宮市を訪問し、リサーチを行ったりしながら、浜松の特産品と餃子を掛け合わせた商品作りに挑戦しました。

 

鈴木さん:まずは、浜松市民の方が餃子をどう捉えているのかを知るために、意識調査のワークショップを

企画しました。まちなかの「はままちプラス」をお借りして、浜松餃子の認知度や好みについてアンケートを実施。200名を超える方と直接お話できたのは大きな収穫でした。

 

丸山さん:ワークショップでは、「あったらいいな、こんな餃子」をテーマに塗り絵アンケートも行いました。エシャレットや馬鈴薯(ばれいしょ)など、浜松の野菜を使ったベジタブル餃子や、皮に色を付けたカラフルな餃子など、自由でユニークなアイデアがたくさん集まりました。

 

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自由な発想が広がった、塗り絵アンケートの一部

 

──リサーチを参考に試作をしたんですね。

 

鈴木さん:乾燥トマトを使いピザをイメージした餃子や、三方原馬鈴薯を使った肉じゃが餃子など、いくつか案を出しました。リサーチで集まった声をヒントにしながら、「浜松らしさって何だろう」と考える中で、部員のおじいちゃんが舞阪で漁師をしているという話から、浜名湖産のあおさを餡に練り込んだらどうか、というアイデアが出たんです。

 

濵田さん:宇都宮では、しそ餃子がよく食べられていると聞き、浜松らしくアレンジした「あおさ餃子」を試作しました。さらに、それを和風に揚げた「磯部揚げ餃子」へと展開。つけダレにも工夫をこらし、「レモン餃子だれ」や「和風あおさあんかけだれ」を用意して食べ比べながら味を探っていきました。

 

丸山さん:試作したあおさ餃子を石松餃子さんに提案すると、見た目の新しさや地元食材を使っている点、作りやすさに加え、タレの工夫にも評価をいただき、最終的に「浜名湖あおさ餃子」として進めていくことが決まりました。

 

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石松餃子本社を訪問し、「浜名湖あおさ餃子」の企画を提案する調査研究部

 

試作を重ねて見えてきた、味作りの奥深さ

──浜名湖のあおさについて教えてください。

 

丸山さん:浜名湖漁業協同組合さん協力のもと、現地を訪問し、いろいろと教えていただきました。浜名湖のあおさは「ヒトエグサ」と呼ばれる海草の一種で、浜名湖では約200年前から養殖が行われていて、浜名湖のあおさの養殖は日本最古の一つと言われています。また、小魚などの隠れ家や産卵場所になるあおさを適度に収穫することは、浜名湖の環境を循環させることにもつながり、食材としてだけでなく、環境を守る役割もあることが分かりました。

 

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浜名湖養魚漁業協同組合を訪問し、あおさの養殖や浜名湖の環境について学ぶ

 

──「浜名湖あおさ餃子」を開発するにあたって苦労した点は?

 

鈴木さん:一番大変だったのは、あおさを練り込む餡の水分量の調整です。多すぎると皮が破れてしまう

し、少ないと風味が弱くなる。そのバランスを見つけるのが本当に難しくて、1〜2か月ほど、調理室で何度も試作を重ねました。

 

丸山さん:餡に練り込むだけでは、思ったよりあおさの風味が出なかったことも苦労した点です。そこで、餃子のタレで工夫できないかと考え、醤油ベースのタレにあおさの佃煮を加えたら、風味がグッと引き立ったんです。さらに、焼き上げた餃子にあおさを振りかけることで、香りをより強く感じられるようになりました。

 

── 一般の方への試食も行ったそうですね。

 

濵田さん:はい。開発した餃子が本当に受け入れてもらえるか、曳馬協働センターで月に一回開かれている「おひさま食堂」で試食会を行いました。子どもからお年寄りまで幅広い世代が利用する食堂で、約90食を提供。あおさを知らない子どもたちも抵抗なく食べてくれたのは、うれしかったですね。一方で、大人の方からは「もう少しパンチが欲しい」という意見もあり、その声をもとに味の調整を行いました。

 

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「おひさま食堂」で行った試食会の様子。来場者に試食してもらい、率直な感想を聞いた

 

── 実際に販売されたときの感想を教えてください。

 

鈴木さん:完成した餃子は、期間限定ですが、石松餃子本店での販売が決まりました。発売初日には、石松餃子本店で接客もさせてもらいました。あおさ餃子を注文してくださったお客さまには、私たちが直接提供し、簡単な説明もしました。県外から来ているお客さまから、「浜名湖のあおさ餃子を食べられて、浜松に来たかいがあった」と言っていただけたことは大変印象に残っています。

 

濵田さん:自分たちが一から考えて作ったものを、私たちの活動を知らないお客さまに「おいしい」と言ってもらえたのは、本当にうれしかったです。応援でなく、純粋に味そのもので評価してもらえたんだと感じました。

 

丸山さん:うれしい気持ちは私も同じです。ただ、期間限定で終わるのではなく、お店でずっと扱ってもらえる商品になってほしいと思っています。

 

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浜名湖のあおさをふんだんに使用した「浜名湖あおさ餃子」

 

商品開発だけで終わらない、次の一歩

── このプロジェクトを振り返ってみて、いかがですか?

 

丸山さん:正直、やっと自分たちが中心になって関わった商品が完成して、すごくうれしかったです。これまでは、先輩たちが開発した「浜松焼そば」や、焼き菓子「君にれもん」を販売することが多かったので、今回、自分たちの代で考えた商品が実際に販売されたことに、大きな達成感がありました。

 

鈴木さん:私は接客させてもらったことが印象に残っています。これまでは浜商のOB・OGの方が買ってくださることが多かったのですが、今回は一般のお客さまにも選んでいただいて、「関係者以外にもちゃんと届いているんだ」と感じました。一方で、まだまだ、たくさん注文してもらえないこともあって、もっと浜名湖あおさ餃子の魅力を伝えられるようになりたいとも思いました。

 

濵田さん:試作を重ねる中で、自分たち高校生がおいしいと思う味と、今回ターゲットにしていたファミリー層が求める味は違うんだと、改めて気づきました。自分たちの感覚だけで決めるのではなく、誰に食べてもらいたいのかを考えることの大切さを学びました。

 

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活動を振り返りながら、次の展開について語り合う調査研究部の3人。

 

── 今後の活動について教えてください。

 

濵田さん:次の商品開発はまだ決まっていないんですが、まずは、浜名湖あおさ餃子をもっと多くの人に知ってもらうことが目標です。今、調査研究部が中心となって、浜松の食品を集めたフードフェスのようなイベントを企画しています。今年の6月に浜松市ギャラリーモール「ソラモ」で開催する予定で、浜名湖あおさ餃子も販売します。

 

丸山さん:商品開発は企業さんの協力があってこそ良いものが作れるのですが、開発が終わると、私たち高校生が関われる場面は少なくなってしまって……。そこで一区切りにするのではなく、どうすれば続くプロジェクトにできるのかを考えていて、その答えの一つが、このフードフェスなのかなと思っています。

 

鈴木さん:イベントでは、浜名湖あおさ餃子の販売だけでなく、地元の食材を使っているお店やキッチンカーにも声をかけて、一緒に盛り上げていきたいと思っています。今後は静岡銀行さんとの打ち合わせもあって、今からワクワクしています。イベントに興味のある企業やお店の方がいましたら、ご協力いただけるとうれしいです。

 

 

静岡県立浜松商業高校調査研究部

2016年に設立され、現在は37名が所属。「地元浜松の活性化や課題解決」を目標に商品開発を行う。トリイソースと協力した「浜松焼そば」、加藤醤油と共同開発した「浜松ラーメン」、春華堂と地元レモンを再利用した「君にれもん」など、地域の食材を生かした商品を次々と生み出している。2025年は、石松餃子と協力し「浜名湖あおさ餃子」を開発し、「石松餃子」本店で期間限定販売した。

https://www.edu.pref.shizuoka.jp/hamamatsu-ch/