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更新日:2024年3月31日
第1条 この条例は、男女共同参画の推進について、基本理念を定め、市、市民、事業主及び市民団体の責務を明らかにするとともに、市の基本的施策を定め、これを総合的かつ計画的に推進し、もってあらゆる分野において平等な男女共同参画社会を実現することを目的とする。
( 考え方 )
男女共同参画社会基本法の第9条において、地方公共団体の責務が定められており、この中で、地域の特性に応じた施策を展開することが求められています。これに基づき策定された「浜松市男女共同参画計画」の実効性を確保し、平等な男女共同参画社会を実現することを目的としてこの条例を定めました。
この条例では、男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、市、市民、事業主及び市民団体の責務を明らかにするとともに基本的施策を総合的・計画的に推進することについて明確にしています。
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
( 考え方 )
この条例の中で、共通認識の必要な言葉について定義しました。
第3条 男女共同参画は、次に掲げる基本理念にのっとり推進されなければならない。
( 考え方 )
基本理念は、国の男女共同参画社会基本法を踏まえた基本的な考え方をもとに、達成すべき目標を掲げています。
第4条 市は、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下「男女共同参画推進施策」という。)を総合的かつ計画的に策定し、及び実施するものとする。
2 市は、市民、事業主及び市民団体が行う男女共同参画推進のための活動を支援するとともに、国、県その他の自治体と連携及び協力を図り、男女共同参画の推進に努めるものとする。
3 市は、男女共同参画推進施策を進めるための必要な体制を整備するとともに、予算上の措置を講ずるよう努めるものとする。
( 考え方 )
男女共同参画社会の形成のためには、市が率先して取り組んでいくことが求められています。「浜松市男女共同参画計画」では、5本の基本目標※を定め、これを実現するための主要課題と施策の方向が示されています。
市は、この施策を進めるため、関係各課において積極的に展開していく責務があります。このため、庁内の推進体制を整えるとともに、男女共同参画の視点で市政のあらゆる分野で実施していくことが必要です。市民、事業主及び市民団体が、主体的に男女共同参画に取り組む場合にはこれを支援し、国、県、他市町村とも連携協力していくことが、市の責務と考えます。
※浜松市男女共同参画計画「基本目標」
第5条 市民は、男女共同参画に関する理解を深めるとともに、職場、学校、地域、家庭その他の社会のあらゆる分野において、男女共同参画を推進するよう努めなければならない。
2 市民は、市が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
( 考え方 )
職場、学校、地域、家庭などあらゆる分野で男女が対等に共生できる社会環境を整えるため、社会を構成する市民一人ひとりが従来の制度や慣行に基づく固定的性別役割分担意識を改革していくことが必要です。その上で、男女共同参画に関する理解を深め推進することが、市民の責務として求められています。
市民の協力を得ながら、「浜松市男女共同参画計画」を実効性のあるものにすることが求められます。
この条例における市民とは、浜松市に在住、在勤、在学の者及び浜松市を活動拠点としている者と広く捉える必要があります。
第6条 事業主は、その事業活動において、男女共同参画の推進に努めるとともに、男女共同参画の推進に関し、積極的改善措置を講ずるよう努めなければならない。
2 事業主は、職業生活と家庭生活その他の生活との両立を支援するため、職場環境を整備するよう努めなければならない。
3 事業主は、市が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
( 考え方 )
職場で働く男女が、その価値観、ライフスタイル等に応じて、多様でかつ柔軟な働き方を選択でき、それぞれの働き方に応じた適正な処遇、労働条件が確保されることは、重要な課題の一つです。
女性が能力を発揮する上では、女性労働者が性別により差別されることなく、充実した職業生活を営むことができるよう、男女雇用機会均等法等の推進を図るとともに、事実上生じている男女間の格差を解消するため、企業の積極的な改善措置が必要です。
事業主の協力を得ながら、「浜松市男女共同参画計画」を実効性のあるものにすることが求められます。
※積極的改善措置
企業において、固定的な男女の性別役割分担意識や、過去の経緯から男女の労働者に生じている差別の解消に積極的に取り組み、男女の均等な機会及び待遇を実質的に確保すること。
例.女性の採用拡大、職域拡大、管理職の増加、女性の勤務年数の伸張(職業生活と家庭生活との両立を支援)、職場環境・風土の改善
※職業生活と家庭生活その他の生活との両立を支援
育児・介護休業法の育児休暇、介護休暇、育児又は介護のための勤務時間の短縮措置などを指しています。
第7条 市民団体は、男女共同参画の推進に努めるとともに、方針の決定、計画の立案等において、男女が共に参画する機会を確保するよう努めなければならない。
2 市民団体は、市が実施する男女共同参画推進施策に協力するよう努めなければならない。
( 考え方 )
他の地方自治体の条例は事業者等として市民団体を含めていますが、営利を目的として雇用、被雇用という主従関係にある事業主に求められる責務と、市民団体に求められる責務とはおのずと異なることから、本市では第6条に規定される事業主の責務とは区別して、市民団体の責務を規定し、地域活動における男女共同参画の推進を定めています。
特に、自治会、PTAなど地域社会で活動を行う団体においては、ほとんど男性が主導権を握っているのが現状です。こういった固定的な性別役割分担意識やそれに基づく制度や慣習を見直し、女性の意見が反映されるような組織作りが求められています。その第一歩として生活に身近なところから、あらゆる方針決定の場において女性の参画を推進し、男女が共に地域の一員としての役割を果たすことができる地域づくりが必要であると考えます。
市民団体の協力を得ながら、「浜松市男女共同参画計画」を実効性のあるものにすることが求められます。
第8条 学校、家庭、職場その他の社会において行われる教育に携わる者は、個々の教育本来の目的を実現する過程において、男女共同参画の理念に配慮するよう努めなければならない。
( 考え方 )
男女共同参画社会の実現において、教育・学習の果たす役割は極めて重要です。教育に携わる者が男女共同参画の理念を理解し、あらゆる教育の場において、男女共同参画の視点を取り入れていくことが必要であると考えます。
学校教育については、男女平等などに関する教職員の理解を促進するため、教員養成課程における教育や採用後の研修を推進するとともに、学校外における青少年教育活動の指導者など地域社会で指導的な役割を果たす者に対して男女共同参画についての意識啓発を行うことも重要です。
社会教育においては、女性も男性も生涯を通じて、個人の尊厳と男女平等に関する意識をはぐくむことが重要です。このため、人権学習や男女共同参画に関する学習について機会の提供、専門的な指導者の養成を図ることが必要です。
家庭教育については、男女が共に協力し、幼児期からその個性や能力を尊重していくことが大切です。
第9条 何人も、職場、学校、地域、家庭その他のあらゆる場において、セクシュアル・ハラスメントを行ってはならない。
2 何人も、男女間における暴力的行為(身体的又は精神的な苦痛を著しく与える行為をいう。)を行ってはならない。
( 考え方 )
セクシュアル・ハラスメント、ドメスティック・バイオレンス、ストーカー、売買春、性的虐待などの女性に対する暴力の背景には、女性の人権の軽視、男性優位の意識があります。今までは個人的問題であると考えられ、社会の理解が得られにくい状況でしたが、近年、これらの暴力は多くの人々にかかわる社会的問題として顕在化してきました。これは、男女共同参画社会を形成していく上で克服すべき課題であり、女性の人権が尊重される社会にするため、性別による権利侵害をあらゆる場において明確に禁止するものです。
第10条 何人も、公衆に表示する情報において、男女間における暴力及びセクシュアル・ハラスメントを助長し、又は連想させる表現を行わないよう配慮し、人権の尊重に努めなければならない。
( 考え方 )
ポスター、広告、リーフレット、インターネットなどの公衆に表示する情報は、人々の意識に重大な影響を及ぼすと考えられます。一部のメディアにおいては、女性の性的側面のみを強調したり、女性に対する暴力を無批判に取り扱った情報が見受けられ、女性の人権を侵害する暴力を助長する場合があります。公衆に表示する情報に対して女性の人権を尊重した表現を行うよう、その取り組みを促していく必要があります。
第11条 市は、市民等が行う男女共同参画の推進に関する国際的な理解及び協力を図るための活動に対し、情報の収集及び提供その他の必要な支援を行うよう努めるものとする。
( 考え方 )
浜松市の外国人登録者数は平成15年1月現在、総人口の3.6%を占めています。外国人市民が増加及び定住化の傾向にあることが浜松市の特徴です。このため、外国人を含め、新しい地域社会を築いていく必要があると考えます。
男女共同参画社会の形成は、国際社会における様々な取り組みと連動して進められてきたことから、国際的な協調のもとに促進されるべきと考えます。
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