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更新日:2024年9月13日

令和5年度 浜松市一般会計及び特別会計歳入歳出決算の審査意見1

第1 審査の基準

この審査は、浜松市監査基準(令和2年浜松市監査委員告示第2号)に準拠して実施した。

第2 審査の対象

  • 令和5年度浜松市一般会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市母子父子寡婦福祉資金貸付事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市介護保険事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市後期高齢者医療事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市と畜場・市場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市農業集落排水事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市中央卸売市場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市育英事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市学童等災害共済事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市小型自動車競走事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市駐車場事業特別会計歳入歳出決算
  • 令和5年度浜松市公債管理特別会計歳入歳出決算

上記決算に関する証書類、歳入歳出決算事項別明細書、実質収支に関する調書及び財産に関する調書

第3 審査の期間

令和6年7月1日から同年8月19日まで

第4 審査の着眼点及び実施内容

主に以下の点を着眼点とし、検証した。

  • 審査に付された決算書その他関係書類が適正に作成されているか
  • 決算書類に記載された計数は正確であるか
  • 歳入歳出予算は適正に執行されているか
  • 事務事業は効率的に執行されているか

審査手続については、試査を基礎として行い、会計管理者が所管する諸帳簿と照合し、計数の確認のほか、関係職員から説明を聴取し、予算の執行状況等について審査を行った。

第5 審査の結果

1 審査結果

前記のとおり審査した限り、重要な点において、決算その他関係書類が法令に適合し、かつ正確であることが認められた。
また、歳入歳出予算の執行はおおむね適正であると認められた。

2 予算の概要

(1) 予算の編成方針等

5年度当初予算は、デジタルを最大限に活用し重点施策に積極的に取り組むほか、感染症拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、将来に向けた規律ある財政を堅持し、より一層の歳入確保を徹底するとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるよう、以下の考えのもと、歳出の重点化及び事業の廃止、見直し、合理化、効率化によるメリハリを効かせた予算として編成された。

  • 都市の将来像である「市民協働で築く『未来へかがやく創造都市・浜松』」、未来の理想の姿「1ダースの未来」の実現に向け、戦略計画に掲げた諸施策を着実に推進する。
  • デジタルを最大限に活用し、多くの市民が参加し支え合うことにより、「戦略計画2023の基本方針」の重点化テーマ「未来へつなぐ持続可能な社会への挑戦」を実現するため、「若者がチャレンジできるまち」「子育て世代を全力で応援するまち」「持続可能で創造性あふれるまち」の「3つのまち」を創る施策に重点を置く。

これに基づき、中期財政計画に基づく規律ある財政運営を行い、デジタル・スマートシティの推進、持続可能な社会への対応を始めとした必要な諸施策を積極的に推進していくこととした。
その後、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用した原油価格・物価高騰の影響を受ける低所得世帯や福祉施設、中小事業者等に対する支援に要する経費のほか、低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金の支給に要する経費、豪雨被害の軽減に向けた対策に要する経費、物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用した物価高騰の影響を受ける低所得世帯や中小事業者、福祉施設等に対する支援に要する経費等を追加する補正予算が編成された。

(2) 歳入歳出予算額

歳入歳出当初予算額は、一般会計が3,895億円、特別会計が2,316億3,900万円で、これに補正予算額及び前年度繰越額を合わせた予算現額は、一般会計が4,426億2,587万円、特別会計が2,255億9,549万円となっている。

3 決算の概要

(1) 決算規模

5年度の決算規模は、一般会計、特別会計を合わせた総額で、歳入は6,482億3,413万円、歳出は6,300億3,282万円で、4年度に比べて、歳入が263億8,450万円(4.2%)、歳出が287億986万円(4.8%)、それぞれ増加した。

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 5年度 4年度 増減額 対前年度比
歳入総計決算額 648,234,136 621,849,633 26,384,502 104.2
歳出総計決算額 630,032,821 601,322,955 28,709,865 104.8

(注)本表に関する詳細は21ページ参照

(2) 一般会計

一般会計における決算収支は、歳入歳出差引額(形式収支)139億396万円の黒字、実質収支75億4,299万円の黒字となっているが、単年度収支16億6,026万円の赤字、実質単年度収支9億4,698万円の赤字となっている。
歳入決算額は4,241億5,198万円で、4年度に比べて、281億7,215万円(7.1%)増加した。
歳出決算額は4,102億4,802万円で、4年度に比べて、288億7,098万円(7.6%)増加した。

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 5年度 4年度 増減額 対前年度比
歳入決算額 (A) 424,151,983 395,979,829 28,172,153 107.1
歳出決算額 (B) 410,248,023 381,377,041 28,870,981 107.6
歳入歳出差引額
〔形式収支〕(A)-(B)
(C) 13,903,960 14,602,787 △ 698,827 95.2
翌年度へ繰り越すべき財源 (D) 6,360,962 5,399,528 961,434 117.8
実質収支 (C)-(D) (E) 7,542,998 9,203,259 △ 1,660,261 82.0
単年度収支 (F) △ 1,660,261 2,066,081 △ 3,726,343 -
積立金 (G) 5,513,279 4,316,370 1,196,908 127.7
繰上償還金 (H) 0 0 0 -
積立金取崩し額 (I) 4,800,000 5,000,000 △ 200,000 96.0
実質単年度収支 (F)+(G)+(H)-(I) △ 946,982 1,382,451 △ 2,329,434 -

(注)本表に関する詳細及び注記は25ページ参照

(3) 特別会計

特別会計の歳入決算額は2,240億8,215万円、歳出決算額は2,197億8,479万円で、歳入歳出差引額(形式収支)42億9,735万円の黒字、実質収支42億9,485万円の黒字となっているが、単年度収支は16億2,903万円の赤字となっている。

(単位 金額:千円、比率:%)

区分 5年度 4年度 増減額 対前年度比
歳入決算額 (A) 224,082,152 225,869,803 △ 1,787,651 99.2
歳出決算額 (B) 219,784,797 219,945,913 △ 161,116 99.9
歳入歳出差引額
〔形式収支〕(A)-(B)
(C) 4,297,355 5,923,889 △ 1,626,534 72.5
翌年度へ繰り越すべき財源 (D) 2,497 0 2,497 -
実質収支 (C)-(D) 4,294,858 5,923,889 △ 1,629,031 72.5
単年度収支 △ 1,629,031 △ 321,664 △ 1,307,366 506.4

(注)本表に関する詳細及び注記は53ページ参照

(4) 財政指標等による分析

ア 財政指標

普通会計における財政指標は、4年度に比べて、歳入構造の弾力性の指標である経常一般財源比率が0.4ポイント改善したものの、財政力を把握する指標である財政力指数が0.016ポイント悪化し、財源構造の弾力性の指標である経常収支比率が1.1ポイント悪化した。また、財政運営の健全性を示す指数である実質収支比率が0.9ポイント悪化した。

(単位 比率:%、比較増減:ポイント)

区分 5年度(A) 4年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
財政力指数 0.813 0.829 △ 0.016
経常一般財源比率 97.1 96.7 0.4
経常収支比率 91.2 90.1 1.1
実質収支比率 3.4 4.3 △ 0.9

(注)詳細は94ページ及び95ページ参照

イ 健全化判断比率

実質収支及び連結実質収支は、黒字となった。
3か年平均で算出される実質公債費比率は、4年度(2~4年度の平均)に比べて、5年度(3~5年度の平均)は、標準税収入額が増加したことによる標準財政規模の増加及び元利償還金の減少により0.6ポイント改善した。
将来負担比率は、充当可能財源等が将来負担額を上回った。
これらの健全化判断比率の全てについて、早期健全化基準を下回っている。

(単位:%)

区分 5年度 4年度 早期健全化基準 財政再生基準
実質赤字比率 - - 11.25 20.00
連結実質赤字比率 - - 16.25 30.00
実質公債費比率 3.8 4.4 25.0 35.0
将来負担比率 - - 400.0 -

(注)健全化判断比率に関する詳細は別冊「浜松市財政健全化及び経営健全化審査意見書」参照

(5) 市債の状況

5年度の年度末残高(同年度末における総市債残高)は4,349億4,271万円で、4年度に比べて、31億9,309万円増加したものの、中期財政計画(27年度~6年度)の5年度末計画値4,410億円を60億5,728万円下回った。市民一人当たりの市債残高も55.3万円で、中期財政計画の計画値である56.0万円以下を達成した。

総市債残高

(単位:千円)

区分 5年度(A) 4年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
前年度末総市債残高 (a) 431,749,619 431,751,990 △ 2,371
借入額 (b) 57,932,000 55,693,600 2,238,400
元金償還額 (c) 54,738,907 55,695,971 △ 957,063
年度末残高 (a)+(b)-(c) 434,942,712 431,749,619 3,193,092
元金償還額ー借入額 (c)-(b) △ 3,193,092 2,371 △ 3,195,463
(注) 1 公営企業会計分の市債を含む。
2 満期時に一括して償還する市場公募債の償還準備のために行う減債基金への積立金を償還したものとみなしている。

市民一人当たり市債残高

(単位 金額:千円、人口:人)

区分 5年度(A) 5年度
中期財政計画(B)
中期財政計画との比較増減
(A)-(B)
年度末市債残高 (a) 434,942,712 441,000,000 △ 6,057,287
人口 (b) 786,792 786,994 △ 202
市民一人当たり市債残高 (a)/(b) 553 560 △ 7

4 審査意見

(1) 総括

一般会計決算における実質収支は75億4,299万円の黒字となったものの、積立金や災害復旧費執行額の増などにより単年度収支は16億6,026万円の赤字、実質単年度収支は9億4,698万円の赤字となった。
特別会計決算における実質収支は42億9,485万円の黒字となったものの、単年度収支は16億2,903万円の赤字となった。
普通会計決算における財政指標については、経常一般財源比率は改善したものの、財政力指数、経常収支比率及び実質収支比率はいずれも悪化した。
健全化判断比率については、いずれも早期健全化基準を下回り、中期財政計画の計画値を達成する堅実な財政運営を行っていることは評価できる。ただし、健全化判断比率は財政の悪化又は悪化の兆しを把握するためのもので、健全段階にある団体の健全化度を診断するものではないことに注意が必要である。
なお、本市財政は、行財政改革への取組による効果で、ストックにかかる財政指標は他の政令指定都市と比較して良好であるが、資産全体の老朽化度を示す有形固定資産減価償却率※の悪化が進んでいることに注視すべきである。
また、実質公債費比率と将来負担比率の算定に当たり、市債発行の抑制が数値の改善につながることにも留意すべきである。
今後、西部清掃工場やアクトシティ浜松などの大規模な公共建築物の整備更新、道路・橋りょう等の既存の社会資本の長寿命化や適正な維持管理、頻発する自然災害への対応に加え、原油価格・物価高騰による経費の増加などにより、引き続き厳しい財政運営となることが予想される。
このような状況下において、本市総合計画に掲げる都市の将来像の実現に向け、以下の点に留意し、より一層の歳入確保と歳出の重点化によりメリハリの効いた財政運営に取り組まれたい。

※ 有形固定資産減価償却率…有形固定資産のうち建物などの償却資産について、耐用年数に対して資産の取得からの経過度合い(どの程度古くなっているか)を表す指標。比率が高いほど施設の減価償却が進んでいる。135ページ参照。

ア 資産の改修・更新を踏まえた財政運営について

  • 将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す将来負担比率※1は、充当可能財源等が将来負担額を上回ることから算定されなかった。資金繰りの程度を示す実質公債費比率※2は、元利償還金の減などにより、前年度に比べて改善した。中期財政計画の目標である市民一人当たり市債残高は、令和5年度末に55万3千円となり、計画値の56万円以下を達成することができた。
  • 一方で、本市は膨大なタテモノ・インフラ資産を抱えており、その維持管理等が財政運営に与える影響は大きい。特に、有形固定資産減価償却率は、政令指定都市の平均を上回る水準で、かつ、年々悪化しており、個々の資産の老朽化への対策が必要な状況である。
  • 資産の維持管理にあたっては、中期財政計画に基づき市債残高を管理し投資的経費を確保するとともに、公共施設等総合管理計画において、資産の改修・更新のために今後負担すべき額を基に算出した充足率の達成を目標として計画的な投資に努めてきたが、今後負担すべき額については、近年の急激な物価等の高騰の状況が適切に反映されていないことが課題である。
  • 今後、資産の改修・更新のための投資や市民満足度向上のための投資を行っていくためには、市債の発行可能額を中長期的な観点から見込むとともに、本市の財政状態について事前に見通しを立てておくことが望ましい。
  • 財務部は、債務償還比率※3などの財政指標の有効な活用について検討し、必要な投資と適切な債務管理の両立を図られたい。
  • また、次期公共施設等総合管理計画の策定に当たり、今後負担すべき額を算定する場合は、実態に即した目標値を定めるとともに、物価高騰などの社会経済状況の変化を踏まえた定期的な検証について検討されたい。

※1 将来負担比率……一般会計等の借入金(地方債)や将来支払っていく可能性のある負担等の現時点での残高を指標化し、将来財政を圧迫する可能性の度合いを示す指標。
※2 実質公債費比率…一般会計等が負担する元利償還金及び準元利償還金の標準財政規模を基本とした額に対する比率の3か年平均。借入金(地方債)の返済額及びこれに準じる額の大きさを数値化し、資金繰りの程度を表す指標。
※3 債務償還比率……実質債務が債務償還財源上限額の何年分あるかを表す指標で、債務償還能力は、債務償還比率が短いほど高い。135ページ参照。

イ 弾力的な財政運営について

  • 財政の弾力性を示す経常収支比率は、令和4年度と比べて1.1ポイント悪化し、91.2%となった。過去5年間90%前後で推移し、また、この間の変動は、いずれも国の財政施策に伴う全国共通のものであり、令和4年度まで政令指定都市平均を下回る良好な水準を維持している。
  • 財政課は、他都市の数値の動向を注視し、弾力的な財政運営に努められたい。

ウ 次期中期財政計画について

(ア) 市債残高の目標設定について

  • 中長期的な視点から規律ある財政運営を行い、強固な財政基盤を構築するため策定した中期財政計画は、令和6年度に終期を迎える。
  • 現計画で目標とする市民一人当たり市債残高は、一般会計、特別会計及び企業会計の残高の合計値で示されている。
  • 財政課は、次期計画の策定に当たり、現計画と同様、市債残高を指標として設定する場合には、会計ごとの目標を示すなど、市民に一層分かりやすい情報提供について検討されたい。

(イ) より柔軟な財政運営に向けた計画の策定について

  • 他都市においては、中期財政見通しとして策定している事例も見られるなか、本市では、拘束性の高い行政計画として運用が行われてきた。
  • 財政課は、物価高騰や金利上昇などの不確実性が増し、中長期の財政を見通すことが容易でないなか、例えば、内閣府の経済見通し、本市の市税収入、地方交付税の見通しなど、計画の前提となる事項を明示したうえで、状況の変化により計画自体の柔軟な見直しも可能なものとなるよう検討されたい。

 

(2) 個別意見

ア 市税の決算状況と収入率向上に向けた取組の推進について(税務総務課、収納対策課)

【現状及び課題】

(ア) 市税の決算状況

  • 市税総額は1,523億7,334万円で、令和4年度に比べて17億9,125万円増加した。主として個人市民税と固定資産税の現年課税分の増によるものである。
  • 個人市民税については、主として給与所得及び納税義務者の増に伴い17億7,282万円増加した。
  • 法人市民税については、主として製造業の減に伴い12億3,279万円減少した。
  • 固定資産税は、主として土地にあっては地目変更による価格上昇による増、家屋にあっては新増築分の加算による増、償却資産にあっては設備投資増による増に伴い10億3,365万円増加した。
  • 不納欠損額は1億4,307万円で、令和4年度に比べて8,303万円減少した。このうち消滅時効を事由とするものは1,699件、2,956万円で、令和4年度に比べて件数は719件減少し、金額は42万円増加した。

市税決算増減状況

(単位:千円)

区分 5年度(A) 4年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
現年課税分 151,696,485 149,858,390 1,838,095
滞納繰越分 676,854 723,695 △ 46,841
合計 152,373,340 150,582,085 1,791,254

(注)本表に関する詳細及び注記は29ページ参照

市税税目別増減状況

(単位:千円)

区分 5年度(A) 4年度(B) 前年度との比較増減
(A)-(B)
普通税 139,108,953 137,456,928 1,652,025

市民税

75,337,658 74,797,625 540,032

個人

66,314,680 64,541,850 1,772,829

法人

9,022,977 10,255,774 △ 1,232,796

固定資産税

56,125,448 55,091,797 1,033,650

その他

7,645,846 7,567,505 78,341
目的税 13,264,387 13,125,157 139,230
合計 152,373,340 150,582,085 1,791,254

(注)本表に関する詳細及び注記は28ページ参照

市税不納欠損額の推移

(単位 金額:千円、比率・割合:%、件数:件、人数:人)

年度 不納欠損額の推移 うち消滅時効を事由とするもの
件数 実人数 金額 前年度比
(金額)
件数 金額 割合
(金額)
18,790 4,247 273,221 118.5 7,443 92,340 33.8
2 19,737 4,211 276,681 101.3 5,875 73,965 26.7
3 15,956 3,726 264,624 95.6 3,741 47,552 18.0
4 14,046 3,287 226,108 85.4 2,418 29,146 12.9
5 7,807 2,070 143,077 63.3 1,699 29,568 20.7

(注)本表に関する詳細及び注記は29ページ及び30ページ参照

(イ) 第5次市税滞納削減アクションプランの目標達成状況

  • 令和5年度は、第5次市税滞納削減アクションプラン(令和元年度~令和6年度)(以下「第5次アクションプラン」という。)の5年目であった。
  • 第5次アクションプランでは、個人市民税の納期内収入率及び累積滞納額について、最終目標を設定するとともに計画期間中の年度ごとに成果の指標(目標値)を定めている。また、現年分収入率については税制改正や景気動向による影響等を踏まえ毎年度目標値を定めている。
  • 個人市民税の納期内収入率は95.81%で、令和4年度に比べて0.01ポイント低下したものの、令和5年度の目標値に対して0.23ポイント上回った。主として地方税共通納税システムの対象拡大への対応により納付手段が多様化し、利便性が向上したことによるものである。
  • 累積滞納額は17.4億円で、令和4年度に比べて0.6億円減少し、令和5年度の目標値に対して削減額が5.9億円上回った。主として現年分収入率向上による新規滞納額の抑制や滞納処分による徴収と徴収不能判断の促進によるものである。
  • 現年分収入率は99.55%で、令和4年度に比べて0.05ポイント上昇し、令和5年度の目標値に対して0.03ポイント上回った。主として地方税共通納税システムの対象拡大への対応により納付手段が多様化し、利便性が向上したことによるものである。

市税滞納削減アクションプランの推移

(単位 金額:億円、比率:%、比率の比較増減:ポイント)

区分 5年度 4年度
実績値
(C)
比較増減
(B)-(C)
目標値
(A)
実績値
(B)
比較増減
(B)-(A)
個人市民税の
納期内収入率
95.58 95.81 0.23 95.82 △ 0.01
累積滞納額 23.3 17.4 △ 5.9 18.0 △ 0.6
現年分収入率 99.52 99.55 0.03 99.50 0.05
(注) 1 表中の金額は、第5次アクションプランの表記に倣い、億円単位で表示している。
2 表中の比率は、第5次アクションプランの表記に倣い、小数点第2位まで表示している。

(ウ) 納付手段の多様化

  • 国及び地方における税分野でのデジタル活用が急速に広まるなか、本市においても地方税共通納税システムの対応等により納付手段の多様化と納税者の利便性向上に努めている。
  • 地方税共通納税システム(以下「eLTAX」という。)の対象拡大として、令和5年4月から、市・県民税(普通徴収)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税(種別割)を対象に、地方税統一QRコード(eL-QR)※1を利用した納付が可能となったため、電子納付※2をeLTAXに一本化した。
  • これにより、電子納付に対応する電子マネー決済アプリについて5種類から26種類(令和6年6月時点)に拡大し、利便性向上等により電子納付※2の件数が増加した。

※1 地方税統一QRコード(eL-QR)…納付書に付されたQRコードを読み取ることで、地方税共同機構が管理・運営するeLTAX内の地方税お支払サイトやスマートフォン決済アプリ等による地方税の納付を可能とするもの。
※2 電子納付…クレジットカード、インターネットバンキング、電子マネー、共通納税システム(電子申告納付分)による納付をいう。

納付手段別の納付実績の推移(現年課税分)

(単位 金額:千円、件数:件、構成比:%)

区分 3年度 4年度 5年度
件数 構成比 金額 件数 構成比 金額 件数 構成比 金額
特別徴収 ※1 614,443 22.8 59,995,967 615,981 22.7 58,130,182 614,774 22.5 57,225,468
口座振替 1,083,209 40.2 45,966,288 1,080,811 39.8 48,072,287 1,068,082 39.0 50,036,797
納付書 ※2 425,927 15.8 38,057,111 400,133 14.7 37,749,562 388,326 14.2 34,163,554
コンビニエンスストア 488,405 18.1 8,114,337 505,386 18.6 8,578,990 507,864 18.6 8,713,412
電子納付 クレジットカード 13,061 0.5 363,390 13,284 0.5 401,948 21,230 0.8 752,114
インターネットバンキング 2,781 0.1 88,824 2,779 0.1 85,720 4,659 0.2 526,251
電子マネー 42,102 1.6 872,605 63,349 2.3 1,318,613 82,507 3.0 1,810,828
共通納税システム
(電子申告納付分)※3※4
22,014 0.8 5,853,661 31,914 1.2 11,249,582 42,560 1.6 14,244,418
小計 79,958 3.0 7,178,481 111,326 4.1 13,055,865 150,956 5.5 17,333,613
その他 4,880 0.2 101,914 4,808 0.2 120,335 5,570 0.2 576,819
合計 2,696,822 100.0 159,414,101 2,718,445 100.0 165,707,222 2,735,572 100.0 168,049,667

(注)1 表中の各数値は個人県民税を含む、(注)2 表中の構成比は件数ベース
※1 共通納税システム(電子申告納付分)により納付された分は含まず、※2 特別徴収分は含まず
※3 特別徴収分を含む、※4 5年度から市民税(個人、法人)・事業所税に加え、市たばこ税、入湯税に係るものも含む

(エ) 口座振替の普及促進(Web口座振替受付サービス)

  • 令和3年4月から市・県民税(普通徴収)、固定資産税・都市計画税、軽自動車税(種別割)を対象に、市税の口座振替による納付の申込手続を、自宅のパソコンやスマートフォンから、24時間いつでも申し込みができるサービスを開始した。
  • 13金融機関で利用可能である。
  • 令和5年度のサービス利用件数は2,506件、口座振替申込件数全体に占める割合は16.6%で、令和4年度に比べて3.2ポイント低下した。

Web口座振替受付サービス利用実績

(単位 件数:件、割合:%、割合の比較増減:ポイント)

区分 3年度 4年度(A) 5年度(B)
利用件数 3,359 3,447 2,506
口座振替申込件数全体に占める割合 19.5 19.8 16.6
  比較増減(B)-(A) - 0.3 △ 3.2

【意見】

  • 令和5年度においては、市税収入率の向上と累積滞納額の削減に向けて第5次アクションプランに定める取組を進めたことで、同プランに定める各目標をいずれも達成したことについては評価できる。
  • Web口座振替受付サービスについては、令和5年度の利用件数等が前年度に比べ減少した。同プランでは、費用対効果や納税者の利便等を踏まえ口座振替を促進することとしており、同プラン推進の観点からも、Web口座振替受付サービスの利用状況を含めた分析を進め、周知方法をはじめ有効な取組を図られたい。
  • 第5次アクションプランでは、「生産性の向上」として、徴収に要する経費の削減を掲げている。金融機関における税公金の収納業務の見直し等が進むなか、納付手段ごとのコストを的確に分析し、デジタル化による効率化・高度化と合わせて総合的なコスト管理に努められたい。

イ 公共施設の使用料について(財政課)

【現状及び課題】

  • 財政課は、公共施設の使用料について、受益者負担水準の適正化などのため、平成27年度に使用料見直しの基準(以下「基準」という。)を策定し、原則として3年に一度全市的にコスト計算を行うことで、使用料等の妥当性について確認することとしている。
  • 基準では、公共関与の必要性や収益可能性の観点から、施設分類ごとに受益者負担率を設定している。
  • コスト計算においては、過去3年間の「施設の利用率に基づく収入額※1/施設コスト費※2」により受益者負担率を算出し、基準内であれば適正としている。
  • 市内・市外別利用者数や優先団体※3利用数などの利用実態は、受益者負担率を考えるうえでの基礎資料の一つとなり得るものだが、これを把握していない。
  • 直近で見直しを予定していた令和3年度は、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえコスト計算を見送っており、結果として平成30年度以降コスト計算を実施していない。なお、令和6年度にコスト計算の実施を予定している。
  • 使用料設定や受益者負担率の考え方は、これまで、議会等で公表されたが、ホームページへの掲載等は行っていない。

※1 施設の利用率に基づく収入額…条例で制定している単価×実績コマ数
※2 施設コスト費…人件費、物件費等(維持管理・修繕に係る経費)の維持管理費
※3 優先団体………各施設の設置条例において規定する趣旨に合致した目的をもって利用する団体。市施策の推進を図るため、料金の優遇、予約期間の優先等がある。

【意見】

  • 財政課は、公共施設の使用料について、受益者負担水準の適正化などのため、平成27年度に使用料見直しの基準を策定し、原則として3年に一度全市的にコスト計算を行うことで、使用料等の妥当性について確認することとしている。
  • この基準では、公共関与の必要性と収益可能性の2つの観点から、福祉、文化、スポーツ、保養観光などの施設の区分により受益者負担率を定めており、その分類は公共施設等総合管理計画に基づく利用用途別の分類を使用している。一部の施設では設置目的と利用実態のかい離が見られたことから、財政課は、施設の利用者の属性等利用実態を把握し、現在の受益者負担水準が適正であるか検証されたい。
  • 公共施設の使用料について、使用料の設定根拠や受益者負担率の状況を明らかにすることは、利用者はもとより、当該施設を利用しない、より多くの市民の理解を得るうえで重要である。これらを踏まえ、広く市民に対し積極的に情報公開を行うことを検討されたい。

ウ 大河ドラマ「どうする家康」を契機とした地域経済の活性化について(観光・シティプロモーション課)

【現状及び課題】

  • 令和3年に大河ドラマ放送が決定し、令和5年1月から始まった大河ドラマ「どうする家康」(以下「大河ドラマ」という。)の放送を好機として、観光誘客により地域経済の活性化を図った。
  • 官民連携組織として「家康プロジェクト推進協議会」を立ち上げ、誘客、食、交通等の関連分野の民間企業と市が一体となって、本プロジェクトを推進した。
  • 観光・シティプロモーション課として、令和5年度における大河ドラマ関連事業に係る経費は8億4,391万円で、大河ドラマ放送が決定した令和3年度から、令和5年度までに16億8,891万円を支出した。

大河ドラマ関連事業費(観光・シティプロモーション課分)

(単位 金額:千円)

区分 5年度 4年度 3年度 合計額
決算額 843,913 776,244 68,755 1,688,914
主な事業 大河ドラマ館関係事業 355,752 449,973 54,394 860,120
家康プロジェクト推進事業
負担金
146,547 115,148   261,695
家康公騎馬武者行列
@浜松まつり
146,719     146,719
浜松市内の城跡等に係る
XRコンテンツ制作
  37,466   37,466
大河ドラマ「どうする家康」
東海プレミアリレーin浜松出陣式
  27,969   27,969
浜松市への誘客を目的とした
冬イベント
27,320     27,320
JR浜松駅装飾維持管理 15,008 8,666   23,675
大河ドラマ「どうする家康」
相互協力冊子制作
13,777 8,228   22,005
  • 令和5年5月5日に行った「家康公騎馬武者行列@浜松まつり」(以下「家康公騎馬武者行列」という。)では、来場者数が68万人となり、市中心部に設置した大河ドラマ館には、開館期間中に目標来館者数50万人を大きく上回る64万人が来館した。
  • ドラマ放送期間中は数々のイベント等の取組を通じて、本市が徳川家康公ゆかりの地であることを広く発信し、その認知度向上に努めた。
  • 本市と同じく大河ドラマ館を設置した静岡市や岡崎市をはじめ、全国の家康公ゆかりの地と連携し、各地が開催するイベントへの相互出展や相互誘客に関する取組を進めた。
  • 浜松市内の経済波及効果については、浜松出世パークなどで行った各種イベントへの取組や民間企業による関連商品の開発、官民連携で行ったプロモーションなどにより、「おんな城主 直虎」放送時に比べて100億円多い、318億円であったとしている。

経済波及効果

(単位:億円)

区分 直接効果(A) 間接効果(B) 経済波及効果
(A)+(B)
浜松市内 212 106 318
静岡県内 264 144 408

(注) 試算方法
・直接効果=観光客増加数(市集計の観光交流客数)×一人当たりの消費支出額(アンケート結果)
・間接効果=経済波及効果算出の基となる産業連関表を用いて算出

  • 今後も、家康公ゆかりの地としての認知度や関連事業の成果を活用し、家康公ゆかりの地として、全国のネットワークによる連携イベントを開催するなど、観光需要を継続的に取り込み、地域の活性化を図るとしている。

【意見】

  • 令和3年度から5年度まで観光・シティプロモーション課関係だけで、16億円を投じて行われた大河ドラマ関連事業は、目標を大きく上回る64万人が来館した大河ドラマ館、68万人の来場者を集めた家康公騎馬武者行列などにより、本市に318億円の経済波及効果をもたらすとともに、家康公ゆかりの地としての認知度向上に大きく貢献した。
  • 本事業は、静岡市、岡崎市など全国の家康公ゆかりの地との相互誘客などの連携をはじめ、官民の数多くの関係者と連携して実施したことで、観光誘客に関するノウハウの蓄積はもとより、市民協働によるプロジェクト推進に係る数多くの知見を得ることができたものと考える。
  • 観光・シティプロモーション課は、事業スキームを含め、本事業が今後の同種の事業の標準となるよう得られた知見を記録にとどめ、今後の事業展開に活用されたい。

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